2025/06/17 のログ
大神 璃士 >  
「そうか。それじゃ、ナゲットの方を別に頼むか。」

セットのポテトがある事を指摘されれば、紅い視線に紺碧の視線が一つ頷き。
ポテトを追加しなくとも、ナゲットを別で頼めばいいと結論付ける。

「どう見えるか、か。…考えた事も無かったな。
こうして誰かと食事に来る事自体が、珍しいからな…。」

むう、と思わず考える仕草。
既に席についている、十代前半から半ば程の女子グループが何やら並ぶ二人を見て小さく騒ぎながら
視線を投げているが、この男、まるで気付く気配なしである。
そうして、注文の順番が回ってくれば。

「すみません、極厚トリプルビーフのセットを一つと、卵てり焼きのセットを一つ。それにナゲットを単品で二つで。
ドリンクは――」

淀みもなく、注文を行っていく。

ハインケル >  
「そこは『恋人』に見えるとか言ってドキドキさせるもんじゃないの…?」

うわー、といったカオ。
この彼、まったく女心というかサービス心みたいなものがない。
いや、なんとなくわかってたことだけど。
無論本人もそんなつもりは余りない誂いだろうが。

さてと注文を済ませば、席について呼ばれるのを待つ時間。

「ていうか、こうやって誘う女の子ととかいないんだ?全然?」

大神 璃士 >  
「む……そういうものなのか?」

思わず眉間に皺が寄る位悩む顔。割と真剣に悩み出した。
席についての待ち時間。テーブルに軽く腕を乗せ、気が付いたようにフィンガーレスの皮手袋を右手だけ外しておく。
左手の方を外さない理由は――向き合う少女は、既に知っている筈。

「…委員会で、仕事が一緒だった相手を労う事はあっても、食事に誘うような事はないな。
精々、残業で眠くならないように茶やコーヒーを差し入れる位だ。」

全然であるらしい。配慮らしいものは出来ているようだが、其処から先に進展する気配がまるでない。
またまた少女の顔がうわー、となりそうな環境である。

ハインケル >  
「(うわー…真剣に悩んでる顔してる…)」

まさにそんな顔だった。
そういうのがモロに表情に出るあたりも、世間知らずというかなんというか。…

「なんていうか枯れてるよねー…。
 うら若き青春時代を生きる学生とは思えんよ、キミ」

そうこうしている内に番号札が呼ばれ、メニューがテーブルに揃うことになる。

「普段どんなもの食べてるのさ」

バーガーの包装紙をわさわさしつつ。

大神 璃士 >  
「…自覚はある。
常世島(此処)に渡って来た切っ掛けが、父さん…父からの遺言の勧めだったからな。」

重い話題。とはいえ、流石に空気は弁えているのか、特に深刻にはならず、流すような調子だ。

「普段…自炊するような時、で、良いんだよな。大体和食だ。焼き魚だったり、卵焼きだったり。
…ああ、でも時間や材料がある時は、アイントプフやカリーヴルストを作る事もある。」

耳慣れない名の料理。ドイツ系の響きである。
そんな事を言いつつ、こちらもバーガーの包装紙を剥き始めた。

ハインケル >  
「自覚があってソレってことはぁ、それでイイと思ってるか。
 もしくはぁ、どうしたらイイかいまいちわかってない、ってカンジ?」

はむ、と若い女子らしからぬ大胆なかぶりつきでバーガーをいただく。

「お坊さんの食べ物じゃん~」

自炊の内容にはかなり偏見じみた感想。
もっとこういうものを食べなさい、と言うかのようにもそもそとバーガーを貪る女子である。

なお、ドイツ語のものについては特に何ソレ?という反応もない。
ドイツには縁のある身、案外とそういった耳の響きには慣れているのだろう。

大神 璃士 >  
「そう、だな…多分、どうしたらいいのか、わからない…んだろうな。
このまま、「ヒト」の枠の中で、生きていく事が出来るのか……時々、考え込む事は、ある。」

包装を剥いたハンバーガーを小さく眺め、思い切りよく噛み付く。
とはいっても、金髪の少女ほど大胆とは少しばかり届かなかったが。

「子供の頃から食べてたからな。習慣になってしまっているんだろう。
流石に直火で串焼き、とは中々いかないが。
他は、それこそコンビニの弁当だったり、ラーメンを食べに行ったり、だな。」

自炊がないと、少々偏りが気になる食事内容であった。

と、横合いから不意に名前を呼ばれる。
視線を飛ばすと、刑事部の腕章を着けた風紀委員の女子二人組。
デートですか、などと揶揄うような言葉に、軽く手を振ってやると、小さく笑いながらトレイを返し、
何事かを話しながら店外へと去っていく。

