2026/02/17 のログ
青霧在 > 「決め手は……退屈、ですかね」
「ナンパなんて、とても出来ませんよ」
「それに、お人好しでもないと思いますよ。時々言われますけど」

少女の言動が本気でないことは、簡単に分かった。
同じような軽口をたたく同僚や知人は何人かいる。
こちらからも軽く受け答え。

「久森さん、よろしくお願いします」

ナンパ師のような言動だっただろうか。
少女の反応に内心硬直するが……杞憂だったようだ。

それにしても、
道案内の申し出を受け入れた時も思ったがこの少女、
久森琴葉は第一印象と大きく異なり、しっかりしている。
まさか先輩と呼ばれるとは思わなかった。

こちらからも軽く頭を下げておく。

「一年生……」

かなり年下だった。
まあ、そうか。学生街で迷子になるのは、一年ぐらいか。
納得しつつ、ふと浮かんだ疑問を口にする。

「そういえば、何故こんなところに?」
「何か行きたい場所でもあったんです?」

俺が知らないだけで、隠れ家的なカフェでもあるのだろうか。

コトハ > 「退屈、ねー。刺激を求めるタイプって感じしねーけど。」

興味なさそうに一瞬首を傾げるが、あとの言葉に食いつく。

「キャハハハ!よく言われるってことは、そう見えてるんじゃん。
 自認が違うってことは、行動が間違ってるか思考が間違ってんじゃねーの?
 さもなきゃパイセンの常識がおかしいか。すり合わせなくてだいじょーぶ?」

煽るようでもあり、笑うようでもあり、からかうようでもあり。
楽しそうに、指摘する。

「一年。ガキ、とか思った?
 まー、パイセンに比べりゃ子どもかもしんねーけど。
 それとも年齢差にショックとか? はいはい、まだ若い若い。
 パイセンはまだ若いよ」

そもそも、年次でいえば4年差程度であり、誤差の範疇とも言える。
別にそんなショックを受けたとも思わない少女だが、憎まれ口はなぜだか忘れない。

「なぜ……」

その問いにほんの僅かに、言葉が止まる。
なぜもなにも、である。

「あー……常渋にいったら、あそこなんかあったらしいじゃん?
 で、街がガタガタしてたからメンドくさくてこっち来たわけ。」

男が知っているかはともかく、少女の言い分としては常世渋谷でなにかしらの事件か何かがあったらしい。
そのため、街が色々と騒がしく、それを面倒に感じた、ということは伝わるだろうか。

「で、イライラして歩いてたら、なんか知らないとこに来たってだけ。
 そこそこ、この辺は知ってたと思うんだけど何にも考えてなかったからさ……ったく」

最後は照れ隠しなのか、軽く毒づいて見せる。

「ほんとは、アクセとか靴でも見ようかと思ったんだけどさ。
 パイセン……は、あんまそういうの知らなそーか」

少女はだいぶ勝手に偏見で決めつけた。

「それとも、そーいうとこまでエスコートできる?」

キャハハ、と笑った

青霧在 > 「そう、だな」

遠慮の無い直接的な言葉に、強い衝撃を受けた。
図星という訳ではない筈なのに、急所でも貫かれたような衝撃が走る。
衝撃に揺れるが、大きなリアクションは見せないように努める。
多少言葉に詰まってしまったが、代わりに作り笑いを浮かべておく。
堅くなっていないだろうか。

