2024/05/27 のログ
桜 緋彩 >
彼女の返答を笑顔で聞き、スルーされた手を見、もう一度彼女の顔を見る。
しょぼくれた顔で手を引っ込めた。
「なるほど、転移か、もしくは復活辺りに該当する、と言うことですね」
ふむ、と思案。
どちらにしても、と言うかそれ以外でも、まずはこの世界の常識を知ってもらうところから始める必要がありそうだ。
「はい、生徒登録は必要です。まずこの島は島丸ごと学園都市、えー、学校の街になっておりまして。ここで生活する方、特にクロメどののようなこの世界のルールに詳しくないような方には、生徒ととしてその辺りを学んでいただく必要がございます」
とりあえず歩きながら話しましょうか、と言いながら、近くのバス停まで歩き出そう。
すこし歩くが、委員会街まで歩くよりは全然楽だ。
「生徒登録していただきませんと、住むところも見付かりませんし、何より規則違反となって逮捕・拘留することになってしまいます。どちらにせよそうなれば生徒登録していただくことになりますし、ご自分の意志でしていただいた方が色々と楽かと思いますよ」
そこで一度立ち止まり、彼女の方を改めて向きなおす。
「それと。我々風紀委員は異能を使いこなす違反者や、住人の皆様方に牙を向く狂暴な怪異達と日々文字通り死闘を繰り広げております。クロメどのも強大な力をお持ちの方とお見受けしますが、どうかその辺りをご承知頂きたく思いますね」
先ほどまでと変わらぬ笑顔。
ただ、その目だけは今までのそれとは違っている。
クロメ >
「学校……か」
よもや今更そんなものに関わることになるとは。
生きていると色々とあるものである。
「なるほど。
別に、私には不要だ。」
相手が歩き出したので、こちらも歩いていく。
いや、どちらかというと滑るように動き出した、というべきか。
そして、相手の言葉を考える。
住む場所など不要で、規則も……まあ知識としては興味はあるが、危急ではない。
それゆえ、そう口にする、が。
「が。いいだろう。
煩わしいからな」
別に争うつもりはない。面倒くさいから、だ。
逆に、仮に争いになったとしても受けて立てる、というような素振りでもある。
そうして笑顔のまま目だけを変えた相手にも、何も変わらぬ様子で答える。
表情も、口調も、凍りついたように何も変わらない。
「方法くらいは、説明があるのだろう?
……場所は、遠いか?」
このまま歩いていくのであれば効率は悪そうだ、と怪異は思う。
桜 緋彩 >
「クロメどのが不要でも、学園側は必要なのですよ」
不思議な移動をするなぁ、なんて眺めながら。
とりあえず移動を再開しようか。
「ええ、詳しいことは登録の際に改めて説明があるかと思います。場所は委員会街と言うところで、生徒会の生徒登録窓口で登録していただきます。 ――まぁ、歩けば遠いですね。ほら、ちょうどここから見えるかと」
学生通りの建物の隙間から見えるビル群。
あれが委員会街の建物だ、と。
「あちらにはバスで向かいます。本来は生徒登録しないと乗れないのですが、今回は風紀委員権限を利用します。便利ですね、権限って」
バス停はあちらです、と彼女の前を歩く。
クロメ >
「だろうな」
へのふみたとは、そういうものだ。
昔もだが、今も役人が精を出して抜けを確認しているのだろう。
煩わしいが、拒絶するほどのことでもない。
「あれくらいなら……いや、そうか」
飛んでいけば、と思ったが人にはそれはできない。
不便なものだな、と思うがやむをえまい。
それにそこまで遠くもなさそうなので、気にするほどでもないだろう。
それより
「バス?
……風呂?いや……?」
微妙な発音の違いに首を傾げる。
乗り物など知らないのであった。
風呂で移動……どういうことか。いや、違うナニカか
「……ふむ」
知識は手に入れたほうがいいかもしれない、と少しだけ思った
桜 緋彩 >
聞きなれない言葉に戸惑う彼女を見て少し笑う。
「乗り物ですよ。同じルートをグルグル回っていて、好きなところで乗って好きなところで降りる、便利な乗り物です」
そうこう言ながら角を曲がれば、バス停はすぐそこだ。
向こう側からバスも来ているし、ちょうどいい時間だったらしい。
「ちなみに有料です。今回は一応クロメどのの護送と言うことで権限を使ってタダで乗りますが、お一人で乗る時は料金を払ってくださいね」
クロメ >
「乗物……」
ちらりと視線を追えば、なにやら動いている鉄のナニカ。
見たところ、動物も何も居ないので自走している様子である。
どうも寝ている間にだいぶ世の中は変わってしまったようだ。
動揺こそしないが、なんともいえない感覚を味わった。
それにしてもこの女は何が楽しくて笑ったのだろうか。
「費用か。
……」
別に不要であるから、金などなくても気にしなかったが。
いずれ使用することも強いられたりするのだろうか。
その場合はどこかで手に入れることも考えなければいけないのか。
「今、不要ならいい」
最悪、使わないという選択肢もある。
今をしのげればなんとでもなるだろう、と判断する。
「……時に。緋彩は上位の者か?」
そういえば、権限だのなんだのという以上それなりの権力者なのだろうか、とふと考える。
別に態度を変えるつもりもないが。
桜 緋彩 >
「一応登録時にある程度の生活費などは支給されますが、基本的には真っ当な手段で稼いで頂く必要がありますね。事業――ここでは部活と言う扱いですが、それで稼いでる人もいますし、私のように何らかの委員会に所属すればお給料がもらえますよ」
基本的には自分で生活費を稼いでねと言うのがこの学校のやり方だ。
異世界人等に向けた支援も本当に必要最低限だし、
「あと学費――行ってしまえば納税の義務もありますので」
学費を納める義務もある。
街の運営にはお金がかかるのだ。
「上位? あぁ、いえ。三年生ですし、下っ端とまでは言いませんが、階級的には現場のものですよ」
あくまで風紀委員としての権限、と言うだけだ。
バスに乗り込み、運転手に彼女のことを軽く説明し、自分の分の運賃はスマホで払い、領収書を貰う。
これが無いと自腹になってしまう。
クロメ >
「強要しておいて、納税せよと?
