2025/03/08 のログ
■霞堂由紀 > 「たまたま聞こえて来るんだよ」
勿論嘘。
初めて見た時からずっと見ているだけ。
「それは…壊れるね」
在のジェスチャーを見て大体察する。
あんな不安定な武器にそんな事したらそうもなる。
資料を眺める在を眺める。
そして見逃さない。その表情があるタイミングで明らかに曇った事を。
「やっぱり気になる?」
第一級監視対象。いや、監視対象というだけでも同じ反応をするだろうか。
この反応を確かめたくて、ここまで《炉神》が監視対象であることを明確にしなかった。
やはり、青霧在という青年は……
口角が無意識に上がった。
■青霧在 > 「……ああ」
風紀委員会が監視対象に武器の修復を依頼するのを気にしない訳がない。
無意識に問いに答えていた。
逡巡、僅かな間《炉神》に気をとられたが、資料をファイルに戻し引き出しにしまう。
必要な情報は得られた。
《炉神》が監視対象であろうがそうでなかろうが、やる事は変わらない。
修復不可能とされた《聖蛇》の修復を依頼する。
「本当に助かった、霞堂」
「この礼は必ずする」
立ち上がり、霞堂に頭を下げる。
青霧が直接、監視対象の情報に触れるのは面倒な手続きを経る必要がある。
だが霞堂のおかげで数日で済んだ。
霞堂も暇ではないだろうに。
■霞堂由紀 > 「楽しみにしてるね」
別に礼なんていらない。
面白そうだから手を貸して、望んだ結果が得られた。
それだけ♪
「それじゃあ私は帰るから」
「またね、在」
ソファを立ち、手を振りながら廊下へと出る。
早く出てあげないと在は頭上げてくれないから。
そのまま本庁を出て、歩く。
とある場所に向かって歩く。
しばらく歩くと、その姿が全ての存在からの死角に入る。
そして、その死角から碧い長髪の少女が出て来る事は無かった。
代わりに現れたのは、黒い短髪の少女。
黒髪の少女が向かう先は――――
公安委員会本庁のある方面である。
今は黄昏時。
煌めくような細い何かも相まって、少女が何者かは誰の目にも止まらない。
■青霧在 > 「……またな」
霞堂の言葉には時折含みがある。
つかみどころがないからそう感じるだけだろうか。
扉が閉じる音、遠ざかる足音に頭をあげる。
霞堂は去った。
この後の訪問の予定はない筈だ。
この後の用までは1時間以上余裕がある。
「今しかないな」
オモイカネを取り出し、先ほど得た連絡先を登録する。
いきなりコールするのも良くないだろう。
刀匠というのなら、今も何か鍛えているかもしれない。
よってメールを打つ。
初めて言葉を交わす相手であり、依頼する相手でもある。
丁寧な言葉を選び、挨拶に始まり要件を連ねていく。
自分は風紀委員会の人間であること。
優れた刀匠である当世金屋子媛に剣の修復を依頼したいこと。
修復不可能と判断された剣の状態を経緯や診断、写真も添えて。
剣の元の状態や性能。
希望する日程の候補。
「こんなところか…?」
10分程で本文が完成した。
顔も知らない相手に武器の修復を依頼するのは初めてだ。
これまでは暁に言えば何も言わずに修復してくれていた。
必要そうな情報はこれで全てだろうか。
改めて5分程考えた後、そのまま送信した。
「…これでどうなるか」
送信済みボックスに並んだメールを見つめて脱力気味に呟いた。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」から青霧在さんが去りました。