ハインケル >  
「そういうの、誰かに教えてもらおー、とか思わなかったの?」

ちょっとだけ呆れ顔。
どうもこのタイプは自分の中でだけ考え込む節があったりするからだ。

「フツーはコンビニ弁当とか、ラーメンのほうが先に出てくるもんなんだけどねー」

別に文句があるわけじゃないけどさ、とけらけら笑って。

「あっはいデートです♪」

にっこり笑って肯定する。
これも誂っているだけ、なのだろうが。

大神 璃士 >  
「教えてもらう、か……考えた事もなかった。
考え過ぎるのかな、俺は。」

言いながらまた一口。意外と食べるのが上手いのか、てり焼きのソースが口についたりはしていない。

金髪の少女のお返事に、二人組の風紀委員は小さくきゃー、と歓声を上げたり。
そういう話題で盛り上がるお年頃なのであろうか、盛り上がりつつも退店していった。
会話の中に、しっかりと「大神先輩」の言葉があった事に、少しだけ青年は渋い顔。

「……悪い。風紀委員だ、と隠すつもりはなかったんだが、どう切り出せばいいのか分からないまま、
今までずるずる引き延ばしてた。」

自身の所属が思わぬ形でバレた事に、少しだけ申し訳なさそうな表情。
ここでも一人で考え込んでいた青年だった。

ハインケル >  
「イヤ…だって色々出来てないってことは一人で考えてもダメってことじゃないの?」

考えすぎる…というか。いつまで考えているつもりだったのか…。
考えてわからないことは人に聞けばいいのに、と。
扱く当たり前のことを言っているつもりだったのだが。

「え、なんとなくわかってたけど…。
 ふつーの学生、落第街に近づかないし?」

あ、隠してるつもりでいたんだ…と逆に驚く。

「でも結構慕われてるんだねー♪
 あんな子達にきゃーきゃー言われて♡ あー美味しかったこれアタリだよーアタリ!」

きゃーきゃー言われてるのは別の要因だった気もするが。
気がつけば巨大なバーガーはぺろりと消え去って、口元のソースをエチケットペーパーで拭き拭きしていた。

大神 璃士 >  
「そ、そうか…分かってた、のか…。」

少し衝撃を受けたような顔。
本人は隠していたつもりだったらしい。

「色々な部署で雑用をやる事が多いからな。
慕われてるかは分からないが、手伝いを感謝された事は何度か。」

自分もバーガーを食べ進めながら、ぽつぽつと問題にならない程度の内情を話す。
先程去った二人組も、書類仕事を手伝った記憶がある。

「…風紀という「枠組み」に入れば、「人の中」で暮らせるように、自分を律する事が出来るか、と思ってな。
実際には、風紀委員やってて悩む事も、色々多い。」

そんな事を言いつつ、こちらも卵を挟んだてり焼きバーガーを完食。
少し口についたソースを同じくエチケットペーパーで拭う。

「美味かったか。なら、よかった。」

満足そうな様子の少女に、少しだけ口元がほころぶ。
そのまま、気が付くと意外と量が減っていたポテトの残りに手を伸ばした。

ハインケル >  
普通の学生はあんな危険な場所をウロウロしない。
これまでの邂逅は全部落第街で、だった。
違和感ないつもりだったのだろうか…まぁ、案外他人からの見た目はわからんもんであるが。

「頼りにされてるってことは慕われてるってことでいいんじゃないの?」

なんか色々難しく考えるヤツだな、というのはよくわかった。
ポテトとナゲットをつまみながら、のんびり会話タイム。

向こう(落第街)にいるとあんまり喰わないからな~。
 こっちに出てきたタイミングでしっかり食わないと。
 リヒトはそんなんで腹膨れんの?」

自分より大分身体もでかいのに。

大神 璃士 >  
「どちらかと言うと、「便利な奴」と思われてる…と思っていた。
偉い立場の方からの扱いは大体そんなものだからな。」

またポテトをひとつまみ。こうして会話をしていて、必ずしもそうではない…とは少し自覚出来た。
どうも、自身の自覚と他者からの評価に乖離がある青年だった。

「怪我して血が足りない時とか、身体を激しく動かした時はこうはいかないが、普段はこの位でも充分だ。
俺にしてみると、お前の方がしっかり食べられてるのか心配になる。
飯、困ってたりする事はないか、ハインケル?」

成りはデカイが、エンジンを全開にでもしなければ割と燃費は良い方らしい。
逆に少女の方の食の事情を心配する青年であった。
こちらもナゲットを摘みつつ、残っているドリンクを飲み干す。
オレンジジュースを選んだのだが、中々美味しかった。

