2026/02/07 のログ
■青霧在 > 言われた通りに深呼吸。
なるべくゆっくり、無理のない範囲で吸って吐いてを繰り返す。
流れ込んでくる何かは未知の感覚ながら不快感がなく、すんなりと受け入れられる。
そして受け入れたそれらは脚と腹部にじんわりと広がり、ぬくもりを感じさせる。
深呼吸する度に穏やかな脈動を感じ、そのたびに痛みが遠のいていく。
「……これは……」
完治ではないが、それだけだ。
まさに今最も必要な処置を施されたのだろう。
これならば、風紀本庁と言わず自宅まで帰れそうだ。
自宅まで帰れれば、処方された包帯を巻き直せる。
そうすれば、怪我そのものの治りも良くなる。
「なんて言えばいいのか……」
「ここまでしてもらってすまない、本当に感謝している」
「また、何か礼をさせてくれないか」
身構えつつも立ち上がるが、先ほどのように転びそうになることもない。
腹部の形容しがたい悪寒も遠のき、気持ち悪い汗も止まった気がする。
感謝してもしきれない。
■大神 璃士 >
「――気にする必要はない。
怪我人をそのまま放って置くのが、寝覚めが悪くなりそうだっただけだ。」
左手を軽く開閉しながら、大きく息を吐く。
先程までの苦痛に苦しんでいた青年程ではないが、軽く額に汗を掻いている。
軽くとはいえ自身の生命力を切り売りした影響と、繊細な生命波動の操作の疲労によるものだ。
疲れはあるが、まだ怪我の治り切っていない彼に比べれば遥かに元気なレベルだろう。
「…完全に治ったわけじゃない。激しく動いたら、また痛みがぶり返して来るだろう。
帰ったら、消化に良いものを少しでも口にして、ゆっくり休め。
それが、一番の返礼になると思って欲しい。」
多少なり痛みを和らげる程度の治癒、という程度だ。
完治にはまだ遠いだろう。
下手に動いてまた病院送り、とならないようにして貰いたいのが、動けるようになるよう手を貸した者としては
一番の希望であった。
――人間は、嫌いである。
利に流され、弱者から奪い去り、強者に阿り、卑劣な真似を働く。
自分達が何を踏み躙って今に在るのか、それを顧みようともしない。
……それでも、こうして素直に礼を言える者が一人でも、いる。
それだけで、まだマシだ、とは思う事が出来た。
■青霧在 > 「ああ、大人しく休むとするよ」
「改めて本当に感謝する。ありがとう」
しっかりと頭を下げて、感謝を伝える。
自分の状況をあまりにも軽視していた。
あれ程までの重傷がいくら初めてだったかと言って、迂闊にもほどがあるだろう。
大神が居なければ、どうなっていたか分からない。
医師の忠告を無視した結果がこの始末。
であれば、今度こそ大人しく忠告に従おう。
…ここまでさせたのだ。
同じく重傷を負った後輩に、あからさまに負担のかかる処置をさせたのだ。
そこまで言及してもくどいと考え、胸のうちに留めておく。
「動けるうちに移動する。くどいようだが、本当に世話になった」
「大神の怪我も、早い所治るといいな」
かなり軽減されたとはいえ、まだ痛む部分はある。
もたもたしていても仕方がない。余裕のあるうちに移動しなくてはならない。
「それじゃあ、また無事で会おう」
―――この礼は必ず。
どういう形になるかは分からないが、機会があれば返そう。
そう誓い、その場を後にした。
■大神 璃士 >
「…気を付けて置く事にする。
お互い、安静にしておく事にしよう。」
別れの言葉には、そう返し。
先程よりも遥かに元気になったように見える、立ち去る青年の姿を見送り。
ひと息ついてから、無料提供されている飲料の中から、茶を貰う事にした。
無言で静かに茶を口にして、一息つく。
左の腕で軽く額を拭うと、ぼんやりと天井に視線を向けた。
「………怪我、で済んでいる分、俺達はまだマシ、なのかも知れないな。」
誰に向かうでもなく、そんな独り言を口にする。
右腕に巻かれた包帯に目をやると、数日前の戦いの事が思い出された。
……カタストロアと呼ばれる、奴が何者なのか。
正体は無論、凶行に至る動機は何か。
つい、そんな事を考えてしまう。
(……確保されない限り、怪我人や…犠牲者も、増えるだろう。)
あの歩く暴威と言える怪人を、確保するための手立てなどあるのか。
そんな後ろ向きな事を考えてしまい、思わず首を振る。
(…確保しなければ。
青霧先輩のような怪我人が、風紀委員やそれ以外から出るのは沢山だ。)
すっかり「風紀」に染まった思考だな、と思いつつ、「人」らしい思考ではあれるだろうか、と
己を顧みながら、手にした茶を一息に飲み切る。
先に立ち去った青年からしばし遅れて、黒いジャケットの風紀委員も
休憩室を後にするのだった。
ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」から大神 璃士さんが去りました。
ご案内:「委員会総合庁舎 休憩室・仮眠室・喫煙室」から青霧在さんが去りました。