2024/10/06 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
カタン、と音がして自販機から缶が吐き出される。
取り出したのは甘ったるいホットココア。そろそろ自販機のラインナップにも温かな飲み物が追加される季節になった。

「……取り敢えず、催促には答えてやったつもりだが…」

任務を終えてシャワーを浴び終えて。
慰安旅行で人気の無い喫煙室で咥える舶来品の煙草。
シャワーの後は緩い服を着たかったが、生憎執務室に備えていたのは制服ばかりだった。

「……もう少し甘くても良いんだが」

流石に庁舎にパジャマを持ち込む訳にはいかないしなー、とか考えつつ。甘ったるいココアで喉を潤す。
もう少し、砂糖が多くても良いんだけどな。

神代理央 >  
部下達は楽しくやっているだろうか。
第二陣の出発は…何時だったかな。
スケジュールを忘れるとは、旅行で気が抜けすぎたかな。

なんて、ぼんやり考えながら紫煙を燻らせる。
久し振りの前線は、高揚はするが少し疲れた。

「…いや、戦闘を行って疲れた、というのはやはり身体が鈍っているのではないか…?」

元からもやしだろう、と突っ込む者は此処にはいないし、突っ込みされる立場でも無い。
少年の中では、昔はもう少し体力があった事に過去改変された。
因みに別に何も変わってはいない。

神代理央 >  
落第街で過度な破壊を齎す事を望んでいる訳では無い。
極論、不法に島に住み着いているだけならまあ…私の管轄では無い。
風紀と公安それぞれで、そう言った部署が保護なり退去なりを促せば良いだけなのだし。

「…まあ、それが叶わぬから武力に頼る訳だが」

恒久平和。犯罪の無い世界。
そんなものが夢物語である事は理解している。
そして、その夢物語を現実にしようと理想に燃える様な人間では無い事も、理解している。

我ながら可愛げのない子供だ、と思いはするのだが。
これは生来の性格だ。今更変えようも無い。

ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」に青霧 在さんが現れました。
青霧 在 > 「もうこんな時間か」

朝から制圧作戦で出撃し、後処理や別業務を済ませる。
そうしている間に陽は落ちており、このまま総合庁舎で夜を明かすのも選択肢に入り始めていた。
数時間水分をとっていなかった事を思い出し、休憩室の自販機で水を買いに行く。
自販機はいい、いつでも安全に美味しい水が飲める。

そうして買った水を持って寛げるソファへと向かっている時に、喫煙室で一服する神代を見つける。
未成年の喫煙は青霧にとっては好ましくはないが、誰かに迷惑をかけている訳でもない。
それよりも気になったのは、ここに居ない筈の神代がここにいる事だ。

「慰安旅行に行っていると思っていたが」

喫煙室の方へと近づき、ドアのガラスを軽くノックする。
そうしたのは少しばかりの関心があったから。
風紀委員として見知った顔である神代と言葉を交わしたかった。

神代理央 >  
ちら、と視線を向けて…声の主が上級生である事を認識すれば一先ず残り半分程の煙草は灰皿の中へと捻じ込んだ。
今更誤魔化すつもりも無いが、流石に堂々と吸い続ける訳にもいかないのだし。

「お疲れ様です。いえ、まあ…呼び出しがあったもので先に戻って来ました。部下…後輩達は残して来ましたから、シフトを組み替える必要は無いかと」

ノックに応えて此方から扉を開けながら、先ずは丁寧に接する。
基本的に尊大な態度を取る事が多いが…流石に喫煙所で話しかけられた事もあって、一応猫を被る。

「先輩こそ…慰安旅行は次の班で向かわれるのですか?明日には最初の班は戻って来るかと思いますが」

其の儘話は彼に合わせて慰安旅行へ。
自分は戻ってきた口だが、彼もそうだっただろうか、と。
何せ慰安旅行も途中参加かつ途中離脱組だ。少しばかり状況が把握出来ていない、という理由もある。

青霧 在 > 「同期だろう。もっと楽にしてくれていい。喫煙も何も言うつもりはない」

学年こそ一つ違うが、風紀委員としての歴は同じ筈。
それに、特別肩書もない青霧に対して神代は一つの部署の頭だった筈だ。敬語を使うべきは青霧かもしれない。

「それにしてもそうか。それは災難だったな」
「せっかくの休暇ぐらいは催促の連絡なんて気が休まらない真似はよしてほしいものだ」

青霧も神代と同じく、指示があれば従うタイプ。
休暇中でも指示があれば出勤してしまう社畜体質とでもいうのだろうか。
青霧はそこまで極まっていないが、五十歩百歩だ。

「俺は行かない予定だ。行った方がいいんだろうが…肌に合わないからな」

交流は事足りている。
個人的にも、組織の人間としても。
各所に頻繁に顔を出す青霧が慰安旅行に行かずとも、心配こそされど不満を呟く者はいないだろう。

神代理央 >  
「…なら、遠慮なく。と言っても私が肩の力を抜けば、口が悪くなるだけだと思うがな?」

あっさりと猫を被るのを止めた。
尊大、偉そう。上級生相手にもこの口調。
しかし楽にしてくれていい…更に喫煙まで見逃されたのだから、もう怖いものなど無い。
…見逃された恩義?それは後で返すとも。

