2024/06/13 のログ
ご案内:「常世公園」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
最近、見回りが増えた気がする。
いくつかの出来事が重なって、注意することが増えたのだと言われると確かに、とも思う。

ひとり、なのは、実は組んだ先輩がいた。

でも突如の用事でひとりになったのだ。

まぁ、良くあること。

「今日も異常無し」

この間買った、シガレットを口に含みながら辺りを見回る。

ちゃんと、職務をこなさないと。

気合いをいれて、歩き出した。

ご案内:「常世公園」に緋月さんが現れました。
緋月 > 公園にふらっと現れる人影。
暗い赤の外套(マント)に書生服、片手に鎖を巻いた刀を手にした少女だ。
見た感じ、随分と煤けている。

「はぁ……退院になったのはいいですが、替えの服を探すか、せめて繕い直さないと…。
刀袋も、あのゴタゴタでなくしてしまいましたし…。」

憂鬱そうな声を発しながら、公園をてくてくと歩く。
こんな格好なのは至極簡単、先日の鉄腕の怪人の事件に巻き込まれた…実際には自分から足を突っ込んだのだが、
その時に色々燃えてしまったのである。
傷については退院しても大丈夫とのお墨付きを受けたので、本日退院してきたのだが、
服は所々が燃えて焦げてしまっている。

「はぁ…。」

幸い入院中は風紀委員会からの聞き取りはなかったが、もしかしたら後から呼び出しがかかるかも知れない。
それも少し憂鬱である。根掘り葉掘り事情を聞きだされそう、という意味で。
幸せが猛ダッシュで逃げそうなペースでため息が口から漏れてしまっている。

伊都波 悠薇 >  
ぷらぷら、シガレットを揺らして口で遊んでいるとふと、人がやってきて。

「ぴょっ!?」

吹き出しそうになった、汚い、危ない。
よく耐えられた。

(え、え、え、な、なんで? 入院中しているはずでは!?)

情報は知っている。
襲撃事件の被害者。怪我をしていたとはきいている。

(こ、ここここ、こえ、かけないとだよね? 脱走? いやでも正規の手続きで外出とか?)

とりあえず、声をかけないといけない。

ーー私が?

コミュ障、友人両手ぐらいの、私が。
これも仕事だ。

だから。

「あのー、そのー、良い、お天気ですね?」

天気デッキをしようして、接敵。
気合いを入れた笑顔は、怖くもあり、どこかごごご、と圧のある雰囲気が出てしまった。

緋月 > とりあえず、公園でちょっと休もう程度に考えていた書生服姿の少女。
煤けた格好のまま、とりあえずベンチで休もうかとでも思った所で、

「はい――?」

声を掛けられた方に、反射的に顔を向ける。
赤い瞳に映ったのは、

(…こ、怖い顔っ!?)

笑うという行為は本来攻撃的なものであり以下略、と思わずにはいられない笑顔と圧である。

(え、私なにかしました? きちんと退院許可貰ったのに!?)

これでも戦闘者の端くれ、反射的に膝と腰が下に下がってしまう。
自分の何が悪いのかさっぱり分からず、思わず血の気が引いてしまうが、それでも必死に笑顔を繕い、

「あ、ハイ、いいお天気、デスネ……。」

何とかお返事を返した。

伊都波 悠薇 >  
(おびえてる!?)

え、なんか失敗したかなと、冷や汗がでる。
何故だろう、あぁ、職務質問みたく感じちゃうからか。

いや、緊張しているのは自分なのだし、そちらはそんなに身構えないで欲しいなどと、自分勝手なことを思いながら。

「え、あ、えっと。おからだ、大丈夫なんですか? 入院、してましたよね?」

腕章を見せて、風紀委員であることをアピール。

「その、脱走とかじゃないですよね?」

連絡共有がなくてと、両手の人差し指をちょんちょんと合わせながらそちらをちらちら見た。

緋月 > 「へ、え? あ、ああ…。」

腕章を見せられると、目の前の女生徒が風紀委員である事がすぐ分かった。
というと、自分が入院していた、という事は知っていたのだろう。

(そうか、退院したのはついさっきだから、まだ報せが行き届いてないのかも。)

