2024/12/11 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 各種委員会オフィス」に成海 鳴さんが現れました。
■成海 鳴 > 「はぁ~…」
風紀委員の報告書を書きながらため息一つ。
先日のルーフラット捕獲作戦の課題点は、成海の頭を悩ませていた。
「結局逃げられたし、アタシの異能も全然駄目…
あぁ~課題ばっかし……」
電気の異能の弱点も露見し、せっかく逮捕したルーフラットにも逃げられた。
風紀委員としては失態も失態だ。
他の先輩方のように上手くやれればと思うものの、生憎として柔軟な動きというものは成海は得意ではなく…
今回はその点を突かれた形になったのだから、凹みはするというもの。
■成海 鳴 > とはいえ凹んでばかりはいられない。
捕獲作戦が失敗した以上、犯罪者が野放しになっているのに何もしない訳にはいかないのだ。
あれから数日、ルーフラットの犯罪は確認されていないが…
大人しくしているとは思えない。
「というか、なんでいくつも異能持ってるのさ…
普通異能って一人一つじゃないの…?
あいつだけ何か特別だったりするのかなぁ」
純粋な疑問。
異能者という時点で常世島以外では珍しい存在だというのに、ルーフラットはそれをいくつも保持している。
複数の異能を持っている生徒の例がない訳ではないものの、少なくとも珍しい事例な事には間違いない。
「最近になって別の異能を使いまくってるって話だし、何か種がある気がするけど……
う~~んわからん!
このまま何個も何個も異能を覚えるみたいな事だってありえるのかなぁ、対処しきれないじゃん…」
異能を新しく覚えるのなら、今まで想定された対処法が通じなくなるということでもある。
そうなれば今より更に危険度が増していく。
より凶悪な犯罪を起こす可能性だってあるということだ。
そうなれば、自分なんかでは対処すらできなくなっていきかねない。
「アタシも異能、訓練しないとなぁ…」
ご案内:「委員会総合庁舎 各種委員会オフィス」に大神 璃士さんが現れました。
■大神 璃士 >
一方こちら、風紀委員の制服の上から黒いレザージャケットの委員。
ここ暫くは巡回などの仕事ばかりで、特に騒動などには巻き込まれていない。
風紀の者としてどうかとは思うが、割合「平穏」な時間であった。
今もちょうど巡回から戻って来たばかり。
ついでに買って来た缶入りの暖かいお茶で、デスクに戻って一服――と考えていた所で、
何やら独り言を呟きながら書類仕事についている同僚を発見。
(……確か、ルーフラットの捕獲に一時成功した委員、だったか。)
仕事中位は、情報共有の為会話位はしておくか、というのがこの男のスタンスだった。
普段は愛想がよろしくないが、それも時と場合次第である。
とりあえず、足音を立てて接近を報せつつ、
「……成海、だったか。
先日は苦労したそうだな。」
声をかけた、のはいいが、やはりどうにも愛想がない口調だ。
■成海 鳴 > 「え、あっ!大神先輩!」
ばっと立ち上がって会釈。
書類仕事は苦手じゃないとはいえ、頭を抱えることが多くてげんなりしていたから変な顔をしていたかもしれないとはっと顔を戻して。
「ああいえ、アタシは怪我とかしてないですし…!
