2025/04/15 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁・面談室」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
風紀委員本庁の一室。
少し手狭に感じる程度の部屋は、個人と面談をするような用途で使われる一室である。
今は一人、焦茶の長い髪をポニーテールに纏めた風紀委員の少女が椅子にかけ、手元の資料に視線を落としている。
──ちらり、備え付けられた壁時計を見る。
そろそろ、約束の時間。
彼女の顔を見るのも、なんだかしばらくぶりになる───。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁・面談室」に水無月沙羅さんが現れました。
水無月沙羅 > コンコン。
室内に取り付けられた扉が二度叩かれる。
「失礼します。水無月沙羅です。入ってもよろしいでしょうか。」
聞こえてくるのは貴方が待っているであろう、風紀委員の少女。
過去、大きな問題を起こしたことにより開かれた査問会の結果、現在まで拘束、拘留されていた経緯を持つ。
その危険性を危惧された結果、現在は記憶処理を施され、以前の記憶の大半を失っていると報告書にはあるだろう。
様々な噂が過去蔓延っていた彼女ではあるが、今はもはや別人と化してしまっていてもおかしくはない。
現に扉越しから聞こえる声はどこか機械的にすら聞こえて。
むかしの天真爛漫……ともいえるような、はつらつとした声は感じられなかった。
■伊都波 凛霞 >
ノックの音、それに続いて部屋の外から声がかかる
聞き覚えはちゃんとある声。だから余計にそれが懐かしく感じる。
そのせい…だけではない。きっと。…その声に違和感を覚えたのは。
「どうぞー」
明るいトーンで、そう返す。
色々な事情を踏み渡ってきた少女。
手元にある資料に書かれているだけでも、その内容の重さは筆舌に尽くしがたい。
耳で感じとった、過去の記憶との差異も含めて…今の"彼女"と顔を合わせる。その覚悟を強めた。
ドアは軽やかに開くはず。
その先では机と、対面する椅子にかけた風紀委員の先輩が、そんな少女を変わりのない笑顔で迎える。
水無月沙羅 > 「お久しぶりです、伊都派先輩……で、よろしかったでしょうか。」
扉を開けて、部屋に入る。
デスクの前まで進み丁寧なお辞儀をする、あなたも見覚えがある少女。
外観だけで言うのなら昔と大差はない。
手足は細く、スタイルは悪くはない。運動神経が良さそうな、少しばかり小柄な体格。
犬のような尻尾のある独特の髪型が、少女の分かりやすいトレードマークだ。
変わっているのは……いつもにこっとしていた子犬のような表情が抜け落ち、生真面目な生徒のようになっていることに付け加え
それと……首には常に居場所を監視するための発信機が取り付けられ、まさに犬の首輪というに相応しいものを取りつけられているところだろうか。
■伊都波 凛霞 >
「久しぶり。どうぞ、座って?」
屈託のない笑顔はそのまま。
目の前の少女が以前知っている少女ではないということを感じれば…勿論思うこともある。
「保護観察担当の伊都波凛霞です。よろしく♪
名前、覚えててくれたの嬉しいよ」
もしかしたら記憶ごと抜け落ちてしまっているかも、とすら思っていたから。
見た目はあの頃と変わらない少女のまま。
仕方のないこととはいえ、首元につけられている発信機は首輪のようにも見え…痛ましい。
「…えっと、どこまで聞いてるかな?」
自身の今後について、目の前の少女がどれくらい理解と把握をしているのか。じっとその目を見る。
水無月沙羅 > 「えっと……すみません。
私が大きな問題を、特に人に大きな負傷をさせ、規律を乱す行為をした。
ということは知らされているんですが。
なにぶんほとんどの記憶が抜け落ちていて……そう、ですね。
覚えているのは……この学園にいて、風紀委員に所属していた。
