2024/12/26 のログ
ご案内:「商店街」に泳夢さんが現れました。
■泳夢 >
クリスマスと言えば、家族や恋人と過ごすお祝い事である。
少なからず、そうしたイメージが世の中のアタリマエ。
そうとは少女も知識の上で知ってはいるが、現実とはそう上手くはいかないものだ。
「ふぅ……よかった、まだケーキ残ってて」
すっかり人通りの少なくなった夜の商店街で、少女はケーキを膝の上に乗せていた。
寒空の中、闇夜の中に紛れてしまいそうなレトロな車椅子に乗った黒装束の少女。
長い白髪が夜風になびき、黒一色の服が対照的に夜に映える。
人形めいた球体関節の四肢もまた、陶器のように透き通る白をしていた。
■泳夢 >
寂しくひとり、聖夜の夜を過ごすのは、少女にとっては何度目か。
記憶にある限りでは、そうしたクリスマスがアタリマエ。
”保護”されたばかりの頃は、施設で他の子供達と賑やかに過ごしていたが…
独り立ちした頃からは、そんな賑やかなイベントに参加する機会もめっきり減ってしまった。
「部活とか、委員会に入ればまた違うのかなぁ……」
冬の白煙を口の端から零しながら、少女はぽつりと呟く。
寂しさがないではないが、こればかりはしょうがないなとも少女は一人納得して。
せめて気分くらいは味わう為に、今年もクリスマスケーキだけは買って帰る。
■泳夢 >
部屋に帰って、夕ご飯を用意して…なんて考えつつ少女は帰路へと付く。
こんな身体であるが故に先送りにしていた部活や委員会についてはさておいて。
こればかりは、少女にとっては毎年変わらぬ日常で……今すぐに変えられることではない。
せめて、来年からは変わる様に努力しようと努めるのが精々だ。
車椅子の少女は夜空を見上げ、黄昏ながら商店街を跡にした。
ご案内:「商店街」から泳夢さんが去りました。