2024/07/08 のログ
ご案内:「商店街」に蒼き春雪の治癒姫さんが現れました。
蒼き春雪の治癒姫 >  


    お呼び出し(デーーート)ッッッ


 

蒼き春雪の治癒姫 > そういうわけで、憧れのあの!
緋月様をお呼び出ししてですねッ!!

七夕祭のデー……遊戯に参りましょう。

「ふふふー……えへへ。」

あー
私の顔が若干ヤバイがまぁいいです。
楽しみすぎて待ち合わせの30分くらい前に来たらまあ案の定
そりゃいるわけないんですがッ

いやッ
というほど目立つ雪柄着物なので
来てくれたらすぐ分かるでしょう

私はここです
小綺麗な商店街の一角の柔らかイスに腰を落ち着けておりますッ

―――25分後…

ご案内:「商店街」に緋月さんが現れました。
緋月 > たったった、と小走りでブーツの足音が響く。
走って来たのは、いつもの暗い赤の外套(マント)に書生服姿の少女。手にもいつもの刀袋。
呼び出した相手の姿を見つけると、そのまま駆け寄って来る。

「すみません、遅くなりました――!」

と、駆け寄るなり謝罪。
突然のお呼び出しとは言え、遅刻して相手を待たせるのはよろしくない、はずなのだが――

「……あれ。」

少し遠くにある、ちょっと大型の街中の時計を確認する。
待ち合わせ時間の、五分前だ。

「……すみません、蒼雪さん。
一体、いつから此処でお待ちに…?」

質問していてちょっと怖くなった。

蒼き春雪の治癒姫 > 「あ~~!!緋月さまぁ~~~!!!こんばんは。こっちですこっちで~すッ」

走ってくるあなた様を見るなり
それはもう嬉々として出迎える雪柄の姿。
今日も元気がいいです

「えへ、大丈夫です。(わたくし)もさっき来たところですから。」
「いえ、少々暑いですので座っておりまして。」

大嘘である

だが
平然と、
雪のように涼しい顔で
言ってのけるもんだから真偽は分からぬはず。

(……いや、よく見たら汗かいてたり
飲み物だいぶ減ってるとか、
アヤシイ要素はあるけど。)

その顔だけはわたくし嘘はつきませんという輝きに満ちていたッ

緋月 > 「……。」

流石にその言葉をそのまま鵜呑みにする程、少女は鈍くはない。
顔に浮いている汗、飲み物を飲んだ跡。

自分も夏にしては割と暑苦しい服を着ているが、気合で何とかしている所はある。
目の前の蒼い少女は、明らかに自分より暑苦しい着物姿。
待っているだけでも汗を掻くのは充分過ぎる。

「…すみません、遅くなってしまって。」

でも、何とか恰好をつけようとするのを、敢えて指摘してしまうのは忍びなかったので。
自分の遅刻を詫びて、この状況は打ち切る事にした。

「随分暑いでしょう。
どこか、涼しい所で何か食べて涼みませんか?」

と、提案。
実は一番良いのは熱いお茶辺りだが、夏という事もあるので涼を取れる何かを軽く食べる事を提案してみる。

蒼き春雪の治癒姫 > 「えっ」
「あっ」
「いえッいえいえいえッ!」

あたふた
あたふた

「緋月様は悪くございませんッッ!!」
「わたくしが!勝手に早く来て待っていただけです!!!」
「お許しください!!!」

座り込んだ体を立たせて
自分が勝手にやったことだからと言っておかねば気が済まない。
いやほんとに
なんで謝ってんの?!
いい子過ぎかッ?!
そういうところも素敵ッッ!!

…あ、早く来たことばれちゃった。
…いっか。

「はーあっつぅ……湯でも沸かしてんかっての……ってなりますね…」
「ふう…。」
「…氷属性ですので、私。」
(…嘘だけど)

ほんのりとひんやりした空気を纏う雪の結晶を撒きながら、

「えぇ、喜んでお供いたします。」
「夏場と言いますとやはりアイスクリームですとか。」
「涼しいところで一休み。大賛成ですよッ」

ご提案にはしっかり乗っかろう。

緋月 > カマをかけたつもりはなかったが、素直に事情が知れてしまった。
早めに着こうと出発していた自分よりも、更に早く到着していたらしい。
何故自分のような粗忽者にそこまで真っ直ぐに好意…恐らく好意だと思うが、そんな感情を向けて来るのか。
やはりどうにも人の心の機微は掴みづらいが、まあ、今はとりあえず。

