2024/06/27 のログ
緋夜鳥 子音 >  
「あんさんは見た目のわりに話しやすいし、信用してへんわけやあらへんけど……
 まだ知り合うて数分やし。堪忍な?」

親しげに話しつつも、常に薄い壁一枚隔てたような距離を保っている。
これは単なる癖のようなものなので、決して慣れ合うつもりがないわけではないと表明しつつ。

「んふ。任しとき。そっちも列からはみ出たらあかんよ。
 そない気にせんでも、交代してから必要なもんがあったら頼みますって」

やっぱり変わり者の悪魔だな、と思った。
目を離した隙にいなくなっている、なんて心配は要らなさそうだ。
くすくすと笑って、傘をくるりと回しながらコンビニへと駆けていく。
しばらく待てば抹茶クリームパンと牛乳、おにぎり等の入った袋を提げて戻ってくるだろう。

ヴィシアス > 「……いや、正しい。君の振る舞いに文句を言うつもりはないよ。
 寧ろ…私は私を"悪魔"として扱ってくれる子音、君の態度を好ましくすら思う。」

君らがナメられたら終わりだと思うように。
悪魔だって、悪魔として意識されなければ終わりなんだ。
故に。
…その振る舞いの美しさが心地よくすら、感じられる。

「それは、どうも。……次は私が行くことを誓おう。これには書も要るまい。」

そんな彼女の背を見送り、ゆっくりと列が進んでいく。

―――。
―――。
―――。

恐らく、戻ってくるときも行列からヴィシアスを見つけるのは楽だろう。
鉄色で、赤がにじみ出る二本のツノ。長身と相まっていい目印になるだろうから。

「ああ、お帰り。子音、今…2時間待ちの札が見えてきたところさ。」

その強面には似つかわしくない緩い表情で改めて行列を共にしよう。
……戦いは、長い。「ここから二時間待ちで~す」という声が、それを証明してくれる。

緋夜鳥 子音 >  
「(なるほど、神様が信仰なくして在られへんのと似た感じか)」

彼を悪魔として認識しつつも、忌避を感じないのは……
日頃から神に対して敬意を払う一方、身近なものとして接するのと同じことだったからなのかもしれない。
ひとり心の中で合点がいったことに満足しながら買い物を済ませていく。

そうして戻ってくると、まぁ目立つわ目立つわ。
おかげで迷うことなく列の途中で合流を果たすことができた。

「けっこう進んだ気ぃするけど、まだまだ遠いなあ……
 そしたら交代しよか。あんまし離れんといてな?」

対する子音はただの人間、背も平均的であまり高いとは言い難い。
強いて言うなら、赤い番傘は人混みの中でよく映えるだろう。
そうして交代で休憩を挟み、時には二人で談笑して過ごし。
数時間の後、ようやく目的の店へと辿り着いたのだった。

