2024/06/02 のログ
黒羽 瑠音 >   
勿論傍から見ると完全にお上りさんであることはちょーっとは理解してる
でもしょーがないじゃん!どのお店もキラキラしてるし、出入りしている人たちには異能とか魔法とか……
とにかくいろんなことが出来る人が沢山混じってるんだよ!?

「そんなのもうファンタジーじゃん……」

実家にいた頃はではそういったものとは殆ど無縁だった私である
魔法というものへの憧れが無かったわけではないけれど……
少なくとも地元にそういったものを習える場所は無かったわけで

黒羽 瑠音 >   
「音夢さんにうずめさんもそうだったしなー、やえさんはどうなんだろ」

とはいえ、常世学園には所謂『無能力者』の人も沢山いるらしい
それでも自分から此処に来た、って事は皆何かの理由や目的、っていうのがあるんだろうなと思う

「そして私も今日からそこの一員……えへへへ」

全く自分が凄いわけではないのに思わずにやけてしまう、自分の調子よさにはあきれる次第だ
とはいえ、今はこの勢いのままに楽しむのもいいと思いつつ、どんな店があるのかなと心のままに闊歩していく

黒羽 瑠音 >   
「とはいっても、あんまりお小遣いがあるわけでもないんだよね……」

現実的に今使えるお金はそこまで多くはない、バイトもできるらしいから追々は考えるとして……

「名物とかあるのかな、常世饅頭とか、常世ラーメンとか……」

食事時が近いのでまず食べ物が浮かぶ私である、今の気分はラーメンか、うどん当たりだ
すんすん、と少し鼻を聞かせながら立ち並ぶ店の中を歩いていく

「出来れば800円以内……!ワンコインなら最高!それでいて何か此処でしか食べられないようなものが」

あればいいなぁ~~と考えるのは贅沢だとは思いながらも諦められないのが人の性(さが)だ

黒羽 瑠音 >   
…暫く後、ぎゅるるるる、お腹が鳴る音を抑えつつも未だに決められていない私がいた

「ぐ、ぐぐぐ……なやぁむぅ」

此処にきて最初の外食……!最初のルームメイトとのご飯があれだけ楽しい経験になったのだ
こっちも出来ればいい思い出にしたい、これは、間違えられない!!

「ラーメン、うどん、ミソ、醤油、とんこつ、つけ麺……」

いったりきたり、いったりきたり、目星こそ多少つけられていはいるが、決定的なあと一押しが無い
自分の優柔不断さには気づいているが、此処まで来たら後悔はしたくないじゃん?

「あ~~もうクジででも決めようかなぁ」

そんな事を言いながらも結局悩み続けてしまう私、周囲から漂うおいしそうな匂いにただお腹だけがすいていく

ご案内:「学生通り」に黒條 紬さんが現れました。
黒條 紬 >  
さて。
癖っ毛の少女が苦しそうな声をあげて
学生通りを右往左往している様子を見てか、
静かに靴音を鳴らして近づく別の少女が一人。

