2024/10/28 のログ
ご案内:「学生通り」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「学生通り」にクロメさんが現れました。
■橘壱 >
これだけ明るいのに、人混みに囲まれているはずなのに、
祝祭の闇に残されたような帳の中。
そんな二人ぼっちの中、氷の女帝の心底に、
鴉は無遠慮なほどにそこへ向かって羽ばたいている。
「……望んだのは、民衆?それとも、個人?誰なんだ?」
自ずと言葉を続け、問いかけた。
■クロメ >
「なるほど。」
無知とは罪、とも言えまい。
今や神事すら廃れる時代だ。
超常が跋扈し直したとて、知らぬものも多いのだろう。
度し難い、とは言うまい
「実に愉快な見解だ。
感動的だな。だが――的外れだ」
淡々と、冷たい声が冷たく語る。
「誰が望もうと関係はない。
既に完成された器は直せない。
これは、そういう話だ。」
もし、それが気に入らないなら?
別の器でも持ってくるしかない。
それは当然、同じものではない。
「まあいい。貴様の愚かさに免じて、話くらいは聞いてやろう。
広い世界を知れ、とな?」
尊大に宙に座ったまま、男をじっと見る
ただ、その態度に反して表情は凍ったままだ。
「仮に、人が。全てが度し難くないとして。
だから、どうした? 事実は変わらぬ。
知ってどうしろというのだ?」
■橘壱 >
それこそ数千年の話だろう。
その膨大さは計り知れない。
彼女から見ても矮小な、唯一人の非異能者の少年には、
その程度の見解が限界なのかもしれない。
「……どうかな。
そう思っているのは案外、キミだけかもしれない」
鴉の囀りは、止まらない。
さも知ったような口を利いている自覚はある。
それでも此処で認めてしまったら、それまでなんだ。
「確かに僕はキミからすれば愚かかもしれない。
生きてる年数だって、たかが知れてる。
地球の世界だけでも全てをしれているワケじゃない」
「キミはまた"愚か"というかもしれないけど、
それでもキミが思うような程でもないかもしれない。
認識一つでも変われば、そんな強張った顔することも案外なくなるかもね」
無理に変われとは言わない。
ただ、理解と認識を改めるだけで、
世界の見方も変わると思っている。
何時までもそうして敵視してるほうが、
壱からしたらよっぽどだ。だから、それでもと言ってやる。
「……そのために僕がいる。
囀ってみせろって言ったのは、他でもないキミだろ?」
■クロメ >
「……ふん」
相も変わらず、強情なことだ。
どれだけ必死なのか、と
別に勝負をしているわけでもなし、ご破産にしてもいいのだが
……影がちらつく
「人は、飽くなき欲の存在だ。
貴様とて、そうだろう? 何もかもを掴もうとする」
とんとん、と自らの首筋を叩き
そして、とん、と空に存在しない手持ち鞄を叩くふりをする
「さて、とはいえ。
埒が明かぬな。」
ほんのわずかに、首をひねる
いつまでも、いつまでも。これが食い下がってくるだろうことは分かる。
自分は、遊んでばかりいるわけでにもいかないのだ
「私とて、些少は知ろうとしている。
祝祭を捻じ曲げた、この度し難い儀式も含めてな?
そういえば、先程は乗り物をひっくり返そうとした者もいたな?」
此処に来る間に見えたもの。
いかにも愚かさの象徴にしか見えない、それ
「いいぞ。もっと愚かさを見て回れと言うなら。
どれだけ度し難いか、みてやろうか」
笑うでもない、冷たい顔のまま
「それは、愉快かも知れないしな」
冷めた目で、怪異は告げた
■橘壱 >
それを指摘されるとついつい首元を撫でてしまう。
手元のAFはともかく、そっちは、まぁ。
「……否定はしないさ。
けど、欲望って言い換えれば生き甲斐みたいなものだろ?