無邪気に健闘を称え合う二人であったが、この時はまだ知らない。
ここから更に手続きやら何やらで時間を取られることを―――

ご案内:「学生通り」から緋夜鳥 子音さんが去りました。
ヴィシアス > 「あぁ。それではよろしく。」

進めども、進めども、先は遠い。
人の頭が無限に見えてくる。

長い時間、長い道のりの間、
交代を重ねて、食事を挟んで、一休みして。

それからやっと店に入った。

「やっと……店内に入れるな、子音……」

そのころには、もう薄青色の夜空だった。
さあ、購入―――だが、
そこから名前を書いたり、種族を書いたり。金銭の支払いから、何から何まで。

悪魔の契約に、ちょいと指を動かして名前を書くだけとは違う、
膨大な手続きが必要な契約との二回戦が始まって―――

さて、漸くオモイカネ8を手に入れたころには、空は濃紺色になっていた、という。

ご案内:「学生通り」からヴィシアスさんが去りました。
ご案内:「学生通り」にエルピス・シズメさんが現れました。
エルピス・シズメ > 「えーと……」

放課後。
時間が空いたので学生通りを歩くことにした少年が一人。

「オモイカネ8っていうんだ。」

新モデルの学生証とにらめっこしながら歩いている。
いわゆる歩き学生証、と言った感じだ。

エルピス・シズメ >    
「とりあえず、色々整理しないと。
 ここのところ、また記憶がぼんやりしちゃったし。」

 学修状況などを見返していく。
 読み返していけば何を学んでいたのかぼんやりと思い出す。
 クラスメイトの顔も、少しずつ整理が進み。

「テスト……テストかぁ……
 あんまり好きじゃないけど、とりあえずだいじょうぶかな……。」

 自分の調子や知らないこともいっぱいあるが、
 とりあえず一番なんとかしなきゃいけないのはテストだ。

「お勉強、大事。うん。」
 

エルピス・シズメ > 自分の学生証──およびオモイカネ8型のそれを活用して情報を読み返していく。学生証に不備がない

「委員会とか部活……は未所属であってるよね。
 してたような気もするけど、いつものデジャヴかな……うん。
 でも、もしも僕がそういうのに所属していたら──」

もしも自分が委員や部活に所属していたら。そんな空想に思いをはせる。

「もうちょっと忙しかったのかなあ……お勉強とかも、してる暇なさそう。委員会とか部活とかがんばってるみんな、大変そうだもん。すごいなぁ……。」

ほのかな尊敬と憧れを呟きつつ、端末から目を離し、委員会街の方角を見た。

エルピス・シズメ >    
「にしても……」

学修状況の中である項目郡を見て眉間にしわを寄せる。
魔法/魔術に関する分野だ。

「座学はとりあえず、分かるんだけど……」

実技となるとなんかできない。
記憶の通りに試したみたけど、イマイチ上手く発動できない。
学修状況を見ると、下手なりにまあまあできていたという事になっている。

「スランプかな。それとも何かでごまかしていたのかな。
 ……うーん、思い出せないや。誰かに話を聞いて覚え直した方が早いかも。」

何か上手く行かない魔法と魔術の分野は誰かを頼ろう。
そう思う事にした。

エルピス・シズメ >     
「お金……は普通にあるみたい。
 仕送りと……この義腕のモニター代、あと保険金だったかな……」

 ぐいんぐいんと"2つある"右腕を動かす。
 歪な形だが、歴とした義手だ。事故が切っ掛けだった記憶がある。その記憶はあまり思い出したくないので蓋をする。

「確か人体拡張の名目だっけ……
 とりあえずお金は大丈夫。あとのもんだいは……」

 


「友達の顔が思い出せない……」

 

エルピス・シズメ >  
「いるよね? いなくてもせめて知り合いとか会話とかできる先輩後輩ぐらい……」
 
端末の連絡先を見る。
そこそこの連絡先はあるが、端末を変えるときに履歴まわりの引継ぎを忘れてしまった。

「……実はぼっちで妄想とか既視感で居た気になってるとかじゃないよね?いや、むしろその可能性も高いかも……。」

こんな腕だし。
性格と記憶も良く曖昧になるし。

そんなことを考えてたら気がめいってきた。
気付くとしょんぼりと頭が下がる。

 

ご案内:「学生通り」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > とある戦いで右腕と右足を失い、まだ修理が完了していない改造人間。顔の右半分と右肩、右太腿には包帯が巻かれており、機械仕掛けの車椅子に腰掛けている不良少女。
自動販売機にコインを投入し、ボタン押そうとするも……困った……。
元々あまり背が高くない事に加えて、車椅子なので飲みたいドリンクが高所にあって押せない……。

「……えっと……こんなはずでは……」

手を伸ばしても届かない。無理。
きょろきょろと周りを見渡す。

「あの……そこの方、少しよろしいでしょうか?」

自販機のボタンを代わりに押してもらおうと、学ランを着た不思議な義手の少女(と思っている)に話しかける。

エルピス・シズメ >  
(あの子……)

