2025/01/20 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に神樹椎苗さんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に緋月さんが現れました。
百貨店にて >  
扶桑百貨店、ファッションエリア。
商店街に比べると少々お高めだが、様々な服が揃うエリアである。
カジュアルから礼装まで、幅広く。

そんな中を、二人の少女が往く。
――正確には、一人が一人に引っ張られている。

引っ張る方は、白黒の和風ロリータファッションに、狐のつけ耳と尻尾をくっつけた小柄な少女。
引っ張られる方は、暗い赤色の外套(マント)に書生服というファッションの少女。

――書生服姿の少女の左手には、本物かどうかは分からないが、手錠がかかっており、
その反対側のリング部分は引っ張る少女の右手がしっかり捕まっている。
引っ張られる方は何やら泣き言を口にしている様子だが、引っ張る方はまるでお構いなしだ。

神樹椎苗 >  
「――前から言ってますが、お前はもう少し、いえ、少しじゃねーですね。
 もっとぐわーっと身なりに気を使いやがれってんです」

 そんな事言う子狐は、ぷんすかと、擬音が出そうな勢い。
 不機嫌というよりは、呆れているという様子ではあるが。

「今日は徹底的に鳴かせてやります。
 せいぜい、いい声で鳴きやがれですよ」

 ふわふわの尻尾をふりふり。
 連行していく先は、行きつけのランジェリー―ショップ。
 視界に入れば、堂々と色とりどりの下着が陳列された大きな店だった。
 

緋月 >  
「そ、そんなぁ~…!
しっかり着てるじゃないですか……。」

情けない声を上げている書生服姿の少女。
こちらは連行していく側と違って、何と言うかしおしおしている。
困っているというか、強く出られないというか。
実際、この位の束縛なら直ぐに振り切って逃げだせる…筈、なのだが、
そんな事をした日にはどんな目に遭うか分からないので連行されるがままである。

「そもそも、ブラジャー…でしたっけ…あの下着、違和感が凄いんですよ…。
下は我慢しますけど、上は勘弁して下さいよぉ……朔も何か言って――」
《盟友よ。》
「……………何ですか? ちょっと、嫌な予感がしますけど、」
《あの状態の使徒に、何を言っても無駄だ。潔く諦めるがいい。》
「あんまりだ~~~……!」

既に充分いい声で情けなく鳴いている。

そして到着した先…色とりどりの下着が並ぶランジェリーショップを目にすれば、最早半泣きである。

「……あの、椎苗さん。
ホントに…本当に、此処で売られてる品から選ばないとだめですか……?」

恐らく選ぶ自由もない。

神樹椎苗 >  
「着飾れって言ってんです。
 適当なもん着てるだけじゃ意味ねーんですよ。
 引っぱたきますよ」

 服飾には独自の拘りがある子狐。
 まさに理不尽。

「他人事みてーに言ってる『駄狼』。
 お前も同じ身体使ってんですから、お前にも選ばせますよ。
 苦情は聞くだけは聞きます」

 ただし聞くだけなのである。
 やめるとは言っていなかった。

「――は?
 お前の場合選ぶ以前の問題です。
 きゃんきゃん言ってねーでいきますよ」

 ずるずると引きずっていけば。
 常連のお得意様が来れば、当然のように店員が店の前まで出てきて、完璧な角度で一礼するのです。

『いらっしゃいませ、神樹さん。
 あら、今日は嫁入りコーデですか?
 ふふっ、もしかして、気になる方でもできました?』

 そんなたれ目ののんびりとした雰囲気の、神樹椎苗様担当の店員は、にこやかに対応する。
 既に付き合いも長く、その日のコーデで最近の出来事や機嫌を読み取れる凄い担当だった。

「うるせーです『担当一号』。
 今日はしぃじゃねーんです、これです、これ」

 そう言って引きずってきた『後輩』を突き出して手錠を外した。

『もう、照れなくても――あら~。
 これは素敵な素材ですね。
 うーん、まずは採寸からでしょうか?』

「見ての通り、採寸からです。
 ――ほら、『後輩』、コイツに上から下までしっかり採寸されてこいですよ」

 そう言って、引け腰の後輩のでん部を、思い切り小さい手でたたいた。
 

緋月 >  
「そんな~~~……!」

着飾るという行為からは全く無縁の人生。
突然そんな事を要求されても困るしかない。嗚呼、理不尽なりし災難の日。
尚、書生服姿の少女の内に在るかつての神器だったものからは諦めの思念しか返ってこない。
自分にまで災難が降りかかる事も含めて、諦めの境地に至っていた。

「えっ…あの、採寸、って――――」

疑問を差し挟む暇もなく、手錠を店員さんに渡され、お尻を思い切り引っ叩かれれば、
そのままの勢いでまずは試着室まで連行されてしまう。

『はいそれでは失礼しますね~…あらあら、今時サラシなんて珍しいですね。
でもせっかくのお洒落の機会ですし――失礼します~。』
「あっ、ああっ、やめて――!」
『はーい、しっかり採寸しませんと体に合ったものが見つかりませんからね~。』
「あっ、ああっ、わぁ~~ん…!」
『あらまあ、随分引き締まったお体。では失礼しまして――』


――暫くの間、何やらいろいろな声が聞こえて来る。
それと、諦めの思念も流れて来る。

そうして採寸を終えて戻って来た時には、書生服姿の少女は既にヘロヘロであった。
尚、手には今まで巻かれていたらしいサラシが握られている。
とりあえず応急的に体に合う下着を着けさせられたらしい。

