2024/09/02 のログ
ご案内:「学生通り」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 >  
新学期がはじまった。
まだ残暑の厳しさ残る学生通りを一人歩くのは、涼しげな美少女。
調子の悪くない日は異能の力を普通に使い、自分の周囲の気温環境をコントロールしているため、汗一つかいていない。
汗は大敵。化粧も崩れる。

学校生活と勉強にそれなりに真面目に向き合おうと決めた新学期。
すべての講義を終えて帰る時間はもう夕方。まだまだ日は高く、学生通りも人が多い。

「(…あ、クレープ)」

キッチンカーを見つけ、ふらふらと誘われるようにそちらへ向かう。
この美少女、食欲には勝てないようにできているのだ。

「生クリーム盛り盛りメガ盛りフルーツギガマックス」

さらりと一息で注文。
そして出てきた両手に抱える程のクレープを手に、満足げである。(表情は変わらないが)

ご案内:「学生通り」に焔誼輝夜さんが現れました。
焔誼輝夜 >  
「ほにゃ――おいしそーなにおい!」

 さてさて、この日もお子様はお家でお留守番の日――と思いきゃ。
 今日はママたちにお許しを貰ってお出かけ中です。
 首から名前が書かれたネームカードを提げていました。

 そんなお子様でしたが、匂いに釣られてふらふらと歩いて行っちゃいます。
 そこにはキッチンカーと、なんとなく知ってる気配のお姉さんがいました。
 さてさて、お子様はどちらに気を取られるのでしょうか。

「――おいしそぉ」

 とっても綺麗なお姉さんの横で、一生懸命背伸びしたお子様が、お姉さんの手元をじーっと見上げていました。
 

雪城 氷架 >  
「ん」

視線を感じてそちらに顔を向けると、小さな子どもがこちらを見ていた。
黒髪に綺麗な紅い瞳、賑やかなシャツだな…と人目で思う風貌。

「なんだ、お腹へってるのか? 親と一緒じゃないのか…」

周囲へ視線を巡らせて見るもそれらしい姿は見えず。

「───」

ふぅ、と小さなため息。
まぁ子供だし、こういうのを見たら気になるか、と。

「一口食べるか?」

やれやれと、しゃがみ込むようにして視線を合わせ、ハイと巨大クレープを差し出してみる。
視線を合わせることで、目に入ったのは首から下げられたネームプレート───。

「(……ん?たしか…)」

少し前に、こんな名前を聞いたような。

焔誼輝夜 >  
「ほにゃっ?」

 綺麗なおねーさんが声を掛けてくれました。
 ちょっとびっくりしちゃいましたけど、嬉しそうににっこり笑ってお返事します。

「あのねあのね、とってもおいしそーな匂いがしたからきたの!
 それとねっそれとねっ!
 きょうはあそびにいっていいよーってママたちがいったの!」

 そう大きく明るい声でお返事したら、なんと、お姉さんはお子様に視線を合わせて、クレープを差し出してくれたのです。

「わっ、わぁ!
 いいのっ?
 いいのっ?」

 目をキラキラとさせながら、今にもクレープに飛びつきそうな様子で、お姉さんを期待と感動の眼差しで見つめます。
 紅い目は、どこかで見たように記憶に重なるかもしれません。

 ネームプレートには、『焔誼 輝夜(ほむらぎ かぐや)』と大きく書かれています。
 見ようとすれば、プレートには連絡先や、裏には保護者の名前に『焔誼 迦具楽』『焔誼 サヤ』という名前が書かれていますね。
 

