2024/05/30 のログ
夜合 音夢 >
「ん……平和が一番」
ハトは平和の象徴だ、なんて言説もあるけれど。
こうして彼らが呑気に過ごしている日常は確かに平和と呼べるものだろう。
噛み締めるように呟いて、ベンチから立ち上がって軽く伸びをした。
「その時は一緒に怒られよう。
私は三年の夜合 音夢……委員会とかは入ってない」
名乗られれば返すくらいの礼儀はある。
コートの上からお尻の辺りをパッパッと手で払って、ハトの群れに視線を向けた。
「今日はおしまい。また今度ね」
すると、まるでハト達が彼女の言葉を解したかのように、餌を待つのをやめて方々にばらけ始めた。
そのうち何羽か飛び去っていくのを、小さく手を振って見送る。
これなら帰りの通行の妨げになることもないだろう。
橘壱 >
「…………。」
"平和が一番"。
確かにそうかも知れないが、今の自分はそれを求めていない。
AFという兵器(つばさ)を手に入れたその日から、もう運命は決まっている。
彼女とは無縁の世界が自分の居場所だ。対極の考えだからこそ、何も言わない。
ただ、口元だけは笑っていた。何時か起きる、次なる闘争に思いを馳せて。
「何だ、先輩だったのか。一年って意外と少ないのか多いのか……。」
ここ最近、会う人会う人皆目上の人間だ。
結構同期はいたはずだが、何処へ何をしているやら。
まぁ、顔も覚えていない連中だからどうでもいいか。
それはそれとして、目上の人間だったから気まずそうに頬を掻いた。
本当に一応だが、そういう礼儀は気にするらしい。
「ん、じゃあ自分はそろそろ走り込みに戻るんで。また何処かで。お疲れ様っす。」
それがわかった後は一応目上の人間に対する言葉遣い。
ぺこりと一礼し、その背中を見送った。
さぁ、休憩は充分だ。走り込みの続きと行こう。
彼女とは反対側、夕の光に背を向けるように、暗くなっていく路地へと走り去っていった。
ご案内:「常世公園」から橘壱さんが去りました。
夜合 音夢 >
ほんの一瞬―――
壱と名乗った少年の纏う気配に"何か"を感じ取り、音夢は目を細めた。
言うなれば、動物としての本能。その正体が分からない内は、何も言わない。
彼女自身、この平和が恒久的なものでないことくらい、百も承知だから。
「上級生っぽくないって、よく言われる」
だから気にしないで、の意を込めた苦笑を返して。
一礼には軽く手を挙げて応じ、去り行く背中を見送った。
それからハト達にも小さく手を振って、夕陽に向かって歩き出すのだった。
ご案内:「常世公園」から夜合 音夢さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > ――何か気が付いたら常世公園で目を覚ました。
…眠たげな隻眼を右手で擦りつつ、欠伸を盛大に零しながら周囲を見渡す。
見慣れた公園の景色だ。時刻はもう夕刻を過ぎた辺りだろうがまだ空はやや明るい。
「……くっそ眠ぃ…つぅか頭痛ぇ…何で俺ァ公園で寝てやがった?」
こめかみを軽く抑えつつ呻くように口にする。声がややガラガラで地味にこめかみに鈍痛じみたもの。
…二日酔いか?酒なんて飲んだ記憶全然無いんだが。
「…警備の仕事終わった所までは記憶にあんだがな……まぁ、いいか。」
考えても分からん、思い出そうとするが鈍痛が面倒。なので気にしない事にした。
気怠そう…と、いうか実際に気怠いのだがノロノロとポケットから携帯端末を取り出す。
「……あぁ?今日は非番かよ…。」
届いていた同僚からのメッセージにぼやきながら、幾つか諸々を確認しつつもまた盛大に欠伸。
追影切人 > 何かすっかり牙抜かれて腑抜けてんなァ、と思うのもこれで何度目だろうか。
昔のギラギラした命のやり取り日常茶飯事のヒャッハー人生が懐かしい。
などと、感傷に浸り掛ける時点で割とダメだなと痛感する。
同僚からの事務報告やら、酒の誘いやらナンパの誘いやら…こいつら相変わらずだな、と。
メッセージを眠たげに流し読みする。そもそも俺に女を引っ掛けるアレコレがあるように見えるのか。
『え、切ちゃんがナンパ?何その一大イベント。面白そうじゃない。』
『旦那がナンパぁ?明日の天気が心配になるぜ…うん。』
『でも、コイツの場合どう間違っても色気のある展開にならないよね…。』
何か幾つかのクソ忌々しい声がリフレインした気がする。うるせぇ言われんでも分かってるわ!
「…『とりあえず相手見て誘えや。ぶった斬るぞテメェ』…と。」
同僚に返信完了。扱いが酷いが自分もそんなもんなので気にしない。
追影切人 > 「…非番、非番ねぇ。警備もかったりぃが、休みも特にやりたい事ねぇしな。」
あるとすれば、昔から変わらない。――斬りたい…ただそれだけだ。
後は…何だ、何かあったか?あぁ、美味いドーナツでも食いたいくらいか?
最早、ドーナツが好物になっている気がしないでもない。
「どっちみち【首輪】付きだし行ける範囲なんてたかが知れてるしな…。」
もう一度、欠伸を噛み殺しながら携帯端末を億劫そうな仕草で仕舞い込んでおく。