2024/10/13 のログ
シア >  
「? えぇと……いい?」

グッド、という評価を一瞬測りかねるが、言葉からしてもよい、ということでいいのだろう、と結論づける
表情もなんだか満足そうな感じがある。
……おそらくだが。

少女には、男の中に渦巻いているじゃあくな意志は読み取れない
まさか風紀委員が……ねえ?

「ん……低そう、防御力が」

渡された衣装をみて、一言。
そもそもにして、一般的な服に求められるものではないが。
おそらく、露出の多さ=防御力がない、ということなのだろう。

「……ん」

とはいえ、文句はないのか素直に試着室へと引っ込む。
しばしあって、また顔を出す

「薄い、これ?」

なんとなく布地もさっきより薄い気がする。気のせいかもしれないが。
ともあれ、出てきた姿は

短く、カットも大胆に入ったブラウスからは黒のぴっちりインナーが覗く。
そのまま下に降りれば、布地が一切ない腹の部分もまた一体型と思しき黒インナーに包まれている。
そして、ミニスカート。
スカートからは変わらず、インナーが覗く。
短すぎてちらりと覗く中も、やはりぴっちりの黒インナー。

インナーばかりが目立つが、ぴっちりとしているので体の線などはよくわかる。

「……どう?」

先程の圧が効いたのか、どこかおずおずとした質問にも聞こえる。

橘壱 >  
「人間社会で暮らす分にはそれくらいで充分なんだよ。
 山で暮らすのは出来ないけれど、そういうのが此処だと普通だと思えば……」

防御に関して答えただけでこの服が普通とは言ってない。
うん、か違いするかもしれないから質問に答えただけ。
オタクくん、触らなければ何してもいいと思ってない???

「ん~……いや、逆にコレはコレでエッチだな……」

逆にこのボディラインをくっきりしてるのがある意味良い。
調和が取れているわけじゃない。ある意味欲張り。
お子様ランチ的な美味しいものの盛り合わせ感がある。
ふぅむ、と顎に指先を添えてまじまじと見ている。変態だ。

「……そのインナーってやっぱその、ジャージに合わせて?脱げない?」

ついにインナーまで脱がそうとしてきたぞ!

シア >  
「ん……なるほど」

確かに、街は引っかかりも多くないし、虫の類もそこまで多くない。
露出が多少あろうとも問題ないのか……と納得する
騙されてる

「? そう?
 着てるだけ、服を」

えっちだな、という感想に首を傾げる。
一応、そういう単語は知らないわけではないらしい。
もっとも、感性としてはよくわかっていないようでもある。

「ん……脱げなく、ない……けど」

ん、と考える。
軍手のように服に合わない、ということだろうか。
多少の支障はあるが、問題はない……だろうか。
しばし考えて、結論づける

「待つ、ちょっと」

また試着室に引っ込んで、戻って来る
独特な歩法で服の揺れがあまりない……が

「……これで?」

肌色だった。上も、下も。
ちらりと覗く、スカートの下も。
素肌のみであった。つまり……
そして唯一、手先だけ黒の手袋がついていた

そして、もう一つ。
肌には大小の様々な傷が刻まれていた。
すでに完治して長いであろう、とは見て取れる

そのどちらに目が行ったかは、その人次第であろう


橘壱 >  
「いや、エッチなのは魅力的な事だからね。
 でもまぁ、うん。相手は選んだほうがいいかも。好感度高い相手とか」

欲望に素直なくせに一丁前に理性がある。
そういう所だけはきっちり諸注意するらしい。
何ならそういう事している自分が一番悪なので、処罰されるべき。
そういうわけでなんだかんだ脱いでくれるらしい。
カーテンが閉まった瞬間ガッツポーズ。変態である。
歩いてる際に衣擦れの音が聞こえなかった。多分そういう体捌きだ。
山育ちといっても、かなり特殊な環境のようだ。
こういう状況でも、そういった事は聞き逃さなかった。