「こんにちは、お食事に迷っておられるのですか?」

学園の制服を身に纏った紫髪の少女。
顔には穏やかな笑みを浮かべている。

「右へ左へ行ったり来たり。
 お困りの様子でしたので何か助けになれればと
 近づいてみたのですが……」

先に遠目で見ていた彼女の様子。
あちらこちらをきょろきょろ見渡している様子をはじめとした
所作から、少女は一つの考えに至る。

「もしかして、今年入学されたばかりで、
 お店をよくご存知ないのでは?」

人差し指をピンと立てて小首を傾げれば、
紫髪の少女はそう問いかける。

黒羽 瑠音 >   
「ほぁっ!」

声をかけられて思わずびくんと、やっぱり挙動不審だったかな……?
振り返るととっても礼儀正しそうな紫髪の女の人が一人、慌てて頭を下げてあいさつする

「あ、はい、こんにちはっ」
「…… もしかしてエスパーですか?何て、そりゃ見ればわかりますよね、えへへ……」

自分が見るからに困っている様子だったことに流石に気恥ずかしさを感じながらも素直に返答する

「私、一年の黒羽瑠音っていいます、よろしくお願いします」
「実際、此処で食事を選ぶのは初めてで……すっごい迷っちゃってました」

此処は正直に言って助けを請おう、聞くは一時の恥というやつだ
何より、折角声をかけてくれたんだから仲良くできたら嬉しいなという下心もあったりして

黒條 紬 >  
「顔に書いてある、というやつですね。
 そういう方、好きですよ」

ふっ、と。口元に白い手を当てて笑う少女。
暖かな春風がふわりふわりと吹いては、
彼女の髪を優しく踊らせている。

「黒羽さんですね、もしかして字は、色を表す『黒』ですか?
 もしそうでしたら、奇遇なことで。
 私は黒條 紬と申します。学年は、2年生ですねっ」

ピンと立てていた人差し指。加えて中指をすっと立てて、
数字の2を示す。同時に口元をきゅっと上げて目を細め、
優しげで、それでいて何処かお転婆な笑顔を浮かべた。

「委員会は、風紀委員に入っております。
 迷っている人に道案内をするのも風紀の仕事の一つですし、
 よろしければ、しっかりお仕事させてくださいね。
 私、グルメ知識は結構自信ありますので……」

深々とお辞儀。
その後、ぐっと握った拳を、とんと叩くように自らの胸へ。

「それで、黒羽さんは何を食べたいんですか?」

一歩近づいて、再び小首を傾げてみせた。

黒羽 瑠音 >   
「うぅ、でも流石にちょっと恥ずかしい…」

自分の頬をそっと挟んで落ち着かせる、ほんのりと紅潮した顔で黒條さんを見上げて

「あ、そうなんです!色の黒、鳥の羽、それと宝石の瑠璃に音楽の音で、黒羽瑠音です」
「わ、本当ですか?ちょっと嬉しいかも……黒條さん、よろしくお願いします♪」

偶々であった人にちょっとした共通点、勝手に生まれる親近感のままに笑顔になって
その後続く、委員会、風紀委員という言葉にほぉぉ、と声を漏らした
その内何処かに所属したいとは思っているが、今のところは無所属の身である

「風紀委員ってそんな事もするんですね、凄いなぁ……はい、それじゃお言葉に甘えさせてもらっていいですか?」
「ラーメンかうどん……出来れば常世ならではのもので……えっと、1000円以内だとうれしいかなーって」

ちょっとだけ見栄を張って予算を800円から1000円に引き上げつつ、自分の希望を伝える
指を突き出し笑顔を浮かべる仕草も軽やかな彼女に、大人の女性に対するような憧れの感情がちまっと生まれたりして

「えっと、それでもしよければ、一緒にご飯、食べませんか?」
「丁度お昼時ですし、私、もっとこの場所の事を知りたいんです」

そんなお誘いも一緒にしてみる、受けて貰えるだろうか…?

黒條 紬 >  
「透き通るような字使い。素敵ですね。
 名は体を表すと言いますが、貴方からも何処か、透明感のある
 涼しげな雰囲気を感じるように思いますよ」

ふふ、と。軽く握った拳を口元にやり、そのように返す黒條。
紅潮した顔は、少し可笑しそうに、しかしたっぷり品を込めた
笑みで包みこんだ。

「常世ならでは……ですか」

ここに来てシリアス顔。

――これは仕事、真剣に考えなければいけません。

――予算1000円以内。その条件は簡単です。

――この学生通りであれば、安価なメニューは幾らでもあります。
その予算でも十分可能です。

――しかし、彼女が望んでいるのは『常世ならでは』のメニュー。
つまるところ、特異性なのでは。

――ならば、その条件を満たす店舗はかなり限られてくる。どうします?

――その中で、あまり人を選ばず、しかし奇抜性を失わない条件に
合致する、この場で最も相応しい店選びが求められていますね!

――あそこしかない、ですね。

後輩のための脳内ランチ会議(全員自分)、終了の瞬間であった。

「黒羽さん、ちょっと面白いラーメン屋さんが最近できましてね。

『レモンの輪切りがたっぷり入ったラーメン』なんですけど……
 いかがですか?

