2024/09/22 のログ
ご案内:「学生通り」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「学生通り」に伊那美環菜さんが現れました。
■橘壱 >
学生街 メインストリート。
通称学生通りの名を持つ大通りは、
昼間とは言え多くの人々が行き交っていた。
路面電車に、車、龍の顔をした亜人etc...。
この世界においては、既に当たり前にもなってきた光景だ。
そんな行き交う人々の中に、少年は混じっている。
歩きタブレット……は、注意されて以降やっていない。
代わりに片耳に小型イヤホンを付けて音楽鑑賞。
両耳につけると周りの音が聞こえなくて困る。
片耳だけでも、片手間程度で楽しむには充分だ。
「さて、と……どうしようかな。」
珍しくこの真っ昼間にフリーだ。
自分のラボに行くか、本庁に行くか。
何時ものようにトレーニングをするか。
そんな贅沢な悩みを考える程度の、何時もの日常であった。
■伊那美環菜 > 行きかう人の中に混じる少女がふと、少年の色を目にとめる。
テールを揺らして振り返り、見失わないように、確かめるように
少しずつ早足になりながら
見間違いじゃない、きっとあってる。
「…っ、ちぃ、くんっ…!」
相手の服の裾を引き留めるように、掴みとめながら
同時に、喜色を浮かべた声音で呼びかけた。
■橘壱 >
「うわっ……えっ……?」
不意に裾を引っ張られ、思わず引っ張られた。
呼ばれたあだ名には聞き覚えがあった。
正確には、呼ばれた覚えがある程度だ。
振り返るとそこには少女の姿が見える。
肌色からして人ではないが、
その可愛らしい顔立ちには"見覚え"があった。
それこそそうだ。引きこもる前。
ずっと小さい頃の記憶。あれは──────……。
「え、と……キミ、は……もしかして、伊那美環菜……さん?」
但し確証は持てない。
それはそうだ。お互いそれこそ何年ぶりになるんだ。
けど、そのあだ名で呼ぶ人物は限られている。
なんせ、此処に来る前にリアルで会う人間なんて、数が知れてる。
驚いた表情のまま、おずおずと少年は訪ねた。
■伊那美環菜 > 掴んだ裾を、並の少女と比べはるかに強い力で引っ張る。
かえってきた返事に、ぺかーと音が出そうな表情を浮かべて
「…覚えてて、くれたんだぁ…。」
幼かった思い出。
成長したから同じなのは顔かたちと、髪型くらいでそれさえも面影程度だと思うのに
わかってくれたことがとてもうれしい。
「うん、かんなだよ。ちぃくん。
久しぶりだねっ。」
裾を掴んでいた手を離し、抱きしめようと…抱き着こうと手を伸ばす。ぎゅっと。
■橘壱 >
「そのあだ名で呼ぶ人なんて限られるから……
……えっと、本当に何年ぶり、だっけ……?」
下手したら十年単位だ。
それほどまでに幼い頃に離れてそれっきりだ。
小さい頃の記憶なんて、一般的にはそんなものだ。
あの頃の自分は、今の自分よりも大分傲慢だった気もする。
怖いもの知らず、だっけ。覚えているのも、それくらい。
だから、此方としては初対面とほぼ変わらない。
妙に嬉しそうな彼女に比べて、壱は曖昧な笑みを浮かべている。
「キミもこの学園に来ていたんだ。
何か異能とか魔術とか……え、ちょ……か、環菜さん!?」
とりあえずせっかくの再会だ。
何であれ会話を、と思った矢先に体が迫る。
驚きに目を見開くが、ぎゅっと抱きしめられてしまった。
思ったより力が強い。彼女はこんなにも力持ちだったのか……!?
「ちょ、ちょっとま……!?柔らか……、じゃなくて!?
ひ、人前でいきなり抱きつくのはちょ、ちょっと!?ど、どうしたのほんと急に!?」
童貞、色々嬉しいがそれはそれで挙動不審になる。
■伊那美環菜 > 抱き着いてすりすりと腰にほおずりする…。
久しぶりなんだから、少しくらいいいよね?
「そうだよ…十年はたったって聞いてるけれど
うん、ちぃくんが常世にいるって聞いて… やっぱりちぃくんはすごいね!