という漠然なものと、あとは一般常識は消されなかった……と。
学園生活を一からやり直すように、とお言葉を受けています。
監視役と、保護観察者が付く……というお話も。
しばらくは風紀委員で働くことで免罪とする……って、言われてはいますが……」
自分の状況を、聞いた限りであなたに説明する。
じぶんでも、過去の自分に何をしているんだ、と突っ込みたくなるような事実の数々で混乱している。
そうは言っても……目の前の彼女から、そういった凶悪犯に対するような態度を感じないのは一体なぜなのだろう。
■伊都波 凛霞 >
「ああ、いいの!ただの確認だから───」
開口一番、謝罪を口にする少女に慌てるようにそう言葉を向ける。
…同時に、手元の紙資料を裏返し、下げて片付ける。
「それだけ聞いてるなら十分かな。
学園生活を一から、必要ならそのサポートも私を頼ってくれていいから、安心して♪」
不安を与えないよう、声色は明るく保とう。
多くの記憶が抜け落ちて、自分が何をしたのかも、何をされてきたのかも覚えていない。
不安であることが、当たり前なのだから。
「風紀委員の中にいれば目も届くし、手も差し伸べられる。
監視、って言うと物々しく感じるかもしれないけど、強い束縛があるわけじゃないから」
少女は、今は前に歩くよう背中を押されている。
過去を振り返ることがいずれ必要だとしても、今はまだいい。
「生活面での保護者は、貴方のことをよく知っている生徒さんが引き受けてくれるって」
とりあえず安心してね、と。笑顔でそう伝えよう。
言葉ばかりで不安が拭えるとは思えないけど、それでも、精一杯。
水無月沙羅 > 「……あ、ありがとう、ございます。
あとで、その保護者の方にもお礼を言わないといけませんね。」
当然、記憶がないことに不安感はある。
足元に地面がないような、ふわふわとした浮遊感というか。
現実味がない、というべきか。
本来はそこにあったはずの、大事な何かをなくしてしまったかの様な。
漠然とした悲しみすらも胸に去来する。
彼女の言葉には温かさを感じるし、その心遣いに感謝以外に伝えられることもない。
と、そう思ってしまう自分が若干歯がゆくもあった。
「あの、伊都波先輩……質問をしても、良い……ですか?」
なぜそこまでなぜ親切にしてくれるのか、とか。
サポートの約束までしてくれるのかとか、聞きたいことは山ほどあるのだけど。
とりあえずは一つだけ。
「……あの。伊都波先輩からは、その。
あまり、嫌悪感を……あ、えっと。
嫌悪するような目、というか。
恐怖の対象を見るような……そういう視線を、感じないのは。
なぜなのか、聞いてもいい……でしょうか?」
ここに来るまでの間、収監されていた場所から運ばれていた間に感じていたのは。
警戒心、嫌悪感、恐怖、それから……憐れみ。
先輩からは、あまりそう言う何かをほとんど感じ取れなかった。
それが不思議で、同時に安心感を与えていた。
それほど彼女が、自分に対して対応できるという自信の表れなのだろうか。
■伊都波 凛霞 >
ぎこちなく謝辞を述べる少女には、はにかむような笑みを返そう。
私生活面での身元の引受けと保護者役には適役がいる。きっと少女も安心して過ごすことが出来るだろう。
飽くまで自分は風紀委員の中での観察役。そこは弁えている。
通達事項は、それほど多くない。
自分が風紀委員内部での保護観察役あることの通達、連絡先の提示。
後は事前に少女が伝えられていることが全てと言っても良い。
なので、顔合わせの後の時間は丁度、質問タイムにするつもりだった。
「………」
その質問は当然かもしれない。
少女を取り巻く周囲からの視線は…きっと良いものではなかっただろう。
「んー、それは…」
「一応、過去の貴女を多少なり知ってはいる…っていうのと、
まだ向き合うのは先の話で良いと思うけど、沙羅ちゃんのしてきたことが、全部沙羅ちゃんのせいだとは思わなかったから、かな?」
そのあたりは自分でも言語化が少し難しい。
