2024/08/07 のログ
ご案内:「学生通り」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
風紀委員の仕事とは、日夜犯罪者、違反生徒と戦うだけではない。
本質は治安維持、及びその名の通り風紀の維持である。
此処、学生通りは比較的穏やかながらこの夏季休業は何かと混みがち。
特に歩行者や車両が行き交う時は、ちょっとしたことから事故が起きがち。

「技術が進歩しても、超常的力があっても、最後に使うのは人間ってことか……。」

一人呟く少年はベンチに座って独り言ち。
歩行者用通路の設置された休憩用のベンチだ。
今のベンチはベンチから冷気が出るので、この炎天下の昼間でもしっかり休む事ができる。
その視線の先には交差点が有り、中央には蒼白の人形ロボット。Assault Frame(アサルトフレーム))
本来はパワードスーツであり、操縦士(パイロット)が着込むことで真価を発揮する。
あの機体は少年の愛機であり、此れは自立型AI機能のテストでもある。
AI技術も進化した昨今、こうした機械が交通整備を行うのも珍しくはない。

「……にしても、やっぱり格好いいな……。」

デザインに我儘を言ったかいがある。
男ならば誰もが自分だけの専用機には憧れるものだ。
ベンチの上で腕組頷く姿。人によっては怪しいやつである。

ご案内:「学生通り」に伊都波 凛霞さんが現れました。
橘壱 >  
そうこう頷いている矢先に、早速飛び出し発生。
信号見ていたなかったのか、意図的に無視したのか。
かくも、飛び出した生徒を視認したFluegele(フリューゲル)一つ目(モノアイ)が光る。
驚異的な瞬発力。迫る車より素早く、一瞬のクイックブーストで生徒を持ち上げて歩道へと避難。
一瞬の交通ダイヤの乱れは他の風紀委員がカバーし、敢え無く生徒は他の風紀委員に連行される。

「……矢島先輩はああ言うの厳しいからなぁ、厳重注意が凄いぞ……。」

交通の鬼、矢島風紀委員に掴まってしまうとは運がない生徒だ。
まぁ、急ぎか知らないが自らルールを破った罰だと甘んじて受けてもらおう。
Fluegele(フリューゲル)の調子も悪くないようだ。
機体のバイオグラフィティはベンチに置かれたノートPCに逐一表示されている。
此れは決してサボりではない、いざという時は此方が遠隔操作しなければならない。
AIは完全じゃないし、融通も効かない。ちょっとのミスでも車両を止めかねない。
そういうときに、此方の操作が必要になるのだ。

「いくらテストと言っても、見てるだけは意外と退屈するな……。」

一緒に交通整備してもいいが、いざ反応が遅れたら此方の手動操作に切り替えれない。
今は風紀の業務中、"ながら"勉学も以ての外。意外と真面目なのだ。
ふぅ、と退屈を溜息と一緒に吐き出して頬杖を付いた。

伊都波 凛霞 >  
朝の見回りを終えて風紀委員の本庁へと報告。
昼前には今日は仕事もなくなり、お疲れ様でしたと本庁を後にする。

さて真っ直ぐに帰ろうかどこかに寄ろうか。
気温は相変わらず高いけど、このくらいで参るような体力をしてはいない。

夏季休暇中の、昼間でも私服の生徒が歩く往来を行く。
それはたまたま通りかかっただけだったけど、ベンチで腕を組み、うんうんと頷く少年が目に入った。

「………橘くん?」

思わずベンチの前で立ち止まってしまった。

橘壱 >  
さて、そうこう言ってる内に声をかけられた。
聞き覚えのある声に一度鼻腔をくすぐったこともある匂い。
ぴくり、と眉が動き少々気まずそうな表情をする少年。

「……どうも、伊都波先輩。」

ぺこり、そちらを向いて座ったまま軽く一礼。
何処となく、というよりも大分ファーストコンタクトより丸みがある。

「お久しぶり、です。えー、あーっと……妹さんには何時もお世話になってます、はい。」

何時ぞやの尊大さの欠片もない。
小市民めいたおとなしさだ…!