「(獲物を仕留める時とか?……、……考えすぎか?)」

狩りをする時に使うものかと過ったが、
その"獲物"の定義が少しブレた。考えすぎだ。
一旦首を振って思考をリセットすると、少女の姿が出てきた。

「おぉ!?お……おぉ……」

きっちりとしたアメスク姿。
おいおい、R-18なサイトでしか見たこと無いぞ。
最高に目の保養だ。某外人みたいなポーズを取りかけたが、
その素肌に刻まれた大小の傷が目についた。
山育ちって言うからには、生傷があっても不思議ではない。
ただ、本当にそういうものなのか。少女へと近づくと、かがんで目線を合わせた。

「この傷は、何で出来たの?」

軽く傷跡の一つを指でなぞり、訪ねた。
一応医学も専攻してはいる。完治はしているようだが、
跡になるほどというのは、よっぽどのことだ。

シア >  
「……そう?
 大丈夫なの、壱は?」

相手は選べ、ということは相手を選ばないといけないということである。
そして、今現在のことを考えれば、今も相手を選ぶべき……なのか、と考える。
そうなると、壱は? 実はアウトなのだろうか?
これはそういう警告……?
少女は首を傾げた

「……?」

脱いできたら、すごい勢いで興奮した。
そこまで差があることだろうか。
……肌をさらしたのはやはり大きいのだろうか。
なるほど、参考になる。

「……ん?」

そう思ったところで、壱が急に真面目な顔で聞いてくる。
傷はなぜできたのか

「修行、と。生活。
 怪我たくさん、未熟だから」

様々な訓練をした。様々な活動をした。
才能のない、未熟な自分は、何度も脱落しかけた。
たまたま、運良く、此処までこられただけだ。

「……みっともない、やっぱり?」

この程度で、という言葉は無数に浴びてきた。
実際、いろいろな人が自分よりうまくやるのを見てきた。
みっともない、情けない傷だ、と言われてきた。
うっかり、自分でつけた傷すらある。

「……困った、ちょっと」

どうしよう、と考える。といっても、時間を巻き戻すわけにもいかない。

橘壱 >  
「……、……シアが大丈夫って思うなら、うん」

実際の所冷静に考えてアウトなんだけど、
敢えて彼女に判断を委ねるズルいオタク。
いや、実際彼女がいいと言えばいいんだ。
アウトだった時は素直に謝ればいい。カスである。

「自然は厳しい場所だと知ってるけど、想像以上だな……」

彼女の住む山、集落では"落ちこぼれ"だと自称していた。
彼女自身も知らないことも多い、きな臭い秘境。
変容後の世界といえど、自然界の厳しさは変わらない。
その結果と言えば納得だが、痛ましい。
何処となく沈痛な面持ちだが、彼女の言葉には首を振る。

「いや、そんなことはない。立派だと思う
 その、山の人達がどう思っても、僕は生きていることが立派だ。
 少なくとも傷が絶えないくらいには、シアは頑張ってた。
 そこじゃ"当たり前"と言われても、当たり前が出来れば充分立派だよ」

「それが出来ても、報われない人間は幾らでもいる」

特に自然界ともなれば、出来ていても脱落した者はいるはずだ。
少なくとも今、彼女はこうして眼の前にいる。
それだけで充分だ。口元は柔く微笑み、その手に肩を乗せる。

「自信を持って……っていうのは、違うけど、醜くはないさ。
 努力、頑張りの証だろ?寧ろ僕はかっこいいと思う。
 それに、肌だって結構綺麗だし、シアも綺麗なんだからさ」

でしょ?と思ったことはすぐ口に出す。
逆に言えば表裏もなく、嘘もないまっすぐな言葉だ。

シア >  
「……そう。困った。
 わからない、線引」

自身に拘りがないので、特に問題はない
……となると、問題になるラインがわからなくて逆に困るといえば困る。
特に支障がなければ、意識しないほうが正解ではないだろうか。

「登る、木を。渡る、谷を。降りる、崖を。
 色々……」

一つ間違えば、命すら落とす。
そんな状況を。そんな行動を。そんな修行を。
何度も繰り返してきた。
そして、何度も失敗してきた。
それでも生き残ったのは皮肉だろうか。

