2025/01/21 のログ
緋月 >  
「ああぁぁぁぁぁ―――――」

現実は非情であった。
慈悲深い笑顔から放たれる、容赦のない宣告。
最早半泣きで、書生服姿の少女は子狐少女に試着室まで連行されていくのだった。

そのまま試着室に押し込まれ、カーテン前に仁王立ちで立ちはだかられては
逃げる術などありもしない。
しぶしぶといった雰囲気で、、試着室のカーテンの向こうからしゅるしゅると衣擦れの音と声が響く。

『なんでこんなの選んだんですか…凄く恥ずかしいですよ…。』
《蔵書の模写の主が常々言っていただろうが。
もう少し下着には気を使えと。》
『だからって…これなんか、横が殆ど紐ですよ…。』
《売っているという事は需要があるという事だろう。慣れよ。》
『他人事みたいに…あなただって着るんですよ…。』
《生憎と諦めはついているのでな。でなくばあの使徒についてはいけん。》

言いたい放題。
そして出て来たのは――

「……は、恥ずかしい…。」

恥ずかしい方を先に済まそうとしたようで、すっかり顔の赤くなった少女。
シースルーとレースで飾られた、キャミソールと一体化したようなデザインの下着を
しっかりと着用済みである。

この手の下着は胸が大きくなければ似合わないかも知れない…という印象が強いが、
割とそこの所は違和感もなく着こなしていた。バランスがよい。
最も、一番の見どころは恥ずかしそうにもじもじする着用者自身であろう。
思い切り嗜虐心を刺激されそうな雰囲気である。

神樹椎苗 >  
「さらっと余計な事を言ってやがりますね『出歯亀狼』。
 お前、後で絶対泣かせます」

 狐耳は地獄耳だった。

「勿論、需要はあります。
 まあ主に、夜の営みの方でですが」

 余計に少女が恥ずかしがりそうな用途を補足するのは、確信犯だろう。

 さて、出てきた姿は、しっかりと似合っている。
 しかも、少女の恥ずかしがる様子は尚更煽情的で、うっかり押し倒したくなる所だった。

「ふむ――100点中10045点って所ですね。
 記録しておきましょう」

 そう言いながらじっくり上から下まで眺めまわし、その視覚データを学生手帳に送り。
 ついでとばかりにその恋人にまで、音声付き動画データを送り付けた。
 完全に盗撮である。
 風紀委員さん、ここに盗撮犯がいます。

「悪くねーです。
 ここがベッドの上だったら押し倒してた所ですね。
 ふむ、これなら他のも――」

『――と、言われると思いましたので、神樹さんの選びそうなカラーバリエーションを用意しました。
 色とデザインと、様々に用意してあります』

 そうして、複数種類の下着――ネグリジェ風の物から、ベビードールのようなものまで。
 色も種類も様々だった。
 そして担当はす、っと下がっていく。
 
「さすがわかってますね、『担当一号』。
 ほら『後輩』、お前の好きな色を選ぶといいです」

 そして、多種多色の下着、もちろん、非常に煽情的なモノから、可愛らしいものまで。
 それらを後輩へと見せつけていく。
 中には後輩の少女にすら明確にわかるほど、ドストレートに着用目的が明確なモノも。

「しぃなんかは、普段はこういうのを着てますね」

 そして、そんなものを普段から着用していると恥ずかしげもなく言う子狐。
 後輩としては、驚天動地のデザインだろう。
 なにせ、上下ともに殆どすけてる上に、縦のスリットがしっかりと入っているのである。
 着用しても何も隠せないのは確実であった。
 

緋月 >  
「わーっ! わーーーーっ!!」

思い切り記録を取られてしまった。恥ずかしさのあまり絶叫。
尚、まさかそのデータを送信されるとは思っていなかった。後々がとても怖い。

そうして、新たに持ち出された多数の下着を目にすれば、最早視線がぐるんぐるんである。
焦点が定まっていない。

「え、えぇ…これ、ぜんぜん、隠れてないじゃないですか…。
普段から、これ……見られたら大変じゃ……。」

もう完全に理外の領域である。少女にとっては、だが。
頭までぐるんぐるんし始めたような気がしてきた。
隠す目的が達成されているのか分からない下着ばかりを目にして、だんだん
大事な価値観が麻痺してきたような気もする。

「じ、じゃあ……ええと、その、これで…。」

おずおずと選んだのは、赤い色の下着。
キャミソール的な外見で、一見すると、露出度的にはマシ……に思えなくもない。

だがしかし、その殆どは半透明に透ける生地。
隠れているのは胸と下だけ、その下も横がほぼ紐の上、透けてる生地が多い。
所謂ベビードールだ。明らかに見た目に騙されている。

そんな事など全く理解せずに選んで、再び試着に。
少しの間、衣擦れの音が響き――

「……き、着てみました。」

――――もはやセクシーとかどうとかの話ではない。
健全な青少年のなんかがあぶない。

神樹椎苗 >  
「隠すも隠さないも、このデザインがエロくて可愛いからですが?
 みますか?
 ほら」

 ぱ、と羞恥の塵一つなさそうに、スカートの前を持ち上げる。
 そこに見えるのは、本来、子狐くらいの少女が身に着けていたら駄目だろうモノだった。
 なにせ、完全に丸見えなのだ、縦に。

