2024/06/30 のログ
ご案内:「学生通り」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
入院が、終わり。
ひとまず、落ち着いて、家に帰れるようになったとある日。

家に荷物を置いて、一段落して、外に出る。

姉にはダメと言われたけれど、ごり押して、お散歩。

ーー痛みは、ない

ゆっくりと歩いて、身体の調子を確認しながら、辺りを見渡し。

そっと、自身の連絡端末を見る。

そこには新しい名前が2つ。

「うぇへへ」

気味悪い笑みが零れた。

ご案内:「学生通り」に緋夜鳥 子音さんが現れました。
緋夜鳥 子音 >  
「なんや、えらい上機嫌どすなあ」

不意に背後から声。
周囲を見回した際には死角にいたのか、気配を消す手段でも持っているのか……
いずれにせよ気取られることなく、微笑を湛えた黒髪の少女が立っていた。
同学年かつ風紀委員とも関わりのある祭祀局の所属なので、見覚えがあってもいいし、なくても構わない。

伊都波 悠薇 >  
「フゴっ!?」

息を吸い込んだ瞬間の声掛けに、びくぅっと跳ねる。
変な音が鳴った。
豚のような声が出た。

ギギギと、ロボットのように振り向いて。

「ど、どなた、でしょう?」

消え入るような声。
冷や汗はダラダラだった。

緋夜鳥 子音 >  
「あら、驚かせてもうた?
 すんませんねぇ。そないなつもりあらへんかったんやけど……」

聞いている方もびっくりしそうなリアクションだったが、どこ吹く風。
片手に和傘を持ち、もう一方の手は頬に添えて、困ったような笑みを浮かべている。

「そない怯えんでも、取って喰ったりせえへんよ。
 あんた伊都波はんやろ? うち、同じ2年の緋夜鳥(ひよどり) 子音(しおん)いいます。
 たまたま見かけて……なんや歩きにくそうにしとったから、どないしたんやろ思て」

軽く会釈をすると、綺麗に切り揃えられた長い黒髪がさらりと揺れた。
どうやら身体を気にしてゆっくり歩く様子が気になって近付いてきたらしい。
そこで端末を手に笑みを浮かべているのを見て声を掛けたという経緯のようだ。

伊都波 悠薇 >  
「ぴぇ」

知られている。
しかも妹としてではなく、個人として。
最近多い話。嬉しくて変な声がまたでた。

「え、あ、えと、その、最近、怪我、してまして。入院、で」

コミュ障と、陰キャが全面にでてしまった。

ーーキレイナ人

美人さんが多いなと思う。
黒髪が綺麗で、自然と目がいく。
整った顔立ちに、和傘がよく、似合う。

「く、くう!?」

しないよ、といっているのに単語ひとつでけが耳に残る。
脳内で、とある想像をした。
脳内時間は5分くらい。現実では2秒。

ぷしゅー、と顔を真っ赤にして湯気がでた。

「は、はじめまして……ヒヨドリ、さん」

ひとまず、ちゃんとご挨拶をひとこと。

緋夜鳥 子音 >  
「あらまあ、そら災難やわ。
 やっぱ風紀(そっち)も色々と大変なんやねぇ」

指で押すと音のなる人形のような声を出す様に面白い人だな、なんて印象を抱きつつ。
怪我で入院をしていたと聞けば、流石に心配そうな声色になる。
こうして表を歩いている以上は大事に至らなかったというわけだけれど。

「つい最近もなんや色々あったみたいやけど……
 うちは祭祀局、それも怪異専門の祓除課やからなあ」

最近の事件―――大雑把な経緯は聞き及んでいるが、詳細は知らない。
ひとまず沈静化はしたものの、風紀側にも被害多数という話だったし、万事解決とは言い難いだろう。
管轄外なこともあり、祭祀局としては何の力にもなれなかったので少し心苦しくもある。