「……そう?」

己の実力は間違いなく図っておけ、と教わった。
他と比べて、未熟なのはよくわかっていた。

それでも、眼の前の男は"生きていることが立派"という。
残りカスのような自分に。

「……うん」

そうであるなら、もう少し前向きに何かを考えてもいいのかも知れない。
未だに、手つかずのこともあるのだし。
素直に、頷く

「いい、それなら。」

お山ではともかく、街でなら、そういうことらしい。
やや誤認識ではあるが、そう結論付けて。

「問題ない、じゃあ?」

くるりと回ってみせたスカートがひらめき
素肌がよく見える
そういえば、肩口も大胆に開いている割に上着しか見えない。

橘壱 >  
「努力が必ず報われるとは限らない。
 けれど、努力した事自体は決して嘘にはならない
 ……なんだかんだ怠惰だけじゃ生きられないしね」

「山とか街とか関係ないし、それだけで偉いよ。
 実際シアは凄いよ。身体能力凄いでしょ?」

良く知っている。
重ねた努力が必ず目的に続くとは限らない。
それでも、積み重ね自体は嘘にはならない。
確実に力にはなる。慰めではなく、事実だ。
彼女の能力は、実際目を見張るものがあるのも事実だし、
それは彼女自信が積み重ねた結果に過ぎない。

「……それと、あんまり自分のことを卑下しない。
 落ちこぼれかどうかは、僕には判断できないけど、僕がいい気分しないな」

「大事な友人を、本人が貶すのもね」

とんとん、と宥めるように数回肩を叩いた。

「まぁ、線引は……そうだな。好きな人、か。
 信頼できる人とかにしよう、一旦ね?」

言っといて何だが、これ決めていいことなのかな。
結構重大なインシデントだと思うんだけど。
ハハ、と引きつった笑みを浮かべたら煌めく太ももにうわっ、と後ずさり。
確かに露出の多い服にした。した、が。
なんか肌色多くない???

「……あ、あのさ、シア。下着は……?」

おずおずと訪ねた。

シア >
「……なるほど。物知り、壱は。
 それと……褒め上手?」

努力は……報われたかと言われればよくわからない。
上手く行ったことも、上手くいかなかったことも、どちらもたくさんある。
けれど、努力自体が嘘にならない、というのは納得できる。
どうあれ、やったことは事実なのだ。

そして、その結果である自分の身体能力。
あれが凄いことかも、わからない。
あれくらいできないと、ということだったし。

それでも、そう見えるのであれば、そうなのかもしれない。
その評価は素直に受け止めてもいいのかも知れない。

「ん……そう」

自分を自分自身で下げること。そういうつもりでもなかったが、たしかにそう聞こえるかも知れない。
自分では、事実を述べているだけのつもりであったのだけれど。

どちらにしても、壱の気には触るらしい。
それなら、控えておこう。
学ぶことは多い。

「好き……信頼……ん。
 問題ない、それなら」

線引を言われた通りで理解する。
それに当てはめて考えれば……壱はセーフ、である。
それにしてもダメだったら、どうするのが正解なのだろう。
排除……?

「下着? 服の下のもの?
 脱がせた、さっき壱が」

要するに先程の、ぴっちりインナーのことらしい。
それはそれとして、実に誤解を招く発言であったが、本人には悪気はないのだろう。

「脱げといった、壱が。」

追撃である。

橘壱 >  
「知ってることを知ってるだけさ。
 褒め上手……かはわからないけどね」

大体は自己経験か勉学に基づいたものだ。
誇れるものかはさておき、彼女の足しになれば幸いだ。
シアは純粋だ。決して悪い子じゃない。
このままいい子に、上手く社会に馴染んでくれればそれでいい。

「問題ない?何、が……」

このオタクがよもや自分のことだとは思うまい。
そして、続けて飛んできた言葉にスゥー…と息を呑んだ。
確かにそうだ。下着(インナー)って意味ならあれで充分だもん。
冷静に考えてあの下にパンツとかブラとかつけるはずもない。