人に限ったものじゃないさ。逆に聞くけど、クロメにはないのかい?」
「そう望まれたと言っても、キミだって生きていた。
なら、長い歳月の中に、そういう欲望の一つ位あったろ?」
欲望の否定は、そもそも生きてる事の否定だ。
些細なことでも、大きな事でも皆同じ。
勿論それが行き過ぎれば大事にはなることも知ってる。
けど、人に限ったことじゃない。原動力は、誰もが同じはずだ。
「……あのひっくり返そうとしたのが悪い例だよね。
行き過ぎた欲望のってさ。……捻じ曲げた、か」
思えば彼女は長生きだ。
もしかすれば、そういう原点と立ち会った事があるかもしれない。
「現代人視点になっちゃうけど、
言葉の意味だって、結局は使いやすい方を覚えられちゃうしね」
ふ、と口元がはにかみ笑顔。
「キミって、意外とセンチメンタルだよな。
産業区の時もそうだし、そういう事いいつつ、
結構今は昔ってのを重んじるおば……貞淑な女性だよな」
自覚があるかはわからないけど、
此方から見ればそういうものだ。
思わず口から飛びかけた言葉は咳払いと一緒に飲み込んだ。
「そういう言い方はどうかと思うけどな……。
まぁ、キミが少しでもコッチに合わせてくれるようになったのは、
僕としても嬉しい限りだな。言った以上は、関わり続ける。嘘は言わない」
「なんなら、約束したっていいけどね」
■クロメ >
「もちろん。
私とて、欲がないわけではない」
生まれてから、此処まで
一切なかった、といえるほど厚顔無恥ではない
人並みに何かを求めたこともある
「そして、捨てていった。
置いてきた、という方が正しいか?
さもなくば、開放された、というべきか?」
時を経るに従って……
経験を、体験を積むに従って……
あれも、これも、無くしてきた
「そうだな。
だから、私は眠った。」
原動力などなくなった。
それでも支えていたものがあったが、それもなくなれば……
あとは、活動を止めるしかない。
「老婆と? 歳とすればそうだろうな。
……言ったはずだ。自然に、罪はない」
自然は、そこに只在るだけ。
悪意も善意もなく、害を及ぼすことも救うことも在る。
意図を持って何事かを為す人と比べ、そこに罪などあろうはずがない
……そういう、変わらぬモノ、を愛でる気持ち位は凍てついた心にも在る。
「契約でも結ぶか?」
怪異との契約。それが持つ意味は重い
「……約定は大事だが。
貴様は、まず怪異と約定を結ぶ意味を学んだほうがいいな。
それこそ、"お前も知れ"」
■橘壱 >
「……文字通り、動く理由がなくなったから、か」
長い年月がそうさせたのか、
その生き方がそうさせたのか、
或いは、両方なのかはわからない。
確かにそういう意味では長い眠りにつくのもわかる。
「(リアルロリババアなんだよな、そう考える)」
吸血鬼に長命種に超越者とは、中々の属性っぷりだ。
オタク、ついそういう事考えがち。
「知ってるよ。キミにそういう優しい所があるのも」
そこで言った台詞を二度言うつもりはない。
何処か楽しげに言えばその言葉に少し顔つきも変わる。
「"契約"、ね……」
言い換えればそうだ。
脳裏に浮かぶのはあの日、病院でみた彼女の顔。
己の力を恵まんとする悍ましい怪異の素顔。
仮に、あの誘惑に、渇望に負けていたらと思うと──────…。
「確かに重そうだな。
けど、それくらいなんだ?