でも、結局ルーフラット……犯罪者は取り逃がしちゃって。
アタシがもう少しきちっと捕縛しとけばあんなことにならなかったんですけど…」
例えばあの後、気を抜かずに電気ショックを続けていたら作戦終了までルーフラットを逃がさないことができたかもしれない。
捕獲能力が高い異能ということは、捕獲作戦の失敗はそのまま自分の失敗でもある。
責任感の強い成海はそういうとらえ方をする人物だった。
「確か、大神先輩もルーフラットには応戦した経験がありましたよね。
あいつすばしっこくって…逃げられた時は全然おいつけなくって」
■大神 璃士 >
「……いや、お前や他のメンバーは、充分にやった。
上の方や他の委員達も、同じ意見だろう。
ルーフラットの腕力強化の異能の出力が、こちらの想定を上回ってしまっていた。
単純に、それだけだろう。」
一度は捕獲に成功しているのだ。充分な成果を出せたと、社交辞令でもなく男は判断する。
もし問題があったなら…用意していた拘束用の器具で止められない程、ルーフラットの力が強かった事。
つまり、相手の力が風紀委員の予想を上回っていた事、としか言えない。
「……報告書が共有されていると思うが、奴は複数の異能を使ってくる。
それも、今あるだけではないだろう。
追い詰められる程、奴は「新しい力」を願って、「何者か」が、それを奴に与えていく、と考えられる。
このままだと、捕獲は難しくなる一方だろうな。」
直に目にした者としては、それが最大の懸念事項だ。
そうなればいたちごっこ…で済めばまだいい。
増えた異能次第では、一般の生徒や民間人への脅威が増えていく事になる。
薄々考えていた事だが――――
「……「首輪」の使用申請も、考えたい所だが……。」
本来は「監視対象」の異能の抑制の為に制作された装置。
それを使えば、現在分かっている異能だけでも抑え込めるかも知れない。
そうなれば、捕獲の難易度は少しでも下がるだろうが……
「――上がそれを許してくれるか、だな。」
そう、それを簡単に許可されるか。
恐らく通らないだろうな、と、男はアタリをつけていた。
■成海 鳴 > 「新しい力…
そんなこと、可能なんですか?」
異能をそう簡単に手に入れられるはずがないというのが成海の考えだった。
何故ならそんなことができているなら、今頃世界中は異能者だらけになっている筈だ。
そうなってないということは、異能を得られる方法があるとしてもそれは特別な方法を取る必要がある…と考えるのが普通で。
「首輪…噂には聞いたことあります。
監視対象に使う異能を封じ込めるためのものですよね?
確かに使わないとどうしようもないって事にもなりかねないし……でも許可が下りないんですか?」
一般風紀委員としては、そんな便利なものがあるなら是非とも使いたいものだけど…
きっと使えない理由があるのだろう。
例えば、個人個人で調整が必要だとか、そういった。
特に異能なんて不確かなもの、そう簡単に封じ込めれるとは思えないし。
「でも、使えないなら使えないでこっちで対処しないと!
アタシももっと特訓して異能使いこなせるようにならないとダメすね……電気なんて便利な異能持ってるのに、全然うまく使いこなせなくって」
■大神 璃士 >
「「異能も個性」と考える人間程、「首輪」を使う事には嫌な顔をするだろう。
異能者の権利人権を主張する連中…飽くまで極端な例だが、
国際異能発現者連絡会議辺りから抗議の電話が押し寄せて来てもおかしくはない。」
極端な例、と注意を置いてから、それを説明。
つまり、「対外的理由」という奴である。
新しい異能について訊ねられれば、まだ共有が完全ではなかったか、と少し思案顔。
「…俺が単独で戦った時、奴は戦闘中に新たに異能を増やすような動向を見せた。
報告は出しているが…サイコキネシス系と思しい異能に、治癒・再生型の異能だ。
俺はそれで背中をナイフでやられて、与えたダメージも回復された上で逃げられた。」
自身の「異能」については伏せて置く。
もっと上の方には…「形」を変えて伝わってはいるが、あまり明かしたくないタイプの異能…
あるいは「種族的能力」だからだ。
表向き、「腕力強化」と「治癒能力向上」位しか伝わってはいないだろう。
「そうだな、無いものを求めた所で仕方がない。
お前の向上心は、悪いものじゃない。
問題があるなら……奴がこれ以上異能を増やして、その「代償」がどうなるか、だがな。
――成海、お前、「常世神」について、何処まで知ってる?」
何とかそちら絡みの資料の閲覧申請は降りたので、時折目を通してはいた所である。
……知る度に、この件が「常世神」絡みなら、大変な事だという事実ばかりが見えて来るが。
■成海 鳴 > 「ええっと…」
実際のところ、ほとんど常世神については知らない。
授業でもほとんど話に出されない、噂程度の存在、というのが成海の認識だった。
「すみません、不勉強で…
常世神っていう神様?がいるんですよね?
数か月前くらいから出てきた怪異とかそういう位しか…」
■大神 璃士 >
「概ねその認識で合ってる。
興味のない奴にしたら、その程度しか分からないものだろう。
俺だって大して知ってる訳じゃなかった。」
自身も本当に、噂に聞いたものに毛が生えた程度。
調べなければ、殆ど分からないままだった筈。
知ってしまったので、嫌な予感が拭えないのだが。
「……まあ、よくあるオカルトといえばそれまでだ。
ある神社に詣でれば、願いを叶えて貰えるという奴だと。
ただ、こいつが恐ろしいのは「本当に願いが叶う」事。
それに加えて「願いを叶える為に捧げ物を捧げ続ける必要がある」事、だそうだ。
……俺がルーフラットと戦闘に入った時、何度か追い込まれた奴は、
「常世神」に何かを求めるような発言を二度、行った。
奴が記録になかった異能を使い始めたのは、その直後からだ。」
そこで言葉を切り、少し思案。
僅かに重くなった雰囲気で、口を開く。
「――もし、奴の求めを、本当に「常世神」が聞いて、叶えているのなら、その「代償」…奴は「何を捧げている」?