「スゥーッ……」

追撃に額を抑えた。自業自得である。
思わず硬直、思考停止。なんてこった、変質者じゃないか。
変質者なんだよ、傍から見ても。

「……普通の下着も買っとこうか、一応」

その方がきっと大丈夫。
そして指を指したのは一般的な女性ものの下着である。

「一応なんだけど、この手の下も同じ感じ……?」

唯一(?)残った下着(???)である黒の手袋。
彼女の手を取り、軽く一瞥。此処まで来たらなんとやらだ。
脱がしていい?と訪ねて、頷けば普通に取る。言葉選びが拙い。

シア >   
「……そう」

知らないことだらけの少女としては、知っているだけで優れている。
それが何処から来ようと、同じことである。
自己経験であろうと、勉学だろうと、知識だろうと貴賤はない。
男の言葉を借りれば、頑張った結果なのだから、となる。

「線引。ない、アウトでは。
 しなくていい、ナニカ」

何が問題ないのか。
当面、問題は壱であった。
なんとなれば、継続中でもある今。
線引でアウトであれば、壱もどうにかしないといけない……かもしれない。
どうすればいいのかわかっていないので、曖昧な言い方になる

「……?」

壱が不思議な呼吸をする。
息吹、というものともなにかが違う。
これが壱の特殊な呼吸であろうか。

なお、爆弾発言は周りに聞こえたか否か。
詳細は定かではないが、ややざわめいているような気がする。
気のせいかも知れないが。

「……ん。必要?」

下着を買おう、という提案にやや首を傾げた。
必要なら先程のでも良いと思うのだが
これもまた、街のスタイル、というやつだろうか。

「ん、ぅ……」

手袋を脱がしていいか、という言葉にまたも少し考える。
ややあって、頷いた

「……」

取られた手袋の下は、更に身体よりも傷だらけの手。
骨折を繰り返したのか、微妙に歪んでも見える。
爪も何度か剥がれたような跡が分かる、かもしれない。
肌の色も、どこか黒ずんで見えた。

そして、それについてはなにも言わない。
先程までと同じ、未熟、の跡なのだろうが。

「……みたとおり。いい?」

橘壱 >  
「…………」

あ、そういう事か。理解した。理解してしまった。
拙いぞ、返答次第では"アウト"判定になる。
彼女にとって自分は信頼されているらしい。
だからセーフ。いけない、過る。邪な考え。
つまりその無知さに漬け込んでその気になれば───────……。

「ま、まぁシアがいいなら大丈夫。
 なんでもない、うん。気にしないで」

逃げた。ズルいオタクだ。
一応それ以上踏み込むほど邪道ではない。
何より地味に周りがざわついてる気がする。
は、と周囲を見れば地味に通り過ぎる視線が冷ややか。
これ以上騒ぐと色々拙い。社会的に。
流石にちょっと青ざめたが周囲に笑って誤魔化した。
本当に一時しのぎ。多分次はない。

「まぁ、その、この手の服を着るなら……」

一応、一応ね。決して自分が見たいわけじゃない。

「…………」

ただ、そんなふざけたことも言ってられないほど、
彼女の手は、もっと酷かった。歪な手。
度重なる多くの怪我が原因で、少女の手とは思えない酷さ。
医学を専攻するその目には、自然出来たようには見えない。
神妙な顔つきのままじ、と手のひらを見やる。
そして、慰めるように温かな壱の手が、軽く歪な手を撫でた。

「……言いたくないならそれでいい。
 これ、"誰"にやられたんだ?シア」

シア >  
「?」

首を傾げた。少女には、男の頭の中でよぎった邪な考えを読み取ることは出来ない。
しばしの葛藤に違和感はあるものの、なにか難しいことを考えたのだろうか、と思うばかり。
最終的に、気にしないで、と言われるのであれば首を傾げつつも納得する。

