2024/10/28 のログ
ご案内:「学生通り」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「学生通り」にクロメさんが現れました。
橘壱 >  
これだけ明るいのに、人混みに囲まれているはずなのに、
祝祭の闇に残されたような帳の中。
そんな二人ぼっちの中、氷の女帝の心底に、
鴉は無遠慮なほどにそこへ向かって羽ばたいている。

「……望んだのは、民衆?それとも、個人?誰なんだ?」

自ずと言葉を続け、問いかけた。

クロメ >  
「なるほど。」

無知とは罪、とも言えまい。
今や神事すら廃れる時代だ。
超常が跋扈し直したとて、知らぬものも多いのだろう。

度し難い、とは言うまい

「実に愉快な見解だ。
 感動的だな。だが――的外れだ」

淡々と、冷たい声が冷たく語る。

「誰が望もうと関係はない。
 既に完成された器は直せない。
 これは、そういう話だ。」

もし、それが気に入らないなら?
別の器でも持ってくるしかない。
それは当然、同じものではない。

「まあいい。貴様の愚かさに免じて、話くらいは聞いてやろう。
 広い世界を知れ、とな?」

尊大に宙に座ったまま、男をじっと見る
ただ、その態度に反して表情は凍ったままだ。

「仮に、人が。全てが度し難くないとして。
 だから、どうした? 事実は変わらぬ。
 知ってどうしろというのだ?」

橘壱 >  
それこそ数千年の話だろう。
その膨大さ(スケール)は計り知れない。
彼女から見ても矮小な、唯一人の非異能者(ぼんじん)の少年には、
その程度の見解が限界なのかもしれない。

「……どうかな。
 そう思っているのは案外、キミだけかもしれない」

鴉の囀りは、止まらない。
さも知ったような口を利いている自覚はある。
それでも此処で認めてしまったら、それまでなんだ。

「確かに僕はキミからすれば愚かかもしれない。
 生きてる年数だって、たかが知れてる。
 地球(コッチ)の世界だけでも全てをしれているワケじゃない」

「キミはまた"愚か"というかもしれないけど、
 それでもキミが思うような程でもないかもしれない。
 認識一つでも変われば、そんな強張った顔することも案外なくなるかもね」

無理に変われとは言わない。
ただ、理解と認識を改めるだけで、
世界の見方も変わると思っている。
何時までもそうして敵視してるほうが、
壱からしたらよっぽどだ。だから、それでもと言ってやる。

「……そのために僕がいる。
 囀ってみせろって言ったのは、他でもないキミだろ?」

クロメ >  
「……ふん」

相も変わらず、強情なことだ。
どれだけ必死なのか、と

別に勝負をしているわけでもなし、ご破産にしてもいいのだが

……影がちらつく

「人は、飽くなき欲の存在だ。
 貴様とて、そうだろう? 何もかもを掴もうとする」

とんとん、と自らの首筋を叩き
そして、とん、と空に存在しない手持ち鞄を叩くふりをする

「さて、とはいえ。
 埒が明かぬな。」

ほんのわずかに、首をひねる
いつまでも、いつまでも。これが食い下がってくるだろうことは分かる。
自分は、遊んでばかりいるわけでにもいかないのだ

「私とて、些少は知ろうとしている。
 祝祭を捻じ曲げた、この度し難い儀式も含めてな?
 そういえば、先程は乗り物をひっくり返そうとした者もいたな?」

此処に来る間に見えたもの。
いかにも愚かさの象徴にしか見えない、それ

「いいぞ。もっと愚かさを見て回れと言うなら。
 どれだけ度し難いか、みてやろうか」

笑うでもない、冷たい顔のまま

「それは、愉快かも知れないしな」

冷めた目で、怪異は告げた

橘壱 >  
それを指摘されるとついつい首元を撫でてしまう。
手元のAF(コレ)はともかく、そっちは、まぁ。

「……否定はしないさ。
 けど、欲望って言い換えれば生き甲斐みたいなものだろ?
 人に限ったものじゃないさ。逆に聞くけど、クロメにはないのかい?」

「そう望まれたと言っても、キミだって生きていた。
 なら、長い歳月の中に、そういう欲望()の一つ位あったろ?」

欲望の否定は、そもそも生きてる事の否定だ。
些細なことでも、大きな事でも皆同じ。
勿論それが行き過ぎれば大事にはなることも知ってる。
けど、人に限ったことじゃない。原動力は、誰もが同じはずだ。

