2025/08/25 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」に青霧在さんが現れました。
青霧在 > 人生とは日々学び、ただし怠惰であればその限りではない。
そんな思い込みを無自覚のうちに持っていたらしい。

「怠惰な試みから学びを得るとはな」

そう、怠惰な試みだった。
陽が落ち人影まばらなカフェで、珈琲のカフェインに頼りながら業務をこなしていた時のこと。
眠気のせいか、卓上のカップを口元へと運ぶなんて些細なことが億劫に感じてしまったのだ。
カップを持つ時間を少しでも減らせないものか、そんな下らない思考だが、眠気で鈍った思考は下らない思考(楽な方)へと転がって行った。

「突拍子もないことのつもりだったんだがな」

急ぎでもないと、楽な方へとつい甘んじ、思考を試行する。
その結果分かったことは、異能拡張の実績が認めらても、魔術の拡張はまだまだだったということ。
目の前には、空中に浮いたカップ。
いや、置かれたカップ。
俺の魔術(《ゲーミングヘッドセット》)によって作られた半透明のホルダーに、カップが収まっている。

いざやってみれば、何故今までやらなかったのかと問いただしてしまいそうな簡単な思い付き。
だが、俺は今までこれを思いつけなかった。固定観念とは恐ろしい。

青霧在 > 俺の魔術は、異能の付属品のようなものだ。
生来の異能と違って、後付けで会得したもの。
頭部周辺に物質を生み出すという機能の大半は、専らとあるものを生み出すことにだけ使われている。
アイマスクさサンバイザー代わりのような使い方をすることもあるが、何かを納めておくホルダーを作ったことはなかった。

「出来ることが広がりそうだな……」

これまで魔術の運用は、異能の補佐に留まっていることが大半だった。
視野、視線、視界といった見ることに特化した運用しかしてこなかったが、それ以外でも活用出来るとなれば話は変わる。
何かを空中に保持するのは異能でも実現出来るが、視線を向け続ける必要がある。
視線と、それに伴う目の操作は俺が最も得意とすることの一つだが、不可能はある。目は二つしかないのだ。

「それを補佐する運用……それこそ、武器を視界の外においておくこともできる……」

これまで以上に視野と視線というリソースを活用出来る。
武装を視界の外に温存するためのホルダーを作るのが縛りに反するかどうかは試してみないと分からないが、もしこれが可能なら戦い方の幅を広げられる。

「……頭が回らないな……」

眠気め。憎たらしい。
業務に関する思考は巡る。慣れだ。
だが、比較的創造性に拠った思考を深めるとなるとうまく巡らない。

カップに手を伸ばし、カフェインを補充する。
苦みが思考を覚ましてくれた頃に戻りたい、そんな願望が脳裏をよぎった。

青霧在 > 珈琲では取り除けない程に眠気が進行している。
炎天下での肉体労働(制圧)と事務労働、加えて一徹。
先日の模擬戦での痛みもまだ引かず、ソシャゲのデイリ―未消化も今日で三日目だ。
ブームに遅れ気味に始めた創神だが、これを機に辞めてしまうか。

「はぁ……」

話し相手でもいれば違うのだろうか。
集中力などとっくに消え去り、思考が二転三転する。
こんな状態では業務などまともにこなせるはずもない。
意識があるうちにノートPCを閉じる。保存するものはなかった……筈だ。

魔術のホルダーにカップを戻し、卓上に両肘をついてその間に頭を納めた。

青霧在 > 「……寝るとするか」

流石にこの眠気ではまともに業務など出来ない。
急ぎではないのは本当だし、仮眠室ででも寝るとしよう。
続きは明日にでもすればいい。
その前に一度お手洗いだけ済ませて―――
そう思って立ち上がり、少し席から離れた瞬間だった。

青霧在 > ゴトッ
青霧在 > 頗る嫌な気配がした。
俺の魔術、《ゲーミングヘッドセット》は、頭部の周りに物質を創造し、操る魔術。
その効果範囲は……

「あ」

1mだ。

あれだけ募っていた眠気は一瞬で消し飛んだ。
ノートPCは死んだ。

ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」から青霧在さんが去りました。