「では、少し歩きながら涼める場所を探しましょう。」

ひょい、と手を伸ばす。
書生服姿の少女にしては自然な動作だったが、直後に少し迂闊な真似をしたかと思ってしまう。

「あ、すみません…手、暑いなら、いいですが。」

蒼き春雪の治癒姫 > 「んっ…ぁ…!」

伸ばされた手。
ぎゅっ、と掴んで。

「…この暑さは、心地の良い暑さですから。」
…にこやかに。

拒もうはずもない。

注ぐ日差しの
雪融けさせて蒸発させるようなソレとは、
比べようものでもなかった

「……緋月様は?暑くはないですか?」
「…早い事、冷房の利いたとこへ参りましょうッ」

「そういえば、七夕ですか。ああぃえ、今日は一日遅いですけれど。」
「店内に短冊と竹竿が見えますよ。」

さて、どこへ行こうか―――ゆっくりと見回ると。
商店街の窓ガラス、どこもそういう季節のよう。

緋月 > 「そうですか?
――暑かったら、気にせず言ってくださいね。」

そう伝えると、手を繋いでふらりと商店街に足を向ける。
目的は何か涼めておいしいものを食べられそうなお店。
何があるだろうか。

「うーん、この服にももう慣れましたからね。
それでも本当に暑い時は気を付けないといけませんが。
安い日傘のひとつでもあればいいんですが。」

と答えつつ、確かに見てみれば短冊と竹が目立つ。

「一日遅れでも、受け付けてくれてるといいですね。
ああいうものを見ると、何か書かないと損な気がして――」

などと言いつつ少し歩を進めれば、

「――おや。」

目についたのは、和風喫茶。
定番のかき氷に加えて、あんみつのポスターも店先に出ている。
アイスの入った、涼しそうなタイプもある。
そしてこちらにも、短冊の吊るされた竹竿が。

「…蒼雪さんは、和菓子の類は大丈夫ですか?」

意外と好みが分かれるらしいというのを知ったので、事前に確認を忘れない。
書生服姿の少女は、和菓子の類は大好きなのだが。

蒼き春雪の治癒姫 > 「……そういえば、かの決戦の時もそのお衣装にマントを羽織ってらしたような…」
「ふむ。日傘…ですかッ。」

手を握りながら歩き―――ふと。
ぴんときた。

「私聞いたことがあるのですが」
「この島の日傘には単純に日光を遮るだけではなく」
「冷却魔術が搭載されたタイプのものがあるそうです」

便利アイテムの存在を思い出す。
大体はちょっと前に、廃止になったらしいけど。

―――して。

「ほう!」
「和風喫茶ですか!」
「流石緋月様、よく分かってらっしゃいますねッ」
「私こういったものは大変好みなのです」

かき氷、あんみつ。各種アイス…抹茶アイスに粒あんがいっぱい乗ってるやつーっ。
うんうん、良いですね。
そりゃもう激しく首肯ッッッ

「あちらに、あちらに致しましょうッ!!」
「冷房も効いておりますでしょうしッ!!」
「ついでになんかお願い事を書いてみましょう」
「緋月様が何を望まれるのか私も知りたいですッ!」

緋月 > 「それはまた、便利そうですね。
今年の夏は暑くなりそうですし、売れば飛ぶように無くなりそうですが。」

ちょっと頼りたいとか思ってしまった。
熱中症は馬鹿にはできない。

と、お連れ様の和風喫茶に対する反応は上々である。
これはもう、決まりであろう。

「では、あちらのお店で涼を取るとしましょうか。
私も冷たい氷菓子が食べたいです。」

話が決まったところで、件の和風喫茶に向かう事に。
店の前まで来ると、入口に《ご注文一品につき短冊一枚》の貼り紙。
《スイーツと一緒に七夕のお願いごとをどうぞ》と続いている。