「四年年上だからって、そこまでは変わりませんよ」
「子供だとか、そんなこと全く」

持ち直し、答える。
しっかり受け答え出来ているだろうか。

「常世渋谷……」
「戦闘行為があったと聞いていますね」

久森の言う出来事とは、恐らくあの出来事だ。
かの怪人、カタストロアが出没し特別攻撃課の委員と交戦した。
その混乱がまだ続いているのだろう、容易に想像出来る。

……やはり、悔やまれる。
あの時、あの怪人を逃がしてしまったことを。

「そうですね……その手の店が集まってる場所なら、辛うじて知っていますよ」

久森の言う通り、俺はファッションの類に全く興味がない。
身だしなみを整える程度で、拘りも興味もない。
だが、地理を把握する上で出店の傾向なら覚えている。

「その辺りに行きます?そっちでいいなら、その方が近いですし」

コトハ > 「とはいえ、人が悪いよか人が好いってほーが世間的にはいいんだろーけどな。
 パイセンが気にするかどうかってとこ?私は別にどーでもいい派だけど」

眼の前の相手が密やかに衝撃を受けていたことに気づいたのかどうか。
変わらず好き放題に言う。

「小さいのも若いのも事実じゃあるけどな」

そういう少女は、年相応、ではあるがやや小柄で華奢な体をしている。
人によっては更に若く見るものもいるかもしれない。

「あ、やっぱ?非常識(アタオカ)ヤローの仕業かよ。
 てか、パイセンそんなん知ってるってことはもしやブンヤとか委員会とか系?」

調べれば誰でもわかることかもしれない。ゆえに、少女は適当に言っているに過ぎない。
鋭い読みというよりは当てずっぽうに近い。
どう捉えるかは、相手次第である。

「辛うじて、ね。キャハハハ、素直じゃんパイセン。
 知識としては知ってるって感じ? やっぱ人好くない?」

ファッションとかそういうのに興味はない、という少女の予想は当たったようだ。
それでも知識として提供しようとする辺り、やはり人が好いのではないか?と少女は思う。

「そーいや退屈とか言ってたっけ? ついでになんか見てく?
 ぶっちゃけ常渋の方が本命だったから、こっちだとはガチな目的なんざないんだよな。
 ムカつくことに」

買いたい、探したいものは渋谷の方であり、こちらは別に目当てもない。
ただイタズラに時間を潰すかどうか、のような有り様だと少女は嘆く。

青霧在 > 「それなら……気にしなくていいかもしれませんね」

何か思う所があるだとか、そういう人間が嫌いだとか。
そういう意図で言った訳ではないのだろう。
強めの弄りで放った言葉が偶然俺に刺さっただけだ。

久森が続ける通り、別に俺が気にする事ではない。
無いのだが、幾人かからも同じようなことを言われている。
そのせいだろう。妙に、痛かった。

「知人がそんな感じなんですよ」

嘘ではない。
風紀の同僚から聞かされた話なのだから。

「それなら……折角ですしご一緒しましょう」

晴らしたい退屈と久森の言う退屈は別物だが、
誘われたら断る訳にもいかないだろう。
声をかけたのは俺で、退屈と言ったのも俺だ。

「ただ……少しコンビニにだけ寄っても?買いたいものがあって」

買いたいのは保冷剤だ。
今も隣で浮いてる段ボールにはチョコが沢山入っている。
この頃、寒さも和らいでいる。
それ自体は良いことだと思うが、チョコにとってはそうも限らない。

コトハ > 「なに?ってことはやっぱ気になってんの?
 キャハハハ!パイセン、雑魚メンタルじゃねーか。
 バーカ、好きにすりゃいいじゃん。」

変わらずキャハキャハと少女は笑う。
強く弄るように。それでいて、肯定する。

「それとも誰かに迷惑かけた?余計なお世話とか言われた?
 うっわ、ありそー。知るか、そんなん。
 どーせ人なんてお互いの都合でしか生きてねーよ、バーカ。
 ま、ほんとのとこはしらねーけど」

適当に憶測でものを言って、適当に閉めていく。
本気なのか冗談なのか真面目なのかもわからない。

「知人ねー。便利だなー、それ」

微妙に、どこにかかっているかあやふやな言い回しをして、答えを聞き流す。
別に、答えを求めていたわけでもないのかもしれない。

「ナンパ成功ってやつ?なんてな、キャハハ」

ご一緒しましょう、という言葉に笑う少女。
勿論、本気ではないのだろう。これもまた、暇つぶしの一環。
悪い冗談で退屈しのぎでもしているのだろうか。

「コンビニ?別にいーけど。
 そもそも学生街でぜってー買いたいものがあるわけじゃないし。
 ってか、そういやその箱、なんだよ?万引き商品を堂々と持ち歩いてるってわけでもねーだろうし」

店に行くともなれば、ふわふわと浮いているそれは色々な意味で目立つことだろう。
持って入っているのを見てもらえれば、犯罪行為ではないのは伝わるには伝わるが。
それでも、外聞はあまりよくないかもしれない。

「そもそも退屈って割になんか荷物持ってるわけだし。用事はありそうなもんだけど
 ってことは、その荷物自体が退屈の元だったりするのか?
 ……ま、いっか」

そこまで言ってから、すっぱりと投げ飛ばす。
飽き性なのか、それとも本当にどうでも良かったのか。
それ以外に意図があるのか。

青霧在 > 「……難しいですね」

違う。俺が勝手に難しくしているだけだ。
今は誰にも迷惑をかけていない筈だ。
余計なお世話だなんて、殆ど言われていない筈だ。

気にしているのは、俺の身勝手ゆえなのだ。

ただ、久森はそんなことを責めようとしている訳ではない。
なんとなくそれが分かる、伝わってくる。
だからこそ、とても痛んだ。

「この中身は……貰い物のお菓子です」
「自宅に持って帰る途中だったんです」
「……良かったら要ります?一箱ぐらい」

貰ってもらえると、むしろ助かる。

そんな事を話していると、コンビニの看板が目に入った。
周囲を見ると、人通りも多くなりつつある。
道案内の役割は既に済んだ頃合いだろう。

コトハ > 「難しく考えすぎなんじゃねーの?
 まあ私じゃねーし、好きにすりゃいいけど。
 雑魚メンタルに足引っ張られないようにだけしとけよ、パイセン。」

難しい、などというから難しいのだと少女は思う。
とは思うものの、別に自分は相手ではない。
今見知ったばかりの相手の、本当に思うところなどわかりようもない。
的外れかもしれないし、正鵠かもしれない。
だから 好きにすればいいと思う

「貰い物の菓子?
 まさか、バレンタインのチョコとかいわねーよな?
 そんなんだったら、ガチ呪物じゃねーか。」

マジだったらいらねーからな、バーカ!と少女は本気で罵る。
友チョコだろうと本命だろうと、この時期、女子が貰い受けるものでもないだろう。
そうでないなら? 一箱もある菓子なんて乙女にはやはり、呪物である。

「いいから、コンビに行きますよ。
 ほら、そこ!」

既に見えてきたことをいいことに、案内されている側が案内を始める。
まるで自分の功績のようである。
こうして、買い物位はつきあうのだろうか

青霧在 > 「…そうですね、気を付けます」

こんな返事しか出来ない間は難しそうが。

「そうですか…残念です」

本当に。
それにしても、やはり貰い物のチョコというのは
軽率に人に渡すものではないのだろう。
…分かっているつもりだからこそ、処分に困っているのだが。

そんなこんなで、2人してコンビニに入っていった。

ご案内:「学生通り」から青霧在さんが去りました。
ご案内:「学生通り」からコトハさんが去りました。