雪城 氷架 >  
「そっか。じゃあ、多分しっかりしてんだろうな」

子供といっても言動の割には、身長はそれなりに高い気もする。
まぁ、親が外出を許しているのならいいんだろう。
ネームプレートには連絡先なども書いてあるようだし。

「いいよ。一口って言ったけど、好きに食べて」

はい、よより前に差し出して──。

「───ほむらぎ、かぐや。って言うのか?お前の名前」

聞いた名前と合致する。
ネームプレートに見える、保護者の名前も知ってる。
──そういえば言ってた、子供がいるって。

「(…この子がそうか)」

…知ってしまったとて、どう言葉をかけたものかがわからない。

焔誼輝夜 >  
「そうなのー!
 かぐやはねっ、しっかりしてるんだよー!」

 えへん、と胸を張りますが。
 その様子は外見に比べるとずっと幼そうに見えますね。

「えへへ、やったっ!
 おねーさん、やさしいねっ」

 遠慮なく大きな一口でクレープを頬張って、お子様はその甘さに両手でほっぺを抑えます。
 嬉しさと美味しさで、その場でじたばたしてますね。

「――んにゅうっ?
 んぅ――うんっ、かぐやはね、かぐやっていうの!
 おねーさん、ありがとー!」

 ちゃんとクレープをしっかり味わって、お姉さんにちゃんとお礼をいいました。
 自己紹介は、とっても拙い自己紹介でしたが。

「えっとぉ――おねーさんのおなまえは?」

 優しいお姉さんの事が気になって、口元にクリームをくっつけたまま、お名前をお訊ねします。
 

雪城 氷架 >  
間違いないとは思ってたけど、やっぱりそっか。と。
薄く蒼い瞳を細めて、少女を撫でる。

「私は氷架。…雪城氷架。ほっぺにクリームついてる」

撫でた手をそのまま下げて、指先でクリームをとってやりながら。

「お母さんに、聞いたこととかある?」

屈んだ姿勢を起こして、視線は下へ。
──自分の異能から生まれた、って彼女は言った。
自分よりもずっと立派に生きて、家庭を築いて養って。
もしかすれば、怪異の過ごす時間は私達とは異なっているのかもしれないけど。
あの子の姿勢を見たことで、自分の怠惰を少しだけ、恥じた。
この子は、そんな立派に生きた彼女の愛の結晶。
……愛らしいな。素直に、そう思う。(表情は変わらないが)

焔誼輝夜 >  
「ほにゃっ、ひょーかちゃん!
 にへへえぇ、ありがとーひょーかちゃんっ」

 撫でてもらって嬉しそうにして、クリームを取ってもらったら、またちゃんとお礼が言えました。

「ほにゃ?
 なにをー?」

 不思議そうに首を傾げて、お姉さんをじーっと見ます。
 じーっと見た綺麗なお姉さんは、とってもきらきらしていて。
 お子様からも『ほわぁ』なんて、感嘆の声が漏れちゃいました。
 

雪城 氷架 >  
「…ちゃんとお礼が言えて偉いね」

クリームのついた指は自分の口元へ。
甘くてほんのりレモン果汁の風味、さわやかスイートな味わい。

「私の名前。
 聞いたこと、ないかな」

それならそれで良いかもしれない。
聞いていた、としても…どう接すればいいのか。
家族の中で過ごしてはいたけれど、自分の子のようなものと伝えられた彼女にさえ、ちゃんと接することはできていない。
いわば、この子は孫という立場にあたる………自分が祖母…そんなの、想像もできない。

「ないなら、いい。美味しかった?」

口元に小さな笑みを作って、問いかけて。

焔誼輝夜 >  
「うんっ!
 あのねっ、うれしーこととか、やさしいことしてもらったら、ちゃんとありがとーっていわなきゃだめなんだよ!」

 きっとそうやって教えられたのでしょう。
 言われた事をきちんと覚えて、守れたことになんだか得意げな顔ですね。

「ひょーかちゃんの?
 うーんん、はじめましてだよー?」

 不思議そうな顔は、もっと不思議そうになります。
 そこで一生懸命考えてみました。

「うんっすっごい美味しかった!」

 と、まずはにこにこの笑顔でクレープの感想を言う方が先になっちゃいましたね。
 お子様らしく、甘い物は大好きなようでした。

「んっと、ひょーかちゃんは、ママたちの――」

 『おともだち?』と訊くつもりだったのですが、そうして、出てきたのは。

「ほにゃぁ~。
 ひょーかちゃん、わらうとすっごいきれー!」

 なんて、お姉さんのほんのりとした笑みに、おぉーっと声をあげるのでした。
 

雪城 氷架 >  
「なら、良かった」

…ちゃんとした、いい子。
自分と同じ、愛情の中できっと育てられてる。
美味しかった、と笑顔で言われると、なんだかむず痒い。

「えっと、ごめん、ヘンなこと言っちゃったね。
 …ママ達に、『いい子で安心した』…って伝えてあげてよ。

 っ…、そ、う……?」

無意識だったのか、自分の頬に手を当てて眼を丸くする。
…この子の、小さい子むーぶについつい勝手に笑みが浮かんだのか。

「外、まだ暑いし…一人で遊ぶならあんまり遠くにいかないように、気をつけなよ?」

…こんなお節介めいた台詞、人生で初めて吐いたかもしれない。