「むぅ、商売上手ですね…お菓子と一緒に七夕の催しを提供とは。」

とは言うものの、最初から食事目当てで来たので特に問題はない。
素直に一品注文して、短冊を貰って吊るせばよいだけである。

「では参りましょうか。――失礼します。」

ドアを開けると、ちりんちりんと涼し気な風鈴の音。
和風のウェイトレス服を着た店員が駆け寄って来て、テーブル席かカウンター席かを訊ねて来る。

蒼き春雪の治癒姫 > ―――ひとまず。ご一緒に入店してみよう。
ほう、中々イキなサービスをしている。

「なるほど…"スイーツ一つにつき一つ願い事をかなえてやろう"」
「―――というわけでしょうかッ」
「気合が入りますね緋月様ッ!!」

店員さんに「あの…、」と言いにくそうな雰囲気にて言われてしまうと。

「ぁ、はい、二名です。テーブルの方で…!!」

指、二本。
気恥ずかし気に立てた。
ひょいと立てると「こちらへどうぞ」とご案内してもらう。

「すーずーしー……」
「あっ、メニューです、お先にお選びくださいッ」

冷風が何とも心地よい。
座って涼をとりつつ、まずは一息。

「…時に」
「……"何でも願い事が叶う"と言われると。」
「何を願いますか?緋月様。」

「私は―――」
「あっと、書いてからのお楽しみに致しましょう。」

憧憬の入り混じる
雪色の瞳を煌めかせて
貴女様を見つめて、微笑む

緋月 > 「確かに、すずしいですねー……。」

ぬぉ~、と冷房にちょっとダレた顔をしてしまう。
冷房に当たり過ぎるのもよくないが、今は兎に角涼みたい。

「あ、ではお先に失礼しまして。」

メニューを開いて中身を眺める。
定番のかき氷からあんみつ、水まんじゅうにようかんまである。
しかもどれも色合いが涼し気。中々迷うが――

「……何でも願い事が叶うとしたら、ですか?」

視線を向けられ、思わず首を傾げる。
何でも願いが。そう言われると、悩んでしまう。
魔剣の習得――いやいや、それは自力で達成するものであって、願って得るものではない。
七難八苦――いやいや、それは他所で既に誓願したばかりだ。そもそもそんな短冊は流石に嫌すぎる。
路銀に困らぬよう五千兆円――ばかな、俗物的過ぎる。そもそもそんなにいらない。
となると――――

「うーん…強いて願うとしたら、平穏無事な日々、ですかね。
時に修行に打ち込みながら、知り合った方々と平穏な日々を過ごせれば、私としては今は充分です。」

ちょっとつまらない回答だったかもしれない。
と、そこでメニューのひとつに目が留まる。

「おや、これは――――」

《夏期限定・白玉きな粉パフェ》。
これは美味しそうかもしれない。
和の風情と洋菓子が良いバランスなのではないだろうか。

蒼き春雪の治癒姫 > "おひやとおてふき、どうぞ。"
そういわれて、綺麗に手をふきながら、
氷いっぱい入ったおひやを飲み干す。
……存外、この体でも潤いってものは良く感じられる。

「……えへ。"平穏無事な日々"ですか。」

…それは、
当たり障りのない答えで、
"本心"を隠されているのでしょうか?

…それとも。
"本心"から、そのように
願っていらっしゃるのでしょうか?

私には…本心を覗かせてくれたような、気がしました。

「なら―――」
「きっと、今の状態で、とても満たされているんですね。」
「…羨ましい。」

密やかに
呟いてしまった。

つまらない答えかも知れないけれど…

「そんな平穏無事な日常が成り立つのが」
「奇跡みたいなことかもしれませんから」
「とても良い願いだと思いますよ。」
(本当に、ね…。)

