2024/06/15 のログ
ご案内:「学生通り」に狭間在処さんが現れました。
■狭間在処 > 昼間の学生通りを、私服姿と思しき一人の銀髪青年が歩いている。肩には地味に目立つ三本足の黒い鴉が一羽。
「………。」
自分がよく知る落第街やスラム、異邦人街や黒街とは全然違う街並み。
物見遊山の如く、その碧眼があちこちに向けられてしまうが…そんな自分に気付き、そっと一息。
(…自分から怪しまれそうな振る舞いをしてたら世話にならないな、全く)
肩の鴉に関しては、正直言い訳が苦しいがそこは敢えて正直に話す事でどうともなる。
初めて、学生通りへとやって来てみたはいいが…本当、自分とは縁が無さそうな場所だ。
そもそも、二級学生ですらなく偽造学生証すら持っていない。
風紀などに目を付けられたら、それこそ全力で逃げるしかないのが現状で。
今まではそれも踏まえて絶対に表側に、しかもここまで足を運ぶ事は無かった。
だが――奥底にある表側への興味、それに幾つか思う所もあって気になってしまった。
だから、意を決して服装だけは整えて今はこうして学生通りを歩いている。
■狭間在処 > 学生通り…というだけあって、この通りをずっと真っすぐ行けば学び舎があるのだろう。
先ほどから見る限り、往来する人々も主に学生の少年少女がメインと見受けられる。
時々、風紀委員会の紅い制服を纏った者たちともすれ違ったり見掛けたりもするのは考えたら当たり前か。
その度に内心で冷や冷やしたものだが…今の所、かろうじて不審者にはなっていなさそうだ。
(…ヤタがどうしても目立つが、それを踏まえてもまぁ今の所は大丈夫そう…か?)
肩に乗る鴉を一瞥する。その相棒はといえば、矢張り物珍しそうに周囲を見ていた。…お前もか。
「………。」
相棒の鴉の頭を軽く指先で突いておく。お前まで挙動不審だったら怪しさが増すだけだろうに。
等と、ついさっきの自分をちょっと棚上げにしているが…主と使い魔は少し似る所もあるのだろう。
思い切って表側に今まで踏み込んだ事のない所までこうして足を運んで来たけれど。
成程…俺にはちょっと眩しすぎるけど良い光景だ。学生時代なんて自分には存在しなかったから。
■狭間在処 > そんな思いに耽っている主を他所に、三本足の鴉はまた視線をきょろきょろ。
美味しそうな食べ物の店を見つけたり、すれ違う学生(主に女子)を偶にガン見している。
そう、使い魔とはいえこの鴉は♂であり、食べ物と女の子が大好きだ――勘弁して欲しい。
「………(ハァ)。」
その様子に気付いた青年は、盛大に溜息を一つ。鴉の頭に軽いチョップを叩き込んでおく。
思わず、ヤタは「クワァッ!?と声を上げてから抗議するように主に翼をばたつかせるが。
(――ヤタ、あまりじろじろ見るな…特に女性を。俺まで変な目で見られるだろう。)
相棒の存在で己の不審者度合いが左右されているような気がしてならない。
矢張り、今回はヤタは置いてきた方が正解だったか?それはそれで喋れなくなるが。
■狭間在処 > 俺は不審者じゃない、俺は不審者じゃない、俺は不審者じゃない。
と、己に自己暗示の如く言い聞かせる…ただの気休めだ。それくらいはしたい気分、
これで職質されたら正直ちょっとショックだ…無理もないと同時に思うが。
(…相棒がコレで本当に俺は大丈夫だろうか?)
頭が痛い。元から偏頭痛や貧血持ちではあるが、それとは別の痛みというか。
しかし、学生というのは楽しいものなのだろうか?落第街に偶に迷い込んでくる者は居る。
あとは風紀委員などもまぁ見掛ける。勿論、彼ら彼女らとほぼ関わった事は無い。
『…偽造学生証とか真面目に検討し――ヤタ。俺の声を今出すな。』
心の呟きのつもりが、ヤタの口から青年の声がそのまま垂れ流し。誰かに聞かれたらどうする…!!