2024/09/18 のログ
ご案内:「商店街」にイクトミスさんが現れました。
イクトミス > こっちの世界に来てからはや数日。
びっくりする事が沢山あった。

だけども馴染むのも慣れるのもそう簡単ではない。
この世界はすごく違っているから。


例えば一つ挙げるのであれば時間の感覚。イクトミスとしては体感的にはまだなんとなく夕方くらいの筈なのに、こちらではもう深夜だ。それでなんだか寝たり起きたりのタイミングが腑に落ちないのだ。

そして生活のレベル、水準が大きく異なっている。
とにかくもうなんていうかすっごく未来だ。
多くの事が便利でカンタンで楽しくて、興味深い事ばかり。


「寝れません、寝れなくて…なんだか街を散歩しようと思ったら…案外人がうろついてるし…明るいし…お店もまだまだあちこち開いてる…。」



すっげー、すっげすげー!と方々を眺めながら特に興味を引かれたのはコンビニエンスストアや24時間営業タイプのファスト飲食店。一応まだ仕事もバイトも何もしていないが手持ちが無しというのも不便があるという事でしばらくは少し施しを請けられるもよう。優しい世界だとしみじみ思う。


「なんだか祭りに来たみたいな感覚…ッ」


見知らぬ場所の見知らぬ店も何もかもが新鮮。今を持ってまだ取れたて新鮮キブンが味わえているのだ。


「あれは…ハンバーガー興味がありますね…そしてそしてあッちら は~ほうほう…ガールズバー…と…お酒を飲む人はどこの世界にも居るんですね~…」

うんうん、と似て非なるモノながら非なりながらも似ている事を見つけると楽しくなってしまう。言語の壁もないというのがこれまた人と人の距離を近づけてくれる。不思議なチカラに感謝せねばならない。


「さぁて、少しお散歩しにきた訳なんですけども見てるだけでも楽しい時間が過ごせそうですね。こう・・・ゆったりと時間を気にせずに街中を歩いたこともまだ無かったですし…あちらにも何かありますかね~…」

イクトミス > このスマホという端末もなんとなくどう使えばいいのか、というのは理解したがその構造やしくみが気になって仕方がない。基本的にこの世界は電気エネルギーが広く活用されているらしくある程度魔法の知識がある者ほど理解が早いらしい…のだが魔法が分からないイクトミスにしてみれば知識を置き換えたり比較してそこから理解を及ばせるという事が出来ないので四苦八苦しながら調べて学ぶしかない。

多少齧ってはいるものの、自分はどちらかと言えばもう少し初歩というか原始的な領域での知識しかないので完全に今興味を持っている事は上位の技術と知識だ。少し悔しさを感じながらもそれが楽しみでもある。

無論この世界に長居し続けるつもりはないが、どうせならここで学べる事は学び、そして元の世界に戻った時に誰かの役に立てるようになっておきたい。でなければただ時間を無駄にしてしまうだけだ。


「お金の価値もすこし勉強しましたが、イマイチまだつかみ切れてないんですよねぇ…」


並んだ街灯も全て電気。
あちらのお店で料理を作るのも電気、注文する時のスマホ端末の大型サイズのものも電気、このスマホも電気。電気電気電気!

「電気ばっかりだぁ……」


元の世界にも電気という概念はあるが、この世界の電気への依存度合いを示す様に活用、応用されている道具屋機器、構造やインフラというのはすさまじい発展を遂げている。


「どこからどうやってこれだけのエネルギーを集めてるんでしょーか。ふーぬ…」


大勢の魔法使いで雷を呼びまくってそれを捕まえてるんだろーか・・・。捕まえるのも簡単ではないだろうし、謎は深まるばかり…。


「あ~、 ジハンキ。」



この間も見かけたし、なんなら毎日どこにでもある
それが「ジハンキ」だ。

「同じに見えて、結構違うんですよねジハンキ。」


今ではあちこちを移動する時にジハンキを探すのがちょっとした趣味になっているイクトミスはまずそのラインナップを調べる。そして1日に2つまで飲み物を買っていい、という自分ルールを己に課した。
 そこで購入した飲み物の味について貰ったノートに記すのだ。


1回目は『馬刺し風メロンソーダ』。
これはすごく口の中がパリパリちくちくする不思議な飲み物で、とても甘いのだがこのシュワシュワとちくちくの感覚が別の世界から来た自分の様なヤツには結構びっくりさせられた。味は美味しい気がするのだが、このシュワシュワさえ無ければ飲みやすいのにと思ってしまう。甘さはとても気に入っているのだがそのパチパチが気になってしまってしまう。刺激が強すぎる。(6/10点)


これに慣れていない異邦人用にシュワシュワしないのも出してくれればきっとお買い求めやすくなる筈。

「あ、このオシルコっていうのはアツ甘いんですよねぇ。ボソボソしたものが入っていて飲むのか食べるのか分からなくなってゴクゴクと飲みづらくなるんですよね~。」


ただ、甘味は独特だが嫌いではない。
結構好きだ。

しかしこの缶、という飲み物。
どうにもフタが開けづらいのだ。

カタいというのもあるのだが、それ以上に開けた時に勢い余って零してしまうというケースに見舞われる事が多かった。一体この世界の人達はどうやって安全に開いているのだろう。