伊都波 凛霞 >  
あれ?
記憶違い…かと一瞬思ってしまった。
いやでも、声も顔も一致。
名前も、橘くんと呼びかけて応えてくれたのだから間違いない。
とはい、ちょっとだけ…驚いたようにもともと大きな目を丸くしてしまうのも無理はない。

「こ、こんにちわ。
 うん、悠薇からちょっとだけ聞いてはいたけど……」

ちゃんと挨拶を返してくれるだけじゃない。
なんか、こちらを気遣うような物言いまで……。

「ほんとは入院してた時にお見舞いに行こうかと思ってたんだけど、もうすっかり良くなった?」

まだ、それほど前の話というわけでもない。
夏季休暇に入るほんの少し前、件の機界魔人の騒動もまだ記憶に新しい。

どうしたことか尊大な態度が抜け落ちた彼が少し心配にもなったけど、
これはこれで、なんかちゃんとしてる感じもする…するので、笑顔でそう言葉を返そう。

橘壱 >  
実のところ言うと実際に聞くまで本当に姉妹かと疑っていた。
余りにも正反対というか、にてないと言うか。
けどしれっと肯定した。どうやらマジらしい。

「まぁ、あんまり良い言われじゃないと思うけど、迷惑掛けてばかりだし。
 少しは苦労をかけた分、僕もちゃんと恩返しできる機会があればいいんだけど、どうにも……。」

こうして改心するきっかけを多くの人に促され、妹さんだってその一人だ。
特に彼女には大きく背中を押してもらった、と勝手に思っている。
この前の仕事でも迷惑をかけてばかりだったし、せめて何時かは恩返しせねばなるまい。
そう、最初に会った時以上に人を気にかけ、人に思うところがある。
成長か退化かは本人も決めかねる所ではあるが、何処となく憑き物が取れた感じはする。

「おかげさまでこの通り。見舞いにされるような程でもないし……
 ……それよりも、最初会った時は失礼な態度をとってしまいすみません。」

そう、そうして最初会った時の事を謝りたかった。
あの時の不遜さではなく、真剣で真面目な表情で見上げて、謝罪をする。
本来あるべき少年の気質、そういう部分が全面に出ているのだろう。

伊都波 凛霞 >  
少年がそう感じるのも無理はない。
まるで太陽と月。雰囲気なんかも正反対。
よく見れば顔立ちなんかはそっくり、なのだけど。
目線を隠しがちで表情の分かりづらい妹と、真逆によく表情を変える姉。
疑わしく思われても、無理はないのである。

「………」

この子。本当に変わったんだ。
そう実感する、それくらいに…最初に出会った時とは別人のよう。
男子三日会わざれば。
三日どころでなく間が空いてればこれだけ変わるのだろうか。
……いいや、変わり過ぎである(自問自答)

「隣いいかな」

笑顔のまま、そう問いかける。
そんなには密着する程ベンチは狭くない、はず。

「風紀委員にあがってた報告書は目を通してたけど、実際のところどうだったのかは気になって…。
 後に残るような怪我がなかったのは、本当に良かったね」

あれは、大きな戦闘に違いない。
もしかしたら若い時分で、一生物の傷を追う可能性だってあった筈。

「最初会った時って本庁のロビーでのこと?
 あはは、気にしてくれてたんだ? いいよぉ気にしなくて。
 世間だと高校生くらいなわけだし…それが失敗だと思ってるならきっとよくあることだよ」

私も気にしてないから、と微笑んで。
にしても…こんな性格だったんだ…と驚きの連続。
あの時点ではさすがにこの姿は…凛霞の異能を持ってしても予測できなかった。

橘壱 >  
「えっ」

隣りに座ってくるのかこの人。男の隣に?
結構躊躇がないと言うか社交的なのか、マジで言ってるのか。
レンズ越しに目を丸くしつつもじぃ、とその全身をまじまじと見る。
……うん、大丈夫。いけるな。此れくらいのむちっと具合なら大丈夫。
決していやらしい目ではない。計算したのだ。すす、っとベンチの隅に行く。

「どうぞ。」

とりあえず隣を開けた。此れくらい開ければ決して肉体同士が触れる事はない
完璧な計算(のはず)だ。我ながら自分を褒めてやりたい所だ。眼鏡くいっ。
そういうところが気持ち悪いとこだぞ、オタクくん。

「一応今も仕事はしているんで、風紀である以上やることはやってます。
 ケガをしたのは、僕自身がアイツを上手く使えなかった弱さだから仕方ない。」

もっと自分が強い操縦士(パイロット)であれば、機械魔人にも遅れは取らなかった。
あの事件も終わり、今もこうして平和な日常が訪れている。
もう少し上手くやれてれば、Fluegele(フリューゲル)だって、人的被害も必要以上にでなかったはずなのだ。
でもやはり、敗北の思い出は苦いものだ。
歯がゆさに思わず奥歯を噛み締めた。

「……まぁ、はい。そう言ってくれるとありがたい、です。
 それでも失礼した事は変わりないないんで、ケジメは付けないと……。」

「そう言えば、えっと。妹さんとは同居とかされてたり……?」

今だちょっとぎこちないのはそういう気まずさのせい。
なんだかんだ律儀なのか、気にするタイプらしい。

伊都波 凛霞 >  
失礼します、と小さく断ってからベンチへ。
日差しの下でも熱くない。この島の技術はこういう細かい部分でも凄いなと実感する。
そして距離感に関しては大体この少女は誰に対しても躊躇がないし、近い。
人懐っこいといえばそれまでだが、色々と誤解も生んでいるので一長一短だ。