「うぅ…おちつかない……。」

神樹椎苗 >  
「――録音してあの女に送ってやりますか」

 試着室の外で鳴き声を録音する鬼畜子狐。
 なお、送信先は、たった今採寸されている少女の恋人である。

「なかなか、いい声で鳴いてたじゃねーですか。
 それで、サイズはどうな――」

 『はい、神樹さん』とにっこり渡されたメモパッドに書かれた数字に、子狐は黙ってキレた。
 それはもう、返ってきた少女に、「ブチッ」という音が聞こえるくらいに。

「おいてめー『駄肉後輩』、コイツはどーいう事ですかコラ。
 何ですかこの数字は。
 これでサラシと適当なパンツで許されるとでも思ってんですかオラオラ」

 ヘロヘロの後輩に、追いうちのローキック連発である。
 なお、椎苗の筋力はへなちょこなので、ブーツで蹴られてもそんなに痛く――ちょっとは痛いかもしれない。

『まあまあ、ダメですよ神樹さん。
 これから磨く大事な原石なんですから』

「――チッ。
 ほら『駄肉』、サイズが分かったんだから選んできやがれです。
 デザインくらい、自分が気に入ったもんを着てーでしょう」

 そう言いながら、ふわもこの尻尾で後輩のお尻をぺしぺしと叩く。

「――ちなみに選ぶコツは、とりあえず自分の気に入ったもんはソレとして。
 見せる事になる相手を考えて選ぶことですね」

 そんな、アドバイスにすらならない事を小声で言って、店内に押し込める。
 なお、『担当一号』さんは、おおよそサイズが合うだろうモノのある所に案内すると、にこやかに下がっていった。
 ここからの監督は、少女には不憫な事に、この傍若無人な子狐であった――。
 

緋月 >  
「うっうっ……突然呼び出されたと思ったら連行されて…なんでこんな目に…。」

ちょっと泣きそうになりながら、ローキックを喰らっていた。
尚、駄肉とか好き放題呼ばれているが、胸部のサイズ的にはやや控えめと言う所である。
貧乳、と呼ぶまでにはいかないが、残念ながら大きいとは言えないサイズ。
腰部分はきっちり締まっており、どちらかと言うと大き目なのはHの数字の方。
これはまあ、仕方がない。鍛えているのである。

「ふぁい……選んできます…。」

口バッテン状態になりながら、しおしおとランジェリーを選びに向かう書生服姿の少女だった。
ぺしぺしと尻尾で叩かれ、否応なく足が進む。

それからしばらくの間、所在なさげにランジェリーショップを行き来する姿を
見せる事になった書生服姿の少女。
結局、狐な少女の所に戻ったのは随分としてからだった。

「え、えっと……一応、選んできました…。」

おずおず、と片手で差し出したのは、赤い地に薄桃色の菊の花がプリントされたブラとショーツ。
選んだ少女のセンスが分かるような柄だ。

――尚、もう片手は必死で後ろ手に隠している。

神樹椎苗 >  
「普段の行いです」

 どーん、と腰に手を当て据わった目で少女を睨む。
 着飾るべき年頃の娘が、相応しく着飾らないのは罪であるのだ。
 などという、椎苗の価値観の前では、少女は罪人なのであった。
 それも、控えめな数値であってもしっかりと凹凸が出る引きしまった身体を持つ少女は、特級の罪人である。

「――ふむ」

 少女が選ぶ様子を一歩引いてじっくり観察しつつ。
 悪戦苦闘しながら選ぶ少女を満足げに眺めていた。

「一応、じゃねーんですよ。
 自信もって持ってこいってんです」

 なんて言うものの、上下セットでの組み合わせで選んできたのは及第点だったらしい。
 じっくりと少女と下着を交互に見て、ゆっくり頷いた。

「――で、そっちは?」

 じぃ、っと隠してる方を見せろ、と。
 半眼の圧力でどっしりと見上げていた。
 

緋月 >  
「え゛っ。」

指摘の声と無言の圧力に、変な声が出る。
顔から汗がだらだら。

「あ、えっと、その、これは……」
《我が選んだ。いずれにしろ逃れられんのだ、諦めよ、盟友。》
「いや、だって――!」

と、必死になって隠そうとするが、

《どうせ購入の際には明らかになってしまうのだ。無駄な抵抗はよせ。》
「あ゛っ!!?」

ぐるん、と、必死で隠してた手が前に回って来る。
一時的に腕だけ主導権を握り、勝手に動かしたのだ。
不意を打てばこれ位は出来る、という事で。

「――――――。」

顔が真っ赤になり、泣きそうな雰囲気の書生服姿の少女。
その手に持たれていた下着は――

……何と言うべきか。
黒かった。
それと、所々が透けてる。更に所々、殆ど隠れてない薄い生地。

肌が隠れる度合いはこちらの方が上だった。
だが、要所がレースとシースルーのせいで、しっかり隠れているかというと、間違いなく否。
おまけに下に穿く方は、横部分がもはや紐である。

……はっきりと言うと、結構な上級者向けの代物。
どうせ見せる事になるなら振り切れ、と言わんばかりである。
思い切りが良すぎる。

神樹椎苗 >  
「ほほう――」

 出てきた黒い下着。
 完全に、見せるためのかなりセクシャルな下着だ。
 じっくりと、真っ赤な顔と黒い下着を交互に眺めて。

「――うむ、『出歯亀狼』は中々いいセンスをしてますね。
 やっぱりこれくらいじゃねーといけません。
 さて」

 そう言って子狐は笑顔で泣きそうな少女の肩を叩く。

「じゃ、試着しましょうか。
 しぃが見てやります」

 にっこりと。
 とても慈悲深い笑顔で言うのだった。