「ま、堅苦しい話は置いときましょか。
 面と向かって話すのも初めてやし、よろしゅう……って、伊都波はん?
 そない顔真っ赤にして、どっか具合でも悪いん?」

初夏の日射しが響いたのだろうか。
歩み寄って和傘の下へ匿い、じぃっと顔を覗き込みながら額へ手を触れようと。
果たして、妄想の中では顎クイで迫りでもしていたのだろうか。

伊都波 悠薇 >  
「ぁぅ、ね、ねつは、ない、です」

額に手を当てられると、ぎゅっとスカートの裾を握りしめて。

ぷるぷる震えながら動けなくなる、が。

「ぁ、ぇと。その、今回ばかりは私がダメだっただけなので」

知っているなら、この少女がよく言われたことがないのも、運動もてんで良い噂も聞かないのも耳にしていることだろう。

「祭祀局……」

名前を聞けば、それだけで才覚がある人なんだろうなと思って。

「あ、ぇと、ヒヨドリさんは、なにをしに? 私は散歩と、ちょっと買い食いを、しようと」

堅苦しいのはあとにして。その言葉通り話題をずらした。

緋夜鳥 子音 >  
ひんやりとした掌で触れてみれば、確かに高熱ではない。
人前であがってしまうタイプなのかな? と思いつつ手を離した。

「なぁに、生きてたら十分に儲けもんどす。
 そうやって反省できるんは、まだまだ伸びしろがあるっちゅうことやし」

自分は彼女のことを名前と所属くらいしか知らないし、噂はあくまで噂。
説教を垂れるつもりも、そばで慰めるほど親しい仲でもない。
だから前向きな言葉をかけるに留めて、そのまま話題をシフトしていく。

「うちも似たようなもんやね。こないだ新しい端末(ケータイ)買ったんやけど、操作によう慣れんもんで。
 こうやって散歩がてら、色んな機能を試してみよう思ててん。
 伊都波はん、こういうの詳しかったりせぇへん?」

つい先日リリースされたばかりの最新機種(オモイカネ8)を取り出して見せる。
店員に乗せられるまま購入したカバーと保護フィルムは付いているものの、ストラップ等の飾り気はゼロ。
何の認証もなく開かれたホーム画面には、プリセットの到底使わないアプリがずらりと並んでいる。

伊都波 悠薇 >  
「そ、そうですかね」

にへらと、笑って伸び代といわれるとちくりと胸が痛んだが気付かないふりをした。

「えと、あんまり詳しくはないですけど。マップ、とかつかうとかですか?」

散歩しながら機能といわれると思い付くのはそれくらい。

「どこか、こんなところいきたい、とか、あります?」

自分の端末を操作しつつ。

緋夜鳥 子音 >  
「まっぷ……ああ、そういや地図がどうとか言っとったわ。
 仕事でも役立つやろし、使えるようにならんとなぁ」

そういうのもあるのか! という顔をする。
プリセットの一つなのでホーム画面に出ているのだが、アイコンで判別できていない。

「折角やし、いつも行っとる茶店とは別のとこ行きたいわぁ。
 なんか食べれるとこ……伊都波はんのオススメでええよ」

隣に並ぶような立ち位置へ移動し、そちらの画面を覗き込んで。
和傘の下、肩が触れ合うほどの距離。
香油でも使っているのか、ふわりと花の香りが漂った。

伊都波 悠薇 >  
「え゛」

オススメのところ、と言われて濁った声がでた。
そんな、たいした場所をぼっちが知っているはずもなく。

「か、辛いもの、とか、とくい、ですか?」

何故か、辛いものが出てきた。
近いことを意識するよりこの場をなんとかしなければと思ったようで。

緋夜鳥 子音 >  
「買い食いする予定やったんやろ?
 行きつけの店やと、地図とか見んでも場所分かってまうし。
 せやったら伊都波はんに任せたろかな思て」

にこやかに丸投げしてくる。
理由としては理に適っているのだが、心なしか有無を言わせぬ圧があった。

「辛いもん? まぁまぁ行ける方やね。
 伊都波はんは辛いもん好きなん?」
 

伊都波 悠薇 >  
「好きというか、甘いものより、そっちのほうが、食べる機会が多かった、だけ、で」

漸く気付く。

ーーち、ちかくない!?