目の前の方が見せるちょっと可愛らしい仕草に少し安心感を抱きつつ、小さくほっと息を吐く。
よかった、連行されるわけではないらしい。

「あ、はい…少し前に、退院の許可を貰って、退院してきました。
火傷はもう直ったし、胴の怪我も少し安静にしていれば大丈夫だと言われましたので。」

タイミング的に、風紀委員全員に報せが行き渡っていないのかも知れない、と身振りを交えながら説明。

伊都波 悠薇 >  
「あ、そそそ、そうなんですか。よかったぁ」

髪ながら、ホッとしたように息を吐く。

「…………拘束とか、できそうにないもんなぁ」

さっきの動きを見てぽつり。
怪我が、よくなったとも聞いて、さっきよりも柔らかな笑みに変わる。

「でも、気を付けないとだめですよ。最近は物騒、ですから」

緋月 > 「あ、お気遣いありがとうございます。
安静にしてたのと、思ったよりも怪我が軽かったみたいで。」

警戒体勢を解きながら、軽く頭を掻く。
最初の笑顔で警戒してしまったが、笑顔が穏やかになったので安心である。

(思ったよりも温厚そうな人…揉め事にならなくてよかったです…。)

と言いつつも、気を付けるよう釘を刺されると、こちらもちょこっと神妙な顔になってしまう。

「物騒……ということは、あのからくり腕の怪人物、まだ捕まっていないのでしょうか…?
えと――あ、これは失礼しました。
緋月(ひづき)と申します…といっても、風紀委員の方でしたら、知られているかもしれませんが。」

小さく苦笑。出来れば悪い方向で有名になっていてほしくはないものである。

伊都波 悠薇 >  
「あ、そうですね。今は総出で警戒中みたいな感じです」

どこまで話していいものかと言葉を選びながら。
でも捕まってない、くらいは言ってもいいだろうと。

「えと、いとわ、はるか、です。退院おめでとうございます」

緋月 > 「総出での警戒中…そんなに、ですか。」

どうも、思った以上にあの怪人物は睨まれていると見える。
詳しい事は分からないが、自分以前に襲われた者が多かったか…考えたくはないが、犠牲になった人も出たのだろうか。

「悠薇さん、ですね。ご丁寧に、どうもです。
えと、それと……風紀委員の方には助けられました。
最初はちょっと、揉め事になってしまいましたが、その時にもらった機械のお陰で、あの異邦人街で助けを呼べました。」

目の前の方とは初見の筈なのだが、同じ組織の人である以上礼は言うものである。

「それに、今は他の風紀委員の方のご厚意でしっかりした住居が決まるまで居候までさせてもらって。
桜、緋彩さんという方なのですが。」

最初のコンタクトこそ良い物ではなかったが、今は色々と感謝の方が多い。
それを伝えて置く事も悪くはない筈だ。

伊都波 悠薇 >  
「大変、だったんですね」

機転をきかせ、生き残る。
それだけでも。いろんな実力者がいるこの場所でできるのはすごいこと。

「そうなんですか。優しい出会いができて、なにより、です」

そこに、滲むこの気持ちはしっかりと蓋をしないと。

「では、もしかすると、家に帰ったらなにか言われちゃうかもですね?」

緋月 > 「はい、何とか逃げ回って時間を稼いで。
女の人が襲われてて、止めなくてはいけないと勇んで、この有様です…面目ない事で…。」

あはは、と所々焼け焦げて煤けた服を示しながら苦笑い。
――実際は違っているのだが、安定した立場と身分を手に入れるまでは、下手に目立ちたくはない。
なので、少しだけ誤魔化した。

「ええ、緋彩さんには本当にお世話になってしまって。
……多分、帰ったらお叱り位はあるんじゃないかと覚悟してます。
鍛錬に出た帰りに騒動に首を突っ込んで、その上少しの間とはいえ入院ですから…。」

