2024/06/30 のログ
ご案内:「常世公園」に照月奏詩さんが現れました。
照月奏詩 >  スラムをかけた。途中針を飛ばされた、感知はされたのだろうが、追撃はされなかった。その後調査したが見つけられなかった。
 その後……彼は時間の限界を迎えた。薬を服用せずに行動。その限界が来たのだった。

「っ……はぁ……」

 なんとか表まで逃げ切り、やっと薬を使用。
 目は充血し、全身から汗を噴き出している光景。普通に見れば体調が凄く悪い人。
 そりゃそうだ。全身を引き裂かれるような激痛と凶悪な殺害衝動を抑え込んでいたのだから。
 ここまで這い出てこれたのも奇跡という他無い。

「少し休憩だな」

 流石にすぐ行動とはいかなかった。ベンチに座り少しの休暇。

ご案内:「常世公園」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > 公衆トイレの裏で。

不良A「金出せ、おらぁ!」
不良B「もっとあるだろ、金!」
不良C「痛い目ぇ、見たくねぇよなぁ?」

おおよそロクでもない事が行われていた。
四人のガラが悪い不良に囲まれる哀れな善良なる無能力生徒。
少し離れたところで、イーリスが樹に凭れ掛かり、スマホを弄っている。イーリスの傍には、漆黒のアンドロイド《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》が佇んでいた。
そんな時に、イーリスがスマホの通知に視線を向ける。

「“感染者”の反応ですか」

イーリスは、四人の不良と哀れな被害者、アンドロイドなどを放置して、その“感染者”のもとへと歩いていく。

不良A「姐さん、どこ行くんっすか?」

「用事です」

短く不良にそう返して、ロクでもない現場を去っていく。
例の“感染者”はベンチに座っていた。
見るからに体調が悪そうだ。
イーリスはその“感染者”の正面に移動して、お声がけした。

「ごきげんよう。随分と疲れているようですね」

照月奏詩 >  
「……はぁ」

 不良のやりとりは聞こえた。こんな自分でも裏組織の実行部隊だ。その程度は把握できる。助けに行かないのはいけないからが正解だ。今の場合行けば殺しかねない。手加減が出来ないのだ。奏詩としては助けに行きたい所ではあるんだが。
 とか話していると足音。同じ方面からだ。

「ああ? あー……まぁな。夏だしな、ほら軽い熱中症ってやつだ」

 何事も無く話しかけられる。まさか毒だとは言えずそのまま。
 相手を見る。まだ幼い少女だ。

「君こそどうしたよこんな時間に。1人で歩いてたら危ないぞ。丁度厄介ごとの臭いがするし」

 と目線を送るのは公衆トイレの方。あっちには近寄るなよと合図をしながら。

Dr.イーリス > 「お心遣いありがとうございます。この距離から厄介ごとに気づかれるとは、中々に勘の鋭い方のようですね。いえ、こそこそやっているつもりの厄介ごとが目立っているだけなのかもしれませんが」

怒声を上げている不良達。公衆トイレまでそれなりに距離があり、声はここまでとどいてはいないが、例えば裏社会にいた人間ならばその厄介ごとに気づくのは容易だろう。

「私はしがない不良の身、こんな時間にもうろつく事はあります。それよりも、あなたのその症状。本当に熱中症なだけでしょうか?」

小首を傾げた。

照月奏詩 >  
「……ああ、お仲間」

 となれば話は別だ、そうじゃないと生きていけない連中。となるとこちらから手を出す相手ではない。
 まぁだから被害を受けて良いという訳でもないが。難しい塩梅である。

「勘だけは良い方でね。にしても、それ以外ねぇ……何か心当たりでもあるのか? 隠れた病気とかだと困っちまうが」

 見た目通りの子供ではなさそうだ。
 まぁだからと言ってジロジロ見るような真似はしないが。そういって受け流す。
 表にあんまり感染してるとバレて良い事はないだろう。相手が不良だとしてもだ。

Dr.イーリス > 厄介ごとの関係者と自白しているような発言をしているが、彼の『お仲間』という発言には別段肯定して首を縦に振る事もなかった。
イーリスは彼のお隣に腰をちょこんと下ろす。

「そうですね。近頃、落第街では“とある怪異”で大変な事になっております。“紅き”それは、鮫や毒蜂など様々な形をとり、人々に襲いかかってきます。厄介な事に、“紅き”それはまさしくゾンビであり、感染させる事で仲間を増やそうとしておりますね」

