2024/10/22 のログ
ご案内:「商店街」に蚕比古 玉繭さんが現れました。
蚕比古 玉繭 > 「~♪」

ご機嫌に商店街を巡る、乙女ひとり。
見たことの無いものばかり、色取り取り。
歩む足取り浮足立つも、乙女のたしなみ忘れずに。

「それにしても」

周り、見て。

「不思議な意匠の着物を着ている方々が多いこと」

常世島とはこう言ふものなのかしら。

蚕比古 玉繭 > 召し物が変わっていると言ふ自覚は無い訳ではないものの。
町を見渡せば、自分と同じ、か、もっと変わった衣装身にまとう方々多くって。

「まるで異世界、来たみたい」

ふふ。
祭りごととはいざしらず、ね。
これが常世島の普通なのだと勘違いしかけながら、横文字の垂れ幕見かけて

「はろういいん?」

はて?と首かしげたもの。

ご案内:「商店街」にゼアさんが現れました。
ゼア >
 ハロウィン。
 かつての地球でも行われていた祭りの一つ。

 その起源や歴史を語るのは、この場では控えるとして。
 ともかく今現在の常世島において――その名は、だいたい各々が仮装を楽しむイベント、と位置付けられている。
 いるのだが、同時に、特にこういった物売りの場では、それにちなんだフェアやキャンペーンが盛り上がる時期でもある。

 さて。
 そんな異質な空気の漂う商店街にて。
 今日のゼアは、小さなイベントの手伝いをしていたのだった。

「さー、かぼちゃの重さ当てー、やってみる方はいらっしゃいますかー。
 当てた人には豪華賞品ー、参加は無料ー、どうですかぁー」

 傍らの台にどんと鎮座する、人の頭の大きさなど優に超えるような、巨大なオレンジのカボチャ。
 ぽんぽんと叩いて、そんなふうに道行く人に呼びかけている。

蚕比古 玉繭 > 「南瓜の重さあて?」

はて、何だろう。
箱入り娘としては大衆向けの催しなどにはとんと、無縁であったものだから。

「まぁ、大きな南瓜」

こんな大きな南瓜は初めて見たと、ぱぁっと顔を綻ばせて。

「立派な南瓜ですこと」

なんて言いながら、それに触ろうとするかも。

ゼア >  
 ゆるりと近づいてはカボチャに触れようとする、どこか儚げな少女。
 勿論、気づかないはずもなく、軽く手を振って声をかける。

「はろー、お姉さんー。
 どーお? カボチャの重さ当て、やってみるー?
 こうやってー、」

 下から抱え上げるようにして、持ち上げ

「……こう、やってぇー」

 持ち上げ……。

「……持っただけで、重さを当てるのー」

 持てていない。
 人間とは違う種とはいえ。やはり普通の姿だと、そこらにいるような非力な少女に過ぎないのであった。

蚕比古 玉繭 > 「重さを当てる」

ほわ……
運試しのようなものでしょうか、と思いながら、南瓜の表面軽く撫でて。

「この実にどれ程詰まっているかを測るのですか。
 豪華景品、とは、一体…?」

けいひん。
つまり何かがもらえるということは、さすがの箱入り娘でもわかるため。
何がもらえるんだろう?と素直な興味。

ゼア >  
「色々あるよー。プラマイ1kgを当てた人にはもれなく選べる景品」

 季節のスイーツ、秋冬物のカーディガン、自慢の野菜数々、etc…。
 商店街のイベントだけあって、様々な店や部活が協力して景品を出し合っている。
 これだけでもそれなりに魅力的なラインナップではあるのだが。

「そして目玉はこちらー。
 参加者の中で一番近い人にはこちら、商店街のどこでも使える商品券、実に一万円分ー。
 参加は無料、やってみるだけどーお?」

 おかげ様でイベントはそれなりに盛り上がっており。
 ガチで優勝を狙いに行く人間から、えー重ーい、くらいのカジュアル勢まで数多く。

「あ、異能の使用はごえんりょください。カボチャを傷つけるのもダメだよ」

 そこはしっかりと。

蚕比古 玉繭 > 「いちまんえん…?」

はて、どのくらいのお金なのでしょう。
あいにく箱入り娘なので、あまりお金の価値が分かってないらしく。

「皆が集まって…きっととても良い景品なのでしょう。
 わたくしもやってみたいです。 ふふ…重さ、重さ…」

よいしょ、っと持ち上げ…上げ…

……

「ふぅ」

……

「とても実った南瓜ですわ」

持てなかった。何故なら乙女は箸より重いものをたまにしか持ったことのなかったから。

「うぅん、持てませんとわかりません。
 しかし、はて、ふむ……」

きょろきょろ、きょろきょろ、南瓜を回りからくるくる見て。
その度に羽織っている着物がふわふわと宙を泳ぐよう。

「大きさがこのくらいですと、人の体ですと……」

そう言いながら、ふよ、ふよと重さを大体測ってみれば。
その重さは正解とまでは言わないけれど、誤差4~500gほどの範囲に留まった、非常に精度の高いものを出すかも。