しょぼしょぼ、と情けない顔。
口がバッテン口になりそうな雰囲気である。
心配と迷惑をかけた自覚はあるらしい。

「悠薇さんも警戒おつかれさまです。
……その、やはりあの怪人物の件で、こんなに大変なことに?」

と、其処まで口にして、あっ、というような表情。
言葉の選び方を間違ったかな、という雰囲気。

「あの、言い方が悪かったらすみません!
普段であれば、そこまで緊急性が高い訳ではないのかな、と少し気になっただけでして…。」

伊都波 悠薇 >  
「あ、いや、大変ってほどじゃ。見回りしてるだけといえばだけですから。特別、なにかあるわけではないですし」

そう、今はただ、見回りしているだけ。
ぼっちの自分は比較的、どこかで用事とかもあまりない。
姉が呼んだら一緒するくらいだ。

「あはは。お叱りは受け止めないとですね。私もよく、姉に心配かけてと怒られますので、お叱りはあると思いますよ」

緋月 > 「いえ、見回りも大切なことです!
あの怪人物に遭ったせいで、私が最初に連行された理由も…ちょっと理解はできましたから。」

以前の件を振り返る。
あの怪人物程ではないにせよ、風紀委員にとって以前の自分は不審人物以外の何物でもなかったのだ、と今更ながら実感。

「うぅ…帰らないといけないですが、ちょっと後ろめたいです。
叱られるだけだったら我慢できますが、心配されたら、こう、罪悪感が……。」

またしてもしょぼ顔――になりかけた所で、目の前の少女の言葉に、はっとするような表情。
赤い瞳が、遠くを見るような色を帯びる。

「――――悠薇さん、姉上がいらっしゃるのですか?」

どこか、不意を突かれたような、茫然とした声。

伊都波 悠薇 >  
「まぁ、それも付きものですから」

心配してるから叱るのだ。
関心がなければなにもしない。

「はい。いますよ。いとわりんか……聞いたことないです?」

有名人だから、そういうのがもう普通にぬってて。

「もってことは、あなたも?」

緋月 > 「付きもの……そう、ですよね。
それが、普通…なんですよね。」

どこか、曖昧な笑顔。

「――いえ、初めて聞くお名前です。
私がこちらに来てから、それ程日が長くないせいもあるのかも知れないですが。」

伊都波という苗字は独特だと思う。一度聞いたならそう簡単には忘れない筈。
恐らく、まだ会った事のない方だ。

「――はい、故郷に一人、姉がいます。
事情があって…随分長い事、まともに顔も合わせてません。」

ふ、とまた遠くを見るような目。

「だから、今の言葉が…姉上に叱られるのが、ちょっとだけ、羨ましいかな、と思ってしまって。
すみません、不謹慎な事を。」

ぺこり、と深々と頭を下げる。
先程より、心なしか肩と背が小さくなったような雰囲気。

伊都波 悠薇 >  
「まぁ、その。表現ができないひとも、いるとは、小説とかでありますけど」

なにか、変なことを言ってしまったぢろうかと首をかしげ。

「……ちょっと過保護ですけどね。過保護だと大変、ですよ?」

緋月 > 「大変…ですか。それは――」

ほんの僅かだけ、何とも言えない表情。
そして、さっきよりはちょっとだけ明るくなった笑顔。

「…うん、私の家は、ちょっと…色々、変な家なので、今まで分かりませんでしたけど。
普通のご姉妹は、それはそれで大変なんだなって、ちょっとだけ、分かりました。」

小さく頬を掻いて、そう答える。
普通の姉妹というものには、普通の姉妹なりの大変な物事があるのだ、と、理解したようで。
其処まで答えた所で、はっとした顔。

「――あ! な、何だかすみません、お話を長引かせてしまったようで…!」

ちょっと慌てている。
話が長引いてしまい、風紀委員のお仕事に問題が出ないかが心配になったようである。

伊都波 悠薇 >  
「あはは。そんなこと言ったら、私と姉も普通じゃないかもですよ?」

なにせ。
成長しない妹と、天才の姉だ。

歪になっていないのが、不思議なほど。

「あぁ、いえ。今も職務といえば職務ですから、気になさらず。

せっかくですし、送りましょうか?」

緋月 > 「そうなのですか?
うーん……里から出て、これでも社会勉強は進んだと思うのですが、私もまだまだ知らない事が多いのかな…。」

ちょっと真剣に悩んでしまう。
送ると言われれば、少し考えて、頷き返す。

「では、折角なのでよろしくお願いします。
今は女子寮の部屋に居候させて頂いてまして――。」

と、お世話になっている部屋の部屋番号を伝える。
出発となれば、そのまま共に歩きだすだろう。

伊都波 悠薇 >  
「はい」

もしかすると着いていく、なんてことしなくてもよいのかもしれないが。

ひとりよりもふたり、と言うし。
最悪なときは、逃げてもらえばいい。

そんなことを思いながら、他愛ない会話をして、送り届けたのでした。

ご案内:「常世公園」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から緋月さんが去りました。