2024/10/11 のログ
ご案内:「学生通り」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「学生通り」にエボルバーさんが現れました。
橘壱 >  
某日 学生通り昼下がり。
今日は早めに授業が終わり、風紀本庁に繰り出す最中の事。
我ながら生真面目だと思うが、職務としている以上は当然だと思っている。
と言っても、本来の時間よりも大分早い。
何処かで時間を潰すのも悪くはない。

「どうしようかなぁ……」

そんな贅沢な悩みの昼休み。
コーヒー牛乳パックを片手にベンチに座ってのんびり考えていた。
行き交う車やバスがレンズに乱反射しながら、何気ない日常の中にいた。

エボルバー > >周辺をスキャン中

木が揺れる。
不意に吹いた心地よい風がそうさせた。

>対向車を検知

髪が揺れる。
車道を通り過ぎる車両の風切りがそうさせた。

>グランドマップ更新
>移動ルート構築...

胸元の紐が揺れる。
一切の狂いの無い、規則的な歩みがそうさせた。

朗らかな喧騒が包み込む学生通り。
雲一つない大空の元、ソレはそこに居た。
歩みを止めたのは黒いパーカーに身を包んだどこか虚ろな瞳の女。
視線の先にはくつろぐ白衣の青年。

「こんにちは。質問をしてもいいだろうか?」

空気を伝い白衣の青年に掛けられたのは何気ない言葉。
それは透明感のある澄んだ無機質な、女の声。

橘壱 >  
不意に声をかけられた。
なんだか無機質で澄んだ、機械的なまでに綺麗な声音。
ん、と牛乳パックから伸びるストローを咥えたまま顔を上げる。
黒いパーカーの、綺麗な女性。初めましてではあった。
ただ、初めて会った気がしない。

「えっと、はい。こんにちは。
 ……あの、何処かで出会ったりは……?」

言っておいては、とする。

「い、いや!決してナンパとかじゃないですよ!?
 なんかこう、初めて見るけど雰囲気が似てるような人がいて~……」

本当にこれナンパの文言じゃないか。
まずいな、声をかけられたのに引かれそう。
慌ててきょどって否定するオタク。
にしても本当に……何処かで……。
じぃ、と碧が緑の瞳を見上げている。

エボルバー > 突然話しかけられて困惑を見せる青年を
虚ろな翡翠の瞳はじっと見つめ続ける。


>対象をスキャン
>データライブラリ検索中...
>検索完了

>該当データ:なし


少しの間、女が動きを止める。

「いや、君とは出会ったことはない。」

正確に言うと「機械の鎧を纏っていない彼」とであるが。
ただ質問の許可が出たのを良いことに
お構いなしの様子で女は言葉を続けた。

「では質問する。常世学園は何処だろうか?」


>単語検索:ナンパ
>検索中...

>検索完了
>意味:男性が街頭などで声を掛けて女性を誘うこと


青年の言葉から出た馴染みのない単語に
ソレは引っかかった。
好奇心の塊は無線通信での勉強に余念がない。

尚も碧と緑。二つの視線が交差する。

橘壱 >  
虚ろな翡翠は確かに何か見覚えがある。
正確には、彼女ではない。あの時、
落第街で初めてであった男、黒の機械(マシン)
黒の殺人の名を持つ、正体不明機(アンノウン)

「……本当に?それこそ、なんていうか、
 もっと此処とは別の場所で……その、濃密な……」

だから、ナンパではない、と答えたのに、
ついついそんな風に追いかけてしまう。
正直女性相手にすることじゃないよなとは思う。
それはそれとしてオタクくん、言いたいことは分かるが表現がまぁまぁアウト。

「常世学園?生徒……って、感じじゃないよな。
 何か用がある業者の人、とか?ああ、えっと、
 一応案内は出来るよ。僕は風紀委員……この街の警察みたいなものだしね」

口元が柔く微笑み、ゆっくりと立ち上がる。

「初めまして、僕は橘壱(たちばないち)
 常世学園には一体どんな御用で?」

エボルバー > 目の前の青年は何やら思案に耽っている。
しかし、その意味を女が理解することはなかった。
青年の口ぶりによると学園まで案内をしてくれるようだ。

望ましい。

「ありがとう。それはとても喜ばしいこと。」

透き通る声は青年に礼を告げた。
更に続けられた青年の自己紹介。
そこで女の動きが不可解に一瞬止まった。


>データライブラリ再検索
>対象:橘壱

>検索中...