その、店主が目の前で、異能を使ってレモンをスライスしてくれるんです。なかなか見ものですよ!」

そこまで口にして、最後に一つ付け加える。

「食事をご一緒するというのは、喜んで。
 もしよければ、奢らせていただきますよ。
 せっかくなら、この学園のことを好きになってほしいですし」

黒羽 瑠音 >   
「も、もぉお~~~お世辞はいいですよぉ、そんな……」

正直嬉しい、この名前を付けてくれた両親も褒めてくれているみたいでちょっと誇らしい
というか言い回しも綺麗だしこの一瞬でそんな誉め言葉が出てくるなんて
まるで芸能人じゃないですかこの人、実はすごい人に声をかけて貰ったのでは!?

「あ、はい、別に無理にって訳じゃないんですけれど……」

一転、凛々しく考え込む顔をした彼女に対し、真剣に考えてくれてるんだなぁと少しばかり申し訳なくなる
でも私もこの一戦負けるわけにはいかないので、その真剣さに甘えることにしよう

「レモンスライスのラーメン……!?」

びりっ、と酸っぱい衝撃が脳裏に過る、どんな味なんだろう、酸っぱすぎるとちょっと苦手かもしれないけど
それ以上にこの目の前の素敵な先輩が誘ってくれた場所が気になるという好奇心が一瞬にして勝利した

「それに異能を使って何て……凄い、今の私にぴったりかも!」
「是非お願いします黒條さん……いや黒條先輩!一緒にラーメン食べましょうっ」

きらきらと目を輝かせながら楽しみに体をゆらゆらさせる
私に尻尾があったら多分今全力で振られている事だろう

黒條 紬 >  
「思ったままのことをお伝えしたまでです」

お世辞と言われたのにはそれだけ返し。
こっちですよ、と小さく手招きして学生通りを歩き始める。

――しかし、子犬みたいな可愛らしさを持った方ですねぇ。

その様子を見て、そんな風に思ってしまう。

学生通りの町並み。様々な店が立ち並ぶこの通りは、
いつだって活気に溢れている。
談笑する生徒達の声。
所々から漂ってくる料理の香り。
元気いっぱいな、店先の呼び込みの声。

この通りは、素敵だ。
夜だって、あたたかな陽射しを感じられるほどに。
いつだって、穏やかな日常を感じられるところ。

「ほんとにいい場所ですよ、学生通り」

歩きながら、黒羽の方を見やる。

「先の様子ですと、まだ色々行ったことがないお店もあるでしょうし、
 ぜひ色々覗いてみてほしいです」

何分か歩いて、歩いて。暗がり――路地裏がある場所に来ると、黒條は足を止めた。
ちょっとだけ柳眉をきっと逆立てて。
しっかり黒羽の方を見て、足を止める。

「とはいえ、脅す気はありませんが、この学園。
 素敵な場所、なんですけどね。
 
 危険なところには絶対に近づかないようにしてくださいね。
 たとえいくら腕に覚えがあっても、ですよ」

黒條は彼女の情報を持っていない。
どのような異能を持っているか知る由もなく。
故に、そのように声かけを行うのであった。

「普通にしてればそうそうないとは思いますが、
 もし何か巻き込まれて困ったことがあれば、
 風紀を頼ってくださいね」

それだけ口にして、特に何もなければ黒條は再び歩きだすだろう。

黒羽 瑠音 >   
「……思った通りの事でも、褒めてもらえるのって嬉しいしちょっとくすぐったいです」

彼女の返答に対して、此方も素直に、改めてそんな言葉を返す
そのままちょっとだけ足早に黒條先輩の後を追い始めた

がやがやとした人々の喧騒、太陽に照らされて光るタイル
実家の商店街に比べて学生の声が多いのはこの場所ならではだろう
此処を通るのが、之からの私の日常になるんだな、としみじみ思う

「うん、私もまだ来て数日ですけど、きっとそうなんだなって」

屋台で買い食いしている女の子や、一緒に帰っている男友達らしき二人組
皆楽しそうで、明るくて……輝いている、此処はきっとそんな場所なんだ

「はい、勿論そのつもり……」

です、と返そうとしたところで黒條さんが足を止める、此方も足を止めて……
路地裏の暗がりの方を思わず見やる、勿論、先を見通せるわけもなく
それでも、彼女の言葉をごくりと飲みこむと、その奥はまるで深淵に続いている気がしてしまった