「まあ慣れているさ。それに…皆で和気藹々としているところに、私の様な仕事人間が混ざってもな。堅苦しいばかりだろう?」

小さく肩を竦める。彼と同じく、ワーカーホリック気味な少年は災難、という言葉には苦笑いと共に言葉を続ける。

「ふむ?君との交流を喜ぶ者も多いとは思うが…まあ、強制はすまい。私もつい今しがた、自分が言ってもという話をしたばかりだしな」

実績の多い彼との交流や過去の話を聞きたがる者は多いだろう。
何なら、風紀委員会以外の人間も、だ。
そんなに謙遜する事は無いのに…と言いたげな表情で、君を見上げる事になる。既に先輩を「君」呼ばわりしながら。

青霧 在 > 「別に構わない。俺だってそれをとやかく言えるような奴じゃないからな」

神代理央、《鉄火の支配者》。その人柄については頻繁に耳にする。
最近ではその数も減ったが、それでも残り香のようなものは未だ香っている。
この程度の態度の変化にも眉1つ動かさないで応じる。
そもそも、何度も直接見かけている事もあるのだが。

「俺が望まないだけだ。仕事の合間の雑談程度なら構わないが、丸一日も大勢に囲まれて根掘り葉掘り聞かれると思うとたまったものではないな」

青霧は過去を話そうとしない。
身の上話もしない。したくない。
だから、そういった事を問われる場は避けている。

「それに神代と話したかった者も居ただろう。仕事ではない交流は出来たか?」
「部下と仕事以外の話は出来たか?」

神代理央 >  
「あぁ…成程。確かに息抜きも出来ぬ程に人に囲まれるのは多少気疲れもするだろうな」

再び苦笑い。と言っても少年の方は実はそう言う…まあ言うなれば、関係性の薄い大勢と話す、社交染みた場面は慣れている。
だからこそ、そういう場ではない慰安旅行は…彼とは別の意味で、ちょっと距離を置いてしまうのだが。

「私も途中参加組だったからな。まあ…少しは。風紀委員に興味を持ってくれた少女と話をしたくらい。後は仕事の話ばかりさ。
部下とは…逆に距離を取った。口煩い上司がいない方が、羽を伸ばせるというものじゃないか?」

これは結構真面目な意見。あまり交流が出来なかったのは自責なので言い訳の使用も無いが、部下に対しては…偶には上司の顔を見ずに、のんびりして欲しいという思いもある。

「だから戻ったのも私だけだ。部下達は明日迄のんびりしている筈さ」

青霧 在 > 「そうか。部下想いだな」

神代なりの部下への配慮。彼の部下が彼をどう思っているかは知らないが、彼が正解だと思うのならきっとそうなのだろう。
青霧も休暇にまで上司と話したいかと言われると首を縦に振りづらい。余程趣味が合うのであれば話は別だが、青霧にそういった趣味はない。
こうして1人で現場へと戻ってきている辺りも部下への配慮が見て取れる。
神代の部下は幸福かもしれない。

「それにしても、休暇中にまで勧誘を欠かさないとはな。神代は風紀委員の鑑だな」

嫌味でもなく、むしろ感謝のニュアンスを含む言葉。
各所に引っ張りだこの青霧からしてみれば人手が増える事は喜ばしいことこの上ない。
仕事が好きでやっている訳でもないのだ。

神代理央 >  
「下の者と接するのが苦手なだけさ。他の者はきちんと部下や後輩とコミュニケーションが取れているだろう?私はご覧の通り…尊大に振舞う事ばかりだからな」

ふるふる、と小さく首を振る。褒めて貰えるのは有難いが、自分としてはまだまだ未熟だと感じるばかりだから。
と、そこで。15㎝差の身長を若干恨めしく想い乍ら、呆れた様な紅の瞳が君を見上げる。

「と、言うより。君は私を褒め過ぎだ。私から見れば、書類の実績だけでも君は私より風紀委員会に在るべき人材だ。
他者を褒める事そのものは素晴らしい事だと思うし、君に評価される事は嬉しく思う。年下の私に気を遣っているところもあるのだろう。だが」

