2024/12/16 のログ
ご案内:「商店街」に泳夢さんが現れました。
■泳夢 >
日が陰り始め影が伸び、人気の増えだす放課後時の商店街。
レトロな木製デザインの車椅子に座った少女が、頬を掻きながら周囲を見渡す。
色素を失った白の髪に、カジュアルなゴシックロリィタ衣装。
この街中で車椅子というだけでも彼女は目立つが、特にその手足はきっと目を惹く。
色彩こそ人肌のようだが色白で、球体めいた関節部の”つなぎ目”がくっきりと見て取れる。
球体関節人形のような作りのそれは、それが義肢であることを示していた。
「……んー…夕ご飯、どうしようかなぁ?」
そんな彼女、泳夢は車椅子を止めて、悩むように呟く。
商店街の店は、その殆どが夕時の書き入れ時。
どの店にも人が多く、そしてどの店にするか決めかねていた。
泳夢が商店街に来たのは、ただ単に夕食の買い出しの為。
しかし、どこもかしこも人が多く、なかなか車椅子の自身が入るには躊躇する場所が多かったのだ。
■泳夢 >
そんな中で無意識で彼女が視線を追ってしまうのは、ラーメン屋の宣伝のぼり。
一人で立ち寄るには少々ハードルが高いのだが、純粋に今のお腹の気分はそれだった。
「今の時間で少ないとこは……」
ふむりと思案しながら彼女は視線を自分の手元へと下ろし、小さな吐息を空気に融かす。
義肢で手にしたスマートフォンの液晶画面が映し出すのは飲食店のアプリ。
混雑具合を確認すれば、タイミング次第では待ち時間なしで入れる店もあるかもしれない。
それに探している裡に時間が経過して、人の流れが変わればそれでよし。
そう考えて、彼女はアプリを起動し店探しの検索を始めた。
■泳夢 >
「うーん…流石に今は空いてないとこばっかりかぁ」
とはいえ、そう易々と都合のいい店は見つからず。
そもそもの人通りが多い時間帯に、空いている場所などあるわけもない。
泳夢はそう考えて、小さく肩を落として吐息を一つ。
しかし、すぐに気を取り直したように顔を上げると、また視線を巡らせる。
元より食べられたらいいなぁ、くらいの温度感での検索だ。
当初の予定通りに、純粋な夕飯の買い出しにしようと意識を切り替える。
スーパーやコンビニであれば、この時間に車椅子でもそこまで迷惑にはならない。
その辺りで買って帰るのが、やはり一番無難だろうと。
義肢を車椅子の肘置きに置き、泳夢は検索を打ち切ったスマートフォンの画面を暗くする。
そして、それをポケットに戻し、ゆっくりと車椅子を走らせ始めた。
ご案内:「商店街」から泳夢さんが去りました。