……いや、へのふみたは、そもそういうものだったな」
わざわざ手間を掛けてまで戸籍を作る理由。
それはシンプルに税を収めさせるためだ。
なんとも煩わしい話だが、昔から何も変わっていないというのはある意味感動すら覚えるかもしれない。
まったく人は度し難い。
「ブカツ?なりイインカイ?なりに人を寄せる手管か。」
どうも話を聞く感じ、この場の主要な仕事のようだ。
そこに人足を集めるのなら、それをしなければいけない状況を作ればいい。
なるほど、実に嫌味なほどよくできている。
「現場の程度、か。
……現場にもそれなりに特権がある、と」
どうやらフウキイインというものは、そこそこ重要な職なようだ。
警備をするのだから、当然といえば当然だろうか。
「……ふむ」
そんなことを考えながらも、緋彩の動きを観察する。
金の支払いは……どうも現物ではない、ようだ。
なんだろう、あの板は。
魔導書でもなさそうだし、手形の類か……?
「次から次と……」
建物もそうだ。あれこれとすっかり変わってしまっている。
この知識の埋め合わせはだいぶ骨な気がしてきた。
「……これが、今の人の普通か?」
此処だけが特殊、という可能性もある、とちょっとだけ可能性を思いながら。
そんなことを尋ねるのであった。
桜 緋彩 >
「どちらかと言うと権利を受け取るための義務ですね。生徒登録せずに二級学生――未登録の住人のことですね、そういう生活をするのは自由ですが、何かあった時に法の保護を受けることが出来ません。それにその選択をされると私たちの仕事が増えますね」
二人掛けの座席で窓際の席を手で示す。
彼女がそちらに座れば、廊下側に座るだろう。
「別にそれ以外の手段でお金を稼いでも構いませんよ。規則に違反しなければ、ですが」
バスが発車する。
今時の電気自動車らしく、余計な振動も音もない、滑らかで静かな走行。
「無法者を相手にする警察組織ですからね。それなりに特権はあります」
乱用は出来ませんが、と。
「はい、これが普通です。この島のみならず本土の方でも大体同じですね。これ、通信機なんですよ?」
先ほどバスの端末にかざしたスマホ。
よくよく考えればこの小さな板切れの中に、良くもまぁそれだけの機能を詰め込んだものだ、と確かに思う。
クロメ >
「規則で定まったことだろう?
強要と変わらぬ」
ただその分、権利としての中身を保証しているのだろうが。
不要な存在にとっては強要と何も変わらない。
といって、それそのものに否やを言うつもりもない。
それがヒトのやり方なのだろうし、そうして世を保っているのだろう。
ただ無感情、無表情な人外は、そこまでの意図を伝えきれているだろうか。
「……確かに、動いているな」
静かに動き出す車。
牛車だの馬車だのとは全く異なる静かさだ。
「結局は規則だな。」
何をするにしても、決まりがついて回る。
それはそう、なのだが。
……矩
それこそが、人の世を定める物なのだろうか。
「どうやら、ヒトはだいぶ変わったようだ。
色々な物を作り、妙な力まで持つ」
昔だってそういう存在が居ないわけでもなかったが。
どうも見たところ、そういう物や力があるのが普通なようだ。
時代は変わった、といえばいいのか。
「……ふむ。ということは、その通信機も皆がもっている、と?」
ツウシンキ、というのは何となく予想がつく。
使用方法はさっぱりであるが、板なので板に話しかけるとかなのだろう。
なんにしてもあんな小さなもので、声が遠くまで届く。
それを人が当たり前に持っている、というのは……なんともそら恐ろしいものだ。
桜 緋彩 >
「まぁ、そう言われると返す言葉もないですが」
困ったように笑う。
確かに人の都合ではある。
まぁ、つまるところ、
「結局は規則ですね」
それに尽きる。
規則を守ってください、と言うだけの話。
「はい、とは言えそれなりに高価なものなので、持ってない人もいますが、まぁ大抵持っておりますよ。――おっと、次で降りますね」
壁に備え付けのボタンを押す。
やがてバスは静かに滑らかにバス停に止まり、扉が開く。
座席から立ち上がり、バスを降りればそこは生徒登録窓口のある建物の目の前だった。
「それではクロメどの、生徒登録をお願いいたします」
そうして彼女を受付に案内する。
一応彼女を保護した風紀委員として同席するが、説明は窓口の担当者が行ってくれるだろう――
ご案内:「学生通り」から桜 緋彩さんが去りました。
クロメ >
「……厄介なことだ」
ぽつり、と人外はつぶやく
けれど逆らうでもなく。素直に生徒登録向かうことだろう。
ご案内:「学生通り」からクロメさんが去りました。