そんな一方で、周りの視線はどこか冷めている。
ひょっとすれば不名誉な憶測も為されているかも知れない。
いや、事実だろうか。

「なるほど。必要……」

そういうものなのか。
同じく見える下着を見るに、相変わらず防御力は低そうである。
ただ、街ではそれでいい、ということなのだろう。

「ん? 修行だよ、だいたいは。」

手を硬くする。崖を登攀する。
様々な理由と、様々な手法で手を痛めつけることになった。
使い物にならなくなっては、本当に死が見える。
それゆえに、大事に守ってきた。

ただ、温かな手で撫でられると、一瞬だけびくりとした。

「ボクは……ああ、うん。ダメ。
 約束、言わない」

一瞬、なにかを言いかけて、口をつぐむ。
その代わりに

「え、と……努力の跡?」

そう、口にした。

橘壱 >  
「それにしたってね……これはやりすぎだよ」

敢えて痛めつけて、っていうのは筋トレとかでもよく聞く。
だが余りにも手法としては非効率的、非人道的。
山の中で説くものでは無いのかもしれないが、いたたまれない。
ただ、手を撫でただけなのになんだか妙な反応だ。

「……無理に聞き出す気はないけど、
 僕はあんまりいい気はしないな。酷いことしたし、されたってさ」

何であれ、少なくともその反応は、
彼女自身"良いもの"と感じていないと見ている。
じ、と神妙な顔つきのまま、碧の双眸がその目を覗き込んだ。

「人間、隠し事や言いたくないことは色々ある。
 僕だってそうだ。だから、シアに約束を破らせるマネはしない。
 ただ、こういうマネは余り、誰かがやったってなったら、僕は許せないな」

「……シア自身がやってたとしてもね。
 まさか、今も自分で痛めつけてるとないよね?」

ゆっくりと手袋を付け直せばじろりと見やった。
嘘をつけるような子ではないと思うが、謎が多いのも事実だ。
特に、話を聞くだけでも普通の秘境とは違う出身地。
心配の一つや二つ、したくなる。

「でもまぁ、秘密を見ちゃったのはごめん。
 女の子の傷だもんな。あんまり見るのも良くないし……」

す、と立ち上がればカチャリと眼鏡を上げる。

「まぁ、その、何。色々僕だけ楽しんじゃったし一回服は着よう」

うん、ちょっとアメスクの女の子に真面目にやるの、
はたから見ると大分不審者度高い。とりあえずジャージに戻ってもらおう。
この2つの服と、後は私服に使えそうな冬用のコード、夏用のコーデでも見繕ってみよう。
流石にちょっと趣味に走りすぎた、よくない。反省。

シア >  
「そう……かな?」

やりすぎかどうか、は他に比較対象がない。
自身の認識としても、必死だったこともあってか、特におかしいとも思わなかった。
出来なければ、死ぬだけだ
それなら、多少の怪我のほうがよほど良いのではないだろうか。
それに、言うなら努力の結晶、でもある。

「ん……不思議。
 また不機嫌」

また、である
壱は、関係ないことで不機嫌になっている。
少女にはいまいち理解が出来ない。
自分のことではないのに、なぜ苛立つのだろうか。
身体も、手も、自分の不徳の為すところのせいだし。
未熟なのは事実だし。

それを知って苛立つのは、なぜだろう

「今は……みじゅ……違うから、昔のボクと。
 怪我しない、普通なら」

この怪我は、かつての自分のせいだ、という。
未熟で、拙い自分のために出来た傷。
今はこうはならない、平気である、と。

「? 平気だよ、ダメじゃないなら」

傷を見せることも、別に構わない。
街のルールとして問題があったのであれば、そちらのほうが困る
そうではないよね、ともう一度確認を取る。

「……? いいんじゃない、楽しんでも」

よくわからないが、楽しむこと自体は悪いことではないのではないか。
娯楽、というのは必須らしいし。
壱が今楽しんでいる理由はわからないが

「……わかった、でも」

そうはいっても意図は伝わったので着替えに戻る。
帰ってくれば、見慣れたジャージと軍手姿の少女になっていた。

橘壱 >  
見慣れたジャージ姿が戻ってきた。
それじゃあ、と目線を合わせて言葉を続ける。

「……いいかいシア。
 確かに、努力する過程や、生きてる内に人間傷つく事もある。
 けど、基本は痛いし悲しくもなるしね。傷つくことは全部が全部いいことじゃない。
 特にこういう怪我は、あんまり気持ちの良いものじゃない」