>検索完了
>該当データあり


「...そうか、君が。」

翡翠の視線が青年を射抜く。
その声は吐息のように儚げに紡がれた。


>ハーヴェスター散布準備完了

>ハーヴェスター散布開始...


青年はソレに問うた。
学園に何の用かと。

女は答える。
ゆっくりと青年を眺めながら。

「宝探しに来た。」

それは注意深くなければ気付かない。
だが確かに空間に表れ始めていた。

かすかにちらつく
小さな小さな
黒い雪。

橘壱 >  
「……?」

一瞬、彼女の雰囲気が変わった。
何処となく儚げで、似たような雰囲気だ。
そう、"アイツ"と同じ雰囲気。
訝しげに眉を顰めた直後、思わず目を見開いてしまった。

「!黒い……雪……!?キミは、まさか……!」

一瞬気づきはしなかったが、
微かな空気の違いを機敏に感じたおかげだろう。
周囲にあらわ始める小さな小さな黒い結晶。
忘れるはずもない。言葉も、武器も交わした相手。
二度における戦いを繰り広げた、正体不明機(アンノウン)

「黒い……砂塵……やっぱりあの時の正体不明機(アンノウン)……!」

出会った時の既視感が確信に変わった。
驚愕に一瞬だけ固まった。そう、本当に一瞬。
本当に数秒程度ではあるが、訝しげな表情で、
つま先から頭頂までまじまじと思わず見てしまった。

「本当にキミなのか?……あのその、なんていうか……」

んん、軽く咳払い。

「随分とこう、可愛くなったっていうか……もしかしてそういう趣味?」

確か初めてであった時は男の状態で機械(マシン)になっていた。
その次からはずっと、あの複眼の視線をよく覚えている。
そして次は、こんな可愛い子ちゃん。
頭の周りに「?」がいっぱいだよ。オタクくん、困惑を禁じ得ない。

エボルバー > 初めましてが久しいに変わる瞬間に驚愕する青年。
その様子を相も変わらず女はただじっと見つめるのみであった。
目の前の青年に比べて表情の変化など無い女。
顔に訪れる変化といえば瞬きくらいのみだ。
ぱちり。

ソレの質問に青年は答えてくれたのだ。
投げかけられた青年の質問に答える義務があるだろう。

「この姿は変化に対する新しいアプローチ。
磁圧アクチュエータの最適化により
実現できた形態。」

女は自身の手の平を開いたり閉じたり。
その様子を自分でも深く眺める。
一見すれば華奢な見た目の形態。
だが前のヒト型よりも軽くなり
パワーも向上している。

「ただこの姿になってから、人間の反応に変化があるように感じる。
君もそう。人間にとって性別は重要な要素らしい。
趣味は人間特有のもの。だから分からない。」

視線を青年へと戻し言葉を続ける。
パーカーのポケットに両手を突っ込み
姿勢は変えぬまま。
表舞台で分からないことだらけ。
女の髪を悪戯な風がまた揺らした。

橘壱 >  
彼…今は彼女の正体は知っている。
人のように見えて、そうではないナノマシンの塊。
何処となく無機質に見えるのも、そういうものだ。
確かにこう見るとアンドロイドっぽさはある。
にしても、美人だな。本当になんだこれ、誰の趣味だ。

「要するにお得意の最適化、新たな進化か……。
 いやまぁ、ちょっと驚いたよ。いや、いいと思う」

可愛いし、見た目は大事。
腕を組んでうんうんと頷くオタク。
相手がわからないからってキモさを発するのは悪いとこだぞ。

「美人だし可愛いからじゃない?
 男女問わず、そういうのは目立つよ。
 いや、僕はいいと思う。僕の好みの見た目ではある」

なんだかんだそういうところはある。
それこそ今の世界は異邦人とか、
人じゃない存在が当たり前だから大分好みはでるが、
同じ人間の形からしても大変好ましい。
なんかちょっと目元がキリッとしている。