なんでもしってて、なんでもできて…。特別な…。」
傲慢だった少年も彼女の中では頼りになる特別な男の子だった。
異能ゆえの入学でもあるけれど
半分は彼を追いかけてきたようなものだ。
身長差から、抱き着いたまま見上げるような姿勢になりながら答える。
「うん、異能らしいんだけれど…こんな見た目になっちゃって。
でもよかった、わかってもらえて…。」
かつては、幼いころはこんな青白い肌をしていなかった。
健康的な肌色の普通の幼子だったのだ。。
少しだけそのことが不安だったけれど、彼が気にしていなさそうな様子に少しほっとする。
■橘壱 >
「うぇぇ!?お、あ、え、か、かか、環菜さん???」
そりゃもう大きな大きな柔らかい山があたってるし、
おまけになんか普通に頬ずりしてくるし、え、何これ。
小さい頃もこんなんだっけ。覚えてないけど何だこれは。
余りにも童貞には刺激が強すぎる。顔を真っ赤にして硬直。
「(余計なとこまで固くなりそうだなクソ……!とりあえず落ち着かないと……)」
あんまりにもギャルゲめいた天国だが、
このままでは宜しく無い。先ずは深呼吸。
少し冷静になった気持ちを更に冷やしたのは、
他ならぬ彼女の言葉だった。壱の表情も、苦いものに変わる。
「……、……僕は特別なんかじゃないよ。
あれはそれこそ、小さい中で僕がちょっと凄かっただけ。
この学園……というか、世界単位で見れば普通なんだ。
キミみたいに異能を持ったり、特別な才能があるわけじゃないし、ね。」
十年という歳月は、短いようで長い。
少なくともあの時"優秀"を謳っていた神童は、
この神秘が当たり前になった世界では非異能者に成り下がった。
少なくともこうしているの理由が優秀さなら、
例え幻滅されようと言わなければいけない。
そんなしょうもないことで、嘘は吐けない。
「幻滅した?昔の僕とは、違うんだ。
けど、環菜"ちゃん"は変わらないよ。
肌の色とかそんなの、オシャレみたいなモンだし」
「今の格好でも、普通に可愛いと思うけどな。」
そうして冷静になった脳裏には、幼い彼女の姿が過る。
そうだ。天狗になっていた自分の背中にひっついてきたっけ。
健気で可愛らしい女の子。うん、何も変わっちゃいない。
肌の色とか格好とか、今の時代じゃそのくらい何だって言うんだ。
苦いはにかみ笑顔を浮かべて、頬に右手を添える姿は、
幼き壱と、姿がダブるかもしれない。
■伊那美環菜 > 十年不足のちぃくん成分をたっぷり補充して。
昔は幼すぎてお互いたいして身長も体格もたいして変わりなかったが
身長は年齢相応とはいえずとも、体型は女性らしく変化していた。
「んー…っ♪」
それを気にせずに幼子のままのように抱き着いているから少し問題があるのではあるが。
彼の様子をあまり気にもせず。
「ううん。ちぃくんは特別だったよ。
かんなのほうが何もできなくって…ただちぃくんのことが好きなだけ。」
環奈は彼の優秀さを覚えている。それが例え憧憬から来るだけのものだとしても
異能があるだけの普通の環奈と比べたら、今でもきっと特別なまま――
「えへへ… ちぃくんも変わらないね。いつも優しくて。
ね… 約束、覚えて…る…?」
褒められて可愛いと言われて。照れたように微笑みながら体を離して、
両手は服の端をつかんだまま、見上げるように問いかける。
■橘壱 >
「……、……」
好きなだけ。ストレートすぎる好意だ。
それこそ十年の年月経ても此方に向けられている。
小さい頃の男の子は、そんな事気にも掛けなかった。
それこそダイレクトにずっと引っ付いたまま。
密着しているせいで、壱の鼓動が早鐘を打つのわかってしまう。
少し困ったように赤い頬を掻いて、視線を逸らした。
「そ、それは……こ、これから変わるかも知れない。
僕も、キミも、あの頃と変わったろうし……」
ただ、素直に受け取れなかった。
変に大人びてしまった少年は、
そんな小さころの気持ちなんてと侮っている。
「僕もあれから随分と変わった、と思う。
多分、環菜ちゃんが知るような……え?」
素っ頓狂な声が漏れる。
約束、なんだろう。大事な事だろうか。
幼い頃の記憶。覚えているはずもなかった。
気まずさに僅かに唸り声を上げつつ、
視線をそらさないのは壱の誠実さの表れ。
「ごめん、覚えてない……」
照れ隠しでもなんでもない、素直な謝罪だ。
■伊那美環菜 > 「…覚えてないんだ。そっかぁ…。」
しょうがないかな。十年もたったんだもんね。
でも名前はちゃんと覚えててくれたし…。きっとすぐ思い出すよね。
「えっとね。かんなとけっこんしてくれるって。
あのとき、ちゃんと約束したと思うんだ。」
だったと思う。普通の女の子のかんなはすべてを覚えられているわけではないけれど。
特別なちぃくんならきっと、思い出せてくれると思うから。
「変わった…うん、ちぃくんすごく背が高くなった。
かんなにもわからないくらい、きっと今でも頭がいいよ。
普通なんかじゃない。かんなも、変わったかもしれないけれど…」
きゅっ、と服をつかんだ手を握り締める。
「ちぃくんとの特別な約束は、変わったりしないよね?」
上を見ていた顔は下を向いていて、少しだけ震えているようにもみえた。
■橘壱 >
───────えっとね。かんなとけっこんしてくれるって。
「…………は、えっ」
一瞬耳を疑った。何?結婚?