良い香りもするし、いろいろ、大変だ。
いろいろ。

「えと、こんな、感じで、お店の名前を入れると探せたり、します」

マップをつかって、検索。
そこは、辛さのグレードを選べるラーメン屋さんのようだった。

緋夜鳥 子音 >  
「馴染みの味っちゅうわけやね。
 えーと、どれどれ……ほんほん、こないな感じなんや」

悠薇の言葉に頷きながら、その手の端末を覗き込む。
必然、さっきよりも距離は近くなるわけで―――

「……? どないしたん?」

挙動に気付いて顔を上げれば、もはや目と鼻の先であった。

伊都波 悠薇 >  
ぽんっと、頭から湯気が出る。

「えと、ちかい、です」

流石に声が出た。
最近、風紀委員の人と似たようなことがあったから、オーバーヒートせずに済んだ。

「と、とりあえず、これがマップ、です。か、辛いものは得意ですか?」

気を取り直して。
一歩分距離を取り、すぅと深呼吸。

緋夜鳥 子音 >  
「あらま、伊都波はんが茹でダコみたいになってもうた。
 女同士やし、そない照れんでもええやないの」

指摘されれば目を丸くしたが、素直に離れてはくれるだろう。
どうやら地図を見るのに夢中で無意識にそうなっていたらしい。
面白かったのか、口元に手を当ててくすくすと笑っているが……

「そこから仕切り直しなん? まぁええわ。
 ほな、そこにしよか。この線に沿って歩いてけばええんやろ?」

さっきと同じ問いを繰り返されて苦笑しつつも頷いて。

伊都波 悠薇 >  
「はぁうっ」

てんぱって、同じ質問をしてしまった。
恥ずかしい、と顔を俯かせて。

こ、こっちです、と一緒に歩き始める。

「お、女同士でも大変なこともあるんですよっ」

最近、嵌まっているチョメチョメ小説はそういうのが多いからか、そんなことを口にして。

「ぅぅ。あじ、するかな……」

今の状況で味を楽しめるかは不安だった。

緋夜鳥 子音 >  
「んふふ」

俯くあなたとは対照的に、こちらは上機嫌で歩みを進める。
ラーメン屋よりも今は悠薇の反応を見て楽しんでいるようだ。

「女同士で大変なこと……たとえば?」

だから、にやにやしながら意地悪な質問をしてみたり。

伊都波 悠薇 >  
「え゛」

例えば、といわれるとカエルが潰れたような声。
道を間違えないように、歩くペースを合わせて。

「き、キンチョーしたり、ドキドキしたり、とか…………ですぅ…………」

だんだん声音が小さくなって。

「それは、その、同性でもかわりないですから。はぃ」

ぼっちである、自分には特に。

緋夜鳥 子音 >  
「それで、さっき顔真っ赤にしとったんやね。
 かいらしい(可愛らしい)子やなぁ、伊都波はんは」

そういった緊張感とは縁遠そうな余裕ぶり。
散歩も兼ねているので、周囲の景色も眺めながらのんびり歩く。
たまに、行ったことのない店を指差し、あれは何かとマップで確かめてもらったりして。

「まぁでも、うちの我儘に付き合うてもろて助かるわ。
 うち一人じゃ端末(こいつ)を使いこなせそうにあらへんもん」

わりかし途方に暮れていたのもまた事実。
改めて感謝を伝えたりしている内に、目的地も見えてくるだろうか。

伊都波 悠薇 >  
「そ、そんなこと、ない、です」

可愛らしくはないと、いいながら、到着した場所で。

「えと、じゃあ、入ります、か」

中に入る。ラーメン屋さんはカウンター席のみで、隣同士の席に。

「えと。一番辛いので」

慣れたように注文して。

「いえ、その、困ったときはお互い様ですから」

それにしても、携帯の操作が苦手となると今後大変だろうなとも思うのでできる限りの機能を待ち時間教えることにする。

カメラとか、連絡先の登録とか基本的なものを重点的に。