2024/07/20 のログ
伊都波 悠薇 >  
「ぬいぐるみが、欲しかったんですか? 結構、そういうの集めるの好きなんです?」

意気込んでいる姿に、自分だったら取れないだろうなぁと心のなかで弱気発言。

「一人っ子。だから、そんなにしっかりして立派で美人なんですね」

うんうんと、頷き。

「はい。姉は甘いものも好きですから、帰りに喫茶店とかよったりして……」

そして、ホラーと聞くとポスターをみた。

「結構意外な好みですね……」

黒條 紬 >  
「ええ! ぬいぐるみ結構好きなんですよ~っ!
 
でも、さっきのは悠ちゃんとお揃いのペアキーホルダーが出たので、
 あれが一番の当たりですっ。ああいうの、憧れてたので」

どうやら本気で言ってるらしい。ただ何となく気恥ずかしくなったのか、
悠薇の方から少し目を逸らして、たはは、と笑いながら頬を掻くのであった。
紬もまた、友達が少ないのは事実であった。

そうして一つ息を吐けば、青紫の髪を靡かせながら、また前を向いて歩くのだ。

「ぜ、全然しっかりしてなんか……! ぽんこ……いやこれ、前にやり取りしましたね」

やめましょうやめましょう、と。
困ったように笑えば右手をすいすいと振って。

「あはは、よく言われますね~。休日なんか、結構ああいう映画観てることが多くて。
 意外と良いものですよ~? 流石に態々この場で誘ったりしませんが……」

退院祝いに、人の頭にかぶりつくサンドイッチを見せようなどと、
さすがに酔狂がすぎる。

「そういえば、もう身体の調子はすっかり良いんですか?」

ここに来てふと、思い立って紬はそう聞いてみた。
見た所、具合は悪そうに見えないのだが。
辛いラーメンも食べると言っていたのだし。

伊都波 悠薇 >  
「ふむ」

好きなもの、を聞くと覚えておこうと思った。
後々、大事だ。

「お揃い、ありがとうございます」

少し顔が熱くなるけれど、気にせずお礼をいいきり。

「身体は、今のところ、特別なことは。心は、この間の姉とお話できたおかげで大分良いです」

ふわり、微笑んだ。

「……じゃあ。今度、映画見に来ます、か?」

そのついで。
勇気をもって口にしてみた。

黒條 紬 >  
「ほんと、まさかの偶然でしたね、あれは。
 だからこそ、特別感ってあるのかもですけど。
 あー、えっと、体調問題ないようなら良かったですっ!」

後頭部に手をやり、紬は笑いながらそう返す。
お互いに赤くなっている少女二人、何だか変な感じだった。
それぞれにとってまだまだ少ない、そして大切な友達になっていくかもしれない存在。

近場で売っていたキャラメルポップコーンの香を乗せた風が、二人の間を吹き抜けた。

「え、映画ですか、二人で、一緒に? えと――」

あんな映画の趣味を公開したばかりなのに、言ってくれる。
そのことがとても嬉しかったようで。

「――喜んでっ!」

本日一番の笑顔で、応えたのであった。

そうして二人の楽しい休日は過ぎてゆく――それはそれぞれにとって珍しい時間。

それは、青春のアルバムの一ページにしまわれるのだろう。

ペアのキーホルダーと、キャラメルの香りと共に。

黒條 紬 >  
 
 
それから激辛ラーメンを前にして、紬はとんでもない声を挙げていたそうだが、
それはまた、べつのお話――。 
 
 

ご案内:「学生通り」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から黒條 紬さんが去りました。