2024/07/08 のログ
ご案内:「常世公園」に栖鳳院 飛鳥さんが現れました。
■栖鳳院 飛鳥 > かかっ、かつっ。
地面を杖で探りながら、一人夜の公園を歩く。
優雅に夜の散歩……と言うわけではなく。
「ええと……夜な夜な響く、奇妙な声、で御座いますか。
確かに私が適任ですわね」
所属している占星術部の『部活動』であった。
杖を鳴らし、周囲を探りながら、公園を練り歩く。
■栖鳳院 飛鳥 > 「ああ、でも……茂みなどは少し、困ってしまいますわ。
流石に公園の茂みを燃やしてしまう、などと言うわけには参りませんし……」
言いながら、公園をてくてくと歩き回る。
聞こえてくるのは、様々な音。
自身の足音、杖で地面を探る音、木々のさざめき、風の声、そして虫の鳴き声に、備え付けられた自動販売機の駆動音。
眼を閉じるようになって分かったことがある。
世界は、音に溢れている。少ない年数とは言え目で物を見て生きて来た間は、こんなにも音に溢れているなんて思いもしなかった。
完全なる無音、静寂などと言うのはあり得ない。
あったとしても、そこに自分の心臓の鼓動や血管の脈動などの音が入る。
暗闇の世界は、思っていたより騒々しい。
「世界とは、感じ方によって如何様にも変わるのですわね」
本来静かな夜の公園を歩いているからこそ、そのことが強く思い起こされる。
■栖鳳院 飛鳥 > 「しかし……本来の占星術部であれば、今は星を見上げるのでしょうね」
なんとなく、夜空に顔を向ける。
それだけだ。閉ざされた目に何かが映りはしない。何も変わらない暗闇がそこには広がっているだけだ。
いや、広がってすらいないだろう。これは要するに、己の瞼の裏なのだから。
しかも、透過する光すら魔術で封じた、狭い漆黒。
誰もいないことだし、いっそ少しの間でも目を開けてしまおうか……などと考えるも、首を振って考え直す。
「(もし、本当に満天の星空が広がっていたならば……虹輝の魔眼がどれほど暴走するかわかりません。
あまりにも、危険ですわ)」
ふぅ、と息を吐いて、周囲に意識を戻す。
今のところ、別に変な声、と言うのは聞こえてこない。
いつも通り……と言うほど慣れ親しんでいるわけではないが、ありきたりな夜の公園の音だ。
ご案内:「常世公園」に武知 一実さんが現れました。
■栖鳳院 飛鳥 > 「これは、もしかして……外れ、なのでしょうか?」
こてんと首を傾げながら、判断に困ったように口にする。
何事もそうだが、無い、と言う状況は判断に困る。
あるかもしれない、と言う可能性が一応残り続けるからだ。
所謂、消極的事実の証明、と言うものだ。
こういう時、普通であれば時間で区切ったりするのだろうが……。
「わかりませんわね、お時間……」
なんせ時計が見れない。
昨今は便利なもので、スマートフォンに呼びかければ現在時刻くらいは教えてくれるものだが、今日は持ち出していなかった。
と言うより、普段からあまり使わないのだ。
音声サポートによってある程度運用は出来るのだが、誰かと電話をすると言う機会が豊富なわけでもなく、何よりもし戦闘になったら壊してしまう可能性もある。
何とか訓練して慣れたスマートフォンだ、壊すのは嫌だった。
そういう事情から、必要な時には持ち出して使うが、そうでない場合は自室に置いてくることがそれなりに多かった。
占星術部に入ってからは、連絡に必要だから持ち歩いてくれ、と言われているのだが、つい忘れて置いてきてしまったのだ。
「ううん、困りましたわね……」
適当に切り上げればいいだけの話なのだが、どうにも区切りがつけられずにいた。
■武知 一実 >
夜の常世公園。
いつもの様に授業を終え、いつもの様に喧嘩して、いつものように風紀に追われたその帰り。
家にろくに食料も無いことを道すがら思い出したオレは、スーパーで食料を買い込み家への近道である公園を突っ切ろうとしていた。
――そんな中、ぽつんと佇む人影を見つけて
「……? なあおい、こんな時間に一人で何やってんだ、その……杖持ったアンタ」
近頃物騒な話題もよく聞く中で、夜間の一人歩きは危険だと思い声を掛ける。
え?オレも?……まあ、そういう棚上げは人生でよくあるこった。
■栖鳳院 飛鳥 > 「あら?私の事……ですわね?」
物思いに耽っていたからか、気配を聞き逃した。
『部活動』中なのに周囲への警戒を忘れてしまった、と反省しつつ、それを表には出さず、声の主の方に向き直って優雅に一礼する。
「そのお声は、初めましてのお方ですわね。
少し夜風に当たりたく思い、お散歩をしておりましたの。貴方様は、どのような?」
目を閉じたまま穏やかに微笑みつつ、こういう時のためのでっちあげの嘘(カヴァーストーリー)を伝える。
なんせ、この『部活動』は秘密裏に行っているものだ。
なので、話題逸らしも兼ねて何をしていたのかと質問を返す。
■武知 一実 >
「そうそ、アンタだよ」
正直なところ声を掛けたは良いが相手に伝わるかどうかは自信が無かった。
佇まいと言うか、何と言えば良いのか分らんけど、ちょっとした違和感があったからだ。
その違和感も向こうがこっちを振り返れば、正体が分かり。
「ああ、オレは家に帰るとこ、ただの通りすがりさ。
……散歩か。 まあ確かに昼間よりはいくらか動きやすいけど……、あんま感心は出来ねえな。
このところ物騒な事が多かったし、今も絶対安心って訳でもねえ。
この辺じゃ騒ぎは無いが、何かあったって可笑しかねえし……不躾で失礼だけど、アンタ目ぇ見えて無えんだろう?」
一見した時は魔術師かとも思ったが、こちらに向いてなお閉じられた目と『その声は』という発言からほぼ確信を持って訊ねる。
女の一人歩きってだけでも危ないのに、盲者とあれば輪をかけて危ない……って考えるのは考え過ぎ、だろうか。