「それが友人や、大事な人、知り合いとかなら、
 怒りとか哀しく感じる事もある。シアは、僕に怒ったり泣いたりしてほしい?」

自然界ではともかく、繋がりを大事にするのが人間だ。
今彼女は確かにそれを持っているはずだ。
少なくとも壱のことを信頼している、壱もシアを信頼している。
これは確かな繋がりだ。その先に何かあれば、
居ても立っても居られないのは普通なんだ。

「まぁ、本当にシアのせいか現場とか見た訳じゃないから何ともだけどね。
 今は今でも、今後も似たような真似をするなら控えてはほしいかな」

「鍛えるだけなら、幾らでもやりようはあるよ」

痛めつけるだけが鍛錬ではないのだ。
ここまでは大丈夫?と、その黒髪をそっと撫でた。

「……、……い、いや、楽しかったんだけど、ね。
 シ、シアはなんだ……その、ああいう格好してて楽しかった?」

それはそれとして無知な感想が刺さる。
違う、そうじゃないんだ。
とは言え、自らの変態的行為を説明は出来ない。
まずは一旦、彼女の気持ちの確認。
引きつった表情をしながらおずおずと訪ねてみる。

シア >  
「ん……んん……」

これは問いかけだ。謎掛け、ではない。
考える。壱の言う言葉を。
傷つくことは全部が全部いいことではない。
友人や、大事な人、知り合いとかなら、怒りとか悲しく感じることもある。
……

「……ん」

頷いた。わかった、と言うように。

「平気だよ、本当に。
 昔よりあるし、握力とかも。
 わざとしたわけじゃないし、怪我を」

だから、もう今はそういうことはない、と言う。
垂直に登り上がるよう崖を素手で登るような真似をすれば別かもしれないが。
それも流石にないだろう。

「ん。良いことだと思う、楽しいのは。
 ……ボク?」

改めて問われて、考える。
いい服か、悪い服かもあまりわかってはいない。
ただ、多くのひしめく服たちの中から何かを決めて着てみる。
それは

「新鮮、だった」

そう、口にした

橘壱 >  
その頷きを見れば、此方も笑顔で頷いた。

「どうしてもって時は仕方ないけど、わかったなら大丈夫だね」

理解すれば後の彼女なら大丈夫なはずだ。
自分と同じように、こうした日向の道を歩いてくれるなら、
何時か自分が堕ちた時でも、安心できる。

「そう?ならいいけど。ほんとに気をつけなよ。
 僕は心配だよ。シアが変なことして怪我でもしないか」

一人の友人として、大切なのだから。
後は私服に使えそうなのも見繕ってあげよう。
あれを見た以上は、肌が露出しないタイプ。
そろそろ寒い時期だ。この辺りのニットワンピースに、
ちょっと厚手のニットにロングスカート。
いや、ボーイッシュなのも似合うしこういうデニムもいいな。
後は……。

「ジャージも新しいの、幾つか買ったほうがいいか……。
 そう言えばシアは何色が好きとかあったりする?後でこの辺も試着するよ」

さっきのあらからさまのは違い、ちゃんとしたものだ。
山育ちの彼女には、何もかも新鮮に映るのはそうなんだろう。
ただ、まぁ、やはり純粋無垢、無知さが突き刺さる。
ちょっと引きつった笑みを浮かべて咳払い。

「まぁ、その、僕として楽しかったしありがたいんだけど、ね。
 シア。信頼してくれたりするのは凄く嬉しい。本当にね。
 ただ、その、ごめん。その、ね?ほら、こう、僕も男の子なんでね」

「こう……あの、シアをその、イヤらしい目で見ることも、ある……
 ……し、実際、見たからああ言う格好させたのも、あるから、ね!
 だからちょっと警戒したほうがいいかな!?可愛い女の子だし!!!!ほんとごめん!!!!」