「き、肝に銘じます、私も怪我したり、させたりはしたくないですもん」

最も、ただの1学生である自分にとっては今の所縁遠い話だとは思うんだけどね
こういった注意もきっと風紀委員としての活動の一環何だろうなと思う

「困ったときは風紀委員……覚えました!」
「でも、出来るだけご迷惑はかけないように頑張りますね」

再度歩き出す黒條先輩にちょっとだけ速足を強めて追いついて、横からにっこりと笑顔を見せる
心配ないですよ、私之でもちょっとお転婆だけど品行方正って事で通ってたんですからね!

黒條 紬 >  
「来て数日? 本当にいらっしゃったばかりなんですね。
 お友達はもうできたんですか?」

そんな風に問いかけながら、明るい通りを二人で歩いていく。
どこまでも穏やかな風が、木々の葉を弾いて音を奏でている。

「……ま、黒羽さんは真面目そうな方に見えますし、
 おせっかいかもしれませんけどね。
 頭の片隅にでも入れておいていただければ、と……
 ……はぁ、職業病ってやつですね。すみません」

歩きながら申し訳無さそうに眉を下げる黒條。


「と、そろそろ着きますね。
 あれです、あの……輪切りのレモンが看板にどーんと
 描かれている、あそこ……その名もずばり『檸檬食堂』!」

指をさした先、白地の看板にでかでかと檸檬が描かれた看板が
確かにあった。

黒羽 瑠音 >   
「はい!ルームメイトの人たちによくしてもらって……」

歩きながら嬉しそうにできたばかりの"友達"の事を話していく
喧騒の中にまぎれる街路樹のさざめきが心地良かった

「ううん、出会ったばかりの相手にそんなに良くしてくれる黒條先輩ですから」
「それに、私は好きですよお節介、やらないで後悔するより、やって後悔する派ですから!」

フォローになっているかどうか微妙な返しかもしれないけど、素直な自分の気持ちには変わらなくって
そうこうしていると目的の店についたらしい

「そ、そのままずばりすぎる……」

ごくり、と思わず唾を飲みこんで巨大檸檬の看板を見上げる

「武者震いがしてきました……でもそれだけ店主が自信あるって事ですものね」

一度黒條先輩の方を見上げて、きりり、と眉を上げて意気込んだ

「いきましょう!私、お腹ペコペコだから大盛りいっちゃいます!」

いざ、出陣の時!

黒條 紬 >  
「おや、入学早々ルームメイトが見つかるだなんて。
 良いですねぇ。
 充実した学生生活の形は人それぞれ。
 一人で居ることを楽しめる方も居ますけど……
 それでも、やっぱりお友達が居た方が楽しいですから……ねっ」

問いかけるように最後の一声を口にすると同時に、
指でオーケーサインを作る。

「ええ、その自信に見合った味のラーメンだと私も思いますよ。
 意外な組み合わせに思えるかもしれませんけど、さっぱり味の
 ラーメンで、檸檬は良いアクセントになってくれるんです。
 
 黒羽さんが、気に入ってくれるのなら嬉しいんですけど……
 せっかくなら、
 午後を素敵な気持ちで過ごしていただきたいですからねっ」

そうして店の中へ入っていくのだろう。

願わくば、彼女にとっての午後が。
この常世学園での生活が、素敵なものになりますように。
そんな気持ちはしっかりと抱いて。

黒羽 瑠音 >   
「私、結構寂しがりな方だったりするし、父さんと母さんも、完全に一人暮らしは心配だって……」

そんな事情を話しながら、黒條先輩とも、友達になれたらいいなと思う
ご飯中に言ってみようかなと思いながら、ラーメンの評価を聞いて

「何て言う食レポ……涎が出てきちゃった、期待します!」
「ふっふっふ、それなら安心してください、こんな素敵な先輩に会えた時点で」
「午後の評価は既に100点です!此処からは200点を目指すだけですよっ」