怪異の一人や二人程度で羽ばたけなくなるほど、僕の翼はヤワじゃない」
決してそれを軽んじた訳じゃない。
ただ、その程度背負えないようじゃ、世界には羽ばたけない。
目指すべき場所は常に一つだ。自分が羽ばたく世界の先には、
何人載せようたって、力強く羽ばたかなきゃ意味がない。
そっと右手を彼女へと差し出す。
「約束する。
キミがこうして目覚めた意味を、
新しい生きる意味を一緒に見つける。
本当に偶然だとしても、大地に二度降り立つ意味があったように」
「そうであるように、してみせる。
杭が抜けるようにね」
胸に突き刺さった痛々しい杭。
人々に見せつける畏怖の象徴。
凍てついた氷を、彼女の停滞を釘付けるようなモノ。
だからこそ、それがなくなるその日こそ、と考えた。
差し出した手は、あわよくばその杭に触れようとするだろう。
■クロメ >
「……少し、喋りすぎたか」
もう、いい。
あの時、そう思った。
"望み通り消えてやろう"とばかりに
結局、死ぬこともなく無様に起きることになったのだが
「……当然の摂理だ。」
優しさなどではない。
優しさなどは……
「目覚めた、意味……生きる、意味……か」
その言葉に、どこか遠くを見る。
産業区でしていた顔に、近いだろうか
「……それは、不要だ。
そんなものは、いずれ決まる。否応なく、な」
冷たい顔から、表情すら消えた
差し出された手を、無表情に見る
「殺す気か?」
ぽつり、と
■橘壱 >
差し出した手が、ピタリと止まる。
「……そこまで深く刺さって……、
……もしかしてコレも、キミの言う約定の一つなのか?」
彼女が此れを抜いた程度で死ぬとは思えない。
不死の範疇だと思っているくらいだ。
たかが杭一本、戒めに突き刺したままだと思っていたが、
その呟きには流石に戸惑いを隠せなかった。
「それならごめん、僕が軽率だった。
変われとは言わないけど、僕はそれ位キミの事を考えてる。
……お節介かもしれないけどね。最初にあった日から、放ってはおけない」
じ、と碧の双眸が怪異を見据える。
傍若無人の超越者の少女。そんな風に思っていた。
強い存在だと思っていた。遠くを見るあの表情も、
超越者の黄昏と思っていたが──────……。
「……勝手に何処かには行かせないぞ。
目覚めた意味を、生きる意味があったって、必ず思わせてやる。
キミにそうしろと言った連中が望むなら、僕はそう望んで、僕の手で掴んでやる」
それが全部、勘違いだったのかもしれない。
だから、自然とそんな言葉が出てしまった。
怪異として、世を蔑めと望まれた形ではなく、
少女としての彼女に意味を持つべきだ、と。
勝手に消えることなんて、絶対にさせない。
止めた手を彼女の頬に添えて、顔を近づけた。
僕を見ろ、と言わんばかりに。
■クロメ >
「……………」
無言であった。
男の釈明も、問いかけも、全てを置いて。
ただ、何も応えなかった。
両者の間にわずかばかり、無音の空間ができあがる
「……別に」
ぽつり、とまた口を開く。
「何処かに行くとすれば――
勝手ではない」
近づいた顔に、冷たい顔も、冷たい目も微動だにせず。
瞳は顔を突き抜けた先を見つめるようで
「何かが定まった、その時だ」
それは、己で決めることではなく誰が決めることでもなく
ただ、天から定められた宿命のように
そして、知天命
知れてしまえば……そのように、流れていくのみ
「そも、私自身は何処かへ行くつもりなどない」
少なくとも、今のところは
「安心しろ」
■橘壱 >
その沈黙は肯定なのか、果たしてスルーなのか。
今一理解しかねるところはある。
ただ、言えるのは、そう。
「……それは、気の遠くなるような話だ。
キミはやっぱり、思ったよりも献身的なんだな」
望まれてといい、定めといい。
思ったより主体性を感じない。
いや、そういうのが彼女の在り方なんだろうか。
難しい話だ、ままならないとは思わない。
気の抜けたように、笑みが零れればそっと離れる。
「定め、運命か……けど、どうかな。
僕が気に入らなかったら、無理に変えてしまうかもしれない」
出来るかどうかは置いといて、
その定めとやらが気に入らなければそうしてやる。
羽ばたき、自由な世界にいるのであれば、当然。
「にしても、前よりは僕に色々話してくれるんだな。
少しは見直してくれた……って事かな?なんてね」
「そんな興味本位ついでだけど、
キミならその、どんな契約をさせるんだい?」
そういう話題が出てきたから、何となく。