2025/10/28 のログ
ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」に鶴博 波都さんが現れました。
橘壱 >  
委員会総合庁舎カフェエリア。
アナタは24時間戦えますか?何ていうのは何時も何処かで使われているフレーズだ。
そんなブラックなワンオペに使われそうな人材がそうそういるわけもなく、ましてや文字通り使われるはずもない。
要するに、誰だって休息は必要だ。心でも、体でも。

「……ふぅ」

本当に何気ない、溜息にもならない吐息。
エリアの一角に腰を下ろす橘壱は、ノートPCに向き合っていた。
覗き見防止のモニターに映るのは、所謂"課題"だ。
医学部門における様々な課題。風紀委員とはいえ、学生身分じゃ仕方ない。

「しょうがないとはいえ、これじゃあずっと働き詰めしてる気分だなぁ」

なんてボヤキを吐き出し、憂鬱をココアで流し込む。
そんな人もまばらな昼下がりの事だった。

鶴博 波都 >   
「この時期はどうしても忙しいからですね。」

 さらりと声を掛けつつ、紅茶片手に着席。
 背凭れに体重を預けて一口すすり、息を吐く。

「……って、今年はずっと言っている気がしますけれど……。」
 
 携帯端末を片手で弄り、メールや通知を横目に改める。
 スケジュールやメールの履歴を見るに、気のせいじゃなく忙しい。
 

橘壱 >  
聞き慣れた声が鼓膜を揺らす。
なんとも言えない笑みを浮かべて肩を竦めた。

「別に単位が貰えるからサボってもいいんだけど、これ位はこなせないと将来的に困る気がしてね」

このまま問題がなければ、行き着く先は大企業。
学生本分くらいこなせなくては、とてもじゃないが装着者(パイロット)はやってられない。
一息つけるようにノートパソコンを閉じれば、レンズ越しの視線を向けた。

「そちらも忙しいようで。最近はどうですか?」

あの携帯端末にもきっと、色んな忙しさが詰まってるに違いない。

鶴博 波都 >    
「単位はその教科を修めた──と言う指標ですからね。
 実務で充当される単位(現場のたたき上げ)と、講義で得られる単位(高官に施される教育)は違うものです。」

 当然、と言った具合で頷く。
 同意を示しながらも少しばかり冷淡な感想。

「ううん。大変です。鉄道公安はやっぱり慣れないな、と思います。
 何も意識しなくて済む前の部署に戻りたいです。」
 
 違反をその場で判断する、あるいは判断を後に自分の責任で現場を納める。
 それはどうにも、この鶴博波都にとってはむずかゆい(ストレスがある)

「できない訳じゃないですけれど……。」
 

橘壱 >  
「そうなんだけどね。
 ただ、卒業するだけならどっちも同じと言っても違いない。
 その後の結果を残せるかは当人次第ではあるしね」

要するに、橘壱は施しで卒業しても自信があった。
自惚れとも言えるかもしれないが、飼いならせば立派な武器だ。
他者がどう見るかはさておき、それほどの努力と経験は積んでいるつもりでもある。

「まぁ、かと言ってサボる口実にする気はないけどね」

この程度のことをこなせなきゃ、示しもつかない。

「…………」

ココアを軽く、喉に流し込む。
甘さが心を落ち着かせ、視線はじ、と相手を見据えていた。

「慣れない、というよりは"腑に落ちない"……っていう風にも見えるけどな」

カタン、とカップを下ろして頬杖をついた。リラックス。

「今の仕事は、先輩的には肌に合わない、とか?」

鶴博 波都 >  
「……そんな所です。」

 思うところを誤魔化しながら、頬杖を付いて気を抜き始めた橘に視線を合わせて頷く。
 拡げたい話でもない、と思えば自然に話を納める方に意識が向く。

「一定以上のひとは、単位がなくても実力を示せますから。
 特にこの島のカリキュラムは年齢に関係なく基本的に四年で卒業にしますから、
 専門的な学問としての単位ではなく、社会生活になじむためのカリキュラムとしての形式──の方が強いですよね。
 実力ではなく、枠に収まらないものを枠に収めるためというか……。」
 