そんな事いったのか、僕が。
いやいや、まさかそんなはずは……。
────かんなちゃんはぼくとおよめさんになってもらわないとねっ!
「(……思い出したーーーーーー!!)」
言ってた。マジで言ってたちっちゃい自分。
自信満々にこの子を侍らせて思い切り言ってた。
そう言えばその後すぐに引っ越しで離れて、
あの後子供心ながら凄い泣いてたの思い出した。
ある意味子供心故の無茶苦茶な約束。
思わず額を手のひらで抑えて空を仰いだ。
だが、待ってほしい。
こんなものは、子どもの頃はよくある話だ。
物心付かぬが故に簡単に決めてしまう。
そう、こんなものは些細な──────……。
「…………」
些細なもの、になりそうにない。
服を掴む手から震えも伝わるし、
まさか、オタクをからかうドッキリにも見えない。
何とも言えない表情のまま、彼女を見下ろす碧の双眸。
「……あれから十年もあったんだ。
勉強もスポーツもそれなりにしたし、
身長だって伸びるよ。多分、環菜ちゃんだって変わった」
「お互い変わったはず、なんだ。
十年も僕のことを考えてくれてたのか?キミは……」
■伊那美環菜 > そう、普通だったらよくある話だ。
もしかしたら、何ごともなければ環奈も淡い初恋として忘れていたかもしれない。
でも、そうはならなかった。
離した両手を、ぱん、と合わせて。
笑って、ただ笑って顔を上げる。
「…よかったぁ。思い出してくれたんだ。
そう、なのかな。うん、そう、十年もたったんだ――」
まるで彼女はその時間を過ごさなかったかのように。
その躰は、同い年のはずなのに少しだけ小さくて。幼げに見えて。
「そうだね、ちぃくん勉強もスポーツもできたもんね。
うん、かんなはずっと…ちぃくんのことを、想ってたよ。」
「…ずっと。」
まっすぐに見つめて、一歩前に出る。
■橘壱 >
ずっと。
ずしりとした重みが、のしかかる気がした。
純粋な好意。或いは、時が止まってしまったかのような感覚。
まるで、彼女だけあれから変わっていないような錯覚だ。
そんなはずはない。お互い、こんなに大きくなった。
大きくなって、変わり果てた自分と、
大きなっても、変わらない彼女の心。
互いの感情の乖離が、酷く重苦しい。
決して悪い気はしてないが、困惑のが大きかった。
それは勿論、表情にも出ていた。
気恥ずかしさと困惑により、強張った表情。
それでも引くことはなく、まっすぐの彼女を見ている。
律儀なんだ。昔から、そこだけは変わらない。
「……思い出しはしたよ。言ったのは覚えてる。
け、けど、僕はさっきまで忘れてたんだよ?
