2025/08/09 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 資料室」に大神 璃士さんが現れました。
■大神 璃士 >
総合庁舎、資料室にて。
黒いジャケットの風紀委員が、薄暗い明かりの中で資料を集めて回っている。
主に集めているのは、季節ごとの事件、事案に関する資料。
特にこの時期に発生しやすい問題や事件などがないかの総合調査だった。
「…………。」
黒いジャケットの男は黙々と資料を集めていく。
この時期は休みという事もあってか、一般生徒が事件などに巻き込まれる事案が多い。
過去の事案を集めて回り、其処から注意喚起するべき項目、重点的に注意が可能な事案などを調べては、
上に報告するという地道なお仕事だった。
「……多いな。」
季節を絞っているとはいえ、数が多い。しかも主に紙資料。
体力や腕力のあまり強くない者には、堪える仕事だろう。
恐らく、その辺りも自分が仕事を押し付けもとい任された一因ではあろう、と思いながら、資料集めを続ける。
■大神 璃士 >
一通り集め終わった資料を、今度は確認にかかる。
事件・事案報告書の類が多いが、過去の施策として行われた注意喚起系の資料…早い話がポスターなどの
資料も、縮小されたコピーに内容説明付きという形式でそこそこの数が存在している。
やはり夏期休暇は「羽目が外れる」事が多いのか、軽度の傷害事件…所謂喧嘩の類だが、それが目立つ。
その位であればまあ、真夏の過ち程度で済ませられるのだが。
「……違反部活の活動に巻き込まれたケースも多いな。」
事件・事案報告の中には、違反部活の活動に巻き込まれ、何らかの損害…怪我などならまだ分かり易いが、
場合によっては詐欺や違反部活の活動に巻き込まれて損害を負ったり、逆にそれと知らずに加害に手を
貸してしまう結果になった、というケースも多かった。
その手の被害を防ぐ為の、注意喚起のポスター類もこの時期には多めに作られているのが割と目につく。
「夏は元気になるのは、何処も誰しも変わらず、か。」
そんな事をぼやきながら、書類を傾向別に分けていく。
雑用仕事は慣れたものなので、スムーズな動きである。
■大神 璃士 >
「……こんな所か。」
一通り、集めた資料を纏め終える。
分類を終えれば、思った以上の分量になった。
報告書の数だけで、過去のこの時期にどれだけの事件・事案が発生したのかが嫌でも良く分かる。
ポスター類などの注意喚起は、事件に向かって行動する時は事が起こってしまった後が多い風紀委員の、
「事が終わる前に食い止める」という試みへの苦慮じみたものが感じ取られた。
詳しい比較を取っている訳ではないので分からないが、この注意喚起がなければ報告書の数は
恐らく更にに増えていた事だろう。
そして、今年もその注意喚起を確りと行う季節がやって来た、という事だと、集めた資料の数が語っているように思える。
「同じ内容ばかりでは、マンネリズムに陥って注意喚起の効果が薄れる、か…。」
小会議で話し合われた内容を思い返す。
確かに、ポスター類の内容は大小の差はあれ、変更が加え続けられている。
同じような内容を繰り返して、注意喚起力の低下を防ぐための必死の努力、という事だろう。
ポスターを制作する担当部署も大変だ、と思いながら、黒いジャケットの青年はポスター類のコピーに向かう。
資料室の片隅で、コピー機が動く音だけが静かに響き始めた。
■大神 璃士 >
「――これで終わり、と。」
ポスター類の書類コピーを取り終わり、その合間に纏めていた事件・事案の纏めを持参したファイルに纏める。
必要な分だけを取ったつもりだが、思った以上に嵩張っている。
過去の事件・事案の傾向から、注意喚起を行う必要があると思われる事態を軽く書き纏めて一番上に。
ファイルを読む人間に分かり易いように、綴じ方に気を付ける事も忘れない。
全てを渡したら、後はまた小会議と、其処から先はデザイン担当の仕事になるだろう。
ここ暫く、大きな問題には遭遇していない。
任されるのは概ね巡回業務か、こうした雑用ばかりだ。
平和なのはいい事だと思う反面、目に見えない所で何事かが起こってはいないか、と思ってしまう。
「…少し、神経質になり過ぎているのか。」
つい裏を勘繰ってしまう思考に、小さくため息。
■大神 璃士 >
最後に、集めた資料を確認しながら元の棚へと戻していく。
集める時よりはスムーズに進んだが、何しろ量が量である、結構な時間がかかってしまった。
そうして、昼過ぎから始めた作業も、気が付けば日が傾いて来る時刻。
「…戻るか。」
全ての後片付けを終了すると、纏め上げた資料のファイルを手にして、黒いジャケットの男は資料室を後にする。
明かりが落とされた直後、扉が閉まる音がやけに大きく響いた。
ご案内:「委員会総合庁舎 資料室」から大神 璃士さんが去りました。