ゼア >  
 重いよねぇ、わかる。
 そう言わんばかりに、持ち上げようと奮闘する少女を頷きながら見ていた。

「あ、数字とー、連絡先をこっちの紙にどうぞー。
 ニアピン賞だったらー、この場で選んで持って帰れるよー」

 改めて、商品は色々。
 衣料品からちょっと贅沢めの食べ物、遊び道具に、何に使うのか一見わからないアーティファクトまで。
 といっても、あくまで庶民目線で贅沢めの物、という範囲にとどまるのだが。

「……わぁー、あったかそうなセーター。もらっていいー? だめー?」

 Q.なんでお手伝いの側が商品を物色しているのでしょう。
 A.ゼアはそういう子です。気まぐれだけど手伝いはしっかりするので安心してね。

蚕比古 玉繭 > 「ふふん、頂き物ですので」

誇らしげにして、セーターをいただいて。

「大事にしなければいけません」

ので、だめなよう。

「それにしても、このような催しが行われているとは…
 もしや、何らかの特別な日なのですか?今日は」

本当に何も知らないため、貴女に聞いてみようか。

ゼア >  
「んっとねぇ、ゼアもよくわかってはないんだけどー。
 なんかねー、ハロウィンらしいよー。
 ゼアの知ってるハロウィンとはだいぶ違うけど」

 ハロウィンという催し物一つにも、独自色が混じる常世――というより、日本。
 ゼアの知るような、宗教的な、ある種の荘厳さすら感じさせるようなそれとはまるで異なる空気である。

「ふふ、でも賑やかだからゼアは好き。みーんな、楽しそうだもんねぇ」

 ゼア自身、この催しのことを正確に知っているわけではない、が。
 少なくとも、人々にとってプラスのエネルギーになるような、そんな雰囲気は伝わってくるので。
 既に、ゼアはこのイベントを大変気に入っている。

蚕比古 玉繭 > 「ゼア様、と言ふのですね」

ふふ、と笑い。

「あの垂れ幕の…はろいいんではなく、ハロウィンと読むのですね。
 そんな祭事がやっていたとは知らず…

 と、申し遅れました。
 わたくし、蚕比古 玉繭と申します。
 どうぞ、お見知りおきを」

「しかし、ハロウィン…
 皆様奇抜な恰好をなされてるのも、そのためだったのですね」

ゼア >  
「うん、ゼアです。
 よろしくねぇ、真っ白なお姉さん」

 不思議なしゃべり方で、不思議な名前だった。
 笑い顔につられて、ゼアの相好も自然と崩れる。

「みたいだねぇ。
 ゼアも何か別の格好、してみたいなー。
 服屋のおじさんに相談してみたら作ってくれるかなぁ?」

 近くを歩くコスプレの人々に視線を流す。
 普段とは全く異なる装いに、ゼアの興味も津々。

「でも、お姉さんの服も……不思議な感じで綺麗だねぇ」

 下に着ているセーラー服、はともかく。
 なんとなく惹かれるものがある、不思議な雰囲気の白い羽織を、ゼアはじっと見つめだす。

蚕比古 玉繭 > 「そうでしょうか?」

乙女の着物は、自分用に作られた特別なもの。
神聖を帯びているともいっていいものだから、他よりも質がいいのは確かだから。

気にもなるのかも。なんて。

「ふふ、わたくしは普段の恰好をしているだけですが。
 仮装、と言ふのは面白そうですね。

 …おや」

気づけば、もういい時間。
そろそろ戻らなければ、お役目に支障が出てしまいそう。

「すみません、ゼア様。
 わたくし、これからお役目を果たさねばなりませぬ故…そろそろ失礼いたしますわ。

 ゼア様も、楽しまれてくださいまし」

くす、と笑って。
そのままその場を、後にしようか。

ご案内:「商店街」から蚕比古 玉繭さんが去りました。