その内容次第じゃ……生きたままでの捕獲は、難しくなるかも知れない。」
■成海 鳴 > 「それって――――」
生きたもままでの捕獲は難しくなるかもしれない。
代償を払い、願いを叶える。
観測されてるだけで三つか四つ異能を持つほどの代償とはいったい何だろう?考えただけで背筋が少し、凍える。
「い、いくら犯罪者だって言っても死んでいい訳じゃないですよ!
そんな……それじゃあ、このままいったらルーフラットは…」
代償を払い続け、そして。
その先は口にはできなかった。しかし想像だけははっきりとしてしまった。
常世神に全てを捧げたものの、その末路を。
「それじゃあ、なおさら早く捕まえないと…!
こんなバカみたいな真似で自分を失ってくなんて、いくらなんでもあんまりじゃないすか…!」
■大神 璃士 >
「……底なし沼に嵌って、呑まれかけた奴にとっては、目の前に落ちて来たロープは、
それこそ天の助けに思えるんだろうな。…それが、どんなものであれ。」
追い込まれた男の心境を考え、思わずそう口にする。
犯罪者といえど、死んでいい訳ではないと訴える後輩の言葉には、小さく頷くような目の動き。
「――そうなる前に捕縛できるよう、俺達が何とかしなきゃならないのは事実だ。
ただ…既に奴は2回…いや、最初に捕まりかけた時、突然怪力を発揮したと
報告書にはあったから…3回、か。
それだけの「代償」を、既に払ってしまっている。」
ちら、と黒みを帯びた青の瞳が、後輩へと向けられる。
「それについては、「風紀が追い詰めた」事の末とは言え、奴自身が選んだ事だ。
それだけは覚えて置け、成海。「お前の責任」じゃあない。
――「もしも」が起こるとしたなら、それは奴自身と、奴に「捧げる事」を選ばせた人間の責任だ。」
暗に、その責任は自分にある、と告げるように言いながら、黒いレザージャケットの風紀委員は
自身のデスクにのろのろと足を向ける。
「責任を負う自分」が、今、何が出来るのか。
それを考える為に。
■成海 鳴 > 「……」
16の少女には随分と重い話。
そもそも、成海には犯罪に走る者の気持ちが理解できない。
後で後悔するのは自分なのに、なぜそんな安易な事をしてしまうのか、と。
風紀委員としてまだまだ短い期間であるものの働いて、何度か犯罪者とも遭遇する度に思う事だ。
「責任なんてそんな…
いえ、でもアタシも作戦に参加したメンバーですから。…ちゃんと、ルーフラットの事を考えないといけないと思います。
じゃないと、きっと後悔するんで…」
自業自得、と切って捨てるような達観はまだできていなかったから。
せめて成海ができるのは、この事件を早く終結できるように尽力をする位だ。
もちろん、今後またルーフラットと遭遇するとも限らないものの…
「大神先輩、その…ありがとうございました!
やんなきゃいけない事、なんとなくわかった気がします。
ウジウジしちゃダメって気づかされました!」
そう言って、貴方に深く礼をして。
■大神 璃士 >
その声に、黒いレザージャケットの男は軽く振り向くと足を止め、
「――――そら。」
少しだけ振り向き、声と共にぽい、と、まだ開けていないホットの缶入り緑茶を後輩に向けて放り渡す。
「書類仕事は眠くなるだろ。飲んどけ。」
そう声をかけ、今度こそ自分のデスクに向かっていったのだった。
新しいお茶を後で買いに行くか、などと考えつつ。
■成海 鳴 > 「わっ、と…ありがとうございます!」
実際うじうじ考えてしまうくらいには、書類とにらめっこを続けていたから。
貴方の厚意を受け止めながら、もう一度深く礼。
「よっし…」
ぱんっ、と頬を叩いて、もう少し頑張るための克を入れる。
終わったら訓練にでもいこう、今できるのはそれくらいなのだから。
ご案内:「委員会総合庁舎 各種委員会オフィス」から大神 璃士さんが去りました。
ご案内:「委員会総合庁舎 各種委員会オフィス」から成海 鳴さんが去りました。