2024/10/27 のログ
橘壱 >  
「……そっか。まぁ、その、環菜ちゃんっていうんだけど、
 いい子だから、もし出会うことがあれば仲良くしてあげてほしいな。
 悪い子じゃないよ。こんな僕のことを好きらしいし。けど、今は……そう、そうだな」

僅かに一呼吸。

「それなら、僕は違う。
 僕の思い描くキミは、そんなバケモノじゃない

凛然と言い放つその言葉は、ある意味間抜けだった。
怪異とは文字通りかくあるべき存在だ。
それをバケモノではないと大真面目に言った。
聞く人が聞けば、呆れを通り越して笑っているかもしれない。
けど、壱にとってはそれが本当だ。

「不遜で、偉そうで、意地っ張りで、
 人よりも力が強い超越者の女の子。
 ……少なくとも僕は、そう思ってる」

誰もがバケモノと誹り啄む黒い鴉ではない。
そして、見ての通りこの時代にの鴉は、
そんなことに目も向けやしない。皆が皆、
この通り忙しない多くのことに夢中だ。
暴君の如く宙に腰を下ろす少女に、
恐れ知らずと言わんばかりにそっと手を伸ばした。

「おかしいか?そんなキミの事を心配して。
 キミのことで色々考えて。それくらい、普通だと思うよ。
 僕はそれくらいキミに情をもっているつもりだ」

ただの監視役と怪異で終わる気はない。
そうでないなら、海にも祭りにも、
こんな場所まで、此処まで彼女に踏み込みはしない。
伸ばした手は、何もなければ彼女の手を握ろうとするだろう。
何の変哲もない、温かな少年の手だ。

「だから、全てが度し難いなんて、自分が不貞腐れることはないだろ。
 ……僕は嘘は吐かない。キミが全て、醜い黒い鴉だっていうのなら、白い鴉を必ず見せてやる」

「何よりも、僕自身がキミにとっての白になる。絶対だ」

そう囀ってみせた。
その言葉に嘘はなく、全てが淀んで見えるなら、
それを綺麗に白にでもなって見せる。
目の前の(バカ)は本気だ。ハッキリと、
気圧されること無くハッキリ、真っ直ぐな目で、告げた。

クロメ >  
「……環菜、か」

運が巡ればどこかで会うこともあるだろう。
巡らなければ……別に、どうということもない。
それでも、覚えておくくらいはしておこう。

「………」

しつこい、うざったい
その上、偉そうに……

――ってあげる

ああ、なんとも

「……度し難い」

なにもかも なにもかも

「煩い鳥だ。」

腹立たしい 腹立たしい

「……いいだろう。
 一つだけ、教えてやろう」

度し難い

「私は、望まれてこうなった
 ある種の、祝福だろう。」

冷たい瞳が細くなる
冷たい顔が固くなる

「私が人を憎もうと、愛そうと。
 大した差ではない。何も変わりはしない」

「人を許し、愛せば満足か?」

それでも、覆らぬことはある

橘壱 >  
「…………」

彼女は望まれてこうなった。
吸血種、超越者たる氷の女王。
そうなるように誰かが祝福した(呪った)
何とも言えない表情のまま、それでも目は背けない。

「……そう望んだのは、民衆か?親か?それとも、別の……。
 ……どっちにしても、僕の満足感のためにこんな事をしてるわけじゃない
 キミにもっと、広い世界を知ってほしかっただけさ」

もう黒い鴉はいたとしても、あれ以上啄んではこない。
単純なことだ。世界はもっと、簡単だと言うことを、
知ってほしい、ただそれだけだ。

「余りその在り方について僕は知らない。
 失礼に当たるなら、今のうちに謝っておく。ごめん」

「それは、こんな長い年月をかけても守らなくてはいけないのか?」
 それほどまでに強い約束か。或いはキミ自身が縛っているのか……。
 ……キミが素直に従っているのが、少し不思議に思えてしまうよ」

クロメ >  
ハロウィン(偽りの祝祭)の闇は深まる
そして、その隅で行われる邂逅にも
その底は未だ知れず――

続く
【中断】

ご案内:「学生通り」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「学生通り」からクロメさんが去りました。