2024/06/06 のログ
ご案内:「学生通り」にホロウさんが現れました。
ホロウ > 「学生通りというだけはありますね」

昼下がりの学生通り。多くの生徒が行き交う学生通りの中央を歩く元未確認飛行物体(Unknown)
人外の多い常世学園においても、腰にぶら下げた二つのジェットは少々異質。
道行く生徒たちの一部より、奇異の目が元未確認飛行物体(Unknown)へと注がれる。

そんな視線を感知しながらも、意に介する事もなく少女は通りを征く。
前の常世でも、生まれたばかりの頃は似たような扱いを受けたものだ。
ここも常世であるならば、いずれ自然に馴染むであろう。
そういった確信があった。

「上から見るのと、地上から見るのでは随分と違いますね。なんというか、リアリティがあります」

空からの観測でも、看板であったり生徒らの表情であったり、そういったものは見えていた。
だが、空から見えない部分のサーモグラフィーや魔力感知フィルター越しではない光景は、殆ど初見だ。
地上から見た常世学園とはこういう場所なのかと、感動すら覚える。
不法滞在をしていた頃の末だと、この辺りの観測をしていると攻撃されるような状況に在った為ろくに観測出来ていなかった事も含め、ここまでじっくりと観測出来る事は観測機として誉とも言えよう。

ホロウ > 「それにしても島内の地理と地図、学園内の構造の把握を単独で行うことになるとは思いませんでした。
可能ではあるのですが、だからと言って少々扱いが雑な気がします」

学園生活を送る上で欠かせない手続きがまだいくつか残っているが、それらの殆どは即断の難しいもの。
例えばカリキュラムの選択。
以前学びについて教えてくれた彼の言う通り、常世学園のカリキュラムは豊富であった。
おかげで、知らない分野について学べるカリキュラムも豊富に用意されていたのだが、如何せん数が膨大である。
それらを決めるのには1週間ほど時間が与えられ、その間にすることとして島内の見学が与えられた。

観測能力と解析能力の詰め込まれたこの機体にとっては大して難しい事ではないが、新入生の扱いとしては少々不満がたまる所である。

「これでも優遇していただいている方ですので、文句は言えませんね」

無理やり納得し、散策を続ける。
学生通りには飲食店や雑貨店、文具店などの商店が並んでいる。
この機体は食事をとる機能と味覚が備わっている。いずれあれらの飲食店にも食べに否、観測をしにいかねばならない。
決して食べたいだけとかではない。これは観測機として欠かせない活動だ。

「この通りを通っての通学するのは大変そうですね。通学の途中で目移りしてしまいそうです」

引き寄せられるように入ったカフェでティータイムをしていたら遅刻、なんてこともあり得そうだ。
機械ですらそうなる気がするのだから、人間ならば猶更であろう。
そんな事を考えながら、きょろきょろ。

ご案内:「学生通り」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
とこコレ、なんてものがあると知ったのはつい最近。

その関係で、買い出しやらなにやらをしている生徒もおり、風紀委員も見まわりの強化の時期。

ーーであるが、ペアのひとは、予定ができたらしく、自分一人の見まわりになって、すこし。

「わ」

出会うとは思っていなかった。

UNKNOWN。

風紀委員の末端である自分にも情報が出回っている。

ここに、いるのはと辺りを見渡すが、他の風紀委員がいる気配はない。

それも当然。今日のここの割り当ては自分だ。

そして、きょろきょろしてるのを見ると、なにか、困っているようにも、みえる。

(どどど、どうしよう。えーと、えーと)

考えながら、歩き。

気づいたときには。

「あいた」

どん、と。

考えていた、相手。

UNKNOWNに、ぶつかって、しまった。

ホロウ > 「大丈夫ですか?」

前から誰かが来ている事は、検知出来ていた。
ただ、何か考えこんでしまっている様にも見える彼女の事が少し気になった。
もし、生徒としての悩みを何か抱えているのであれば、それを聞いてみたいなどと少し思ってしまった。
それゆえ、敢えて避ける事をせず正面からぶつかってみることにした。

とはいえ、本当に正面激突するとはあまり思っていなかったが。
ぶつかってきた制服姿の少女がこけたりしないように、それぞれの手で背中と腕を優しく支える。
この機体は幸いな事に少女を模して造られている。男であればこれでもセクハラとなってしまうだろうが、女同士であれば問題は無い筈だ。
この程度の良識はインプットされている。