「……それで、宝物って?学園に何か用が?」

エボルバー > 「人間のコミュニケーションにおいて、印象は重要らしい。
好印象を与えられるというのは、良いことと言える。」

前のヒト型と比べてもコミュニケーションという分野においては
明確に有利になったことは間違いがないだろう。
戦い以外のアプローチ。それにぐっと近づいたのは言うまでもない。

そして女はパーカーにしまっていた右手を出す。
出した右手を青年の方向へ差し出した。


>感情サイン実行:笑顔


「再開の握手。」

初めて女は表情を変えた。
にこっと。しかしどこかぎこちない。そんなスマイル。
機械でも知っている人間の礼儀、その基本。
それは挨拶。

「宝というのは例え。君は言った、学園で自身は変化したと。
だから僕も、変化のトリガーを探しに来た。」

手を差し出しながら青年の言葉にそう答えた。

橘壱 >  
「結局の所、第一印象にはなるからなぁ。
 ……声かけられたりしなかった?それこそナンパなんだけど……」

なんだかんだ、見た目は大事。
オシャレに頓着はないオタクだけど、
一応清潔感位には気を使ってるつもりだ。
そう言うので実際ナンパが成立するものだ。
交差する手。ぎこちない笑顔。絶妙にぎこちない。
ゆるく握り返す壱の手は、温かな命の温度。

「握手はともかく、笑顔上手じゃないな。
 あんまり人のこと言えないけど、ぎこちないよ」

思わず苦笑い。
そういう目的じゃない機械には、
ぶっつけ本番じゃ難しいかもしれない。

「ああ、そういう事か。確かに僕が言ったことだけど……
 まさか本当に、しかも姿形まで変えてくるとは思わなかったよ。
 正直、僕自身が驚いてる。ナイスな展……い、いや、なんでもない」

心のなかでライバル認定してる相手が女性とか、
正しく漫画の世界だよ本当に。んん、思わず咳払い。
いけない、あんまり思ってることを口に出すと良くない。
それに、明確には機械なんだ。性別の概念は無いはず。

「となると、入学希望、とか……?
 ……所で、その、女性の再現度はどの辺りまで……?」

でもオタクくん、つい気になっちゃう。

エボルバー > 「歓楽街で何度か声を掛けられたことはあった。
3例。対象は投げ飛ばすことで対処した。」

青年の手を握りながらそんな小話。
彼の温かみのある本物とは違い
所詮は模倣したに過ぎない。
しかし、柔らかい肌が青年の手に包まれる。

「落第街で会った、別の風紀委員にも同じことを言われた。
笑顔には、どうも改善の余地があるらしい。」

しかし、女の肌は柔らかいが
その力は正直言って異質そのもの。
まるで工業用アームに掴まれているかの如く
無機質でムラのないそんなパワー。
勿論、華奢な女性からとても出力されるものではなく...

やがて青年から手を放し、尾のように引いた青年の質問を受ける。

「この身体は、人間の女性体を精密分析し、緻密に再現している。」

女は何か閃いた様子で。

「これは実際の人間である君によって、
この身体の再現性を確かめられる
良い機会かもしれない。」

女はそう言うと
自分のパーカーとスカートに手をかけた。
機械に恥は無い。

橘壱 >  
「投げ!?そ、そっか……一応聞くけど、
 殺してはないよ……ね?まぁ、大丈夫そうか……」

恐らく余程しつこい男か、勧誘だったのだろう。
歓楽街ならよくあると言えばよくあること。
暴力沙汰も、学生街に比べれば多い。
ぎょっと驚いたが多分大丈夫だ。多分。

「……その風紀委員絶対キミに注意しに来た奴だろ。
 一応聞くけど、ヘンなこと言ってないよね?不審者には厳しいよ?」

なんだかんだ此処までこれてるから、
多分大丈夫だとは思うけどどんどん不安が募ってきた。
伝わるパワーは何処となく機械的。
人間のようなムラッ気すらないのが凄い。
ちょっと感心はしたが、すぐに全部吹っ飛んだ。