それもまた、尊いものだ。

「お決まりになりましたか?」

「―――では、私はこちらをお願いしようかと…。」

《抹茶の極みアイス+チョコレートソース 四つ重ね》

…甘党なんです。私。

緋月 > 「…そうですね。
この島は、随分と事件が多いようですから。

"あの事件"以外にも、「紅き屍骸」という化生が現れていると、噂には聞きました。」

既に解決に向かった筈の、鉄腕の怪人の事件については、強いて名前を挙げる事はやめておいた。

「私は兎も角――風紀委員の方にとっては、平穏無事な日々など簡単には訪れようもなさそうですから。
そう考えれば…贅沢、なのかも知れません。」

少し、寂しそうな微笑を浮かべる。
風紀委員の知己も決して少なくない。
彼女たちは、今頃何をしているだろう。怪我でもしてなければいいが。

と、今は連れの人がいる。他所事の考え過ぎはよろしくない。

「ほうほう…抹茶の菓子ですか。そちらも中々、食べ応えがありそうで。」

決まったならばぼうっとしている事もあるまい。
「ご注文はこちらをどうぞ」のボタンを押して、店員さんを呼ぶ。

「すみません、こちらの白玉きな粉パフェと、抹茶の極みアイス+チョコレートソース 四つ重ねを、
それぞれ一つずつ、お願いします。」

さらさらと注文を済ませ、店員が奥へ向かっていくのを見送る。

「さて、後は注文の品が届くまでの我慢ですね。
白玉――あの触感がたまらないんですよね…。」

蒼き春雪の治癒姫 > 「……け、けしょう……ッ?」

……???
頭の上にはてなマークを並べる
…漢字が伝わっていないようだ

「あぁ、なんか、例のソレと同時期に起こっていたそうで。
 一時期話題になってましたね。
 確か…この間も落第街の方で悲惨な事件があったのだとか…」
(……なーんて、他人事じゃないんだけどね。)

「えぇ。きっと―――でも…貴女様だからこそ。」
「その贅沢さは、分かるんでしょうね。」
(…ごめんね。)

今、"他人事"として話せているのだろうか…?



―――役を演じるのは得意だから。
―――嘘をつくのも、得意だから。

少し切なげな顔を扇子で半分ほど覆いながら、頷いた。

「えぇ。えぇ。」
「やはりですね。お抹茶味に完全に甘い味のチョコレートを掛け合わせましたら。」
「これがまぁ素晴らしいお味なのです。」

「あっ、緋月様ッ、私、やりますのにっ」

お味の熱弁の横で、ご注文してくださった。
…ありがたいけどなんか申し訳ないッ。

「…柔らかく、噛み応えと共に甘さが口の中に広がる感触―――ッ!!」
「ですよね、緋月様ッ」
「わかります、わかりますよ」
「一個食べたら次も次もと欲しくなる麻薬的な食感は」
「白玉特有のものでしょう。」

こうして緩やかにお話している合間に、
"良かったらお待ちの間に、お書きください"なんて。
短冊が一枚ずつ。薄紅色と、薄青色のを店員さんが置いてくれた。

「…あっ、どうもありがとうございますッ」

緋月 > 「あ……もしかして伝わりにくかったですか。」

失敗した、といったばつの悪い表情で、ペーパーナプキンを一枚取り上げ、ちょっと汗を掻いてきたお冷のコップから
水分を指に含ませて「化生」の文字をさらさら。

「まあ、簡単に言えば妖、物の怪の類の事です。」

ざっくりした説明。それでも、この街に住むならば理解は出来るだろうと考えつつ。

「――そうですか、落第街の方で。
私はほとんどあちらの方に行くことがないので、詳しい事は伝聞だけなのですが…。
もし何かが間違っていたら…私もあちらの方に流れていたかもしれないので、少しだけ、他所事とは思えないのです。」

少しだけ、憂い顔。
確たる身分を持てない者が落第街やスラムに流れ着く事もあると聞いており、下手をしたら自分もそちらの
お世話になる事になっていたかも知れないと考えると、正直他人事とは思えない。

「とはいえ、私は所詮一介の生徒。風紀委員にも属していませんし、首を突っ込めば迷惑をかけるだけかと。
蒼雪さんも確か公安委員でしたよね? 部外者がしゃしゃり出るのは、やはりよろしくないでしょう。」

と、この件については静観のスタンスを取る様子。
流石に知人に何度も迷惑をかける訳にはいかない。
無論、目の前の彼女も含めて。

と、そんな間に話題がスイーツの方へ。
甘味の話に、つい唾を飲み込んでしまう。

「ぉぉ……何と言うか、未知の甘味ですね…!
確かに、抹茶には甘い茶菓子が付き物ですが…。」

やばい、ちょっと追加注文を――いやいや此処は我慢!

「そう、そうなんですよ! あの触感がなんとも言えず…!
時折安く売っているお団子で我慢する事が殆どですが…やはり、あの白玉の触感とはどうしても異なって…っ!!」

そんな話に熱を入れる間に、短冊が持ち込まれれば自分も店員さんに小さく一礼。

「ふむ――どちらの短冊を使いましょうか?
私は…偶には青もいいかと思ってしまいましたが。」

特に他意はなく、そう提案してみる。

蒼き春雪の治癒姫 > 「……化生。はぇ……ありがとうございますッ、伝わりました。
 勉強になりました。妖怪…物の怪ですか……緋月様はもしかして、そのような言葉…
 化生というものが一般的な世界にお住まいでしたのでしょうか…?道理で。」

