2024/10/05 のログ
ご案内:「学生通り」に武知 一実さんが現れました。
武知 一実 >  
休日の昼下がりの学生通り。
オレはテナントショップの壁に背を預け、何となしに行き交う人々を眺めていた。
今日は早朝から昼前までのバイトだけだったので、半日時間を持て余す事となったため、たまには散歩でもと思い出て来たのだった。
――しかし、そうそう面白いものがあるわけでもなく、ぼーっと歩き回ってはこうして往来を眺めて時間を潰すという結果に落ち着いてしまっている。

「……ま、こんなぼけっとしてる日があっても良いか」

バイトも無く、喧嘩も無く、ただただ呆けた時間が流れるのに身を委ねんのも悪くねえ。
そう自分に言い聞かせて退屈を無視する程度には、穏やか過ぎる時間が過ぎていく。
昼間だと言うのにこないだまでの暑さも落ち着いて、過ごしやすさがあるのが穏やかさに拍車をかけている気もした。

「結局、本当に水辺の行楽は行かなかったな……」

異能の都合上(体質上)、人の居る水辺には近づかないようにしていた夏だったが、
帰省から戻ったクラスメイト連中の思い出話を聞いていたら、少しだけ羨ましくもなった。

武知 一実 >  
まあ、羨ましく思ったのは海に行った川に行ったプールに行ったという報告だけで。
その後に続いた誰それの水着姿を見たかっただのといった話題は聞き流したわけだが。
その最中、ダチの一人が発した言葉を、オレは丸一日引き摺っている。

『かずみんさあ……性欲あんの?』

今思い出しても何でその場でその発言に至る意味が解らないが、言った奴曰く
こういう(シモい)話すっと、かずみん何も言わなくなんじゃん』

らしい。
その場では思いっきり睨み付けて無理矢理話題は終了させたが、思い返してみれば確かに聞き流したり適当に相槌打ったりしてる自覚はある。
あるが……何でそれが性欲の有無に繋がるんだか。

「いや……でも、けどよ……うぐぐ…」

転入してからこれまでを思い返せば思い返すほど、否定するだけの己の言動が出て来ない。
一応オレだって一般的な思春期男子であることに違いねえんだから、人相応にそういう面もある……よな?

武知 一実 >  
「……考えるだけ、無駄か」

異能の不本意な発動を極力抑えるために、感情を抑える様にしているツケみたいなものだろう。
それに、年相応の反応の仕方というのも正直分からねえ。
こればっかりは育った環境が環境だから、というのもあるかもしれねえな。
……思えば、歳の近い奴らと集団生活するの自体、初めても同然なんだ。

「……変な誤解をされる前に、誰かに相談してみっか」

テナントの壁から離れ、大きく体を伸ばす。
相談してみるかと言ったは良いものの、果たして誰に相談すりゃあ良いのかは不明。
少なくとも、普段つるんでるダチの中にそういう相談事に向いた奴はいない。
……となると、先生とか……? まあ、今考えたところでこのまま学校に行くわけでもねえし、後日で良いか。