ぴ、と人差し指を突き付ける。
人を指差してはいけない、という礼儀作法は傲岸不遜な少年には今は適用されない。

「私は基本的には違反部活に対して苛烈な主義主張を繰り返す派閥の委員だ。風紀委員会に本来必要無い筈の政治的なスタンスを過剰に抱えた委員だ。学生主体の此の学園では、政治ごっこかも知れぬが」

そこで一度言葉を止めて、小さく溜息。

「であれば、君はもっと私に厳しい意見や言葉を向けて良い。
私は異能や魔術に置いても、大規模な破壊しか行えない。特別攻撃課ではなく、独自に部署を抱えているのも異能と思想と政治的なスタンス故な。だから、まあ……」

突き付けた人差し指が、引っ込む。

「……あまり褒めるな」

散々言っておいて、これ。
要は照れ臭いらしい。

青霧 在 > 「主張がはっきりしているだけ良いと思うがな」
「使い分けが出来ているのなら咎められる事もないだろう」

こちらを見上げる神代の瞳と向かい合う青霧の瞳は夜の海面のように暗い。
陰鬱であり、決して人を褒める時の目つきではない

「?」

人差し指を向ける神代に小さく首を傾げる。
言葉の意味は理解できているが、それが自分に向いている理由が分からない。

「褒めているつもりはなかったのだがな…」

青霧はここまで、神代を褒めているつもりは一切なかった。
評価はしているが、後輩への気遣い含めそんなつもりで言っていない。

「確かに俺は神代を評価している。実績も、行動も、立ち振る舞いも」
「だが…そうか、今のは褒めていたのか。すまない」

申し訳なさそうに後頭部を掻き、視線を逸らす。
悪い事はしていない筈だが、その表情は少しばかし暗い。

「とはいえだ。学生主体だからこそ、お前のような政治的観点を持った学生は貴重だと、俺は思うがな…」
「確かに厳しい意見もすこしはあるが、俺が言わなくても他の奴らが言うだろう」
「それに、俺も頑張っている神代をあまり悪く言いたくはない」

外部へ恥を晒している訳でも、誰かに迷惑をかけている訳でもないのだ。
学生主体のこの都市で規則に則り正しい方法で変革を追うその姿は青霧にとっては、眩しさすら感じるもの。
口述した理由に加え、頑張る者を批難しようなどとは思えなかった。

神代理央 >  
「…………」

彼の瞳と、その言葉に。
僅かに瞳を細めて、その表情を見据える少年。
褒めているつもりがない、と言うのはまあ…良いとして。
どうして彼は、其処まで仄暗い瞳で自分を見つめるのか。

「謝る必要は無い。寧ろ謝るべきは、褒められている訳でも無いのに舞い上がった私の方だろう。評価されているのは、素直に嬉しく思うが…」

訥々と紡ぐ言葉。表情の色も暗くなる彼を気遣う様子は無い。
じっと君を見つめるだけ。真直ぐに。

「とはいえ、何故其処まで君が思いつめる様な表情を浮かべているのかは、是非聞きたいところだ。
評価してくれるのは嬉しい。悪く言わないでいてくれようとするのも、嬉しく思う。しかし、だ」

懐から煙草を取り出そうとして…流石に止めた。
代わりに、温くなったホットココアで喉を潤す。

「私を悪く思っていないのなら、その様に浮かない表情を浮かべられるのは逆に気になるものだろう?悩みがある、と言うのなら素直に話してくれてもいいし、話しにくいのなら…まあ、良い」

空になった缶を、ぷらぷらと揺らしながら。

「どうせ私に話したところで、私から君の悩みを解決する方法は恐らく提示出来ない。金なら出せるがね」

なんて、少しだけ笑ってみせるのだろうか。

青霧 在 > 「これは、そういうものだと思ってくれればいい。剝がれないんだ」

目の下に手を添えて当たり前の事のように零す。
青霧にとっては長い付き合いの瞳だ。
今更どうにかしようとは思わないし、これでもまだマシな方だ。
今日の任務で遭遇した監視対象に向けた瞳は…流石に反省するべきだろう。