何とも、自分としては馴染まない言葉だった。
一応公安委員会やってたんだけど、
怪異って言い方が
凄く馴染んでたっていうのもある。
化生…化生か。

「……数奇なものですね。
であれば、今の日々そのものの"開始地点"ですら、
奇跡のようなものであったのかもしれません。

えぇ―――ご賢明かと思います。
けれど、貴女様にその志があるなら、きっと誰しも歓迎するでしょう。
…私も、そうです。公安委員会の仲間となってくれるなら、どれ程良い事か。」

その実力はよく知っているから。
もし、治安の維持に手を貸して下さるというのなら、きっと。
―――けれど。

「まっ、それは平穏無事な日々とは遠い話。ご放念くださいね。」

貴女様は、それを望みはしないでしょうか。
……であれば、今の私のしていることは、我儘の極みも良いところか。

「さてっ、暗い話は一度、横に置きましょう。」
「ごめんなさいね。」
にこっ。
と笑ってから仕切り直しの合図におひや一口。

蒼き春雪の治癒姫 > 「……あぁ、あれですね!」
「これは白玉一個につきスプーン一掬い分どうぞ、というやつに致しましょう。」
「互いの甘味の良いところを互いに頂きあう―――如何ですかッ!!」

憧れの緋月様とぉッ!!
所謂わけあいっ子ですねェ!!!

…若干鼻息荒い。

「あっ……どうぞどうぞ。」
「では私、赤色の方…頂きますのでッ」

ぴらり、と一枚短冊を手にしつつ。

(……願いね。ずっと前から、決まってるんだけどなあ……)

緋月 > 「いえ、私自身は元の世界でも見た事はありませんでした。
ご先祖様方の記録には、恐らくそういったモノであろう、人外・超常の存在について記されていましたが…。
人間が多くなって、住み難くなって何処かへ姿を隠してしまったのかも知れません。」

化生の存在を記した書物は見た事があっても、実物を見た事はなかった少女。
何分、里の外は思った以上に「人の領域」が大きい。
居辛くなったか、駆逐されたか。
いずれにしろ、旅の間に目にした事はなかった。

「――そうですね、せっかくの甘味が来るというのに、暗い話題を続けていては味も満足に楽しめませんし。
うん、真剣になってしまう事は此処までにしましょう!」

ぱん、と小さく手を叩き、真顔になってしまう話題は打ち切る事に決定。

「ほほう、確かにそれはお互いの甘味を味わえますね…!
良い思い付きです! それ、いきましょう!」

と、こちらは何ら下心のない様子で提案に乗る。
実際、お得で良い提案だと心から思っている。

「はい、では待ち時間の間に祈願を書いてしまいましょうか。
――おや、これ、筆型のペンですか。」

筆ペンを見ると、ちょっと興味深そうに軽く振ってみる。
キャップを取ると、慣れた手つきで青い短冊に文字をさらさら。

《皆さんと平穏な日々を過ごせますように》

達筆である。

蒼き春雪の治癒姫 > 「えぇ、えぇ、ここからは明るいお話に致しましょう。」

激しく首肯ッ

「えへへ、やりました。では、互いの甘味をちょいちょいで分け合いましょう。えぇッ!」

……ええ。やりましたとも。
何がとは言いませんが。

これ即ち
憧れの緋月様の
素晴らしき(テイスト)を頂く事を

―――意味する。

病院で頂いた(あのときの)空気とは比になるまい。
魅惑の(テイスト)

えへ。
えへへへへ。
えッへへへへへへへへへへ。

「…あら、本当」
「ボールペンや鉛筆じゃないんですね。」
「ああ…ッッ!!お上手です。」

綺麗な字で、ありふれた願いを書くものだ。

(本当に…ずっと、いつまでも、平穏無事な日々が続いたら)
(それって、素晴らしい事なんだろうね…。)

「で、では私も。」

赤色の短冊の上に、さらりと。
ほんのり丸っこい字で。

《自分らしく生きられますように。》

「……気恥ずかしいですけれど。」
「いまだに、自分探しをしてるんです、私。」

「願い事は、"書いただけ"ではかなわないけれど」
「短冊に乗せて、"誰かに見てもらう"事で」
「知ってもらう事で」
「良き縁が生まれて」
「思わぬ道が開けると聞いたことがありますから。」

…だから、見て欲しいな、って。
笑った。