2024/07/13 のログ
八坂 命 >  
「こう言うんは慣れやから」

やり方を覚えるまでが大変なだけで、覚えてしまえばそれまでである。

「そこはやっぱ頑張って覚えるしかないなぁ。
 ――ストレッチ動画。
 千寿くんジムのインストラクターかなんか?」

どうしてストレッチの動画を上げるのだろう。
そしてそれを撮っているのは誰なのだろう。
まぁさっき指輪が見えたから配偶者さんだろうけれど。

「あと動画のアップロードはここを押してこうやって……の前にアカウント作らんと」

さっき置いたショートカット。
ただその前にアカウントを作らないといけない。
とは言えIDとパスワードを決めたりメールアドレスを打ちこんだり届いたメールをあれしたりこれしたりなので、横で口を出していればすぐ済むだろう。

御剣 千寿 > 「そっか…うーん。
もし良かったら、だけど。命さん、僕のめーるの練習台になってくれないかな…?」

少しかがんで上目遣いで聞く。練習する機会は多い方がいいからね。

「そういうお仕事はしたことがないんだけど、以前人に整体とかを教えて貰ったことがあって。
そう、じゃなくて…ええっと、一緒に住んでる人…? が、小説を書くお仕事をしててね。
彼の肩こりが良くなればと思って撮った動画なんだけれど、前の学校の友達にも見せたらあっぷろーど?してほしいって言われちゃって…」

ついいつもの癖でパートナーの名前を出しかける。
けれど、こっちの方がわかりやすいだろうと言い換えた。
そして学生にとっても肩こりは天敵である。

「えっと、こう?」

言われたままに画面を操作する。ぱすわーどは人に教えちゃだめなんだっけ。

八坂 命 >  
「僕で良ければいくらでも」

メールの練習台、とは言うが、つまりメル友になろうと言うことだ。
早速連絡先を交換しよう。

「ほぅん?
 小説家さんかぁ、それは肩こりそうやもんなぁ。
 せや、あとからこの動画僕にも送ってほしいなぁ、いい?」

アナログかデジタルかはわからないが、どちらにせよ一日中机に向かっている仕事だ。
肩はさぞかしガチガチになっているだろう。
自分もアプリ作ったあととかガッチガチだし。
この動画を参考にすれば少しはマシになるだろうか。

「うん、そうそう。
 これでアカウントは作れたから、あとはここ押してアップロードする動画が一覧で出てくるからそれ選んで投稿するだけ」

ショートカットは、言ってしまえば投稿用のURLへのショートカットである。
初心者はそこにたどり着くまでが難しいのだから、そこ直通のモノを作ってしまえばいいと言う話。
と、そこで自分の端末がぴんぽろぱんぽろ鳴り響く。
電話だ。

「あああああしまった忘れてた!!!
 急でごめん、この後用事あるの忘れとった!!
 メール、いつでもしてくれてええから!!」

バタバタと立ち上がり、しゅた、と手を挙げて挨拶。
電話の相手に平謝りしながらぱたぱたと駆けて行った――

ご案内:「商店街」から八坂 命さんが去りました。
御剣 千寿 > 「ありがとう」

連絡先の交換のやり方も聞きながらなんとか済ませた。

「たまに揉んであげたりもしてるけど、やっぱり少しは自分で解消出来た方が良いからね。
うん、もちろん。ええっと…こう、かな? そうだ、言ってくれたら命さんもいつでも揉んであげるね」

今日の御礼のかわりだよ、とウインク。
動画の送付はなんとか出来たみたい。良かった。

「ふむふむ」

わかりやすい。…それでも何度か同じことを聞いちゃいそうだけど。
うんうん唸りながら画面とにらめっこしていると彼女のスマホが鳴り響いた。

「…沢山時間貰っちゃったね。ありがとう。あとでめーるさせて貰うね」

いつかお電話の相手にもお礼を言えたらいいな、なんて思いながら手を振って彼女を見送った。

「僕もお買い物の続き、しないと」

そういって席を立った。

ご案内:「商店街」から御剣 千寿さんが去りました。