学生通りから分かれる路地に入れば、大小さまざまな部活施設、商店などが立ち並んでいる。まさに商店街である。
学生街のほとんどは商店などの施設で占められており、常世島の住民たちが生活する中心となる。
生活するに必要な食糧などは全てここで手に入る。
※商店街の路地に限らす、商店街にある施設なども含んでロールすることができます。
参加者(0):ROM(1)
Time:17:11:55 更新
ご案内:「スイーツ処『クリ次郎』」から兎隠 悠真さんが去りました。
■兎隠 悠真 > 十数分後…結論からいうと悠真は勝った。
中学生は無限の胃袋を持っているのである。
ましてや男児たるや。
中学生のボーイ数人がご飯を食べることになったとき、
唐揚げ1キロ、ご飯一升が消滅したという話を聞いたことはないだろうか。
これは紛れもない事実であり、悠真も例外ではないのだった。
「ふはー!おいしかったー!ごちそうさまでした!」
両手をぱしっと合わせて頭を下げる。
『…あっした!』
店員さんの御礼、そしてお客さんたちの拍手。
『いいもん見せてもらったよ』
『お嬢ちゃんやるね。この黒ウーロン茶はサービスだ、持ってきな』
『すげえな…途中から、俺ぁ目ぇがかすんで…眠くて…』
『血糖値スパイクだぞ!!』
「えへへー! どうもどうもー! ありがとうございまーす!」
お客さんの歓声?に元気よくポーズをとってから、入口に立ち…
くるりと180度向き直って、店員さんとお客さんに頭を下げてお店を出る。
でもちょっと帰りの足取りは重たかった。
お腹いっぱいだから。 黒ウーロン茶を飲みながら、
腹ごなしに適当なお店を眺めて回る。
中学生の好奇心はまだまだ尽きることがないのであった。
■兎隠 悠真 > そして『敵』がやってくる。
目の前にどかんとおかれたパンケーキは、分厚い。
それが5段。
全体が黒と黄色、そして白に彩られているのは、
クリームと黒蜜、黄な粉なのだろう。
じゃあ、とお皿に手をかけたところで、
店員さんに制止される。
店員さんの手には、アイスをすくうやつ。
お玉のような形にレバーがついてる、アレだ。
そこにみっちりと詰まっているのは…バター!!!
「お”お”ッ?!」
どん。 脂の塊のはずなのだが、その数百倍の質量がある…。
そんな印象をもって、バター塊がパンケーキの上に”着弾”する。
『パンケーキ小、クリームマシメープル抜き、
バターと黒蜜黄な粉トッピングお待ち。
…行ってらっしゃい!』
「あ、あざす」
若干呆然としながらそれを受け取る。
両手で持っているのに…お皿が重たかった。
何とか自分の前に置き、端末で写真を撮る。
ついでにパンケーキと一緒に自撮りもしちゃう。
これからパンケーキ食べちゃいまーす!な感じである。
回りのお客さんたちは、悲しそうな目で悠真を眺めていた。
かわいそうに。今からあの子は胃袋をパンケーキに散々に蹂躙されて、
食べることへの愛情を粉々に破壊されて、沈痛な面持ちでお店を去ることになるんだ…そういった目であった。
■兎隠 悠真 > 小さくジャズが流れる店内には、
料理をする音、そしてお客さんが一生懸命ケーキを食べる音、
そして時々嗚咽が聞こえる。
『手ぇ…手が動かねえよお…!!』
『食べるんだろ!!食べて…試験受かるんだろ!!
ドカ食い平然部の!!行くんだろ甲子園!!』
『でもお…俺、血糖値がビキビキになってんのがわかるんだあ…。
眼ぇ開けてられねえよ…』
『血糖値スパイクなだけだ!!しっかりしろ、手を動かせ…!!』
『あと何口だぁ、あと何口残っ……』
『しっかりしろ!!おい!!』
戦争かな? 悠真はちょっとビビった。
そうしてそわそわする時間を過ごすことしばらく…。
頭にタオルを巻いた店長がこちらを見て口を開いた。
『トッピングは』
「えーと……。」
デスグルメを読む。
「カタ、クリーム、メープル抜き。」
回りのお客さんがざわついた。
(カタでクリーム、メープル抜き……?
つまりよく焼きでしっかりした食べ応えとなったパンケーキを、
クリームのみで流し込む算段なのか?
バターのオイル感と塩味だけではパンケーキの量に負けてしまう、自殺行為に等しい!
いや……しかしバターのほかに黒蜜黄な粉もトッピングしている…。
甘さと液体感はメープルに劣るが、なにしろ黄な粉の風味がいい。
しかし黄な粉だってお腹を膨らませるというデメリットがあるんだ…。
まさか、もしかしたらこの子は…”慣れている”のかもしれない…!!)