「あいにく金でどうにかなるようなものでもなくてな」
「気持ちだけはありがたく受け取っておく」

社交辞令だろうが、しっかりと断る。
空になった缶を見て、握ったままのペットボトルを思い出した。
いつの間にかペットボトルは結露で濡れ、温度も温くなっていた。

「心配をかけてすまない。なるべくマシになるように努力するが…あまり期待はしないでくれ」

影と肉体が一体であるように、その魂にこびりついた過去は剥がれ落ちる事は無い。
故に、その瞳に宿る闇は晴れる事は無い。

神代理央 >  
「……別に、心配している訳では無い」

いやまあ、心配しているが。心配している、と言っても彼は喜ばないだろうし、逆に気を遣わせてしまいそうだ。
何より、彼とはそう高い頻度で言葉を交わす訳では無い。彼の過去や性格にずけずけと物を言うのは失礼だろう、とも思う。
しかし────何も言わないのは、自分を評価してくれた彼に対して失礼だろう。

「剝がれないものを、無理に剥す必要もあるまい。勿論、お前が変えたいと思っているのなら話は別だが…何方にせよ、人の在り方というものは急には変えられまい」

彼の瞳に宿る闇。それを晴らすのはきっと、私の役目ではないのだろう。

「だから期待もしない。良いか、自分が変わる事を期待されるのは辛いものなんだ。テストの点数や成績の様に、直ぐ変わるものでも無い。期待されて、期待に応えられぬ時に苦しむのはお前だろう。だから、私は期待しない」

「何なら、私が気にしただけだ。お前のその在り方を良し、とする者もいるだろう。こうして偉そうにお前に説教を垂れる後輩の言う事など、気にする事は無い」

「無理に変われ、とは言わん。私は別に、今のお前も嫌いではないからな」

一気にまくし立てた。何ならお前呼ばわりした。とても失礼。
ふう、と少しだけ乱れた息を整え、言いたい事だけずけずけと言った少年は、其処で一息ついた。

青霧 在 > 「そうだな…期待しないでいてくれ」
「自分を変えたいと思わんでもないが、俺にはその方法がさっぱりわからん」
「意外と時間の経過が忘れさせてくれるかもしれん。ゆっくり探そうと思っている」

こういった必要以上に踏み込まず、分かったフリをする訳でもない態度は青霧にとって好ましい。
下手に踏み込んで知った口を利かれるのとは比較にならない。
出口のない闇を彷徨う青霧にかかる、在るかもわからない呵責を一つ取り除いてくれるだけでありがたい事この上ない。

「とはいえ、あれほど荒れていた神代も丸くなったんだ」
「俺もあまり深く考えずにのんびりゆくとしよう」

肩を竦めて目を閉じた。
再び開くと、僅かばかし瞳の闇が薄まっていた。
本当に、極僅かだが。

神代理央 >  
「…荒れていた、は余計だ。否定はしないが」

と、顰め面。だがまあ、別に言葉に否定や拒絶の色は全く浮かんでいない。

「方法が分からなければ、人に聞くのも手さ。此の学園には、そういう事に詳しい者もごろごろいる…と言うのは今更か。お前はそこそこ顔も広いだろうしな」

くすり、と笑みを浮かべる。それはまあ、場の空気を変える為のものでもあるし、何より────

「しかしまあ、丸い丸くないで言えばお前も余程だぞ。此処までずけずけ言われているのだから、少しは怒ったらどうだ?全く…」

彼の瞳の闇が僅かでも、ほんの僅かでも薄まったのが見てとれたから。
まあ、これ以上は…少なくとも今は自分のやるべき事では無いし、やれないだろう。彼ともっと交流を深めて、彼の事を知って。
彼が探そうとしている『方法』の一つに、自分がなれれば良いな、と思うくらいだ。

「…では、私はそろそろ執務室に戻る。お前も任務明けなのだろう?しっかり休みたまえよ。何なら、私の執務室でお茶でも飲むかね?」

と、冗談めかして笑った少年は空になった缶を放り投げて君の真横を通り過ぎていく。
勿論執務室に君が来る事も歓迎するし、まあそうでなくてもゆっくり休んでくれるなら…それはそれで良い。
君が少しでも、身体も心も安らかになってくれれば、それで良いのだから。

青霧 在 > 「すまない」

余計な一言を詫びる。軽い言葉選びだが、謝罪の意志はあるようだ。

「あまり人に話したい物でもないが…頭の片隅に置いておこう」

気軽に話せるものではない。青霧の過去は、これまで築いてきた信頼を失墜させる可能性だってある事なのだから。
信頼出来る相手でなければ話せるものではない。

「何も間違った事は言っていないだろう。むしろ感謝しているぐらいだ」
「適切な距離感を保ってくれるのは知った口を利かれるのとは比較にならない。おかげで少し気が楽になった」

