2024/07/28 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 バー「御諸山」」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
歓楽街健全化運動────と名前は仰々しいが、とどのつまりは補導強化期間の様なものである。
そもそも『今月から歓楽街健全化の為に対策を強化します!』と公式にアピールしておいて『分かりましたどうぞ手入れにお越しください』などと言う殊勝を通り越して奇抜な違反部活など有りはしないだろう。

だからといって、手を抜いて良いという訳でも無い。
毎年恒例の行事であるが故に、準備するべき装備や資料。その為の会議。その為の人員配置。その為の、その為の、その為の…。
まあつまるところ。デスクワークが増えたのだ。

「………疲れた。此処では酒は出してくれないからな…」

当然である。未成年の風紀委員に酒が出る筈が無い。
しかして、煙草も酒も嗜んだ事のある風紀委員にあるまじき金持ちのボンボンたる少年はノンアルコールのカクテルに些か物足りなさげな表情。
とはいえ今更酒の為だけに家に帰る、というのも面倒。今日は此の侭仮眠室に泊まっていくつもりなのだし。
なので、比較的奥の方のテーブル席にて一人。大人しく風紀と規律を守り、甘ったるいだけで酔えない酒モドキとつまみで、気分だけでも酔えないものかと悪戦苦闘している最中であるのだが。

神代理央 >  
「大体、私は何方かと言えば……」

勿論、風紀委員会の恒例行事たる健全化運動が大事な事は理解している。しかし個人的には────

「…慰霊祭、か」

此れ迄何人殺してきたか。何人の部下が死んだか。
今更数えるのも馬鹿馬鹿しい事だし、それを間違っていた、とは思わない。必要な事を必要な時に、己の力を振るい続けて来たのだから。
今は率先して前線に立つ機会も減った…とはいえ。
それでも、血と硝煙の匂いは今でも纏わりつく。

「…今更手を合わせたところで、何がどうなるという訳でもあるまいが」

懺悔の気持ちがある訳でも無い。悔恨の気持ちがある訳でもない。
そんな自分に手を合わせられても迷惑なだけだろう、とは思う。
恨んで枕元に立たれても文句は言えない。
だから、と言う訳でも無いのだが…。

「…………いや、それも自己満足か」

からん、と。
グラスの中で酒精ですらない液体に浮かぶ氷が揺れて、音を立てる。

神代理央 >  
「…いや、先ずは目の前の仕事を片付けなければならん、か」

丁度目の前の酒モドキもつまみも無くなったところだ。
次のものを頼むよりも、寝る前に少しでも事務処理を片付けてしまった方が良い。

「……明日も暑いのだろうな」

小さく溜息。
まだ夏は始まったばかりだ────よくもわるくも。

ご案内:「委員会総合庁舎 バー「御諸山」」から神代理央さんが去りました。