ハインケル >  
「そりゃー偉いヤツはそうかもだけど。
 同い年とかそんくらいのヤツがそんなふーに思うワケないじゃん」

さっきの女の子達思い出してみ?なんて言いながら口元でポテトをぷらぷらしつつ。

「いや、満腹になんのかなって…。
 美味いモンって満腹まで食べたくならないの?
 アタシはまぁ…けっこー奢ってくれるヤツとかいるし」

心配いらないいらない、と指先についた塩をぺろり

大神 璃士 >  
「………。」

無言で思い出す。少しからかわれたりはしたが…確かに、「偉いさん」のような空気はなかった。

「…そう、だな。どうにも、こっちに来る前の事が心に食い込み続けてるような気がする。
すまん、ありがとう。」

気を遣わせてしまったかもしれない事への謝罪と、乖離を正してくれた事への感謝。
それを素直に口にしながら、またナゲットを一口。

「満腹、か…。こっちに来る前は、質素な暮らしだったからな。
空腹がそれなりに満たされれば、それで充分だった食生活が染みてるのかも知れない。
…ますます修行者みたいな生活だな、こうして思い返すと。」

思わず小さく苦笑しながら、またナゲットに手を伸ばして――少し考え、ほれ、と
少女の方にナゲットを差し出す。
本人の言葉通り、割と腹は満たされているらしい。

ハインケル >
「そうやって素直に人も頼ってありがとうって言えればいいんじゃない?」

にやにや。
奢ってもらっている立場なのになんだか偉そう。

「あーあー、うん、わかった。
 生活とかもだけど昔のことに引きずられすぎなんじゃないのー?
 もっとこう学生らしく…っていっても修験者とか真逆だしな~…」

なんか色々言ってもすぐには直りそうにない雰囲気。
ひょいっと最後のナゲットをもーらい、と言わんばかりに口に放り込んだ。

大神 璃士 >  
「そう、だな。努力してみる事にする。」

少し穏やかな雰囲気で、最後のナゲットを口に運ぶ少女に返事。
不器用な者なりに、努力はしてみるつもりのようだ。

「此処で暮らした時間より長かったからな…変えようと思っても、中々変わらないものらしい。
父さんからは、あるだけ喰い過ぎると後で自分の首を絞める、と事あるごとに言われていたからな。」

会話の流れからして、どうも亡くなっている父親の影響は強そうである。
決して毒親という訳ではなさそうで、寧ろ親として尊敬しているような雰囲気だが。

「――さて、食事も済んだ事だし、次は買い物か。
そういえば、何を買うんだ?」

買い物に付き合え、とは言われたものの、詳しい事は聞いていなかった。

ハインケル >  
「うむうむ♪ 年上の言うことは聞いとくもんよー♪」

年上…たぶん、年上である。おそらく。

「でも変えようと思わなかったら絶対変わんないしなー。
 なんだか言い訳にも聞こえるよね」

そんな、ちょっと厳しいことも言いつつ、立ち上がって。

「服っ」

そう明るく言い放つ。
人狼モードになるたびに破れるので実は服の出費が一番多い。
そして、カワイくないとヤダ、というのもあり更に出費が嵩む。

さすがにそっちまで金を出せ、とは言わなかったものの。
あれは似合うかこれは似合うかどっちがいいかうんにゃらかんにゃら。
食事の時間を遥かに超える時間買い物につきあわされることとなり……。
女の買い物は長い、という通説も思いっきりその身で味わうことになったのだろう──。

大神 璃士 >  
「年上、か。この島じゃ、見た目で歳を推測するのが難しいからな。」

外見的には年下に見えそうな少女だが、もしかしたら自分以上に生きている可能性も否定は出来ない。
流石に女性に対してそんな言葉を直截口に出す程、青年も無神経ではなかったが。

「それなら、変わるように頑張る事にする。
この島は、前に居た所とは随分違うんだからな…「合わせる」事も、必要なんだろう。」

そんな、少しばかりの変化の決意。
続く少女のお買い物の要望には、少し穏やかな雰囲気で。

「分かった、それじゃ行くか。」

こちらも席から立ち上がる。
服についての悩みは…まあ、青年も似たようなものであった。
特に咄嗟の事態では、確実に服が駄目になる。

そうして付き合った先では、女子の買い物というものを身を以て思い知る事になるのだった。
自分の服はサイズさえ合えば大雑把に決めてしまうので、「似合うものを選ぶ」という買い物は
全く未知の領域である。

それでも青年なりに懸命に似合う服には似合う所を、どちらがいいかにはその回答を出し。
長い買い物の時間をその身で実感しつつも、何処かで楽しむような気持になるのであった。

そんな姿が巡回中の風紀委員若干名に目撃され、密かな噂となったのは、また別の話。

ご案内:「商店街」からハインケルさんが去りました。
ご案内:「商店街」から大神 璃士さんが去りました。