■兎隠 悠真 > 自販機といっても、スイーツそのものが売っているわけではない。
ずらりと並ぶ色とりどりのプラ製チケット…そしてその下にいろいろ書いてある。
『パンケーキ小』『パンケーキ大』
『ウインナー3本』『バター(トッピング)』『ベリー(トッピング)』
『期間限定:紅ショウガ』『期間限定:黒蜜黄な粉』
さらに下に目をやる。購入ボタンの下に、めちゃめちゃデカい文字で
以下の文言が荒々しく記されていた。
『※※※※※※※※注意※※※※※※※
当店のパンケーキは通常のお店の3倍あります!!!!!
初めての方は小を選択してください!!!!』
『トッピングは席についてからお伺いします!!!!』
「スゲー。」
さすがにびっくりした。 こんなにいっぱい!マークがあるってことは、
きっとちゃんとお店のいうことを守れない人たちがいるのだろう。
死ぬほどビックリマークついてるし。
「…。」
少し考える。自分だってバカではないし無謀ではない。
いきなりお店に迷惑をかけるのも失礼だ。
お店のルールをきちんと守ってこそ、お客さんと店員は良好な関係であるはずだ。
「えい。」
パンケーキ小。バター。黒蜜黄な粉。
まあこんな感じだろう。
お金を入れると、からからと音を立ててプラ製のチケットが自販機から吐き出される。
それをもってちょうど空いた席に移動し、カウンターに置いた。
その時、一瞬お店の客たちがこちらを見た。
視線を感じたのだ。 何かいけなかったのだろうか。
それとも……オレがかわいいから!?
中学生の自意識では、自分を見る目に憐憫が込められていたことに気づけなかったのだ。
■兎隠 悠真 > 「へー、ここがクリ次郎かあ。
見た目はそんなでもないんだけどな…。」
少しばかりレトロな建物の前で、悠真は本と店の入り口を交互に眺めていた。
その手にあるのは『常世デスグルメ』……。
あまりに体によろしくない料理店が載せられた、禁書指定の書籍である。
”うまいは体によろしくない”…デカデカと表紙に描かれたその一文から、
賢明な生徒たちはその内容を悟ることができるだろう。
ともあれ、悠真は遠慮なくドアを開けてお店の中に突入する。
大きなベルが、まるで弔鐘のように鳴り響いた。
「おおー…。」
L字型のテーブルにはずらりと人が並んでいる。
そして全員の前には白い塊と巨大な皿。
思わず声を上げた悠真を、店主は一瞥し…そのまま入口の自販機を目で指し示す。
「おおー…。」なるほど、とうなずき、おとなしく自販機の前に立った。
ご案内:「スイーツ処『クリ次郎』」に兎隠 悠真さんが現れました。
ご案内:「商店街」から青霧在さんが去りました。
ご案内:「商店街」から佐々木伊織さんが去りました。
■青霧在 > これ程お喋りでは無かった筈だ。
やはり別人か、別人格か。
とはいえ、その手の症例…と言ってよいのか。
そんな無知の身で決めつけるのも如何なものか。
……いや、今はどうでもいい。
この強い違和感がぬぐえない以上、警戒を緩めてはならない。
「……そうなんですね」
牧場主の事情なぞ、知らない。
知らない以上、必要以上に疑いたくはない。
しかしながら、胡散臭い。何を企んでいる。
空の話も、脈絡がない。
体調不良が一周回ってハイになっているのか?
思考ばかりが巡り、動けない。
制圧……いや、その選択肢はあり得ない。
不審だ、不審だが……ただそれだけだ。
「…元気になったならよかったです、お大事に」
そうして何も出来ぬうちに、男子学生は去っていく。
買い物途中、場所やあのバッグを鑑みるに本当のことだろう。
「…………」
立ち去る男子学生の背を目線で追いつつ、思考を回す。
「………」
ふと、数日前の記憶が脳裏で再生される。
「…………」
『常在的にあの姿、というわけでもないのでしょう』
『変身系の異能者の可能性があるか』
「…………」
後輩の言葉と、それに応じる俺の声。
「まさか……な」
流石に突飛が過ぎるだろう。
二重人格だとして、何故それがカタストロアに繋がるのか。
論理的ではない。あまりにも飛躍が過ぎる。
そんなわけが、ない。
―――気が付けば、男子学生は既にどこにも見えなくなっていた。
既に答えは出せなくなった。
あの男子学生はカタストロアではない。
そう結論づけ、ベンチから立ち上がる。
まだ買い物の途中だ。俺も早いところ、済ませてしまおう。
―――出した結論が間違っていないことを願いながら、その場を去った。
■佐々木伊織 >
「空って何度も表情を変えますよね」
「今は青でも、暮れれば赤へ」
「僕は空が好きなんですよ」
四色型の視覚を持つ爬虫類の眼には空はそんな色に見えちゃいないが。
まぁ、いいだろう。
今は人間の流儀に従ってやるさ、なぁ伊織くん?