自販機付近の自分と同類、もしくは完全なそれの少女の姿。
車いすに包帯。傷跡が生々しい。
大丈夫かな。何かあったのかな。

そんなことを考えていたらら目があって、話しかけられ──


「ひゃえっ、え、えっとぼく?
 ……うん、大丈夫だけど……どうしたの?」

驚いたものの気を取り直し、
すこしかがんで、目線を合わせ直す。
 

Dr.イーリス > たまたま近くを通りがかった人にお声掛けした。
義手に義足という事は過去にそれ等を失った出来事があったのだろうかとか想像しつつ。

「あの飲み物が飲みたいのですが、お恥ずかしながら手が届かなくてですね……」

イーリスが指で指したのは、高い段にあるりんごのパックジュース。

「お手間をおかけしますが、代わりに押していただけないでしょうか。あのりんごジュースが飲みたいです」

エルピス・シズメ >  
失った経緯はともかく、彼女(彼)のような彼の義手義足が一般的なモデルでないことは確かだ。
とは言え、常世学園ではありふれた事でもあるかもしれない。
それはさておき、

「ん、ちょっと待ってね。」

即応。

自販機を一瞥して立ち上がれば義手──第3の腕を使って自分の財布からコインを抜き取り、投入して高い段にあるりんごのパックジュースを選択して購入。

がしゃこんと落ちてきたりんごのパックジュースを第3の腕で回収し、第3の腕から左手に持ち替えて差し出す。

「えっと……これでよかったかな?」

頼まれることにも腕を使う事にも慣れ切っている、当然のような動きだ。

Dr.イーリス > 腕が多くてそれらを全て器用に動かせるなら便利そう、と思いながら眺めている。
少女(暫定)の義手義脚は一般に流通しているものではないが、義手義足をオーダーメイドする人もいるだろう。

「あの、既にお金は入れらていて……」

少女がコインを投入しようとするとするのを見てそう口にするも、言い切る前には既にボタンは押されていた。
とても暑いので、ボタンを押してくれた少女もついでに何か飲もうと思ったのかな、と思案して。

「助かりました。ありがとうございます」

左手でパックジュースを受け取って一旦膝の上に置く。
ストローを刺そうとするも、片腕なので中々上手くいかない様子だった。

「義手の扱いに慣れていらっしゃるのですね。人の腕は元々二本なので、義手で三本以上に腕を増やしてしまうとバランスが取り辛かったり、一本単位での腕の動かし方がぎこちなくなったりで不都合が出るケースもあります。腕を増やしても、人の脳は変わりませんからね」

頑張ってパックジュースにストローを刺そうとしつつも、その不思議な義手を興味深く眺めていた。

エルピス・シズメ > 「あ、……」

一瞥しただけで、クレジットまで見ていなかった。
余剰のクレジット表記を見て恥ずかしそうに視線を逸らす。

(後でいちごみるく買っとこ)

「どういたしまして。お手伝いできたならよかった。
 ……そうだね。拡張腕になれるのは大分大変だったかな。
 なれたら便利なんだけどね。着れる服が限られちゃうのは欠点だけど……」

すこしだけ自身の義手について言及した後、ストローに苦戦する様子にも気付く。

手伝うべきか、手伝わないべきか。
自然に差し伸べそうになった手を止め、一度見守る事にした。

(だいじょうぶかな……流石に手伝い過ぎたら不審に思われちゃうかもしれないし……)
 
 

Dr.イーリス > 「私は改造人間ですから、慣れるまで大変というのはよく分かります。訳あって今失っている腕や足も修理中ですね。腕三本用のお洋服は、お店には並んでいませんからね。色んな種族が入り混じる異邦人街でなら、多腕多脚専用の洋服店を見た事があります」

とても興味深いお店で、印象深かった。
タコの獣人みたいなのがいくお店なのだろう、多分。

パックにストローを差し込もうと奮闘し、やっと差せたと思ったら変にパックに圧をかけてしまった。パックが潰れて、中のりんごジュースが飛び出てイーリスの履くスカートにぶちまけてしまう。
イーリスはぽかんとした後、右目は包帯で覆われているが、左目が潤んでしまう。