「……あのひっくり返そうとしたのが悪い例だよね。
 行き過ぎた欲望のってさ。……捻じ曲げた、か」

思えば彼女は長生きだ。
もしかすれば、そういう原点と立ち会った事があるかもしれない。

「現代人視点になっちゃうけど、
 言葉の意味だって、結局は使いやすい方を覚えられちゃうしね」

ふ、と口元がはにかみ笑顔。

「キミって、意外とセンチメンタルだよな。
 産業区の時もそうだし、そういう事いいつつ、
 結構今は昔ってのを重んじるおば……貞淑な女性だよな」

自覚があるかはわからないけど、
此方から見ればそういうものだ。
思わず口から飛びかけた言葉は咳払いと一緒に飲み込んだ。

「そういう言い方はどうかと思うけどな……。
 まぁ、キミが少しでもコッチに合わせてくれるようになったのは、
 僕としても嬉しい限りだな。言った以上は、関わり続ける。嘘は言わない」

「なんなら、約束したっていいけどね」

クロメ >  
「もちろん。
 私とて、欲がないわけではない」

生まれてから、此処まで
一切なかった、といえるほど厚顔無恥ではない
人並みに何かを求めたこともある

「そして、捨てていった。
 置いてきた、という方が正しいか?
 さもなくば、開放された、というべきか?」

時を経るに従って……
経験を、体験を積むに従って……
あれも、これも、無くしてきた

「そうだな。
 だから、私は眠った。」

原動力などなくなった。
それでも支えていたものがあったが、それもなくなれば……
あとは、活動を止めるしかない。

「老婆と? 歳とすればそうだろうな。
 ……言ったはずだ。自然に、罪はない」

自然は、そこに只在るだけ。
悪意も善意もなく、害を及ぼすことも救うことも在る。
意図を持って何事かを為す人と比べ、そこに罪などあろうはずがない

……そういう、変わらぬモノ、を愛でる気持ち位は凍てついた心にも在る。

「契約でも結ぶか?」

怪異との契約。それが持つ意味は重い

「……約定は大事だが。
 貴様は、まず怪異と約定を結ぶ意味を学んだほうがいいな。
 それこそ、"お前も知れ"」

橘壱 >  
「……文字通り、動く(生きる)理由がなくなったから、か」

長い年月がそうさせたのか、
その生き方がそうさせたのか、
或いは、両方なのかはわからない。
確かにそういう意味では長い眠りにつくのもわかる。

「(リアルロリババアなんだよな、そう考える)」

吸血鬼に長命種に超越者とは、中々の属性っぷりだ。
オタク、ついそういう事考えがち。

「知ってるよ。キミにそういう優しい所があるのも」

そこで言った台詞を二度言うつもりはない。
何処か楽しげに言えばその言葉に少し顔つきも変わる。

「"契約"、ね……」

言い換えればそうだ。
脳裏に浮かぶのはあの日、病院でみた彼女の顔。
己の力を恵まんとする悍ましい怪異の素顔。
仮に、あの誘惑に、渇望に負けていたらと思うと──────…。

「確かに重そうだな。
 けど、それくらいなんだ
 怪異の一人や二人程度で羽ばたけなくなるほど、僕の翼はヤワじゃない」

決してそれを軽んじた訳じゃない。
ただ、その程度背負えないようじゃ、世界(ソラ)には羽ばたけない。
目指すべき場所は常に一つだ。自分が羽ばたく(見せる)世界の先には、
何人載せようたって、力強く羽ばたかなきゃ意味がない。
そっと右手を彼女へと差し出す。