先ほどの黒條先輩と同じように『思ったまま』を伝えて笑顔を向ける
そして並んで檸檬堂へと入っていくのだ、期待に胸を躍らせて

結局、午後の総合得点が何点になったのかは伏せておくけれど……
誰かと一緒に食べるラーメンがとっても美味しいという事実は、しっかり確認できたとは言っておきます

ご案内:「学生通り」から黒條 紬さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から黒羽 瑠音さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に桜 緋彩さんが現れました。
桜 緋彩 >  
昼を少し過ぎた学生通りの飲食店エリア。
ご飯時を少し過ぎていることもあって、どの店もそこそこの客入りと言ったところ。
ある店の前で唸っている女子生徒がいる。

「うーむ……」

視線の先にはラーメン屋がある。
中太ちぢれ麺に鶏出汁醤油のスープ、その絶品スープに浮かぶ甘みのある背脂、口の中で溶けるような柔らかさの分厚く切られたチャーシューが絶品のお気に入りのラーメン屋だ。
しかも学生大盛り無料。
食べたい。
はふはふ言いながら旨味と香りを口の中一杯に感じながら一心不乱に食べたい。
しかし。

「うぅーーむ……」

隣の店舗に視線を移す。
看板にデカデカと書かれた牛のマスコット。
店外まで漂う炭火の香り。
そう、焼肉屋である。
九十分食べ放題ランチ。
網に乗っけて重々焼いて、中まで火が通り過ぎない程度の焼き加減でタレに潜らせて白米と一緒に口に放り込む。
牛は当然、豚も鳥も野菜もホルモンだって食べ放題。
飲み物だって飲み放題だし、割り箸も割り放題だ。

「うぅぅうぅうぅうぅううんんんん」

究極の選択だ。
ラーメンか、焼肉か。
どちらの口でもあるが故にどちらかに決めきれない。
道行く人にじろじろ見られることなど気にならない程に悩む。

ご案内:「学生通り」に先生 手紙さんが現れました。
先生 手紙 >  
――唐突だが。既視感という言葉はご存じだろうか。デジャヴとも言う。
本質的には初見のハズなのに『あれこれどっかで同じようなの見た気がするな???』みたいなアレである。

手紙にとって数m先の少女の姿がそれにあたるが、実際のところこれは既視感ではなくマジの既視――つまり『あれこれどっかで見たな???』であった。

昼下がりの商店街。日曜であることを存分に示す遅寝昼起きの結果が彼の食事タイミングをここまで逃したのであった。

「……あの孤独なsilhouetteは……?」

桜 緋彩 >  
「――よし」

今日はラーメンに決めた。
貯蓄に余裕はあるとは言え、先日大きな買い物をしたところだし。
入る店を決め、そちらに一歩踏み出そうとしたところで視線に気付き、そちらを見れば。

「――おや、手紙どの。昨日ぶりでございます」

昨日知り合った恩人の姿を認める。
深々と頭を下げて挨拶。

先生 手紙 > 目が合い、頭を下げるその姿は紛れもなく――

「……や、桜サン。ってヤメテ!?」

衆人環視の中、少女に深々と礼をさせている自分の絵面がキツい!
足早に近づいて面を上げてくだされ面を上げてくだされする。

「今からお昼?……ラーメンにするンだ? おれも一緒していい?」

桜 緋彩 >  
やめて、と言う言葉も特に気にした様子はない。
人に挨拶をするのは当然だし、その時に頭を下げるのは当然だと思っているから。

「はい、焼肉と悩んだのですが、大きな買い物をしたばかりですから」

昨日彼に助けて貰って買ったパソコン。
今日午前中にセットアップは済ませている。

「勿論ですとも! 昨日のお礼にご馳走させて頂きたいぐらいです!」

きっと彼は断るだろうから、無理にとは言わないけれど。
笑いながらそう言って、店の扉を開けて中に入る。
いらっしゃいませー!と言う店員の元気な声に二人です、と告げてテーブル席へ。

先生 手紙 >  
「あー焼肉ね、うン。わかるよ悩むの」
やや天を仰いで、名前と、このオーバーアクション並みのプロポーションの他に知っていること……実直で素直な性格の娘だ。悪気がないことくらい、知ったつもりでいる。