唐突に、そのような話を切り出した。

照月奏詩 >  
 お仲間と理解しながらも隣に座られるのに全く抵抗を示さない。別にただの不良程度ならどうとでもなるし、ヤバい不良でも抵抗している間に風紀が来るエリアだからだ。特に最近は警備も厳しかろう。

「ああ、なんかよく聞くな。風紀とかも大変だ。ひとつ解決したらまた新しい事案だからな」

 なんて完全に他人事で返答をする。
 それから軽く横目で見て。

「で、その話を出すって事は。俺がその感染者じゃないかって疑ってると?」

 まぁそういう事だろうなと苦笑いを返す。

「だったら2重の意味で残念だったな。生憎俺はただの一般学生だよ。そんな危険には首を突っ込まない。で、仮に感染者だったとしても……治療できるような金持ちじゃない。知ってるか、あれバカみたいな費用が掛かるんだぜ?」

Dr.イーリス > 「あの件に対する風紀委員の対処はとても評価するべきでしょう。何せ感染を拡大させるアンデッドに対して、感染する要素がないロボットで対処しているのですから」

ぱちぱちぱち、と軽く手を叩いて風紀委員さん賞賛。あまり感情が籠っていないように見える手の叩き方だけど、賞賛そのものは本音。

「そうですね。なにせ落第街で暮らす身、感染者が増えれば生活する上でとても困るではありませんか。どうにかしたいというスラムの住民や違法部活も少なくないのですよ」

そして彼の弁明を聞くと、腕を組む。

「そうですか。では、この検査キットを使って検査だけでもしてしまいましょう。何事もなければ、いい事です」

イーリスは医療に精通しており、さらに件の怪異の感染源を採取して研究している身。検査キットもその過程で開発した。
懐から細長い綿棒と液体の入った瓶を取り出した。

照月奏詩 >  
「……どうだかねぇ、逆にスラムに被害が集中するんじゃないかって俺は思うけど。むしろ治療法があるんだから一斉攻撃でさっさと根絶やしにするかピンポイントで圧殺する方が確実だろうに」

 結局は自分達よりもスラムが下だからあっちの被害など無視という目線じゃないかという。素直に褒められない男である。
 その作戦の効果自体は評価しているが。
 しかしその検査キットを見ればブハッと噴き出す。

「へいへい、降参降参。ぜってぇわかって声かけて来てんだろ嬢ちゃん。そうだよ感染してんよ。バイト柄あっちの方に近寄った時に花に遭遇してな」

 だから追い込むなよと両手を上に上げて。

「でも、マジで金がねぇんだって。治療費とか言われても違反組織や違反部活に払える金なんかねぇぜ?」

Dr.イーリス > 「一理あります。しかし、一斉攻撃による根絶やし、というのも中々上手くはいかないのでしょうね……。何せ、感染を拡大させるゾンビ……。いつ、あの怪異を対処し終える日がくるのやら……。さすがはSS級怪異……」

天を仰いだ。
実際、機械による制圧は少なからずスラム住民を苦しめる方法でもある。
だが、そうすぐに根絶やしに出来るような理想的な作戦なんてものがどれ程あるか……。
犠牲なしに対処できる程、SS級怪異はあまくないという認識もある。

「感染者のセンサーに反応がありましたからね。私は感染者を減らすべく活動していますから、向こうの荒事を放ってここに来たわけです」

彼が素直に感染を認めたので、検査キットを仕舞った。

「申し遅れました。私の事は、Dr.イーリスとお呼びください。不良と言いましたが、しがない技術者でもあり医療にも精通しております」

照月奏詩 >  
「へぇ、つまり無償って訳か? それなら非常に助かるが」

 色々と訳ありでなぁと苦笑いをして。
 彼女が名乗れば自分も名乗る。

「俺は照月奏詩だ。好きに呼んでくれ。それで、Drイーリス。さっきも言ったが、俺は支払える物なんて何一つねぇぜ?」

 実際照月奏詩として払える物なの何一つない。
 資金力も無く、戦闘能力も無く、身売りすら叶わない。なにせ下手にふれば二級学生という立場上居場所を失ってしまう。
 つまり本当に何も保有していないのが奏詩という状態だ。

「少なくとも……あんな荒事してる奴らに無償で助けますって言われても信用ならないってのが現実だが」

 ともう一度トイレの方へ目線を。

Dr.イーリス > 「奏詩さんでございますね。先程も言ったように、紅き怪異に悩まされているスラム住民や違法部活は多いです。あなたはまだ不完全感染で治療可能ですが、治療をこまねいてゾンビの勢力が拡大すれば非常に困るわけです」

