2024/12/23 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」に大神 璃士さんが現れました。
大神 璃士 >  
風紀委員会本庁の事務室の一角。
年末の大イベントであるクリスマスを直前に控えてか、人の少ない中、デスクに向かう人影がひとつ。

「…………。」

無言で書類仕事に向かっていたのは、シルバーメッシュのウルフヘアの男だった。
今日も相変わらずの黒いレザージャケット姿で、書類にペンを走らせている。

「………静かだな。」

ぼそりと一言。
人気の少ない事務室に、思った以上に大きく、独り言は響いて消えた。

何故此処に居るのかと言うと、先日に受けた負傷の様子見という名目での
デスクワークを命じられた為である。
先日、とある捕縛対象相手に戦闘に突入した際、相手からの銃弾をまともに胴体に受けた為であった。

最も、既にその傷はほぼ塞がっているも同然である。
それでも大事を取り、巡回は見合わせてデスクワークに就けとのお達しで、
已む無く書類に向かい合っているという訳だった。
事情が事情故、今回は上からの要請にはあまり強く出られない。
本当は休みを取り始めた面々の分まで巡回に出たい所を堪えて、こうして書類仕事に対応しているのだった。
 

大神 璃士 >  
机に向かっていた為に硬くなってきた肩を軽く動かせば、少し傷が痛む。
その原因を思い返した事で、顔が渋くなった。

以前に取り逃がした、熊鼠を名乗る手配犯は――危険な存在ではあっても、結局は「単独犯」。
先日、取り逃がしてしまった半グレの幹部は、熊鼠を名乗る手配犯とは別個の意味で「危険度」が高い。

そう、組織というバックの有無。
それが唯一、そして最大の違いであり、異なる危険度を持たせる原因だった。

組織との戦いは、一筋縄ではいかない。
何しろ相手の数が多い。それだけでも厄介だが、その頭数を「効果的」に動かされたら余計に厄介だ。
まして相手は違反組織。
「半グレ」と名乗ろうが、その実態は他に数ある違反部活・違反組織と変わったものではない。
そんな連中の収入源は――予想を立てただけで頭痛と不快感がやってくるような内容だとは見当がつく。

(……それを抜いても、あのヤクザ紛いは何としても捕縛するべきだろうが。)

宗教施設群での蛮行、公安委員の大量殺害。
恐らく、叩けば更にホコリ(悪行)が出て来る事だろう。
そして何より、一般市民が多数存在した筈の百貨店で何の躊躇もなく拳銃を抜き、発砲に至った。
それだけで、奴の危険性を認識するには充分過ぎた。

(……かといって、下手に大勢で向かっても被害が増えるだけ。
一番性質の悪い手合いだ。)

最早、黒いレザージャケットの男は、先日対峙した男をただの半グレ組織の幹部などとは見ていなかった。

常世島で、平穏に生きるべき一般生徒や市民に平然と牙を剥く可能性すらある、如何なる手立てでも捕縛すべき、危険人物。
それが、レザージャケットの男の認識であった。

大神 璃士 >  
「……特務広報部辺りなら、嬉々として仕掛けに行きそうなものだがな。」

軽く苦笑しながら、風紀委員内の最も『過激』な連中について、少しばかり思案する。
もし連中が本腰を挙げれば、それこそ凄まじい事にはなりそうだ、と予想がついていた。

だが、広報部の特性上、それは同時に風紀委員会への報復が確定する事に近い。
そうなれば、風紀委員の中でどれだけの被害が出るか…正直、考えたくはない。

ままならないものだ、と、ため息一つ。

レザージャケットの男にも、一度だが特務広報部への勧誘の話が来た事はあった。
だが、既に広報部についての評判やそのやり方を知っていた事もあり、丁重に断らせて頂いた。
断った直接の理由は…単純に、「ついていけない」という気持ちが大きかったからである。

(…広報部の連中は、過激が過ぎる。
流れる血は…出来れば少ない方がいい。)

ふ、と思わず自嘲的な笑顔。
我ながら偽善的な事だ、と思わずにはいられなかった様子だった。

考えを切り替えて、再び書類仕事に向かう事を始めたレザージャケットの男。
人気の少ない事務室で、ペンの音が小さく響き始めた。

レポート >  
-手配犯・海藤宗次に対する報告-

12/22 PM■■:■■、学生街・扶桑百貨店にて違反組織構成員約10名を連れ、騒乱行為に及ぶ。
巡回に当たっていた風紀委員に対し暴行を加え、風紀執行の妨害を行う。(風紀委員■■ ■■の報告を参照)

その現場をレポート作成者が発見、投降の呼びかけ及び警告を出すもこれを拒否。
構成員のみを退出させた後、店内での発砲行為に及ぶ。
(発砲した銃弾はレポート作成者に命中、一般生徒への被害はなし・証拠物件No.■-■を参照)

直後、レポート作成者による攻撃を受けて沈黙。
負傷治療の為、レポート作成者が離脱後、引き継ぎを行った風紀委員が捕縛作業に入るも
突如として意識を取り戻し、その場を逃走。
※この際、人造異能と思しき現象が確認される。レポートNo.■■■■を参照の事


以下私見

当該犯が所属する違反組織・覇伝洲(以下組織Hと記述)自体が勢力を大きく拡大している
危険性の高い組織である事は以前より明らかであるが、
それを除外しても、宗教施設群における大規模破壊・殺傷行為、公安委員会より報告のある
公安委員大量殺害行為等、当該犯の危険性及び横暴さは目に余るレベルであると言える。
加えて今回の事件に及び、一般生徒が来訪する大型店舗で躊躇なく実弾銃器の使用を行った事からも、
当該犯の倫理観欠如は危険極まるものと判断して差し支えないものと言える。
組織Hへの対処とは別に、当該犯の危険性の向上、並びに警戒度引き上げを具申する。

また、当該犯の戦闘能力の高さと殺傷行為の頻度の高さを考慮し、当該犯への捕縛行為は
委員の実力を大きく考慮した上で当たるべきであると、私見ながら報告する。

                               書類作成者:大神 璃士

                               [承認待ち]

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