「財布を忘れるのを忘れたから、次の機会に頼ろっかな」

と軽く言い、後に続いて席に着く。

「おれココ初めてなンだ。おすすめとかある?」

桜 緋彩 >  
店員さんから水を受け取り、お礼を言ってメニューを開き、彼に見せる。

「ここはチャーシューが絶品ですので、チャーシュー麺が良いかと思います。味は私はいつも醤油味ですが、塩も味噌も美味しいですよ」

スープの味はどれを頼んでも間違いないだろう。
自分は今背脂の口なので醤油にするつもりではあるが。

「私はもう決まっておりますので、ごゆっくりお選びください」

こっちは入る前から注文が決まっているので見なくてもいい。
焦らなくていいと告げ、水を一口飲む。

先生 手紙 >  

「ふむふむ。初めての店でハズレ引きたくないし……」
さして多くもない頁の後ろの方にあった『タチバナマシマシ油そば』は却下。頁を戻して醤油、塩、味噌、豚骨……うーン。

「じゃ、チャーシュー麺の塩にしよっかな。細麺派だし」

そこまで時間を取らず注文を決めた。メニューを閉じて呼び鈴を鳴らす。

桜 緋彩 >  
呼び鈴を鳴らせばすぐ店員がやってくる。

「醤油チャーシュー麺大盛り、味玉付きでお願いします」

自分の注文を告げれば、店員が伝票にそれを記入。
お連れ様はどうしますか、と店員が彼に尋ねる。

先生 手紙 > 「塩チャーシュー麺、諸々ふつうで」

こちらも淀みなく頼み、店員が復唱してから下がる。

ここで水を一口。

ふう。

「そいえば桜サン、日曜でも制服なンだ。学園でも行ってた?」

世間話スキルが試されつつある男子校生(21)

桜 緋彩 >  
「いえ、特にそう言うわけでは」

手を振って否定。
かと言っていつも制服で過ごしているわけではない。

「これでも一応風紀委員ですので。緊急の用事があった際いつでも学園に迎えるよう、特に用事が無ければ制服で出かけているだけですよ」

別にそういう時に私服ではいけないと言う理由があるわけではない。
ちゃんとした仕事の時は風紀の制服が別であるし、そうじゃないなら腕章を付ければそれで構わなかった気がする。
が、個人の判断として、そう言う時は制服の方が良いだろうと思っているだけ。

先生 手紙 >  
「へェ。風紀委員だったンだ。成程ォー。ちょっと納得しちゃった」

立ち居振る舞いから、所属に意外感は浮かばなかった。

そしてたまたま、本当に何も考えずに煙草を仕舞ってあるのがジャケットの内ポケットである自分の気まぐれナイスである。年齢的にはセーフだが学生的にはどうだろう。風紀が乱れていることだけは確かなので、この掌サイズの秘密は文字通り胸にしまって隠し通すべきだろう。などと……いっさい表情にも口調にも出さずに思うのであった。

桜 緋彩 >  
「はっは、よく言われます」

別に模範的な風紀委員たれ、としているわけではないが、それでも風紀委員として恥ずかしくない立ち居振る舞いは心がけている。
なので結構そう言われるのは嬉しかったり。

「ちなみにこの店は禁煙ですので、お煙草は我慢してくださいね」

別に彼の心を読んだわけではないし、内ポケットのそれに気付いたわけでもない。
単純に昨日彼から煙草の臭いがしていたからである。
年齢さえ二十歳を超えているなら別に煙草は規則違反と言うわけではなかったはずだ。
実際教室棟の裏とかに喫煙所はあったはずだし。

先生 手紙 >  
「ヴッ」
内心――というか内のブツに気づかれていた!隠ぺいは失敗である。

「……はァい。いちおうね、迷惑かけないように吸ってるのよ。喫煙者の肩身の狭さ、島の外での異能者よりも上だかンねマジで」

彼女が模範的風紀委員ならば自分は模範的喫煙者である、と。なんら褒めらたもんじゃねえのである。

桜 緋彩 >  
「私はそうでもないですが、嫌う人はとことん嫌いますからねぇ」

自分が物心付いた頃には既に煙草が目の敵にされていた。
それどころか父が幼い頃からそうだったと、煙草を吸いながら言っていたのを思い出す。

「しかしちゃんと分別を付けられるのは大変良いことだと思いますよ。喫煙禁止区域で堂々と煙草を吸う人もいますから」

せめてこっそり吸えばいいのに、わざわざ人の多いところで煙を吐き出している喫煙者によく注意をしている。
知らないならまだしも、知っていて吸っている輩はどうしようもないと思う。
そういう連中に比べれば、非喫煙者に気を使っている彼は十分立派ではないだろうか。