約束する
 キミがこうして目覚めた意味を、
 新しい生きる意味を一緒に見つける。
 本当に偶然だとしても、大地に二度降り立つ意味があったように」

「そうであるように、してみせる。
 (ソレ)が抜けるようにね」

胸に突き刺さった痛々しい杭。
人々に見せつける畏怖の象徴。
凍てついた氷を、彼女の停滞を釘付けるようなモノ。
だからこそ、それがなくなるその日こそ、と考えた。
差し出した手は、あわよくばその杭に触れようとするだろう。

クロメ >  
「……少し、喋りすぎたか」

もう、いい。
あの時、そう思った。
"望み通り消えてやろう"とばかりに

結局、死ぬこともなく無様に起きることになったのだが

「……当然の摂理だ。」

優しさなどではない。
優しさなどは……

「目覚めた、意味……生きる、意味……か」

その言葉に、どこか遠くを見る。
産業区でしていた顔に、近いだろうか

「……それは、不要だ。
 そんなものは、いずれ決まる。否応なく、な」

冷たい顔から、表情すら消えた
差し出された手を、無表情に見る

「殺す気か?」

ぽつり、と

橘壱 >  
差し出した手が、ピタリと止まる。

「……そこまで深く刺さって……、
 ……もしかしてコレも、キミの言う約定の一つなのか?」

彼女が此れを抜いた程度で死ぬとは思えない。
不死の範疇だと思っているくらいだ。
たかが杭一本、戒めに突き刺したままだと思っていたが、
その呟きには流石に戸惑いを隠せなかった。

「それならごめん、僕が軽率だった。
 変われとは言わないけど、僕はそれ位キミの事を考えてる。
 ……お節介かもしれないけどね。最初にあった日から、放ってはおけない」

じ、と碧の双眸が怪異(少女)を見据える。
傍若無人の超越者の少女。そんな風に思っていた。
強い存在だと思っていた。遠くを見るあの表情も、
超越者の黄昏と思っていたが──────……。

「……勝手に何処かには行かせないぞ
 目覚めた意味を、生きる意味があったって、必ず思わせてやる。
 キミにそうしろと言った連中が望むなら、僕はそう望んで、僕の手で掴んでやる」

それが全部、勘違いだったのかもしれない。
だから、自然とそんな言葉が出てしまった。
怪異として、世を蔑めと望まれた形ではなく、
少女(クロメ)としての彼女に意味を持つべきだ、と。
勝手に消えることなんて、絶対にさせない。
止めた手を彼女の頬に添えて、顔を近づけた。
僕を見ろ、と言わんばかりに。

クロメ >  
「……………」

無言であった。
男の釈明も、問いかけも、全てを置いて。
ただ、何も応えなかった。

両者の間にわずかばかり、無音の空間ができあがる

「……別に」

ぽつり、とまた口を開く。

「何処かに行くとすれば――
 勝手ではない」

近づいた顔に、冷たい顔も、冷たい目も微動だにせず。
瞳は顔を突き抜けた先を見つめるようで

何かが定まった、その時だ」

それは、己で決めることではなく誰が決めることでもなく
ただ、天から定められた宿命のように
そして、知天命
知れてしまえば……そのように、流れていくのみ

「そも、私自身は何処かへ行くつもりなどない」

少なくとも、今のところは

「安心しろ」

橘壱 >  
その沈黙は肯定なのか、果たしてスルーなのか。
今一理解しかねるところはある。
ただ、言えるのは、そう。

「……それは、気の遠くなるような話だ。
 キミはやっぱり、思ったよりも献身的なんだな」

望まれてといい、定めといい。
思ったより主体性を感じない。
いや、そういうのが彼女の在り方なんだろうか。
難しい話だ、ままならないとは思わない。
気の抜けたように、笑みが零れればそっと離れる。

「定め、運命か……けど、どうかな。
 僕が気に入らなかったら、無理に変えてしまうかもしれない」

出来るかどうかは置いといて、
その定めとやらが気に入らなければそうしてやる。
羽ばたき、自由な世界(ソラ)にいるのであれば、当然。

「にしても、前よりは僕に色々話してくれるんだな。
 少しは見直してくれた……って事かな?なんてね」

「そんな興味本位ついでだけど、
 キミならその、どんな契約をさせるんだい?」

そういう話題が出てきたから、何となく。