2024/06/06 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に桜 緋彩さんが現れました。
桜 緋彩 >  
衣料品はここに来ればなんでも揃うと言う扶桑百貨店ファッションエリア。
普段着から部屋着、部活のユニフォームに果ては異国どころか「異世界」の服だって手に入るとかなんとか。
しかし今日の目的はそのどれでもない。
今まさに身に着けている制服。
少しサイズが――特に胸元が――合わなくなってきた気がして、サイズを測ってもらったら案の定育っていた。
大きく変化したわけではないが、動きづらいのも困るので新しく注文した帰りである。
ついでに私服も少し見ておくか、とその辺りをうろうろ。

「ワンピースは、太ってみえるからなぁ……」

夏が近いからか軽装の服が多い。
マネキンに着せられたワンピースがかわいいなと思ったが、腰に絞りが付いていないタイプ。
胸が大きいだけに、この手のものを着るとどうしても太く見えてしまう。
リボンか何かで腰を絞ればいいのだけれど、そこまでして欲しいかと言うと。

ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
扶桑百貨店には大体世話になることが多い。
ハッキリ言えば少年はインドアもインドアなので外に出ることは滅多に無い。
大抵の買い物は寮のルームメイトにさせたり、仕事帰りにすることが多い。
だが、男には決して他人に取りに行く、買ってもらう事は罷りならないものがある。

────そう、『コレクション』である。

「……ふ。」

無愛想な少年も今日は上機嫌。
何故なら今日は、新作プラモの発売日だからだ。
別に今ではパワードスーツもロボもこの安定期に入った世には珍しいものではない。
だが、実物は実物。プラモはプラモ。それはそれ、これはこれ。
"男の魂"とも言えるこればかりは、自らの手で受け取ることに意味がある。
無論、予約に抜かりはない。転売屋如きに遅れは取らない。完璧だ────。

さて、そういうわけで一切興味のないファッションエリアを抜けようと思ったが、思わず足を止めた。
見知った顔、風紀委員の先輩のようだ。見る感じ、服でも買いに来たのだろうか。
なんだか真剣に選んでいる気もする。腐っても女だよな、なんでスゴイ・シツレイな事を考えた。

「桜先輩、どうも。買い物っすか?」

まぁスルーするのもあれだし、声をかけることにした。

桜 緋彩 >  
「おや、壱どの」

自身を呼ぶ声に顔を向ければ、先日知り合った同僚の後輩。
難しい顔をぱっとほころばせ、一礼。

「制服が合わなくなってきたので、新しいものをと思いまして」

具体的には胸のあたりが若干ぱつぱつ気味である。
彼の方は、と視線を落とすが、特に何かを持っている様子もない。

「そう言う壱どのは? 見たところ通りがかりのようですが」

服を買いに来た、にしてはこの辺はまるっと女性服のエリアである。
誰かへのプレゼントだとしても、わざわざ一人で来るような人物でもなさそうだ。

橘壱 >  
一礼されたら一応一礼。
最低限の礼節は弁えている。

「予約していた商品を取りに来ただけっす。
 で、そっちは制服が合わないから買いに来たと……。」

成る程、と両腕を組んだ。
眼鏡のレンズが怪しく光る。きらん。

橘壱 > 「先輩、太りましたね?」
橘壱 > No delicacy────。"何故か"得意げな顔で地雷原を最短距離で走り抜けた。
桜 緋彩 >  
「あぁ、予約商品ですか。それはよかった」

何か欲しいものの発売日だったら、自分で時間を無駄にさせるところだった。
とは言え彼ならその場合スルーしていくだろうな、と思ったことは内緒にしておく。

「特注とまでは言いませんが、あまり在庫がないサイズですので。今日は注文しただけですね」

なんせ胸がデカい。
売り場に置いてあるものでは入らないので、受け取りは後日だ。
彼の言葉には、自分の腹を触りながら、

「まあ体重は増えておりますが、体脂肪率は変わっておりませんよ。太ったと言うよりは育ったと言った方が正確でしょうか」

さらっと受け流す。
なんせ武術家、そう簡単に太るような余裕はどこにもない生活をしている。

「しかし壱どの。基本的に女性は自分の体重が増えることを極端に嫌う人が多いです。なのであまり女性にそう言うことは言わない方が賢明ですね。要らぬ恨みを買いますよ」

それはそれとして彼のデリカシーの無さには釘を差しておく。

橘壱 >  
特にそれに関しては思い入れがあるらしい。
勿論、と言わんばかりに頷いてみせた。

「計画性はありますからね。予約争奪戦を制し、この日を待った。
 ……長かったですよ、1/16スケール『フォッグシャドウ』の販売は。」

フォッグシャドウとは某大人気ロボゲーム、アクシオンコアのライバル機である。
その黒いデティールと赤のアクセントはあらゆる男の子の心を刺激する。
そう聞いてもいないのに言う辺り、コミュニケーションできないオタクが丸出しである。