無償で治療する意義を説明する。

「中には治療可能な者も殺害する事でゾンビが増えるのを阻止する人達もいます。それも一つの手である事は否定しきれませんが、私はそのようなやり方は取りません」

奏詩さんの指摘に、イーリスは立ち上がり、二歩程歩く。

「どうしても信用できないなら無理にしていただく必要はありません。力ずくで治療するだけですから。紅き屍骸の感染が拡大するのは阻止したいですが、別にあなたを治療するのに、あなたの同意を必ずしも必要だとは思っていません」

照月奏詩 >  
「なるほど、無償と」

 まず相手の発言を聞いてそこまでは理解する。
 相手の様子を見る。確定だ、相手は小さな少女の姿をしているが絶対に見た目通りの年齢ではない。もしくはそれにふさわしい経験をしている相手だ。

「んー、そうだな。ふたつ。言いたい事がある、それぞれの返答次第だな」

 と言って指をふたつだし。
 そしてひとつを折る。

「まずひとつめ。治療方法や場所だ。知っての通り俺は一般人だ。いきなり違反組織の最深部に連れて行かれちまって、治療終わったからはいさようなら。だったり、払う方法を言うまで出さないぞとなったらどうにもならない。だからそれらをしっかり提示してほしい」

 奏詩としてのスタイルを貫く。
 そして最後の1本を折る。ここは奏詩ではない。裏としての顔を見せる。

「……もうひとつ。安全管理がなってねぇ組織に命預けるのは不安しかない。力づくっていったが……ここでそれが出来ると思ってるのか? あのトイレでの荒事を知っていて逃げなくて、仲間のお前からも逃げない……どんな手段を取られても俺が逃げれる手段を持ってるからだとは思わないのか? 前の襲撃事件もあって警備が厚い。3分って所か。風紀が飛んでくる。それだけの間逃げ切れば勝ちだ」

 その相手に強きに発言する。同じ違反組織としてそんな安全管理で良いのかと。
 目がスッと細くなる。

「治療してもらう側なのにって思うかもだが、治療を受ける側も医者を選択できる時代だからな……聞いた感じ、お前も治療できないと困る側だろ? それとも……消すか俺を」

 なんて少し笑う。

Dr.イーリス > ベンチから数歩歩いた位置で、指を二つ出す奏詩さんに振り返った。

「この場でこの注射ぷっしゅ、はい終わりです。感染に対して様々な治療法が考案されていると思いますが、私が提唱する有効な治療法がこれです。安くて確実。多くの感染者を短時間で治療可能」

治療法を問われ、イーリスは注射器を懐から取り出した。
あまり複雑な治療過程は取らないらしい。

「力ずくでやるだけやって駄目なら諦めましょう。逃したところで、不完全な感染者が一名。大した影響が出ないの見るか、その油断が後に災厄を及ぼすと見るか人それぞれです。三分、逃げ切る事が出来るならば私としては素直に諦める程度の事でしかありません」

落第街やスラムに多く感染者がいる中で、“表”に感染者がたった一人抜け出した、というだけ。力ずくで治療できるならするけど、はっきり言えば深追いする必要もないという感覚。
公衆トイレの方から漆黒のアンドロイドが飛んできて、奏詩さんとイーリスの間に着地した。そして漆黒のアンドロイド《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》が三メートルの体長から奏詩さんを見下ろす。力ずくでも治療する事を示すかのように。

照月奏詩 >  間に割り込む鋼の巨人を見る。
 なるほど、力づくという意味は見て取れる。その上部下もいる。3秒部下が足止めすれば機械巨人が喰らい付いて来て終わりだろう。
 そして治療方法、それに関しても問題はないように思える。
 強いて言えば相手に利が無さすぎる事。金を取れるのに取らない。それについては色々と可能性が思い浮かぶが1番大きい物は。

「……治験か?」

 思いついたのは治験。つまりは今自身が作り出した安価で手軽な治療法。それを売り出せば裏では莫大な利益になるだろう。
 今、裏では多くの被害が出ている。にもかかわらず治療をうけられないのが現実だ。そこで安価で手軽な治療法が出たとなれば凄まじい利益を生むだろう。
 その為のデータ。そうみれば多少強引なやり口も理解できる。
 本来ならむしろ数百万を支払って企業がするようなものを金を払わずに出来る。そう考えればむしろ安上がりだ。

「ま、どっちでもいいさ。とりあえず質問には答えてもらった。じゃ、ここでやってもらうか」

 手で良いんだよなといって服を肩までめくり上げた。