でも、その話を打診された時に然程迷うこともなく凛霞がそれを受けたのは以前の少女を知っていたから、に他ならなかった。
もちろん風紀委員に在籍する以上、少女が起こした事件も、様々な事情も知り得る範囲では知っている。
「あとはー、沙羅ちゃんみたいな可愛い後輩をそんな目で見ること自体が失礼!とか…?」
最後はそんなふうに少しだけ、茶化すように笑って。
水無月沙羅 > 茶化された言葉には、思わず……というべきなのか、釣られるような愛想笑い。
素直に笑顔を浮かべることはちょっと難しかった。
以前の私は、いったいどんな境遇にいたんだろう。
……同情、ともいうべき言葉を向けられると、余計にどこか不安に感じてしまう自分がいた。
「………全部が、わたしのせいでは……ない、ですか。」
それが言い訳にはならないからこその、処分だったのだろうと納得はしている。
何もわからない以上、これからの自分にできるのは文字通り一から生活をやり直すことだけなのだから。
風紀委員の仕事も、改めて頑張っていかないといけない。
「……ありがとう、ございます。 これから『は』、ご迷惑にならないように頑張りますね。」
……どうしてだろうな。
ここに来るまでずっと、半身がないような。
そして隣にいるべきものがいないような。
そんな虚無感をずっと感じてしまっているのは。
こんなことを彼女に相談しても仕方がない事。
だから……これは胸にしまっておこう。
記憶を失っても変わらないこと、それは。
彼女が顔で隠し事はできない……ということだ。
『ありがとうございました。』
そう貴方にもう一度頭を下げて、この部屋を出ていこうとするだろうか。
きっとその背中は、どちらかと言えば未来に向かうというよりも。
失意の中にあるのは間違いないのだけれど。
■伊都波 凛霞 >
嘘で誂えて安心させてあげることはできる。
でも彼女がこれから向かうのは逆境と逆風。
それでも前に進まなければいけない。
でも後ろから支える私も、横で支えてくれる誰かも、彼女にはいる。
向けられたぎこちない愛想笑いは、記憶の中にある少女の笑顔にはまだ遠いもの。
──少しずつでも、その表情が柔らかなものになるよう、自分も出来る限りのサポートをしよう。
「ううん。私も沙羅ちゃんのことは気掛かりだったし。
あんまり肩ひじ張ったりはしなくてもいいから、困ったことがあったらいつでも相談して♪」
片目を閉じてウィンクして見せれば、さて連絡先を交換しよう。
学生手帳『オモイカネ』、彼女のものは…きっと以前使っていたものとは違う端末になっているだろう。
あの頃は連絡先のやり取りをする程の距離感ではなかった。こんな形で…というのは想像していなかったけれど。
「──うん、これからよろしくね。沙羅ちゃん」
頭を下げる彼女にそう告げる。
その表情はまだ失意と虚無の中。
彼女の背中を見送り、パタンとドアが閉まれば…深く溜息と共に、小さく頷く。
───自分にできるのは、背中を守ってあげること……後は、少女の傍らで…隣にいるべき人に任せよう。
水無月沙羅 >
振り返って帰ろうとして
其れよりも早くあなたに渡される連絡先。
学生手帳。
新しくて、綺麗だな……と思った。
今の自分はまさに、こんな感じなんだろうか。
それとも……、首を振って嫌な思考を振り払った。
ネガティブに考えてしまうのはきっと昔からの悪い癖。
だから、これからはもう少し前向きに。
「……はい、 よろしく、おねがいします。」
貴方のウィンクに励まされて、今日初めての。
あの頃の子犬のような笑顔を初めて、ほんの少し取り戻す。
信頼できる先輩に向ける、親愛の証。
────それでも失意の中には変わらないけど、きっと。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁・面談室」から水無月沙羅さんが去りました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁・面談室」から伊都波 凛霞さんが去りました。