「……ぁ……」

今は一人ではなく、目の前に少女がいる事を思い出して左手で軽く左目を拭った。

「……少し……うっかりしておりました。全部零れたというわけではありませんので、ご心配なく」

何事もない風を装い、一旦パックを膝に乗せてハンカチを取り出してスカートを拭い始める。

「申し遅れました。私はDr.イーリス、授業をまともに受けてないのでテストをどう乗り切ろうと悩むしがない不良生徒ですね。近頃は、不良のリーダー格に『修理済むまで、大人しく療養してろ』なんて言われていますが」

エルピス・シズメ >  
「そっか、キミもそうなんだ。それに修理中……
 ……異邦人町にはあるんだけど、種類が少なめ可愛い服となると……」

目の前の少女の身の上に不安を覚えながらも服の話題が出たあたりで、ごにょごにょ、と言葉を濁し、ていたら──


「あ……」

べしょと、無残に飛び散るパック。
次いで見える悲しそうな瞳と、着丈にふるまう仕草。
できることもない為、その姿を認めるに留まる。

「えっと……、上手く言えないけど……めげないでね。
 リハビリもきっと、大事だから……」

励ましの言葉を掛け、第3の手で紙パックのイチゴミルクを購入し、続いて語られた少女の自己紹介にはしっかりと聞く。

「Dr.イーリスちゃんだね。……不良生徒で、リーダーさん、ではなくて…………ぁ、僕はエルピス・シズメ。無所属の一般学生で一年生の男子生徒だよ。体力としぶとさには自信があるかも。改めて宜しくね、イーリスちゃん。」

情報の整理は後回しにし、左手で握手を試みようと差し出した。

Dr.イーリス > 「はい、あなたと似たような存在と言えるかもしれません。私の場合は、特に不幸な事故などではなく自分で自分を改造しているのですけどね。可愛いお洋服の種類となりますと……さらに少なくはなりそうですね……。それは確かに……悩めるところです……」

着れるお洋服が少ないというのは、おめかししたいという年頃の女の子として大きな悩み……。

りんごジュースがスカートに零れると、少女に励ましの言葉をいただいて少し頬が緩む。

「ありがとうございます。りんごジュースを半分以上失っても、前を向いて生きていこうと思います。その……残り少ないお小遣い……それでも暑さに耐えられず、自販機の誘惑に負けて夕食を失う事を覚悟して購入に至ったりんごジュースですが……そ、それでもあと少しは残っていますからね……」

スラムや落第街で暮らすストリートチルドレンな不良、とても貧困。
自分で口にしていて、またちょっと瞳が潤みそうになった。

「エルピスさんでございますね。よろしくお願いしま……男子……生徒でございますか?」

瞳をぱちぱちとさせて、エルピスさんを眺める。

「今のご時世、男の子が女の子の姿をするのがトレンドなのでしょうか」

最近よく女の子の姿をする男子と出会っている気がする。

エルピス・シズメ >  
「自己改造なんだ。修理には出しているって言ったけど、メンテナンスは自分でできるのかな。
 そういえばDrって…………あっ、可愛いお洋服はなし!なしで!?」

慌てた様子で否定する。
隠す気のない漏れ具合だが、本人的には恥ずかしいらしい。

そんな狼狽も、イーリスの身の上を聞けば平静を取り戻す。
自分のことは二の次に、自然と心と身体が意識してしまう。

「う、うん。最近暑いしね……あの、お節介かもだけど、
 これ……つぎはがんばって、ね?」

ちょっと前に購入していた紙パックのいちごみるくを第3の手で差し出す。
これくらいは不審に思われないだろう、との判断かもしれない。
内心で情報を整理しつつ、先走る感情を抑えて距離感を測っている。

少なくとも綺麗な身分ではなく、何かしらの荒事にも巻き込まれた後。
純粋で健気だけど裏もありそう。大雑把だが、そんな判断。

(とりあえず、これくらいなら大丈夫だよね……)

「うん。肉体的にもちゃんと男の子だし、男子寮住まいだよ。
 ……あっ、う、うん。そんなトレンドもあるんだ……そうだったらいいかも……じゃなくて、いや、ううん……」

