2025/01/08 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」に大神 璃士さんが現れました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」から大神 璃士さんが去りました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」に大神 璃士さんが現れました。
大神 璃士 >  
風紀委員会本庁、事務室にて。

「………。」

すっかりと先日の戦闘での傷が癒えた男だったが、外的には未だ怪我の治療を待つという形での
デスクワークに勤しむ事になっていた。
机に向かい、書類にペンを走らせる。
他の委員は外に出ているのか姿が殆どなく、男の立てるペンの音だけが事務室に響いている。

「………。」

書類の内容は、当たり障りのない事務や日常業務の纏めの類。
詰まる所、雑用だ。
見廻りの業務がなければ、業務中は事務室に居る事の多いこの男。
自然と回される雑務も多いのである。これも「走狗」の性か。

大神 璃士 >  
普段であれば、サボりとは言わないまでも時折の休憩を加えつつ
雑務に当たっているであろう男。
だが、今日は休みも取らず、ただ無言で書類仕事をこなしつづけている。
時折疲れ目を予防するように目頭を摘む程度だ。

そんな時間が、どれだけか過ぎた頃。

「…………。」

一枚の書類を目にして、少しだけ眉根が上がる。

何の変哲もない、一枚の書類…否、書類、になるはずだったもの。
途中でぐちゃぐちゃと文字を消そうとしたり、取り消し線のようなものが
手書きの文字の上から乱雑に引かれたもの。

どこからどう見ても失敗書類である。
誰かが間違って提出の際に書き損じを混ぜてしまったのか。

ひとつため息を吐いて、男は失敗書類を手に取ると億劫そうに立ち上がり、事務室隅のシュレッダーへ。
何の躊躇いもなくシュレッダーに放り込まれた失敗書類は、バラバラの紙屑となり、
既に同じ運命を迎えていたコピー用紙や書き損じなどと同じ運命を辿る事になった。

大神 璃士 >  
(………上手く、動いてくれたらしい。)

その失敗書類だったものが紙屑に変わったのを確かめて、黒いジャケットの男は軽く伸びをする。
心底で、最初の手がまずは動いた事への軽い安堵。

――ただの失敗書類が紛れ込むなど、そうそうある話ではない。
無論、意図を以て、黒いジャケットの男の所に届くよう、差し向けられた書類であった。
確認後は、直ちに処分する事も含めて。

先日の戦闘にて交戦し、取り逃がした半グレ組織の幹部の男。
その男が作戦現場に取り残していった遺留品――
幹部の男が使っていた、日本刀。

証拠のひとつとしてしっかりと保管されていたそれが、極秘裏に酷似した別物とすり替えられ…
公安委員会を経て研究区・科学捜査所に送られた事を報せる書類。
それが、書き損じに見せかけ、こっそりと仕組まれていたメッセージだった。

日頃、「走狗」として様々な箇所に駆り出され、それなりのコネクションがあった
黒いジャケットの男が、裏から何とか実現させた事だった。

(……随分、色々な所に借りを作った。暫くはまた狗らしく働かないとな。)

風紀委員会から直接動かすのは、蟲…侵入者が居る危険性を考えると得策ではない。
だから、危ない橋を渡ってでも、秘密裏に、他所の委員会を通して送る必要があった。

そして、それは為された。遠くない時期に、刀に残された残留データから
その使用者――半グレの幹部の男の生体データ各種が得られる事になる。

大神 璃士 >  
「………多いな。」

そうしてデスクに戻れば、待っているのはまだまだ沢山残る多数の書類の山。
今度はこれらに取り掛かる必要がある。

何事もなかったように。
多数の書類の処理に、男はまた戻る事になるのだった。

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」から大神 璃士さんが去りました。