2026/02/08 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 アウルム小隊執務室」にリリアナさんが現れました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 アウルム小隊執務室」に加賀宮 悠真さんが現れました。
リリアナ >  
この部屋を根城にする風紀委員の部隊には、まださほど重要な仕事は多くない。
出来たばかりで実績も多くないし、何より人員がさほど潤沢ではないのだ。
なんせ小隊と呼ぶにもギリギリの人数。
物理的にデカい仕事はこなせない。
今ある一番大きな仕事は、

「暇だなぁ加賀宮」

ソファに寝っ転がって数少ない小隊員にウザがらみすることである。

加賀宮 悠真 >  
「ヒマですね小隊長」

資料に目を通している。
今は学生通り不動産詐欺事件の調書(3周目)。

「小隊長は知ってますか」

顔を上げて神妙な顔つきで言う。

「切手を貼る時に裏側のノリ部分を舐めると……」
「2キロカロリー摂取できるそうです」

会話の墓場(5周目)。
座っているだけで事件が解決できる探偵なら安楽椅子も買ったのに。

リリアナ >  
「なんと、切手を舐めるたびに一度咳をしないと太ってしまうじゃないか」

地獄のような会話。
毒にも薬にもならないだけの会話である。

「副隊長は一人さっさと巡回に行ってしまったし。
 まぁ、我々の仕事がないのは平和の――いや、そもそも何かあっても回されていないのかもしれんな」

流石にそれはない。
新設部隊とは言え、一応特別攻撃課の所属なのだ。
戦力が必要な時にはしかるべき要請が飛んでくるだろう。
つまり単純に風紀委員全体が暇な日と言うことだ。
多分。
立ち上がり、冷蔵庫から山の雫的な炭酸飲料の缶を取り出し、カシュ、と開ける。
飲みながら、彼にも飲むか、と視線で問いかけて。

加賀宮 悠真 >  
「足元に落ちてるコインを拾ったら2キロカロリーですしね」
「俺たちは立場的に拾って記録をつけるのでさらにカロリーの消費が見込めます」

気疲れとも言う。

「交通課は忙しそうですけどね」
「ほら、走り屋が活発化してますし」

摘発されたらカリッカリにチューンされた車両が押収されるのか。
摘発しても摘発しそこねても気疲れしそうだ。

「一本お願いします」

書類をめくる。
隅々まで読みすぎて内容を覚えてきた。

リリアナ >  
「いいことを教えてやろう。
 小銭を拾ったら風紀の詰め所に持っていくといいぞ」

そうすれば記録を付けるのは自分ではなく詰め所にいる風紀委員の仕事になる。
カスのライフハック。

「こんな寒いのによくやるよ。
 この時期はアイスバーンも出来るだろうに」

いっそ自ら走り屋の巣窟に出向いて一台押収してやろうか。
隊にも車両が一台欲しいと思っていたところだ。
缶の半分を一気に飲み干し、新しい缶を取り出して、糸で彼の机においてやる。
近くを通りすがり、缶の向きが気に入らなかったのでくるりと回し、再びソファに腰を沈める。

加賀宮 悠真 >  
「知ってますか、それ仕事の押し付けって言うんですよ」

自分が仮に本島で刑事をやってたら『区分が違うからね…』とやってしまいそうだが。
風紀委員は同じ校舎で顔を合わせることもあるのだから色々ムリ。

「狂気の沙汰ほどバリおもろいやつじゃないですか」
「一番多いのって春先の検挙らしいですがねぇ」

缶が置かれた。缶のロゴが自分を向いた。
ちょっと面白い。

「神が与えられた命を速度超過の高速道路レーシングに費やすとは」
「男の世界とは冒涜的ですね」

リリアナ >  
「何を言う、適材適所だよ」

扇子を閉じたり開いたりしながら知らん顔。


「人の心とかないのだろうかね。
 いちいち命とリスクを掛けんでも、VRでいくらでも出来るだろうに」

ゲームでは満たされない気持ちはわからんでもないが、だからと言って校則違反をしていい理由にはならない。
そうでなくてもちゃんとしたレースとかもたまにやってたりするらしいし、そっちでやればいいのに。