先生 手紙 >  
「……ふゥン?」
認識をひとつ改める。もう少し潔癖っぽいと思っていたが、この少女は存外に柔軟な価値観の持ち主のようだ、と――不躾に見つめそうになった視線を下げる。

下げた先を見るともっと不躾なので水を飲む。

「しっかし煙草の話するンだったら焼き肉屋の方が良かったかもね。煙たい話題だし」

一口の後で軽口。

「……ン、ン。そういう手合いはねェ。煙草が好きなンじゃなくて、煙草を吸ってる自分が好きなンだと思うよ」

などと言ってる間に「おまたせしましたー!」と威勢のいい声でラーメン二丁が置かれます。

桜 緋彩 >  
「父が喫煙者だったので。むしろ煙草の臭いは懐かしいと思いますね」

そんな父は数年前に禁煙してしまったので、家で煙草の臭いを嗅ぐ機会がなくなってしまった。
煙草を吸う父の姿は結構カッコイイと思っていたし、少し寂しいぐらいまではある。

「残念ながら隣の焼肉屋も禁煙ですよ?」

むしろ煙たいところで煙たい話をしているのに煙草が吸えないと言う悲しいことになる。
そう言う意味ではラーメンで正解だったのではないだろうか。
そうこう言っていたらラーメンが目の前に。
伸びないうちに頂こう。

「では、頂きます」

両手を合わせてラーメンに一礼。
割り箸を割り、厚さ一センチはあろうかと言うチャーシューを取り、豪快に口の中へ放り込む。
柔らかくジューシーな肉とぷりぷりの脂身が最高。
幸せそうにもぐもぐしていたら、ポケットの中でスマホが震えた。

「む、失礼――あー、呼び出しですね……」

呼び出しのメッセージが届いていた。
やはり制服を着て来て正解だったようだ。
それをポケットにしまい、目の前のラーメンを急いで口に押し込んでいく。
見る見るうちになくなっていき、スープまでしっかりと飲み干して。

「――慌ただしくて申し訳ありません、お先に失礼いたします!」

がたん、と立ち上がり、ぺこりと一礼。
うっかり伝票が一緒になってしまっていたので、財布から自分の分のラーメン代を机の上に。
そのまま店を飛び出していった――

ご案内:「学生通り」から桜 緋彩さんが去りました。
先生 手紙 > 「親の影響かァ。なるほどねェ」

いただきます。と割りばしを手に挟みつつ一礼。

スープを啜る……うン。美味しい。あっさりしていながらも深みのある味だ。チャーシューはどうかな。
口の中でほどける程にやわらかく仕上がっている……!これは桜緋彩お墨付きなのも頷ける。

と、舌鼓を打っているなか、ふと顔を上げると対面の少女の丼が、大盛りのソレがどんどん――早、減……否、消え……!

驚倒はその摂食速度であり、彼女の用事――おそらく風紀委員がらみだろうそれには適応されなかった。律儀に金も置かれている。

「はァい。お勤めご苦労サマでェす。頑張ってね、桜サン」

先生 手紙 > 彼女を追う理由も、残された自分がラーメンを食べる速度を変える理由もない。

「……風紀委員も大変だなァ」

そんな所感。チャーシューが美味いと教えてもらったがデフォで乗ってるメンマがなかなかどうして侮れぬ。口に合っているのだろうか。

「はー……美味ェ」

食レポの才は無い。先生手紙はこういう時に語彙を無くすタイプなのだった。

先生 手紙 > ずぞぞぞっ ハフっハフっ ぞぞっ……

水を一口。

ずぞぞぞぞっ チャーシューおっも……でっか……うっま……

「っっっはー……」

端を置く。残された代金を一旦財布に終い、呼び鈴を鳴らす。

先生 手紙 > 「すいません、替え玉ください」
ご案内:「学生通り」から先生 手紙さんが去りました。