 自分が鉄道公安に配属されたのもそうなのだろうか。
 少しばかりの不満や不安に押されるように、口を尖らせながらぼやいた。
 

橘壱 >  
雰囲気的にもあまり話したくはない気配は感じる。
とはいえ、そういう話題こそ気になるもの。
誰が言ったか、なんとやらは蜜の味。
勿論下卑た考えで聞いているわけではない。

「…………」

軽く顎を撫でて思案を巡らす。
社会生活に馴染むためとは、随分な話だ。

「先輩って、実は宇宙人だったりします?」

なんて、しょうもない冗談を一つ。
異邦人が当たり前の世界におけるギリギリのジョーク。
別に差別者ではないが、人によっては笑えない。

「まぁ、それは冗談なんですけどね。
 波都先輩はもしかしてですけど、社会に馴染むのが嫌だったりします?」

勿論かなり極端な質問を理解したうえで、聞いてみた。

鶴博 波都 >  
「ノンデリなんですから、もう。」

 "きっと聞いてくる"。
 そんな気はしていたものの、いざ突かれれば脱力が先に来る。
 突拍子もない訊き方、というのもなくはない。

「嫌……と言うより、何でしょう。
 出来ることとやりたいこと、それと望まれていることは違うんだ。
 ……ってことは、良く思います。」
 
 鉄道公安としての職務は十分出来る、
 それはそれとしてストレスが掛かるし、普通の鉄道委員として無思考で過ごせる方が良かった。
 そこまでは口に出さないが、思うところは吐き出した。
 

橘壱 >  
「……冗談に関してならその通りだけど、そんなにかな?」

なんだか面と向かって言われるとなんとも言えない。
自覚が未だないというのもなおたちが悪いノンデリ男。
そしてこれまさに出てきたのが馴染みのある悩みだ。

「(ある意味、自由に出来てる僕は恵まれてるかもな)」

企業としてのメンツを潰さない限りの自由は許される。
しがらみや束縛は確かに自分の中でも忌避すべきものだ。
自分が求めるのは、もっと自由なものだ。

「身をつまされるような悩みだね。
 今の部署の仕事は合わない、というよりも鬱陶しい感じ?
 あんまり事情を知らないと気軽なことを言っちゃうけど、やらなきゃいけない事?」

少なくとも強制ではないはずだ。
問題解決に至らずともきっかけも調査も、まずは聞き込みから。

鶴博 波都 >  
「……悪い気はしませんですけれど。」

 眼を泳がしてから、誤魔化し笑いを浮かべてみせる。
 面と向かって言えるのはこの男相手、と言う部分も無くはない。
 知り合い程度なら、訴えないで愛想笑いで流す。

「……橘さんも企業がスポンサーとして背後に付いている、んでしたっけ。」

 大変ですか? と、彼が思っていることとは真逆の意を視線に込める。

「うーん、これ以上はあんまり言いたくないです。
 かといって、いやです、っていうのも違いますし……。」

 身勝手な理由で職務を断るべきではない。
 彼女の中の観念のひとつとして、そのようなものはある。
 

橘壱 >  
尤もな質問だ。
残っているココアを一気に飲み干せば、ふぅ、と一息。

「勿論。そうじゃなきゃ、ただの子ども一人で入学もしてないよ。
 Fluegele(アレ)を任されているのもそういう信用と期待があってこそだしね」

「僕の行動はそのまま企業の行いと見られてもおかしくない。
 だから、その意向に従って仕事もする。まぁ……僕としては、そうだね。
 "趣味と実益の一致"って所かな。正直、AFを動かせる理由としては丁度いい」

AFという鋼鉄の翼に身を包み自在に駆ける。
それこそが生き甲斐であり、行動理念だ。
それを企業(向こう)もわかっているからこその行動だろう。
わざわざ、生き甲斐を自ら失う意味をするわけもない、と。

「だから、顔を立たせるようなことをしはするけど、それを苦に思ったことはない。
 ……鬱陶しいとたまに思うけどね。まぁ、そういう意味じゃ言っておいてなんだけど、先輩のとは違うかもね」

