2024/10/25 のログ
ご案内:「学生通り」に汐路ケイトさんが現れました。
■汐路ケイト >
「わおーん!」
もふもふの毛皮、頭から狼に噛みつかれたようなフード。
そう、時はトコヨ・ハロウィン・ナイト!
学生たちでごったがえす暮れなずむ学生通り、アルバイトもかきいれ時なわけです!
「そこゆくみなさん!お菓子をどうぞ~っ!
あったかい飲み物もありますからねっ!
そろそろ寒くなってくるので、身体を冷やさないようにっ!」
製菓系の部活が、風邪で病欠になった部員の代打を募集していたので!
けっこういいお給金が提示されたこともあり、臨時収入に飛びついちゃった次第。
眼鏡の奥の瞳は接客業に慣れたスマイル!はっきりしゃっきり大きい声で呼び込みです!
「はーい、カップケーキとホットココアですねっ!
お飲み物は熱いので、ヤケドしないように~っ!
……あ、休憩ですか!はーぁい!」
両手に持った立て札を支えに、ちょっと邪魔にならないところの、
タルのうえにぽすんと腰掛ける人狼。
ちょっと間抜けな姿だが、隣のタルに置いてあるカボチャのランタンも笑って見逃してくれるだろう。
足をぱたぱたさせながら、休憩明けまでの数十分、さてなにして過ごそうかな。
■汐路ケイト >
「賑やかですねえ……」
賄いのホットココアを、犬の手と肉球を再現した両手で器用に持ちながら啜る。
楽しげに行き交う生徒たちを、ぼやーっと眺めていた。
仮装してるひとたち、仲睦まじげなひとたち、ふつうに家路についてたりするひとたち。
警備や部活に大忙しなひとたちも、とても楽しそうにみえる。
「春先の復活祭を思い出しますねぇ。
みーんな仮装して。たのしそうで。爆竹はバンバン鳴らしたりしないみたいですけど……」
楽しい思い出をふりかえっても、いまの自分はぽつーん、とひとり。
ぶらぶら足を揺らして、休憩時間は妙にゆっくりと過ぎてった。
「おなかすいたなあ」
■汐路ケイト >
薬はちゃんと飲んであるから、異能が妙な発作を起こすことはない。
高いし正直飲みたくもないが、こればっかりはしょうがない。
そうめずらしい悩みでもないようで、学校側も最大限気を使ってくれる横で、
こうも言うのだ。異能を含めてあなただということを忘れないでと。
「……そんなこと、いわれても」
人それぞれ事情があって、自分より生きづらい思いをしている人なんて。
どれだけいるかなんて承知はしているのだけれども。
日々を、人生を、楽しそうにすごす人たちをみていると。
ちょっと……思うところがないわけでは、ないのだ。
バケモノの仮装を、見送って……時間が過ぎていく。
■汐路ケイト >
「あのとき、手を引いてくれていたらこんなことで…」
ココアをひとくち。
暖かくて、甘い。よく飲ませてもらっていた気がする。
砂糖をたっぷりいれたものだ。とっても美味しく感じる。
「あれ?いま、あたし」
なにか口走ったような、そんなような。
無意識の独白は、自分でも不思議な感覚。ほんの数秒前の自分を思い出せない。
「うう、独り言とかおばあちゃん…!
もしかして想像以上に疲れてますかね、あたし…!食べるの足りてない…!?
しかしこれ以上の間食はおサイフに響いてっ……んんむむむ~~!」
休憩は……もうちょっとある。
一回考えちゃうと、どうしても空腹は感じちゃうもので……。
「ちょ、チョコレートとイチゴのタルトを!
部員割……で!お、おねがいします~……っ
……ああもう、なんて我慢弱さ!度し難い~~っ……!」
お手伝いしている部活の店先に、おずおず申し出てしまう。
ちょっと安く食べられるのだから、これくらい……。
視界に都合の悪いものが多すぎて、空腹を見て見ぬふりするのも、もう限界だった。
ご案内:「学生通り」から汐路ケイトさんが去りました。