2026/02/19 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」にサロゥさんが現れました。
■サロゥ > 風紀委員会本庁の一角にある面談室。
控えめに着崩した少女と、その向かいに座る風紀委員。
穏やかな微笑みを浮かべる少女に対して、委員の表情は険しい。
眉間に皺を寄せ、手元の資料と目の前の少女を交互に見つめる。
次第に額に汗が浮かび、口元が歪んでいく。
唇を噛み、資料を持つ手を震わせながら少女を強く睨みつけて叫ぶ。
何がしたい。何のつもりだ。
金切り声と形容される類の絶叫。
その手に持った資料をテーブルに叩き付け、椅子を倒す勢いで立ち上がった委員に、少女が答える。
「何がしたいと言われましても……」
少女は肩をすくめ、困り顔を見せる。
両腕をL字に、片手を顎に当てて首を傾げた。
■サロゥ > しばしの間を置き、少女が口を開き何か言おうとすれば
再度委員が叫ぶ。
ならどうして人間の姿へ変わっていく。
どうして人間の振る舞いを模倣する。
半ば聞き取れないほどに荒ぶった声。
辛うじて聞き取れた絶叫は、少女の行いの意味を問うもの。
「どうか落ち着いてくださいよ」
少女の様子に変化はない。
狂える委員の振る舞いに対して怖気づくでも身構えるでもない。
組んだ腕を崩し膝の上に置く。
そんな少女の振る舞いが余程癪に障ったのか。
委員はテーブルの上で散らばった資料を再度強く叩きつけ、叫ぶ。
お前は何者だ。人間じゃないくせに。
叩きつけられて皺のついた資料に記載されているのは
様々な角度から撮影された少女の写真。
ただ、その写真と少女を見比べるとあまりの違いが目に付くだろう。
■サロゥ > 差異は様々。
むしろ、違う部分を探す方が難しいだろう。
人としての大まかな形状は同じ。
しかし、顔付も色彩も表情も違う。
体型、関節、肌、等身。
写真の少女を少し出来のいいマネキンとすれば、
今ここにいる少女は何の違和感もない人間そのもの。
それ程までの差異があった。
「その資料に記載されている通り、人間じゃないです」
「ご存じの筈ですよね」
少女はこてんと首を傾げ、不思議そうに目尻を落す。
その振る舞いに、委員がその腕を振り上げたその時。
別の委員が二人、面談室に入って来た。
半ば押し入るように入室した二人は監視員の委員を取り押さえ、室外へと連れ出す。
著しい抵抗を見せる監視員は言葉にならない罵倒を振りまきながら、退室する。
その後方、別の委員らが何かを話している。
こんなに情緒おかしいやつだっけ?
昨日普通に飯食いに行ったぞ。
怪訝そうな面持ちで、室内にふと視線を向ける。
そのほぼ同時、監視員を連れ出した一人が部屋に戻って告げる。
少々お待ちを。
少女を睨みつける様子は威圧的なもの。
鋭い眼光を伴う言葉を残し、扉を閉めた。
■サロゥ > 部屋に一人取り残された少女。
ふと天井を眺め、首を左右に揺らし始める。
天井の皺でも数えているのか、じっと天井を見つめながらぽつりぽつりと言葉を零す。
およそ意味のない呟き。
関係性の不明な数字や、どこかで聞いたようなフレーズの鼻歌。
何か思いついたような呟きや、それを否定する唸り。
そんな時間をしばし過ごした後、面談室の扉が開き一人の委員が入って来る。
先程監視員を連れ出したもう一人は、社交的な笑みを浮かべて告げる。
今日はもう帰っても良いですよ。
また後日お呼びします。
それだけ告げ、ハンドサインで退出を促す。
有無を言わさぬ伝達に、少女は笑顔で答える。
「分かりました。ご迷惑をおかけしてすみません。
またよろしくおねがいします」
頭を垂れて謝罪と感謝を伝えれば、そのまま退出。
出口へ向けて歩きだす。
そのまま進めば、本庁のロビー。
途中で分岐もない一本道を、自然な姿勢で歩いていく。
■サロゥ > 少女が去った面談室。
その付近の会議室で、監視員を含めた五名が言葉を交わす。
どうしてあれ程感情的になったのか分からない。
魔力の類は検知されていない。
何かを行使する素振りもなかった。
もう人間と変わらない。
ただの人間と言われても簡単に信じられる。
何を考えているかさっぱり分からない。
監視装置の位置情報が正しいかどうかも分からない。
そろそろ監視を強める時期だ。
倫理観の異なる世界から来ている可能性もある。
もう少し早く判断するべきだった。
甲種不明犯の対応に追われている今では
しかし、手遅れになる前に……
―――
「もダメそう」
少女が立ち止まり無機質な声を零す。
直後、咄嗟に口元に手を当てた。
そのままの姿勢で周囲を軽く見渡し、しばし目を閉じる。
数秒の後、目を明けた少女が再び歩き出す。
そのままロビーを通り過ぎ、本庁の外、学生街へと向かう。
―――
後日、少女は風紀委員会の呼び出しには応えなかった。
そしてそのまま、消息を絶った。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」からサロゥさんが去りました。