わざわざ面と向かって言いたくないと言うほどだ。
本人の中では深刻な問題、ストレスになっているのかもしれない。

「言いたくないって言うなら無理に聞き出そうとはしないけどさ。
 それこそあれもイヤだ、それもイヤだって言って潰れちゃうのも身勝手だと思うけどな」

どうなの、とほんのりと視線は鋭い。
そうなると確定しているわけではないが、過労めいて良くない兆候なのは流石の壱も理解は出来る。

鶴博 波都 >     
「……そうなんですね。」

 責任も含め、自らの行い(判断)に誇りを持っている。
 そう思えばとても眩しく見える。羨ましく……はあんまり思えない。

 できることはするとしても、そこまで自分の行いに自信を持てない。

「少なくても……ここで話すのは難しいかもしれません。
 ……どういう()則で配属が決まっているのも私はわかりませんし……。
 子供で学生の私には、ちょっと手に負えないです。」

 そもそもHowが見えていない。
 観念が揺れたとしても、出来ることがない。
 思想や主義以前に、子供として大人の世界に踏み込めない。
  

橘壱 >  
そんな相づちに、思わず苦笑を浮かべる。

「……って、言ったはいいけど結構自分勝手にしてるだけだよ。
 勿論、全部が適当ってワケじゃないけどね。言っといてなんだけど……」

「ああやって語るほど、高尚なものでもないよ。
 極論、正しいかどうかって言うより、やりたいようにやってるだけ」

その結果いい方向にも、悪い方向に転がりもする。
当然後悔はない。どっちに転がっても自己責任だ。
究極のところ、身勝手が今の所は悪い方向に進んでいないだけだ。

「……確かに、人の目もあるしね」

疎らとはいえ、それもそうだ。
そんな程度の悩みってわけでもなさそうだ。

「そういう適正を見て配属が変わった……とかではなく?
 そんな理由もなしに配属先を強引にでも変えられたの?」

もしそうなら、だいぶ話は変わってくるが、さて。

鶴博 波都 >     
「うーん、そのあたりはよくわかっていません。」

 小首を傾げる。
 面談や適性試験などが行われたことは覚えているが、
 それ以上は踏み込まなかったし、踏み込めなかった。

 適正で言えば、この上なく向いているのは確かではあるのだが──。

「意識したことも、今までなかったですから。
 ……やりたいようにやる、と言うのは……最近まで、考えたこともなかったです。」
 
 自我を出すようになったのはいつ頃からだろうか。
 少なくとも配属が変わった時は、強引かどうかを論ずる程のものはなかった気がする。
 

橘壱 >  
「……少なくとも、何も考えもなしに配属を変えるような組織ではないと思うけどね」

憶測にはなるが、少なくとも適性自体はあったのだと思う。
ただ、それはそれで先程の彼女に戻ってくるわけなのだが。

「へぇ、成る程。そういうのはいいんじゃないかな。
 僕から見てもいい兆候だとは思うけどね」

少なくとも自分を出すというのは個人を尊重するうえでも必要なものだ。
人間は機械じゃない。だからこそ、自我を出すことは重要だと思う。

「……ただ、そう、だからこそ今の部署が窮屈というか、
 やりたいことと合ってないってことかな?そもそもそのやりたいことっていうのは?」

それもここで話せないならそれでもいい。
空のカップをティースプーンで軽くなぞった。
なんてことない、育ちの悪さの手癖遊び。

鶴博 波都 >  
「そうだとは思いたいですけれど──」

 少なくとも、貸与されたAFをそこそこの時間である程度動かせる様になる。
 登記上で『全兵科適正才能』と記されている通り、
 彼女が扱うことのできる範囲は、相当広い。……たまたま運転にあてがわれていただけで。

「それが良いとは──……」

 何か、はっきりとしたものを言いかけた所で、
 運命の悪戯の様に端末が震えて遮る。

 それに目を通せばすぐに立ち上がり、手早く頭を下げた。

「すみません、ちょっと鉄道内に熊が立ち入ったみたいで応援要請が来ました。
 先、行きますね。」
  
 荷物を纏めて足早にこの場を立ち去る。
 相も変わらず、職務に対してひたすら真面目な鶴博波都の姿であった。
  

ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」から鶴博 波都さんが去りました。
橘壱 >  
「熊。お疲れ様、先輩」

そういえばそういう季節だったっけ。
何処か慌ただしく去っていく背中を見て、ふぅ、と一息吐いた。

「"それが良いとは限らない"……かな?
 それが良いかどうかは、これからな気もするけどね」

答え合わせを出来る相手はもういない。
独り言をぼやき、再度ノートPCを開いて向き合うのであった。

ご案内:「委員会総合庁舎 カフェ」から橘壱さんが去りました。