時折他の人が開けるところを観察しているのだが、いともたやすく開いている。一体なにがどう違うというのだろう。それに引き換えスピニング方式(と呼んでいるタイプ)はギュッと掴んで回すだけで開くので安定性が非常高く失敗確率も低い。

きっとこのスピニング方式の容器は異邦人への配慮から生まれたデザインなのに違いない。ワタシはこのデザインの容器の飲み物を強く推奨したい。もしいずれワタシがこの世界に馴染んで、新たに来たばかりの誰かを迎えた時に言いたい。


「ジハンキでは握りタイプよりも、スピニング方式の容器の飲み物の方が優しいです!」


――――と!



「・・・・・・・」


「・・・・・」


じっとジハンキを眺める。
つい昨日気付いたのだが、この『あったかいッッ!』と『つめたい…』は読んで字のごとく飲み物が熱いのか冷たいのかを示しているのだという。

見てて面白いのが「あったかいッッ!」の意欲のこもった雰囲気に対しての「つめたい…」という力が抜けそうな頼りない雰囲気である。これに気付いた時に思わず5分くらいはその場で笑い転げてしまった。周りの人達は同意を示す様に暖かい笑みを…くっ、 プフッ…!


「あったかいッッ!笑みを…くふふ…フ!」



ツボに入ってしまいそうです。

イクトミス > ――――オシルコ(7/10点)



学校では色んな人達がいました。
厳しい顔の人もいれば、ほんわりした雰囲気の人もいまして。

あまり仲良くするのが好きではなさそうな人もいましたが、人には人のジジョウがありますのでおおらかな優しさで分別をつけながらニコリ微笑みます。

勉強は…、思いのほか難しそうでした。
渡された教科の書とやらはびっくりするほどに文字などで埋め尽くされていて軽く引いたのは記憶にお新しい…。


しかし科学についての勉強は難しいですが気になっていた事についてのヒミツが多く記されてそうで新しい小さな家でも一人で退屈な時には読んでいますのですよ。



そういえばそうそう、部活というグループに所属して何か仕事をこなせばそこで初めてこの世界でのお金を自力で稼ぐことが出来る様になるのだとか。ですがお金を貰うというのはナマハンカではありませんし、これから一体どれだけの苦難が待ち受けているのかは定かでありませんが、きっと頑張ってこの世界で助けてくれた人達に報いるつもりでイクトミス頑張るっきゃないです。



「―――――」


「っこ  これは…! このジハンキ…
『300円の飲み物』がありますねェ…ッ!?」



300円!?そんな馬鹿な。
この目を疑ったがどう見てもお値段サンビャクエン。

「サンビャクエン!? さ、サンビャクエン!?
 一体…どんな飲み物が…ッ!?」


おかしい、通常のものなら130円程度。
大き目のものでも『180円』程度なのに。
ほぼ二倍かそれ以上のサンビャクエンだなんて…


「えっと、記録記録…」

スマホ端末を取り出すとメモ帳機能を開きこの事実について記す事とする。お値段はやはりどう見ても『300』の『円』だ。300の円という事はつまりサンビャクエンなのだ。


だが、どんな飲み物ならそんなお値段になるのだろうか?
よぉく容器と商品名について調べてみよう。


「――――これは…達筆なチキュウ語…?
 かろうじて読めそう…  えぇと…」



『ら ぁ めん 缶 』
(みそ、しょうゆ 全二種 ワリバシ付き)


「らぁめん缶・・・あっつぃ! のラインの上に並んでいるという事はつまりアッツイ!という事。とても熱い飲みもののはず、ですが…。」

あの縮れた薄黄色い物体はいったい…?
飲み物というよりあれではスープのようでもある。
しかもワリバシといえば、チキュウの人が食事をする時に凄まじいパワーでへし折ってから食事に使う機材のハズ。それがこの飲み物にはついている・・という事はやはり食べ物なのでしょうか?


「ですが300の円・・・決して安い買い物ではありません…
今回は悔しいですが、あくまでも情報を得たという事でこれ以上の追撃は控えるべきと判断しました…。しかし、気になります…ら ぁ めん缶・・・」


今回は情報が不足しすぎている。
先日はカップメンという物騒な食事に危うく命を落とすところでしたが、この世界の文字が見えていた事が功を奏しました。あれは恐らくこの世界における悪い人たちが仕込んだ『罠』なのでしょう。