「考え事をしながら歩いていては危険ですよ。何か悩み事でもありましたか?」

相手が直立した事を確認して両手を離す。
同じことを相手も考えているなんてことは知らぬまま、少女が自分にぶつかってしまった理由を問うだろう。

伊都波 悠薇 >  
「っ!?」

動きがあった。

なにかされるのかと、一瞬身体を強ばらせ。

「ぽえ?」

支えられ、直立させられる。

なんて恥ずかしい。
顔を手で覆った。

「だ、だいじょうび、でしゅ……」

顔が熱い。

「す、すみません。そ、そ、ちらはお怪我、ないですか?」

ぶつかったのは自分の方だから、謝罪と心配を。

「あ、えと、なゃみ、ごと……」

そして、悩みの種はあなたです、なんて口が裂けてもいえるはずもなく。
コミュ障には、大変ハードルの高い、返しを要求されていた。

(どどどどど、どーしよー!?)

なにか、なにかないかと、考えて。

その時間に2秒。

そういえば、と。

「コンテスト、に、だれを推薦しようかと、なやんで、まし、て。えへ」

ホロウ > 「はい、私の事はお気になさらず。避ける事が出来ず、申し訳ありません」

突然顔を隠す女生徒。どうにかしたのだろうかと思い、観測してみたところ顔の表面の温度が僅かに上昇している。
他の部分には異常はないし、顔とその周辺程度の変化。
緊張状態にあるのだろうか。確かに、知らない人と至近距離で密着に近い状態となれば緊張するかもしれない。
これは失礼な事をしてしまった。
一歩下がって軽く頭を下げて謝罪。自分はこの島では監視対象。トラブルを起こす訳にはいかない。

「コンテストですか?何のコンテストでしょうか?」

見た所、女生徒が本当の事を言っているかどうかは少々怪しい。
だが、この緊張状態で突然問いを投げかけられて冷静に返答するのは容易ではないだろう。
よって、会話を続行する。
コンテストというのは、とこコレというイベントの事だろうか。
ポスターで見かけた程度で詳細についての情報は皆無だが、持っている限りで該当するような情報はこれだけだ。
折角だから、よく聞かせてもらうとしよう。

伊都波 悠薇 >  
「あわ、あわわ」

どうしよう、ぶつかったのは自分なのに、何故か謝られてしまった。

余計に肩身が狭くなる。
が、自分で蒔いた状況ゆえに、どうしようもないのも理解している。

な、なんとかしなければ。

「あ、は、はい。よくは、知らないのですが、とこコレ、という制服の着こなしを、競うもの、ミタイデス。

アレンジとかも、していい、ミタイデス」

カタコトになりながらも、なんとか言葉を紡ぐ。

ホロウ > 「制服の着こなし、ですか?」

ファッションというものだろうか?
知識としては有しているが、具体的にファッションとはどういうものを指すのかよくわかっていない。
それを競うものについての知識なぞ、更に分からない。
なんなら、今身に纏うこの服装が自分にとっては制服のようなもので、これ以外の服装を身に着けた事は殆どない。

「それに誰を推薦しようか悩んでいる、ということでしたね。
であれば、あなた様が出場されてはいかがでしょうか?」

誰を推薦しようか悩むのであれば、いっそのこと自分で出てしまえばよい。
自分ならそうする、というより自分は出場に興味があるというだけだが、自分なりの考えをさも良案のように提案する。
それにしても、何故こうもぎこちない話し方をするのだろうか。
もしかして、人と話すのがあまり得意ではないのだろうか。これは少し申し訳ない事をしてしまったかもしれない。

伊都波 悠薇 >  
あなたが、と、言われた途端首を横に高速でぶんぶんと6往復した。

「おおあお、おそれおおいでごいす!!」

そんなとこにいってしまたら、死んでしまう。

溶ける。

「…………とこ、コレ興味あるんですか?」

ホロウ > 「ごいす?」

聞いた事の無い語尾に疑問が口をついて出る。
常世の外の方言?他国の言語?もしくはこの世界特有の単語?

少女はコテンと首を少し傾けて疑問に思っている様子。
…実際はただの焦り故に出ただけなのだろうが。

「はい。大変興味があります。催し事に参加した事がないので是非参加してみたいと思っております」

コクリと頷く。模様の入った瞳に、期待の輝きが浮かぶ。

どういう形での参加をするかなどは全く考えていないが、ファッションについて学ぶ事も含めて、せっかくだから参加したい。
長年眺めるだけであった常世のイベントとなれば、猶更だ。参加者目線での観測なんて、またとない機会だ。