「流石はナノマシン。
 僕もキミの一部を有効に活用……えっ」

一瞬呆気を取られ……。

橘壱 > 「わーーーーっ!!待て待て待てっ!!」
橘壱 >  
大声。
道行く人が一瞬こっちを向くレベル。
必死に両肩を掴んで止めた。とにかく止めた。止まれ(願望)
そう、忘れてた。相手は機械(マシン)だ。
何なら多分この感じ、人間社会は多分ベイビー。
迂闊なことを口走ると、こっちの人生が終わる。
ぜぇ、ぜぇ、と息を切らしながらげんなりとした顔が上がる。

「……良く聞いてほしい。
 確かめるのはともかく、こういう公然の場でやるのは、マジでヤバい」

ついに語彙力までおかしくなった。

エボルバー > 青年が大声と共に女の肩を掴んで静止させる。
流石に女もやや後ずさる形になる。

青年の必死の形相を近くなった距離で
しばらくじっと見つめた後。

「承知した。」

自身の衣服から女は手を離した。
全く感情を示していない辺りが
青年とのコントラストを際立てる。

「先程の言葉。僕の一部を有効活用と言った。
興味深い。」

息も落ち着かないであろう青年に
この女は何食わぬ顔で話題をロールバックさせる。

橘壱 >  
「わかってくれたなら助か……おい!」

情緒のジェットコースター。
落ち着く暇も無く言ってきたぞコイツ。
クソ、機械だもんな。無駄に美人なのが腹立つ。
はぁー、と深い溜め息を吐きながら気を取り直した。

「こう、なんだ。危険だなコレ。ある意味」

無知シチュの度が過ぎる。
嫌いじゃないけど、色々マズい。倫理観的に。
気を取り直して咳払いをすればそうだよ、と彼女を見やった。

「キミとの二度目の交戦時、あの破片を回収した。
 それを元に複製も少量したけど、それだけじゃ足りない。
 僕個人の感情もある。キミ自身の一部も、組み込んだ」

そこにあるリスクも承知の上だ。
何が起こるかはわからないし、まだ検証段階だ。
実戦はこれから。彼……いや、彼女にわかるかは、わからないけれど。

「何ていうか、君と一緒に戦う感じが欲しかった。
 こういっては何だけど、或る意味無二の親友というか、ライバルみたいなシンパシーを抱いてるからね」

エボルバー > 「少量では、僕のキャトムは有用な機能を発揮しない。
実に、意味のない行為と言える。」

機械には心はない。
故に客観的な事実のみを淡々とその口から吐き出す。
少なくとも機械にとってはそう。
あとは青年がその可能性をどう切り開くか。

「親友。その言葉は人間に対して使うもの。
君は人間で、僕は人間じゃない。」

女は再び両手をパーカーのポケットへと仕舞った。
青年と女、・・・いや”ソレ”。
両者の間には明確に視えない隔たりがある。
人間と非人間。生物と機械。
心あるものと心ないもの。

橘壱 >  
「その通り、キミほどのパワーは発揮していない。
 ……複雑っていうかさ、企業の方で複製しようとしても、
 そう簡単にはいかないみたいだ。実際凄い技術力だよ」

即座に望む武装を変異、変形、進化。
そんな高尚な機能は今のFluegele(フリューゲル)には存在しない。
簡易的な自己修復機能と弾薬問題が少々改善した位だ。
確かに彼女の機能は魅力的だが、扱えるかは別。

「それに、多分アレ。増やすとなるだろ、キミに?」

眼の前にいる彼女は、見た目通りの存在じゃない。
あの小さな小さな塊、機械の集合体。
だけど、彼女の言うことはそうじゃない。

「そうかな?今は機械とか人間とか、些細な問題だよ。
 今の時代は、そういう種族的な形でどうの、ってのは、
 僕は違うとは思う。……確かに僕等の出会いは、戦いだったけどね」