「うむ、悪くないですね。
 なかなかいいチョイスです」

 赤のベビードールを手に取る後輩に、にやり、と悪魔のような子狐は笑った。
 順調に羞恥心の防御が崩れ落ちている。
 着替え中もしっかり録音は欠かさない。

「――うむ。
 それでこそ、しぃの『後輩』です。
 素晴らしいです。
 2億8千200万と2点って所ですね」

 満足そうに、じっくりと姿を見る。
 勿論盗撮込みという最低さだったが。
 それはそれとして、好みはやはり赤い色なのだろうか。

「よし、いいでしょう。
 その調子でいくつか試着して、着用感がしっくりくるものを選ぶとしましょう。
 いいですか、下着は毎日、なんなら一日数回着替えてもいいものです。
 それなりにまとまった数を選んで買って帰りますよ」

 そう言いつつ、ほらほら、と『担当』さんが持ってきた中から次を選べ、と言う。
 また少しすれば『担当』さんが、新しく少女に似合いそうなセクシーな下着と、フィット感の良い着用感重視の下着を適度に合わせて、どんどん持ってくる事だろう
 

緋月 >  
「わーーーーっ!! わーーーーーーっ!!!
あああぁーーーーーーーっ!!!!」

もうだめである。色々と、倫理的に。セーフかアウトで言えば、アウト寄りの場外アウトもいいところ。
羞恥心でいたたまれなくなり、思い切り顔を隠して背を向けてしまう少女。

――尚、着ているベビードールはT………とまではいかないが、バックの方も中々きわどい。
それが半分透けてる生地でしか隠れておらず、バッチリ見えてしまう。
勿論、撮影するのは自由である。混乱の極みで、もう止めることまで考えていられない。

そりゃもう、最初の宣言通り、とても良い声で鳴いているのであった。

「う、うぅ……これが、世の中の常識なんでしょうか……。」

羞恥心で顔から火が出そうな勢いで、そんな事を呟く。
勿論、嘆いた所で助けの手など何処からも来ない。

《遥か古代は普段着でももっと出ていたぞ。盟友よ、もう少しおおらかさを持った方がよい。》
「今と昔じゃ事情が全然違うじゃないですか……。」

友の言葉も全く以て助けにならない。現実は非情である。

その後も、時にはアドバイスを、時にはお叱りを貰いつつ、下着を買っていく事になる少女だった。
尚、購入の割合的には、和柄の下着のバリエーションの方が多かった。

「露出が多いのをもしも見られたら、外を歩けません……。」

子狐少女程、羞恥心を捨てる事は出来ないのであった。

神樹椎苗 >  
「おおぅ」

 綺麗なTが丸見えである。
 思ったよりも挑戦者な後輩だった。

「世の常識はしらねーですが、よく考えてみりゃいいです。
 自分の恋人に見られるなら、なによりも、他の誰よりも魅力的に見える自分を見られたいじゃねーですか。
 まあ、普段からこれなのは単なるしぃの趣味ですが」

 悪趣味極まりない子狐である。
 なお真面目に選ぶ時はちゃんと真面目なアドバイスをするのだった。

「ふむ、和柄と赤ですか。
 まあ意外とセンスは悪くなかったですね」

 随分と頑張ったものの、羞恥心に苦しみ悶えている様子は、非常に楽しいものだった。
 露出に関しては、少しずつ感覚を壊していこうと画策する子狐である。
 早く捕まれ。

「さて、これで下着は十分でしょう。
 さ、次は着替えを買いに行きますよ。
 お前、普段からソレばっかりですから、それなりに買わねーといけませんからね」

 当然のように、『後輩』の下着分の支払いを済ませると、店を出て次の店へと連れて行こうとする。

「ほら行きますよ。
 今日は足腰立たなくなるまで、きっちり面倒みてやりますからね」

 言いながら再び少女に手錠をかけて、子狐は楽しそうにファッションエリアの様々な店を連れまわしていくのだった。
 

緋月 >  
「うぅ……その前に椎苗さんにこれでもかと見られました……。」

下着の試着と購入を終わらせ、いつもの書生服姿に戻った少女。
まだ顔は赤いままである。随分落ち着いては来たのだが。
尚、着替え直しでまたサラシを巻こうとした所、猛烈に怒られて結局和柄の下着を着る事を選んだ。
普段から露出の激しいランジェリーを着られる程、羞恥心が死んではいない。

「お財布までお世話になってしまいました…。」

割といいお値段だったが、まるっと支払われてしまう。
こうなると、奢って貰ってしまったという心理で強く出られない。

「ふぇぇ…せめて普段着はお手柔らかに頼みます……。」

替えの書生服があればそれで充分なのだが、それは流石に手錠を引く先輩が許さないだろう。

という訳で、ファッションエリアをペットよろしく連れ回され、新たな服の試着を迫られながら、
先輩とひと時を過ごす少女だった。

ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」から緋月さんが去りました。