「ああ、話しすぎてしまいました」
「男のお喋りってあまり良くみられないんですよね…」
「ほら、牧場主の子息が通う畜産って封建的なところありますから」
実際にはそんな事実はないが。
テキトーなことを並べて煙に巻いてやるか。
「あ、買い物が青果店で人参を買った後、ってくらいの進捗でした」
「それでは僕はこれで失礼します」
覚えているぞ、あの時の風紀委員。
「今日はありがとうございました!」
次に会う時はその顔を引き裂こう。
■青霧在 > 俺はその瞬間、自らを恥じた。
男子学生の目が俺の目を見て、何かを言おうとしている。
拒絶が飛び出すとばかり思い込んでいたその口から、もっと違う言葉が飛び出そうとしている。
そう、直観したからだ。
勝手に罪悪感を感じて、拒絶から逃げようとしていた。
手助けをしようとして、結局は自分のことしか考えず、目の前の彼から目を逸らそうとしたのだ。
何か伝えようというのなら、助けを求めるというのなら。
向き合わなければならない。そう思い、浮いてしまっていた腰を下ろそうと―――
―――なんて、根拠のない確信を得ていたからこそ。
「あ、あぁ……そうか……」
突如流暢に話し始めた男子学生の様子に、拍子抜けた声が漏れた。
同時に、強い警戒が漏れ出た。
マズイ。
そう思い、警戒を即座に引っ込める。
しかし何だ、この強い違和感は。
先程までの彼とは別人のよう。
今にも倒れてしまいそうな雰囲気はどこへやら。
此方が呆気に取られているうちに、まくしたてるようにしゃべり続ける。
先程までのような温和な態度を保ちたい。
しかし、保てない。
気が付けば、再び腰が浮いていた。
「……いい天気、ですね」
視線は空へ向けつつも、魔術を用いて監視を続ける。
二重人格か?珍しくはあるが、無い訳じゃない。
先程までの不調が心因性のものであるのなら、関連しているのかもしれない。
■佐々木伊織 >
乾く喉、早鐘を打つ鼓動。
罪を罪のままにしていいわけがない!
「違うんです」
彼の目を見て、オレは。
「いやぁ、薬が効いてきまして…」
「気分が優れない時って吐き気が落ち着くとすっかり良くなりますよねえ」
モヤシ野郎の口を借りて言葉を形にしてやった。
「でもあのまま蹲っていたら往来の邪魔でしたし」
「声をかけていただける、というのは本当にありがたいです」
軽佻浮薄に喋り、上っ面の表情を貼り付けて。
あの夜の風紀委員にまくし立てた。
お楽しみの邪魔をしているんじゃあないぜ、伊織くゥん。
オレとお前は一心同体。
最近は馴染んできたからな、表に出ている人格に干渉するくらい簡単なんだよ。
「それにしても」
空を見れば、雲ひとつない空。
どこまでも続く、青……
「いい天気です」
■青霧在 > 要らぬ気を遣わせているのだろうか。
此方に向けられた笑顔には覇気がない。
僅かに視線を落とし考える。
体調不良の最中、拒絶できないだけかもしれない。
実際は迷惑に思っている可能性だってある。
逡巡。
その間に、男子学生が再度口を開いた。
「どうか、しましたか?」
視線を戻せば、男子学生と目が合った。
やはり、迷惑だと言いたいのだろうか。
そう言うのであれば、すぐにこの場を去ろう。
しかし、続く言葉は紡がれない。
何かを言おうとしていることは分かる。
余程言い辛いのだろう。
「やはり、ご迷惑に……」
存外、俺が余計なことをしなければ既に収まっていた程度のものだったのかもしれない。
少々ネガティブが過ぎるかもしれないが、そういう人はいる。
そんな思いゆえか、腰が無意識のうちに少し浮いた。
■佐々木伊織 >
手をひらひらと振って力なく笑う。
「いえ、余計なことなんてそんな…」
そうだ、余計なんかじゃない。
これはチャンスなんだ。
千載一遇の好機。
ここで彼に自分がカタストロアであることを告げるんだ。
自分の中にヤツがいると。
自首することでこれ以上被害者も犠牲者も出すことはなくなる。
もう保身だけの問題じゃない。
僕が自分の身可愛さに自首を躊躇っている間にたくさんの人が傷ついているんだ。
「あの……」
彼はただの学生服。
あの時にカタストロアと戦った風紀委員の方ですよね、と切り出せば。
終わる。終わるんだ。
隣に座った彼の顔を見る。
夏に出る大好きなゲームの新作が脳裏を過った僕は最低最悪の屑野郎だ。
お前が臆病だから大勢の人がカタストロアの暴力に苦しんだんだ、佐々木伊織。
しかし……次の言葉が出てこない。