「特注。そこまで何が大きく……、……。」

身長と体格自体はそこまで大きく見えない。
胸は相変わらずデカい。実際マウンテン。
目つきはともかく、男なんでそう言われるとそっちに視線が落ちたりする。他意は無い。
この前言われたばかりだが、よもや、"育った"というのは……。

「……おっぱいが?」

────言い方が最悪!
訝しげに、おずおずと訪ねてみた。

「そういうモンっすかね。体重が増えるのは生理現象だと思いますが。
 そもそも、太った。という意味なら自己責任で僕を恨むのはお門違いでは?」

理屈で言えばそうなんだがそういう話ではない。
なんとも納得いかなそうに言う姿にそういった部分でも物の知らなさが見て取れる。
組んだ腕にぶら下がるトランクは、相変わらず重そうに揺れていた。

桜 緋彩 >  
「ふぉ……人気の、商品なんですね」

スケールがどうとか商品名がこうとか言われてもよくわからない。
わからないが、予約自体が争奪戦になると言うことはきっと人気のある商品なのだろう、と言うことだけはわかった。
あまり触れないでおこう。

「――、まぁ、はい、そうですね。そう言うこともあまり言わない方がいいですよ」

額を抑える。
それぐらいで恥じらう様な性格はしていないが、それでも彼のデリカシーの無さには流石に頭を抱える。
いつかどこかで本当に刺されそう。

「それは確かに正論です。正論ですが、正論だからこそそれを口にして良い時と悪い時があります」

いいですか、といつかの様に人差し指を立てて。

「太るのは確かにその人の責任です。ですが、その人が触れられたくない「太った」と言う話題に触れたことに対する責任も同時に生じます」

確かに太るような生活をしている方が悪い。
それは間違いなくその人が悪い。
悪いが、言われたくないことを言うのは、それはそれで悪いことだと思う。

「壱どのは恐らく「自分がどう行動するかは自分の自由だ」と思っているのでしょうが、自由な行動には責任が生じます。自分の行動で誰かを傷つけたり不快にさせたりした場合に責任を取れないのならば、自由に行動する権利はないと、私は考えますよ」

勿論その上でどう行動するかは彼の勝手である。
ただ自分の後輩にはそう言う人間になって欲しくないので、軽くお説教。

橘壱 >  
「少なくとも、転売屋に総じて狙われる位には。」

事実、予約は取れたものの瞬殺だった。
コンマ一秒の差。運が良かったのもある。
間違いなくやりきった表情ではあるが、触れないのが大正解。
オタクは好きなことに対する返答は、想定の2、3倍返ってくる。怖いね。

「……?何故。事実おっぱいはおっぱいでは?先輩も大きくなったから変えにきたって……。」

表現の自由だ、問題ないはず。
訝しげに眉を顰めているが、言葉があまり良くない。育ちの悪さが伺える。

「……、……事実そうだと思うんすけどね。
 それで自分がどうなろうと、自己責任だと受け止めます。好きなように生き、好きなように死ぬ。」

「……が、誰かの迷惑になるなら一考はします。」

自由。それは今、正しく自分が謳歌しているものに過ぎない。
その過程で何が起きようと、死のうと自己責任。結果なんて後から付いてくる。
その結果で何が起きようが、他人が傷つき、自分が嫌われようがどうでもいい。
……が、少なくとも育ちが悪いだけで聞き分けがないわけではない。
しっかりこの前の説教は聞いてはいるようで、改める気はあるらしい。
とは言え、余り納得は言っていないのかそれなりに不服そうな表情。
彼にとっての自由は、その生き様に根ざしているものなかもしれない。

桜 緋彩 >  
「テンバイヤ――あぁ、転売屋、ですね」

聞いたことの無い言葉に首を傾げるも、すぐに思いついた。
限定商品とかコンサートのチケットなんかで転売が問題になっている、と言うニュースを聞いたことがある。
実害を受けている人は大変だなぁ、なんて、あまりその手の買い物をしない自分は割とのんきな感想。

「……とにかく、その手の女性の、胸部や臀部に関してはあまり話題にしない方が良い、と言うことです。基本的には嫌がられますので」

説明するのは諦めて行動指針だけを示しておいた。
流石に自分も公衆の往来でその話題について語るのは避けたい。
そのぐらいの恥じらいはある。

「好きなようにして困るのが自分だけならば好きにすればいいとは思いますよ。しかし――あぁ、その考えの最たるものがアレです」

納得が言っていないように見える。
なんとなく、この後輩の世界と言うか生活と言うか、そう言ったものの中に他人はあまり入っていないのだろう。
自分と、恐らくは極少数の仲間だけで構成されている世界。
だから自分が小言を言えば納得できなくても合理性があると思えば従うし、外にいる人のことは考えない――と言うか、多分そもそも最初から思考に入っていない。
そこでこう言えば伝わるかもしれない、と思いついた単語。

「転売屋、じゃないですか? 自分が稼げればそれでいい、買えなかったのは買えなかった人の責任、と」