2025/01/06 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」に大神 璃士さんが現れました。
大神 璃士 >  
風紀委員会本庁・特別攻撃課オフィス。深夜にて。

『――書類受理。
報告は受け取った。先日の作戦における貴様の行動の全ては、表向き抹消される。

貴様は先日、落第街にて小規模違反組織と遭遇、戦闘の結果、内臓損傷の怪我を負った。
通常の委員が閲覧可能な記録全ては、そう処理される事になる。
ご苦労だった。』

「処理について受諾。自分は小規模違反組織との遭遇戦の結果、傷を負いました。
不覚を取った事、誠に申し訳ない。」

『…只の使い走り、狗にして置くにはやはり貴様は惜しい。
今からでも我々の下に来ないか? 俺からしてもお前を引き込む事は吝かではない。』

「恐縮ですが…「狗」でいた方が、足が軽くて済むので。」

『その結果が他の課に使われる走狗、か。
つくづく貴様は損が好きな性分と見える。』

――オフィス奥の個室で交わされるのは、先日の大規模戦闘における事案処理。

黒いジャケットの男は本来、特別攻撃課の所属ではない。
それが駆り出された事は、表向きは伏せられなくてはいけないのである。

かくして真実は隠蔽され、それを知るのは極一部に。

大神 璃士 >  
『それと、だ。確か貴様、例の作戦で組織Hの幹部と戦ったな?』

「結果的には取り逃がしました。……それが何か?」

『……先程上がって来た、会議の報告だ。』

ばさり、とデスクに置かれる幾枚かの書類。
だが、男は手を付けない。

「自分が見ても良いものですか?」

『問題ない。これをダシに貴様を引き込むつもりもない。』

「――失礼します。」

黒いレザーグローブで包まれた手を伸ばし、ぱらりと書類を捲る。
ぱらり、ぱらり、と少ない枚数を捲る度に、黒いジャケットの男の顔は険しくなる。

「……本気ですか。」

『上は本気らしい、な。どう思う? 「当事者」として。』

「……勘でよければ。」

『構わん』

「作為が働いている、かと。タイミングが良すぎる。」

ばさり、と読み終わった書類を放り返す。
書類に書かれていたのは――組織Hこと違反組織・覇伝洲、及びその幹部の危険度ランク引き下げについて。

『どう思う? 勘でも何でもいい、思った事を言ってみろ。』

「――「蟲」が入り込んでいるのでは、と。」

『あり得る話だ。他にはあるか?』

「……疑いたくはないが、内通者の存在も考えられます。
組織Hに買収された、誰かが。」

『そうだな、風紀委員会とて人間だ。欲に迷う者もある。』

「……………。」

大神 璃士 >  
「……これについて、上は…?」

『まだ監査課を動かす段階ではない、と考えているらしいよ。
無理もない、何の確証も無いからな。』

「自分に、何をしろ、と?」

『――俺からは何も言わん。何をする事もない。だが、貴様の判断で動くのは勝手だ。
……一般委員は愚か、俺にも詳しい情報が届いていない、貴様の「鼻の良さ」。
其処に賭けるのも、悪くはない。』

「失敗したら尻尾切りですか。洒落にならん。」

『そうだ。だから動くなら慎重に…かつ、大胆に、な。
お前が確証を持ったら、迷うな。』

「………。」

『まあ、まだ先日の傷も治ってはいないだろう。
動くのはその傷が治ってからでも遅くはない。
今はゆっくり休め。以上。』

「――了解しました。失礼します。」

黒いジャケットの男はその言葉を最後に、一礼をしてから部屋を立ち去る。

――此処で交わされた言葉や事実もまた、夜の闇に消えるばかり。
 

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」から大神 璃士さんが去りました。