「貴様も男だろうに。
 まぁ隊員がそういう世界に生きて居られても困るが」

加賀宮 悠真 >  
「神は高慢な者を退け、謙遜な者に恵みをお与えになる」

とはいえ特別攻撃課の小隊長に現場で落ちてた硬貨に関わる細々とした仕事をされても
逆に困る人がいるのではないだろうか。
これは高慢とはまた違う話だ。

「人の心が危険を求めているのではないでしょうか」
「ツバメが宙返りをするのは本能、人がドリフトに血道を上げるのは思想」

缶を開封して一口。
うん、炭酸だ。

「正しい人は正しさに倒れ」
「悪しき人は悪しきに倒れる……」

正直、三学期末テスト対策もこの書類や聖句のように真剣に覚えたほうがいいのだろう。
でも正しすぎる人は滅びるって神が言ってるし。

リリアナ >
「そういう仕事に慣れていない我々より、慣れているものに任せた方が間違いはないじゃないか。
 餅は餅屋と言うじゃないか」

まるっと詭弁である。
面倒な書類仕事をやりたくないだけ。

「……うん。
 もうちょっとまともな思想でいて欲しいものだね」

唐揚げには必ずマヨネーズを付けるとか、ラーメンは醤油に限るとか、そういう。
人に迷惑をかける思想はやめて欲しい。
ぱちん、と扇子を閉じる。

「正しさに倒れてもらっては困るよ。
 正しい道を歩き続けなさい」

ソファの背もたれに思い切りもたれかかり、上下さかさまに彼を見る。
おでこがきらりと光った。

加賀宮 悠真 >  
「俺たちって餅屋じゃなかったんです……?」

しかし怠け者には怠け者の罪業がある。
後で空調が効いた部屋で冷たい炭酸飲料を飲んだ罪を贖うために
巡回警邏はしてみよう。

「多分まともじゃないって思ってるのは俺たちの思想で」
「彼らはまともじゃないけど最高だって思っていますよ」

「男の世界は時代の流れと共に周囲の理解が遠くなっていくものです」

書類を積み直して査読も4周目に入る。
また悪徳不動産業者の悪事が書面で始まった。

「正しい道を歩み続け、常世を卒業後に企業に就職」
「無遅刻無欠勤で勤め上げ妻子及び孫たちに囲まれて大往生?」

一国の王になるより難しい。
人間、どこまで正しければ風紀を律していられるのだろう。

リリアナ >  
「我々は風紀委員だよ。
 餅が欲しければ学生通りにいくといい。
 うまい安倍川餅を食わせる店があるんだ」

いつの間にか餅の話になっている。

「結局まともじゃないじゃないか。
 まともなのは私だけか」

多分自分もあんまりまともじゃない。
と言うかまともな人間なんていないのかもしれない。
まともってなんだ?