この程度では苛立ちすら覚えない。感じられない。
青霧の経験がそうさせる。歪んだ認知が齎す価値観は神代の言葉に感謝すら覚えるらしい。

「気遣い感謝する」
「そうだな…今日は気持ちだけとしておこう。神代も引き摺りだされた分、ゆっくり休んでくれ」

これから執務かもしれないが。
休めるなら、是非とも休んでほしいものだ。

青霧は翌日も出撃要請を受け取っている。
どうせ昼前にはここに戻るのだと、仮眠室へと向かった。

ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」から青霧 在さんが去りました。
ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > 休憩室――その一角で、一つの細長い包みを手にジッとそれを眺めている黒ずくめに隻眼の男が一人。

――少なからずの”転機”となった慰安旅行を終えた後、その足である『物』を受け取ってきた。
人気が無い時間帯休憩室で、その包みを静かに解く目付きは何とも言えない光を湛えており。

「―――…相変わらず、腕だけは流石だな【炉神】の奴はよ…。」

解かれた包みの中身は、やや反りが浅く何処か機械的でありながら和の要素も保った一振りの刀だ。
特に目を惹くのが、鍔元…揺らめく炎のような赤いシルエットをしており、柄巻きらしき物も同じく赤い。

――見る者が見れば、それがかつてある女性が扱っていたとある【魔銃】の名残を残している事に気付くだろう。

…それもその筈。何せコレは知り合いに頼んで彼の魔銃の片割れ…その残骸を【再加工】した物だから。
よくよく見れば、刀身も薄っすらと緋色かオレンジ掛かっており不思議な光沢を放っている。

そして、その刀身の根本部分にはこう刻まれている――…

追影切人 > ―――【残 照 輝 哭】―――
追影切人 > 『夏の”輝”き――その慟”哭”。そして”残照”の如く残る名残り――それがこの刀です』

コレを仕上げた女からのメッセージだ。…無駄に意味を込めやがってあのアマ、と顔を顰めつつ。
まぁ、名前をぼんやり考えたのはこの男自身なのだが

「……元があの魔銃とは思えねぇな…意匠に面影はあるが…つか、流体金属やら魔導技術がどうのって話だがよ。」

俺にコレ扱えんのか?という問題がある。多機能すぎても馬鹿には無理なんだが。
と、繁々と刀を休憩室の照明で透かすように翳して眺める。

追影切人 > (…確か、魔導技術が込みの流体金属だから音声認識で変形もするんだっけか?)

説明だと5,6種類くらいの変形パターンがあるらしい…おい、大丈夫かコレ。
大丈夫かっていうのは、主にこちらの事だが。馬鹿に多機能は無理って言っただろうがあのアマ!

「……なんて言ってもいられねぇがな。」

――廬山の奴に発破を掛けられた。

(”周囲と目線を合わせて”馬鹿をやれ)

――【鞘】として凛霞を定めた。

(もう、無情に無差別に周囲を斬り殺す【凶刃】ではない)

――【逃亡者】…いんや、あのバカ夏輝の銃の片割れを継いだ。

(形は違えど、その思いは名前に込められている)

「――【凶刃】も名ばかりの”残骸”になりそうだぜ…ったく。」

だが、それを選んだのは己自身だ。今後、感情と鞘と想いの名残を背負って。

――新たに”刃”の道を己自身で選択していかなくてはならない。

追影切人 > ――【凶刃(ダインスレイフ)】は既に折れた。故に新たな刃を鍛えていこう。
追影切人 > 「……で、実際どうやったら変形すんだこれ…?」

サッパリ分からん。音声認識とは言うが…つか、あのバカどうやって変形させてた?肝心の記憶がねぇぞ。

「…桜と斬り合いする時にはある程度把握しておきてぇんだがなぁ。」

まぁ、間に合わなかったら【七ツ胴】で普通に挑むが。
…と、いうかそろそろ打診しておくか。慰安旅行とかコレの受け取りも済んだし。

まぁ、感情を覚えたてのガキなので、斬り合い大好きな性分がいきなり丸くなる、なんて事は無いのだ。
流石に、ぼちぼち休憩室を利用する同僚とかも来る頃合だと見たか、【残照輝哭】を肩に担いで立ち上がる。

追影切人 > 「――ま、今後は”扱き使ってやる”から覚悟しとけ。」

馬鹿なダチの残したモノはきっちり背負っていく
不器用な男が出来るのはコレくらいだから――己の刃として手に携えて往く。

『…あ、追影ーー何かオマエ非番から通常シフトになってたぞ。さっさと警邏行った方が良いカモ。』

「―――ハァ!?連絡受けてねーぞ、クソが!」

休憩室を出た所で、同僚とそんな締まらないやり取りをしつつ男は文句を垂れながら歩き去ろう。

ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」から追影切人さんが去りました。