今や大変容したこの時代には、
機械だって一つの種族だ。
この時代に生まれてきたからこその柔軟な考え。
かちゃりと眼鏡を上げれば、ふ、と口元ははにかんだ。

「僕は今でも、キミと戦えることはずっと楽しみにしてる。
 ……こうしてるけど、戦いを望んでる自分を、本音を話せる相手みたいなさ」

「それはそれとして、僕が変わったのもそうさ。
 キミは、そのために学園に来たんだろ?だったら、
 そういう考えは改めたほうがいいよ。親友(バティ)

「……って、言うのはキザかな?ハハ」

とてもではないが、褒められた出会いではなかった。
だが、こうして変わった今でも彼女との戦闘(カイコウ)は耽美にさえ感じる。
平和を愛し、迎合したが故にこの本音を話せる相手はそうはいない。
そう、勝手な感情ではあるけど、そういうものだと思ってる。
ぴ、と人差し指をキザっぽく向けては見たが、似合ってるかはまた別。

エボルバー > 彼の駆るAFとは異なる視点で異なる者によって作り出された
凡人が超自然に対抗するための技術。
それが、進化機械エボルバー。
技術は常に人と共にある。良くも悪くもだ、

「僕のキャトムを増やすことはお勧めしない。
君のAFを侵食してしまう。」

一定レベルのサイズまでは如何なる命令も受け付けない。
命令を受け付けるという機能が無いからだ。
原初に刻み込まれたプログラムにのみ従う。
それだけ、このエボルバーという技術は恐るべき暴走の可能性を
秘めた危険なもの。だからこそ彼のAFとは違い
表舞台へ堂々と輝かしく現れていないのかもしれない。

「人間の価値観は、実に理解し難い。
しかし、興味深い事柄でもある。」

彼の、いや人間のそういった感性を
機械は否定するつもりはない。
むしろ機械にはないそういった、心に基づいたものにこそ
人間の強さが秘められているのかもしれない。

「戦い。僕こそいつでも君との戦いを望んでいる。
僕は、戦う度に変化する。
どこまで、君は戦える?」

フードを揺らし女は顔を傾けた。
エボルバーは刺激を受け進化する存在。
だからその名が付けられている。
戦えば戦う度に。「無限」に強くなっていくだろう。
果てなき飛翔を続ける黒い翼に、蒼白の翼はついてこれるか?

橘壱 >  
侵食。文字通りどうなるかはわからない。
或いは彼女自身に取り込まれてしまうのかもしれない。
科学は、技術は正しく扱えば味方ではあるが、
あらゆる異能や魔術と同様、誤れば一瞬で奈落だ。

「実際、鉄道委員会の技術者に止められたよ。
 危険性が高いから、少量でも組み込むのはお勧めしないってね」

「でも、だからどうしたって話だよ」

彼女を見やる碧の双眸が、怪しく光る。

「別に侮るワケじゃないけど、ソレ位飲み下せなきゃ意味がない。
 それこそ、"愚問"だろ?どこまでも行ってやる(羽ばたいてやる)。……キミこそ、遅れてくれるなよ?」

そういうのも全部引っくるめて、何処までだって行ってやる。
世界(そら)で最も自由に羽ばたくのは自分。
平和に迎合しても、性根の全てが変わったわけじゃない。
そのギラついた闘争心を宿した光は、出会った当初となんら変わりない。
不敵な笑みを浮かべたまま、軽く拳で彼女の胸元をトン、と叩いてやった。

「ま、ソッチも僕は大事だけど、せっかく来てくれたんだ。
 僕の変化した理由とか、キミもそう言うの求めてきたんだろ?
 日常(コッチ)もコッチで、悪くないさ。だから、そういうののエスコートはするよ」

「……あ、そう言えば名前。聞いてなかったな」

何時までも正体不明期(アンノウン)じゃ締りが悪い。