2025/04/26 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 小型オフィス」に大神 璃士さんが現れました。
■大神 璃士 >
風紀委員会本庁の一角、小型のオフィス。
主に雑務を行う人員が詰めたりなどの用途で使われる部屋。
その一室で、無言で書類仕事に向かっている委員が一人。
風紀委員の制服の上から黒いレザージャケットを羽織った男性委員である。
気温が上がって来たここ暫くの季節、暑苦しく思われそうな服であるが、本人は特に意に介する事も無し。
向かい合っているのは様々な部署の様々な書類。
平たく言えば、雑務である。
他に人もいない中、静かに書類仕事に集中できる、色々と都合の良い環境である。
似た部屋はいくつかあるが、此処は立地の都合か使われる事が少ない。
静かに打ち込んだり、考え事を行うにはとても良い部屋だった。
■大神 璃士 >
「…………。」
無言で書類に目を通し、必要ならばサインや押印を行い、処理を進めて行く。
自身の権限でも何とかなる雑務作業。
記述ミスや誤字などがない事を確認してもいるので、少しばかり時間はかかるが、概ねスムーズに進んでいく。
――その手が、一時止まる。
視線の先にあったのは、一枚の書類。
風紀委員・南海巴。
先日、突然の襲撃に遭い、落命した委員だ。
自身も優れた委員であったらしいが、それと同時に親が風紀委員会のスポンサーの内の一つでもあった。
そんな人物が、狙撃を受け、殺害された。
しかも、防弾処理の施された車に乗っていた上で。
詳しい現場検証はまだ少し掛かるが、恐らく凶器は対物ライフルクラス。
「…………。」
だが、普段であれば、表に出ない人物である事も知られている。
それが、先日に限って何故か表に出て、狙撃を受けて殺された。
あまりにも「タイミングが良すぎる」。
急報が入った時点で、男は密やかに動き、事を調べ始めた。
――そうして、ひとつ。
引っ掛かる情報が見つかった。
『先日、南海巴に対して接触・面会を図った委員がいる』。
その調査の結果が、こっそりと書類に紛れて上がって来た。
其処に記された名前を見て――小さく息を吐く。
同時に、黒いジャケットの風紀委員の目が鋭い輝きを見せる。
■大神 璃士 >
「……浜野、宗一郎。」
ため息と共に、調査結果書を取り上げ、しまい込む。
表に出ない南海巴への接触者は逆に目立つ。
お陰で…というべきか。
直ぐに数が上がって来た。その中に、「疑わしい」存在。
「……南海の家の人間には、まだ伏せて置くか。
逆上してつけ込まれる隙を見せるのは好ましくない。」
付加されていた書類に、暗号で犯行を行ったであろうと思わしき相手は伏せて置くよう、記して置く。
――殺された者達には気の毒だが、恐らく、最も邪魔な相手のひとつを潰した事で、相手は油断が生まれている筈。
潜伏する「蟲」について、黒いジャケットの委員も警戒ばかりで手を拱いていた訳ではない。
一人ずつ、一人ずつ。
怪しくならないように、しかし確実に。
「蟲」との接触があった、あるいは買収されていると思しい委員を、
監査部を通じて公安委員会へと突き飛ばしていった。
所詮は金で釣られた者。そして締め上げられれば直ぐに怯える小心者。
身が危なくなれば、真っ先に繋がる者を売り飛ばす。
「標的」が表で騒いで良い気でいる間に、少しずつ、だが確実に、
「こちら側」の綱を寸断し、代わりに網を張っていく。
知らない間に、「都合の良い情報収集先」は――「蟲を追い詰める檻」へと変化しているのだ。
それを知らずに、次に迂闊に此処で動いた時が――――
(――――貴様の「此処」での最期だ。)
■大神 璃士 >
「………。」
大きく息を吐き、書類仕事へと戻る。
とりあえずの仕事は、多数積もった雑務の解消。
これも大事な、風紀委員の仕事である。
雑務を淡々と処理し続けながら、それでも走狗は静かに牙を研ぎ続ける。
静かに、誰にも悟られぬように。
然るべき時が来るまで、ただ、無言で。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 小型オフィス」から大神 璃士さんが去りました。