自己紹介を交わし合い、状況が落ち着いた所で装いの話が出ると再び動揺。分かりやすい。

Dr.イーリス > 「修理に出しているのではなくて、自分で修理しています。私は、しがないメカニックでもありますからね。この体の修理を補助する助手用のメカもあるのですよ。そう恥ずかしがらずとも、着たいお洋服を着るのは良い事ですよ」

と言うイーリス自身、おシャレはしたいと思いつつも節約を優先してしまう性分だけど。
差し出されたいちごみるくに、イーリスの表情は明るくなる。

「よろしいのでしょうか。ありがとうございます、エルピスさん」

両手でいちごみるくを受け取り、再び片手でストローをパックに差そうと奮闘。苦戦していた。

「本人の努力か、あるいは本来の性別とは違う外見として育つ人が一定数いるのかもしれませんね。なるほど、男の子だけど女の子のおシャレをする事に興味がありつつ、しかしながら恥ずかしさを感じているという事でございますか」

エルピスさんの動揺を見て、さらにこれまでの話の流れから、そのような推測をしてみる。

エルピス・シズメ >  
「思った以上にすごかった……
 ……ううん、うん。……ええと、そう……」

別の意味で驚き、軽い混乱。
人は見た目に因らない。着たいものへの肯定へと、彼女の実力の両面に思考が追いついていない。


「うん。どういたしまして。
 これくらいしかできないけど……」

次は上手く行くといいな、と、見守る視線。
一応、次も失敗しそうだったら手伝おうと気は張っている。

が、話題が話題ともなれば。

「あ、改めて言語化されるとすごく恥ずかしい……
 ……穴があったら埋まりたい……でもうん、そうかも……」

 顔を真っ赤にして手で覆った。
 否定しきれなくなったので、降参めいた肯定を示した。
 

Dr.イーリス > なんだか歯切れが悪くなっているエルピスさんにやや首を傾げてしまう。

「喉が乾いていたのでとても助かります。エルピスさんの分をいただく形となって申し訳ございません。ん……。う……」

先程より慎重になっているので同じミスは繰り返さないまでも、それ故に片手で紙パックにストローを差すのに苦戦。片手では中々差せない……。先程の悲劇を起こさないためには……。
瞳をエルピスさんに向ける。

「あの……ストローを差してください……」

ストローを紙パックに差す、という簡単な事をお願いしてしまう事に少しだけ頬を染めてしまった。

「ちょうど、この車椅子にドリル機能が搭載されていました。埋まれる穴掘りますね」

機械仕掛けの車椅子、その後ろ部分からいきなりアームが飛び出ると、その先端がドリルとなって大回転しだした。
穴が合ったら埋まりたい、というただの例えに対して、本当に穴を掘ろうとする車椅子。

「それはさておき、可愛くあろうとする事はとても素敵な事。恥じらう事もまた、ご自分を可愛らしく着飾るスパイスとなるかもしれませんし、男の子だからこう、女の子だからこう、というのは見方によっては些細なものです」

特にストリートチルドレンという立場において、女の子だからこう、という環境にあまり馴染みがなかった。

エルピス・シズメ >  
「うん。任せて。……こんな所かな。」

 即答。
 迷いなく至近まで近寄って、丁寧にストローを受け取って刺し通す。
 綺麗に刺さっているので、多少の事では外れたり飛び散ることはなさそうだ。

 ストローを刺して落ち着いていたら。
 "……何か嫌な予感する。"そう思った瞬間に響く駆動音。
 イーリスの言葉通りのドリルだ、と気付く。

「あ、だいじょうぶ、大丈夫だから?!
 言葉の綾というか、なんというか!?」

 ドリルが落ちそうな場所に足を置きながら静止の声掛け。
 先ほどまでとは別の意味であわてている。

「そ、それもそうなんだけど……やっぱり恥ずかしさが勝っちゃって……
 ……え、えっと、この話は置いておいて……良かったら、連絡先とか交換できないかな?」


 強引な話題転換。
 危うくオーダーメイド品が一着二着あることまで漏らす所だった、と言うのは後日談。
 
「僕もこんな身体だからね。いざと言う時に相談に乗れるお友達が欲しくて……。」

 そう言って第3の腕を回す。
 ちゃんと理由のある提案、のつもりらしい。