2024/12/20 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 ロビー・総合案内」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
普段はにこやかに笑顔を振り撒く少女、伊都波凛霞。
今日は少し浮かない面持ちで、ロビーのソファでぼんやりと時間を過ごしていた。
サボっているわけでもなく、必要な業務を終えての空いた時間ではある。
刑事課というオフィスに所属していると、色々な情報が舞い込んでくる。
知りたいことも、知りたくないことも。
第十三補習室にて"彼"への面会希望があったらしい。
もう半年も前のこと。少しずつ人々の記憶から風化されつつある事件の一つ。
でも少女はそれを忘れない。
忘れられるわけがない。
彼は自分の何よりも大事な存在を傷つけたヒトだったから。
傷つけた、という言葉だけじゃ足りない。死なずに済んだのは運が良かっただけだ。
──温かい珈琲を口にする。砂糖は入っていない。ミルクも。
黒く、苦い。
そのことを思い出すたびに体の奥から湧き上がってくる、気持ち悪い感覚に少しだけ似ている。
■伊都波 凛霞 >
この気持ちの悪い感覚は、感じたことは何度かあった。
いろいろな理不尽や悪意を受け取った時。
不当な暴力を目の当たりにした時。
ただ、それまでのどれよりもドス黒くて嫌な感情に違いない。
刑事課の人間であるし、風紀委員として。
個人的な感情に流されてそれを発露してしまうのは…良くない。
それが必要な場面もあることは理解してるけど、基本的には良くない。
自分はそうなってしまいやすいタイプであることを自覚しているし、何より。
この感情は表に出してはいけないものだと理解ってる。
理解っているクセに、湧いてくる
そのたびに思うのだ。
自分はなんてイヤな女なんだろう、と。
■伊都波 凛霞 >
改心しようが、裁かれようが。
妹を傷つけた、殺しかけた事実は変わらない。
永遠に許すことはないし、裁きが下ろうともそれに納得も出来ない。
──何よりも大切で、大事な宝物の光を奪おうとしたヒトに、救いの光なんて必要ない。
……小さく、頭を左右に振る。
そういった『悪意』は、少女が最も嫌うものだ。
それが自分の内側から湧いてくるのが、途方もなく気持ち悪い───
■伊都波 凛霞 >
立ち上がり、紙コップの中に殆ど残った珈琲を捨てる。
忘れなければいけないこと。
絶対に忘れてはいけないこと。
夏と秋の間にあった記憶の白と黒。
踵を返し、長い髪を揺らしながらその場を後にする少女の顔は、ずっと浮かないままだった。
ご案内:「委員会総合庁舎 ロビー・総合案内」から伊都波 凛霞さんが去りました。