実直すぎるがゆえに罪悪感が勝った。
そこで見せたのがDOGEZA。ジャパニーズの伝統的な謝罪方法。
ある意味懺悔、自らの邪を暴露する切腹である。

シア >  
「大丈夫」

今や、狩りくらいしかやってない。
そこまでけがをするような要素は……
前の魔獣狩りとかだろうか。あれもあくまで、イレギュラー。
普段は平気……の、はず

「色……?」

好きな色
考えたこともなかった。
特に、ジャージの色、と言われても。

考える。どう選ばいいか
強いて言えば……

「……黒? 濃い緑?」

地味な、背景色を選んだ。

「……?」

DO・GE・ZA
それはなんとも見事な、比類なき美しさを持った謝罪のポーズであった

それを前に、少女は首を傾げた

「イヤらしい、壱?」

謝罪の言葉の意味はいまいち理解できなかった。
少女なりに噛み砕いて判断した結果、得られた答えはそれ。

しゃがみこんで、下げられた頭に問いかける

「うるさいし、周りも。いこ?」

当然ながら、そんなことをすれば流石の周りもドン引く。
それを横目に、まずいのでは?と聞いたのだった


橘壱 >  
「まぁ、うん。はい。イヤらしい男です。
 シアでこう、はい、うん。だからこう、ね?
 いくら信頼してる相手でも抵抗とか警戒心とか……」

「イヤならイヤって言おう。普通は、その、ダメだからね???
 僕でも多分ダメだよ???シアがその、ちゃんといいって理由がないと!!」

やっておいて何だという話ではあるが、だからこそ、
特に知らない相手に利用されるのは拙いので言っておかねばならない。
たとえ自らの評価を下げることになって、言わねば。
彼女の今後に関わるかもしれないのだから。

……初めてしたな、公然土下座。
かつてのゲームチャンプがなんてザマだ。
それはそれとして、確かに良くないな。すくっと立ち上がった。

「そう、だね。軽く試着したら、会計に行こうか」

というわけで今年の冬コーデとなり私服とか、
新しいジャージをそれなりに抱えていくことにした。
着るかはさておき、衣服はいくらあっても困ることはないだろう。
その中には、明らかにシア用ではない、別のサイズの女性衣服も混じっていたり……。

「まぁ、だから、ホントごめん。なるべく気をつける……」

オタク、欲望に弱い。

「とりあえずはこんな所か……シアは他に行きたいとことか、ほしいものある?」

シア >  
「? イヤではなかったけど、別に」

首を傾げた。
イヤかイヤでないか、という区分になってしまうと、誰でも問題はなくなってしまう。
また線引が難しくなる。

いい、理由……なんだか難しい話になった

「ん」

ようやっとたった壱が、それでもまだ色々と持ってくるので着てみる。
今度は少し防御力が高い。良いか悪いかで言えば、悪くはない。
その大量の服の中に、サイズ違いが混ざっていたようだが……
あれは、壱用だろうか? 女性向けのようにも思えるが、違うのかも知れない

「他……他……ん。ない、特に」

他、といわれても特に思い当たらない。
そもそも物が多すぎて、なにがどうなのかもさっぱりわからない。
これだ、と決められる要素もなかった。

橘壱 >  
「いやこう、もっとシアが特別だ!って思う相手にやろう、うん。
 その区別で行くと多分やるぞ僕、また。というか調子に乗るぞ」

自分という人間を理解しての発言である。
ある意味犯罪予告である。風紀委員の皆さん此方です。
コイツ風紀委員だった。

「(とりあえず、環菜ちゃんに……着れる、よな?
 サイズ、多分間違ってないはずだし……ちょっと一回り大きいの選んだから平気だと思うけど……)」

「じゃあ、とりあえず何か食べて帰ろう。
 これ、シアの部屋とかに届けなきゃだしね」

それじゃあいこうか、と彼女の手を取りお会計を済ませた。
その後は適当に食事を済ませて終わりだ。
こうして騒がしい日常の一幕が、幕を閉じるのだった。

ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」からシアさんが去りました。