伊都波 悠薇 >  
「…………はぇ」

話をしてみると、普通、だ。
なにが危険なのかは、パッと見判断できない。

これが、演技なのか、なにかの思惑が隠れているのか、はたまたSF のように、そういうものを滲ませないよう細工をされているのか。

事実は小説よりも、奇なり、というから、自分が思考できるのはその程度。

それでも、悪意があるようには感じない。

悪意を抱いたことがある、から、余計に分かることだった。

「じじじ、じゃあ、推薦、しましょう、か?」

だから。
そんな提案をしてみることに、する。

ホロウ > 「はい」

消え入りそうな相槌にも頷いて応じる。
やはり会話が苦手なのだろうか。あまり交流に対して苦手意識というものを持ったことがないこともあって、この女生徒が考えている事がいまいちわからない。
観測は得意だが、人間の心情を読み取る機能までは備えていない。
情報としてある程度の判断材料は持っているが、それを活かす専用の機能まではないのだ。

実際、少女に悪意はない。
そういう風に作られたと言えばそうだが、悪意を隠すように作られてはいない。
元より、防衛機構の一環としての観測機として生まれた少女は、敵意や悪意を自分から抱くようには出来ていない。

「私を推薦…?」

露骨な困惑を示す。眉を顰め、首を僅かに傾ける。
初対面で、名前も知らなければ、ファッションについて疎く、なんなら島の内情にすら詳しくない私を推薦する?

何を考えているんだろうか。正気じゃないのだろうか。
だが、これだけは言える。

「はい、お願い致します」

絶好の機会だ。
僅かに間をおいて、力強く頷いた。

伊都波 悠薇 >  
「はい」

ふわり、微笑んだ。

前髪で隠れ、目はみえないが口元で、そう判断できる。

出たい、興味がある。

そういうものに、「弾かれる」のは、悲しいこと。自分の経験で、知っている。

もし、これで大事になるときは、自分の責任だ。
でも、自分一人では、負いきれないのも知っているから、後で姉に相談しようと思った。
なにより、それで、姉もきっとコレクションに参加できる。姉がでないなんて、ありえない話だ。

「では、推薦、してみますね。えーと」

UNKNOWN、と呼ぶわけにもいかず。

「私は、いとわ、はるか、です。お名前と、所属、があればうかがっても?」

ホロウ > 女生徒の微笑み。
先ほどまでどうにもおどおどして言葉遣いも怪しかった彼女が突然見せたその笑顔に逆に僅かな戸惑いを抱いた。
彼女が少女を想っての提案をしたことなど気づいてはいない。
精々気付いた事といえば、彼女の言動は彼女なりに考えてのものであったということぐらいか。
それ以上に深堀するには情報が足りない。観測機たる自分にも感情の観測は難しい。それを再認識した。

「推薦、ありがとうございます。
いとわはるか様ですね。
自己紹介が遅れました。私の事はホロウとお呼びください。所属は、常世学園の1年生と、風紀委員会になります」

Unknownであると名乗る事も一瞬考えたが、やめておいた。
まあ、既に知られているのだが。
所属と言えば、以前まで常世学園の生徒でもなかったためまずは常世学園が出てくる。風紀委員はその次である。
丁寧なお辞儀を見せた。

伊都波 悠薇 >  
「あ、後輩」

自己紹介を、受けると改めて恥ずかしくなる。

先輩としてのものがなにもないのである。

手で顔を覆った。

「はい。ホロウ、さん。それじゃ、き、きょうは、これで!

す、すいせんは、しておきますからぁーー!!!」

居たたまれなくなって、ダッシュでその場を去ることとする。

もう、無理であった。

コミュ障にしては頑張ったと、思いながら。

たー、たー、たーと、エコーを残して。

走り去った。

ご案内:「学生通り」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ホロウ > 「はるか様は先輩でしたか」

入学したばかりの身では全員先輩なのだが。
おそらく、年齢だけで見ればこちらの方が先輩なのだろうが、常世学園の生徒としては彼女の方が先輩であることには間違いない。
何か失礼な事をしていなかっただろうか、と考えている間に

「ありがとうございます。よろしくお願い致します」

去って行ってしまった彼女に届くように少し声を張り上げる。
届いていない気がするし、追いかけようと思えば追いかけられるが、ここで追いかけてしまってトラブルにでもなったら大変だ。
彼女の残していったエコーを聞きながら、とこコレへの推薦について、改めて考える。

「常世学園にはファッションについて学べるカリキュラムはないのでしょうか」

そんな事を考えながら、学生通りの散策を再開する―


帰り道でなけなしの金銭でファッション雑誌を購入した。
寮の自室に始めて置かれた私物は、教科書でも生活必需品でもなく、ファッション雑誌であった。

ご案内:「学生通り」からホロウさんが去りました。