「それは随分と正しい人生だなぁ。
 その正しさを全う出来るのは、一部の限られた人間だけだろうよ」

さかさまの頭を元に戻し、ソファから立ち上がって彼の席に近付く。
横合いから書類を覗き見て、

「さっきから何度もそれを読んでいるが、そんなに面白いのかい?」

加賀宮 悠真 >  
「安倍川餅……黒蜜があれば尚良い」
「そこに番茶もあれば三位一体、神もお喜びになられます」

そういえば正月にきな粉で餅を食べなかったな。
学生通りか。覚えておこう。

「まともって言葉にはパラドックスがあるんですよ」
「まともな人は少なすぎてマイノリティ極まり相対的にまともじゃないっていう」

ペンを握って調書に私見を書き込む。
誰に見せるわけでもないのだけれど。

「面白いかどうかで言ったら最悪ですが」
「常世島に来たばかりの学生がマンションに入居」

「立地良し、騒音なし、陽あたり良好でコンビニとバス停が近い」
「ですが……少々、汚くて趣味の悪いカーテンが目立つくらいですか」

「そんな物件に4月の入居者が近隣トラブルに見舞われる」
「早々に引っ越しを決意するも敷金が戻ってこない」

「不動産屋曰く、汚いカーテンが捨てられていて現状復帰が不可能である…」

無論、これは民事ではない。
悪意が介在し実際に風紀が操作した“事件”だ。

リリアナ >  
「黒蜜のない安倍川餅は、ピザを食べるのにコーラがないみたいなものだからな。
 番茶は、まぁ少なくとも茶は出てくるだろう」

自分が行った時はほうじ茶だった気がするが、まぁいいだろう。

「誰か一人がまともなら、それ以外は全てまともではないからな。
 ふむ、どれどれ」

つまりみんな違ってみんないいということだ。
机に腰かけ、メモの書きこまれた調書を覗き込む。

「部屋の設備としてカーテンを付けておく。
 入居者はそのカーテンをキレイなものに買い替える。
 当然汚いカーテンは用済みなので捨ててしまう。
 そうすると、退去時に元のカーテンがないので原状復帰が出来ない。
 かくして敷金は業者の元に――よくある手口だな」

実際原状復帰と言うのはそういうものなのだが、それを逆手に取ったやつだ。

加賀宮 悠真 >  
「そういうことです、それだけなら立件は難しいんですが」

隣の小隊長にペンで該当箇所を指して見せる。

「入居者Aの隣人と不動産業者が組んでいて」
「前々々入居者まで同じ手で追い出していた」

「というわけで摘発、お縄で学生裁判行き」

「まー……4ヶ月の補習もしくは罰金刑って感じでしょうね」

書類を下ろす。
炭酸を飲んで缶を下ろす。
コツ、と静かで硬質な音が部屋に響いた。

「こいつは欲をかいて同じ手を使い回さなければ立件は難しかった」
「被害者は泣き寝入りってわけです」

「ですが……それでは神の恩寵と祝福はどうなります」

まとも。正義。風紀。正しさ。
全部、茶番だ。

「夢の向こう岸に行くまで、俺は正しくありたいんですよ」

リリアナ >  
「馬鹿なやつだな。
 もう少し賢く立ち回れば、小遣い稼ぎぐらいにはなったろうに」

四回も連続して同じ手口を使えば、流石に風紀も見逃せない。
だからこそ取っ捕まったわけだが。

「宗教屋の貴様には悪いが――被害者とやらも迂闊だったのだろうとは思うよ。
 原状復帰についてもう少し詳しければ、そういう被害に遭うこともなかったろう。
 そもそもの話、最初の入居者が然るべきところに相談しておけば、のちの三人が被害に遭うこともなかったかもしれん」

糸で自分の缶を引き寄せ、残り半分を一気に飲み干す。

「正しさが守ってくれるのは自尊心だけだ。
 それ以外を守るには、力や知識、その他さまざまなものが必要と言うことだな」

ぽい、と缶を放れば、部屋の隅のゴミ箱に吸い込まれるように入る。

「とは言えその正しさは風紀委員としては満点だと思うよ。
 そういうお仕事だからな」

加賀宮 悠真 >  
「それでは賢いことが善良であることより上位に来てしまいます」

善良なる者を庇う。
悪行成す者を挫く。
平穏と静寂を守る。

──風紀を正す。

「疑うことを知らないことは愚かですが善良ですよ」
「ならば疑う技術と知識を持った法の守護者が」

「代行者となるまで」

と言ってからシケた顔で空き缶を潰して。

「ということをヒマな間、ニチャニチャ考えています」

潰した缶をゴミ箱に入れる。
空虚な音がした。

「では、自分は異邦人街らへんを“疑って”きます」

とコートを着てドアに向かう。

「加賀宮悠真委員、警邏に向かいます」

そう残し、去っていった。

リリアナ >  
「昔のアニメでも言っていただろう。
 想いだけでも、とな」

名作ロボットアニメの名言である。

Schöner Schuss(ナイスシュート)
 知識と正しさと、ついでに力の代行者だな。
 いいんじゃないか、私の方向性とも合致している」

ぱちぱちと手を叩いて、彼のシュートを称える。
立ち上がる彼を見やり、

「おっと、そうなると私が暇になってしまうぞ。
 付いていきたいところだが、ここを空けるわけにはいかんからなぁ。
 気を付けろよ」

そういって彼を見送り、しばらく彼が見ていた調書をぱらりぱらりとめくるが、

「――だぁー。
 退屈だぁー」

やがてソファでぐうたらし始めましたとさ。

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 アウルム小隊執務室」から加賀宮 悠真さんが去りました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 アウルム小隊執務室」からリリアナさんが去りました。