自分で言うのもなんだけど、薄情だと思うし……」
「そ、その……そう、十年も経ったんだ。
もう一度お互いのことをよく知る時間が必要……、とか……」
気圧されるように、言葉尻は徐々に弱くなった。
実際にそうだ。何もかもが唐突すぎて、
それの大本が悪意でもない、好意。
数十年程度の人生経験。壱には、
どう返していいのかさえ、答えをわかっていない。
ずっと、混乱している。
■伊那美環菜 > 彼の心情は環奈にはわからない。
彼女にとっては、変わり果てた自分と、
変わらなく特別な彼の姿。
普通の女の子を大事にしてくれる、特別なちぃくん。
「でもさっき、可愛いっていってくれたし…
大丈夫だよ。思い出してくれたなら、忘れてたとしても。」
両手を後ろに回して、下から見上げるように。
もう一歩、前に出る。
にっこり、わらって。尖った歯が見える。
「そうだね。かんなも、ちぃくんの十年、しりたいかな。
ね、一緒に話せるとこ、どっかいこっか。」
右腕に手をからめるように、腕を伸ばす。
かんなのことも話せるだろうか。
特別なちぃくんなら、わかってくれるだろうか。
ああ、でも いやだな。
異能の呼び名も。普通の人は嫌がっちゃうかな。かくしておきたいな。
■橘壱 >
橘壱は人間不信というわけではない。
ただ、余りにも唐突の連続に混乱している。
そうだ、思い返せば自分だってそうだ。
ゲーム世界で玉座に座り、異能社会を妬み、
大きな運と執念だけで食らいついている。
人間の気持ち、特別な瞬間を考えれば、
それは永劫、変わることはないのかも知れない。
「(けどなぁ……)」
年齢=彼女いない引きこもり童貞。
流石にちょっと出来すぎじゃない、とは。
あどけなく笑う彼女にドキリ、と胸が高鳴った。
「可愛いのは、事実だし……まぁ、そう、だね。
ちょっと向こうに休める場所あるから、行こうか」
そうだ。まずはその変わった互いを知るべきだ。
右腕に絡まる彼女の手。女性の柔らかさ。
気恥ずかしさにびく、と肩が揺れつつ、
共に歩き出す形になるだろう。
少し進んだ先に、人混みから離れたベンチがある。
近くに自販機と日差しを遮る為の天井。
おあつらえ向きの休憩スペースだ。
「そこ、座ろうか。何か飲む?奢るけど……」
ともかく、何時までもぎこちないのはよくない。
気を取り直して、彼女を横目で見やり尋ねる。
……さて、そういうのに機敏か、或いは異能の影響かはわからない。
ただ、此処に来るまで感じたかも知れない。
ほのかに壱から漂う、複数名の女性の気配が……。
■伊那美環菜 > むぎゅっと右腕に押し付けながら。
まるで恋人の様にその片手に縋りついて。
少しだけ落ち着く、落ち着いた脳みそで考える。
ちぃくんは特別で、ひとたらしで…きっと十年の間に
「あ…うん、なんでも…
…ねぇ、親しい女の人とかいるかな?」
思わず口に出る。
彼女とか…恋人とかは、きっと今までの口ぶりだと まだ いない。
薄情とか、誠実なことをいってくれるちぃくんだから。
もしそうだったら…違う答えが返ってきた。
でもちぃくんはひとたらしだから。
きっとさっきみたいにきっといっぱいかわいいっていった。
二人で自販機の前に立ったまま。
彼の答えを待つ。
「…同じ部活か委員会に気になる人がいたりとか、する?」
これはただのカン。
■橘壱 >
「にしても、本当に凄い偶然だ。
まさか、あの別れたっきりにまた出会って……えっ」
とりあえず適当にカチリと自分の分を買う。
今や電子決算が当たり前である。
ゴトリと落ちてきたのはドロッドロッに甘いグレープジュース。
ペットボトルをひょい、と持ち上げれば思わぬ質問に目を丸くする。
「…………」
色々と思い返してみる。顎に指添え思案顔。
あれ、なんか親しくしてくれてる人女性多くない???
それ以外だとルームメイトだが、見た目女の子っぽいし、全員。
寧ろなんでわかったんだ。これ、女の勘ってやつか。
「まぁ、友人位の立ち位置でね。
男の友達だっているよ。……ハハ、まさか」
思わず、苦笑い。
「まぁ、異性として魅力的な人はいても、
まだそこまで考えてなかったよ。こう見えてまだ、
僕はまだ童貞だし、惚れっぽいワケじゃないからさ」
生憎とそこまで手が速いわけじゃない。
異性、飽くまで一個人としてみて気になるくらいだ。
恋愛なんて事情、まだ考えれはしなかった。
「一応そう、今は風紀委員会に入っててさ。
そこでお世話になってる人は何人かいるかな。
そういう環菜ちゃんは……やっぱり異能関係で学園に?」
■伊那美環菜 > 「うん、かんなもこんな偶然会えるなんて思ってなかった。
運命的だよね。」
ぴ、とボタンを押して環奈も同じものを買う。
身をかがめてそれを取り出し。
「そうなんだ。男のほうがよかったりするのかな…
ともだちはいっぱいいるんだね。そっかぁ…。」
ペットボトルをじっと見つめる。
あんまり考えていなかったけれど、十年は長い。
ひとりのときは、もちろんそんなこと想像もしていなかった。
ちぃくんにべつのかのじょがいるなんて。
だいじょうぶ。
ちぃくんはこう言ってくれてる。
「そっか…せんぱいにもいるんだ… やっぱり…。」
普通の女の子、ただ隣にいるだけの子よりは
ちぃくんには特別な、憧れるような相手のほうが向いているのかも、という考えがちらりと脳をかすめる。
すぐにそれを追いやって。隅に。
「えっと、うん。異能に目覚めて制御の為に、かな。
もちろんちぃくんに会いに来たのも…会いに来たんだよ。」