「真面目そうだなとは思ってたからね。仕事ちゃんとしてるのは感心感心♪」

アイツ、彼が称するもの。
交通整理を器用に行うAI制御のそれを視界に捉えながら、そっか。と小さく相槌。

「あれで弱かったから、なんて。
 君と彼との戦闘データ、しっかり分析したおかげで結構イイ線いけたんだよ?」

結局王手の前に隙を見せて、逃げられてしまったけど…と苦笑する。
わかっている。慰めの言葉やフォローがあっても後悔と悔しさは薄れない。
あそこで投降を呼びかけさえしてなかったら、妹は傷つけられずに済んだのかもしれないのだから。
だから、歯がゆい気持ちは──共感できる。

「むむ…想定を超えて真面目だった…ケジメなんていいってば。
 ん…悠薇と? うん、学生街の家で一緒に住んでるけど…どうして?」

思わぬ質問だったのか、きょとんとした表情を浮かべ、首を傾げていた。

橘壱 >  
うむ。良い距離感だ。隙間も生まれて我ながら完璧。
膝に避難させておいたノートPCくんもご機嫌だ。
この心地よさは己の計算高さに寄るものかな。
(※ベンチに付いている冷房機能です)

「そりゃまぁ、大元の雇い主は企業だけど、学園で所属してるのは風紀だしね。
 どんな理由であれ、組織に所属するならそのくらいは普通でしょう。」

企業の子飼いとして、企業の金で学園へ入学した。
風紀委員を勧められたから入った節もあるけど、入る以上はきちんとやる。
命がけの仕事だってあるけど、それはそれ。
操縦士(パイロット)ならそれくらい会って当然だ。
組織に所属する以上、不真面目に働いて迷惑を掛ける気はない。
Fluegele(フリューゲル)の方は、凛霞の視線を感じればピースした。
こころなしか、表情はないけど笑ってる気はする。

「(そんな機能搭載してないんだけど???)」

何だこのAI、女に愛想振りまくスケベなのか。

「……自分の手で決着を付けたかった……って、言うのはワガママ、意地ですね。
 もう叶わない願いだし、終わったことだけどね。まぁ、役に立ったなら何よりだけど……。」

ただではやられない。
データはきちんと持って帰るのも操縦士(パイロット)の役割だ。
犬死になどは決してしない。それが役に立ったなら十分。
これはきっと、彼女の優しさなんだろう。
ほんの少し軽くなった気持ちに、僅かに口元が緩んだ。

「学生何だし、企業(ヒト)に金だしてもらってる以上は粗相しないですって。
 ……ああ、いや。本当に姉妹なんだなって。なんていうか、その……。」

一呼吸。

「妹の……悠薇"先輩"には世話になりっぱなしなんで、彼女の事をもうちょっと色々、知りたいな、と……。」

伊都波 凛霞 >  
あ、ピースサインしてくれた。
嬉しそうに笑って、手をひらひらと彼の翼に向けて振る。
なんか無邪気なことをしてみせてから、彼へと振り返る

──それから彼の表明したのは、戦士としての、男の子としての意地。

「挽回、って程でもないけど、機会はきっとあるよ。
 彼の一件は、脅かされたのが平和な学園の周辺だったから、風紀委員も流石にピリついてた。
 でも彼以外にも、君と君の翼が必要になる時はきっと、まだまだあると思う」

本当はそんなこと、ないほうが平和でいいんだけど、と付け加える。

(機界魔人)の飛行能力の看破や防御システムの強度、攻撃システムの種類と威力想定。
 あの時点で橘くん以上に敵の性能数値を引き出せた人はいなかったからね」

役に立った、という一言で済ませるには勿体ないくらいの功績だった。
けれど彼にとって敗戦を称えられるは、きっと良い気はしないだろうから、それ以上多くは語らず…。

さて、問題はその後に彼が切り出した言葉である。
あれ…この子、もしかして───悠薇のことを気にしてる…?
ずい、と思わず前のめりに乗り出して距離を詰めてしまうのは仕方がないと言える。

「え、なになに。どういうコト…?
 もしかして悠薇に興味津々…とか…!?」

えーーーもしかしてとうとう妹にも春来たる?!夏だけど!!!

「いいよ!何でも聞いて!悠薇に起こられない範囲なら何でも教えてあげる♪」

急に上機嫌。妹に興味を持ってくれる人が現れたのがそんなに嬉しいのか…というような。
なんだかすごく、生き生きとしはじめた。