異邦人の存在を快く思っていない過激派、の様な人々が普通の食事としてお店に仕込ませているのでしょう。ですが冷静で判断の早いワタシはすぐにその『危険な罠』に気が付いたのです。


~~~~以下、回想。~~~~

先日のイクトミス > 「この世界にはお湯を入れるだけで簡単に作れる料理があるんですねぇ…凄まじい文明の高さ…感服します。カンプク。」


そしてイクトミスは配給として与えられた『カップ麺 ほまれ』を久方振りの料理スキルアップの為に挑戦しようと考えていた時の事だった。ポッドからはいつでもアツアツのお湯が出るという事で自分にも確実に料理が成功する、という状況。如何ともしがたい高揚感を覚えながらもフタを点線の位置まで指示通りに開いた。


すると具材がミイラになった状態の包装と、スープの素が入った綺麗でピカピカの包装が出てきた。このピカピカの包装がとても気に入ったのだがそれも破らなければならないとのことですこし悲しかった。


スープの素はお湯を注いだ後にフタの上で温めるとあったので一旦どかしておく。まずはミイラになった具材を開いて中に放り込む、そしてお湯を注げば記載されている通り5分間その場で待機作戦である。



・・・


残すところ1分弱。
だがその時にイクトミスは異常事態に気付いてしまった。

それは包装を捨てようとした時の事であった。
イクトミスは拾い上げた具材の入っていた透明な袋に記載されている文字を見て背が凍り付いた。



そ こ に は ―――

かやく >  
先日のイクトミス > ――――そう、「火薬」と書かれていたのだ。


大慌てでイクトミスはそのお湯を流したカップ麺を窓の外から放り捨てると大急ぎでバケツを貸してもらい水をためたバケツで放り投げたカップ麺の落下した場所へと急ぎ向かった。


「はぁっ・・・!ハァっ! ぜぇっ!」



咄嗟に窓から投げ捨ててしまいましたが、その周辺に人が居ないとも限りません…ウカツでした…しかし火薬という事は火炎の属性の現象を発生させる何かの物質には違いないはず…。咄嗟の機転で投げ捨てた事で食堂に居た他の生徒達に被害は出なかったというのは前向きポイントですが、外に居た誰かが被害を被ってしまったら…?

それを想像するだけでワタシは恐怖に震えました。



――――


「皆さん!急いでここから離れて下さい!
  危険です!離れて下さいッ!!!」

落下したカップ麵は上下が逆に地面に落ちていた。
そこからは軟化しほどけた状態の麺が広がっていました。


後もう少し遅かったなら大惨事待ったなしの危機的状況。
死傷者が出なかった事に胸をなでおろしながら、まだ『コレ』が完全に無力化されたかどうかはジキソウショウです。ユダンなりません。


「しかし、食べ物に扮した罠…これはワタシでなければ気付けなかったでしょう…。ですが食べ物に紛れさせて、というやり方はあまりにヒレツ…絶対に許せません…」


程なくして先生達が慌てた様子でやってきました。
しかしそこは流石先生でした・・・ワタシが『爆発物です!』と叫べばこちらと、カップ麺の状況を見た先生達は口元を抑えながら呼吸を整えていました。それを見てワタシはハッしました、爆発する炎上するという事態しか想定していなかったワタシはそこから発生するかもしれないガスについては想像をしていなかったのです。


先生は『もう大丈夫』と少し苦しそうに口を押えたまま近づいてきました。それに安心してなんだか両腕の力が抜けそうになりましたが、その後の対処をお任せするとワタシは張り詰めた緊張感から解放された反動か恐怖が遅れてやってくれば食堂で大泣きしてしまったのです。

先生、さすがは教える立場をしている方々。
いついかなる時も冷静さと知識で決して慌てない。

次はしっかりと対処できるようにこの常世学園でもっと知識を高めて助けられてばかりではなく、自分もまた同じような状況で困った人がいた時に助けられるだけのリッパな人になりたい、と強く思うのでした。


その時、大泣きしたのが面白かったのか他の生徒の人には笑われてしまいましたが皆がブジで本当に良かった…。

――――――――――

イクトミス > この世界にも、悪事を働く人が存在する…というのは悲しい事です。
ですが、そんな人たちに誰かが傷つけられる事のないように、助けてくれた人達がそうしてくれたように…!


「ワタシもまた誰かの助けになりたいッッ!!!」


よしっ!なんだか勇気と元気が湧いてきました…!
そうとなればもう良い時間です、帰って頑張って寝なくては…それでなくてもなんだか寝付けない事が続いてますし…!


なんだか心があったかくなってしまいました。
夜風に涼みに来たんですがこれもこの世界があったかぁぁあいッ!からなのでしょうか。

1年先にこの世界に来ていたらしいオジョーはもうこの世界に大分打ち解けている様子…。これはウカウカしてられません。

もっとこの世界の事や勉学に励み、そして!
かやくで過去に散っただろう人たちの無念を晴らす為にまずは偽・カップ麵の流通を阻止してみせます。


この世界の空は元居た世界ほど星の輝きは強くはありませんが。



「誓います…あの星に…!」



…ぬぅ、小さい。
もうどの星を差したかわからなくなりました。


「あっちの星に!!!」



偽カップ麺の根絶を目指す事をここに誓う!!!!

ご案内:「商店街」からイクトミスさんが去りました。