2024/07/31 のログ
武知 一実 >  
「まあバイトの求人は帰ってから確認するとして、もう少しぶらついてから帰るか」

あんまり夜道をうろついていても補導されかねない。
まあ買い物帰りって言い張れる様にコンビニ袋ぶら下げてるわけだけど……
避けられるもんは避けるに越したことは無え。

「あ、そういや公園の自販機限定の炭酸飲料があるって話だったな……」

その後は気の向くまま、公園の自販機巡りをしながら夜の散歩を満喫したのだった。

ご案内:「常世公園」から武知 一実さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に灰塚トーコさんが現れました。
灰塚トーコ >  
時は夕暮れ。空が藍色に染まる中、沈みかけの太陽が悪足掻きのように雲を橙色に焼いている。
池の傍にあるベンチに座る少女の、尻尾めいて揺れるポニーテール。その毛先を沈む太陽によく似た色の炎が穏やかに舐るが、不思議と他に燃え移ることはない。

「徒歩圏内にコンビニがある幸せ。或いは不幸せなのかもしれませんが。」

揃えて並べた膝の上、膨らんだビニールの袋を漁る。
皮肉のようなことを口ずさみながらも、その手は何処か機嫌よさげにコンビニ袋からアイスを取り出した。

「じゃじゃーん。……食べきれるかな。」

カフェオレ味のシェアして食べるやつ。なうぼっちんぐ。

灰塚トーコ >  
毛先の炎の勢いが心成しか控えめになった。
無言で包装を破り、取り出したアイスを二つに割って一つを口に含む。途端毛先の炎は元通り――どころかパチパチと線香花火が如く上機嫌に火花を散らすのであった。

片方は膝の上に包装ごと置いて、ひょうたんに似たアイスの下部を揉みほぐしながらちうちうと吸う。至福の時間。

茹だるような夏の熱気は残るものの、池の傍ということで風が吹けばそれなりに涼しいし、セミは早々と休んでいるようで公園内は静かだ。時折誰かが通り過ぎることもあるけれど、平和そのものといった光景。

「…………。」

柔らかいアイスを吸いながらぼんやりとした眼差しで遠くを眺めて過ごしていると、頭の中で再生される声がある。

灰塚トーコ >  
チリッ、と、炎の微かな嘶き。

眉を寄せて首を振り、アイスに集中しようとするのだが、頭の中の声は止まない。

「しつっこいな。いい加減開放してよ……―――ッあ!?」

苛立たしさに舌を打つと、気炎は制御できない異能という形をとって現実に成る。
手にしたアイスが爆ぜるように燃えた。咄嗟に地面へ放って、携帯していた消火器で鎮火。小火にもならない。

ならないが――どうしたって落ち込んでしまう。
眉を下げて、残骸と、ばら撒いてしまったアイスの残りやコンビニ袋の中身を拾おう。

ご案内:「常世公園」に栖鳳院 飛鳥さんが現れました。
栖鳳院 飛鳥 > 今日は普通のお散歩。
杖をついて、周囲を探りながら歩いていると、人の叫び声と……炎の香り。

「あら……ボヤ騒ぎでしょうか。もし、そこのお方。どうかいたしましたか?」

炎の香りは消えた……つまり、消化されたようだが、どうにも気にかかる。
やや速足で、声のした方に歩いていきつつ、声を掛けてみる。

灰塚トーコ >  
「あーあ……もったいない。」

溜息を吐き、残骸を抓むようにして拾い上げる。食べられそうにないので、コンビニ袋の中身を取り出しゴミ袋がわりにすることにした。
中身のグミは手に持って、アイスの無事な方の片割れを拾って、消火の痕跡を靴裏で均す―――と、誰かの声。

「え?あ、いえ、なんでも……あの、なんでもないです。ちょこっとだけアイス燃やしちゃっただけで。すぐ消しましたし。」

慌てて弁明しながら立ち上がる。
叱られてしまうだろうか、不安げに現れた少女を見ると、

「杖?」

小さな声で呟いてしまってからハッとして口を閉じる。

栖鳳院 飛鳥 > 「あら…アイスを燃やすだなんて、珍しいことですわね。異能ですの?」

小首を傾げつつ問いかける。
その顔を見れば、目は閉じられており、顔の方向も、声を聴きながら微調整しているのが伺えるだろう。

「ああ、申し訳御座いません。
私、目が見えませんの。この杖も、そのためのものですわ」

そう言って、にっこりと微笑む。

灰塚トーコ >  
問われた瞬間に毛先の炎が動揺するが如く不自然に揺らぐ。

「う。はい、お恥ずかしながら制御が覚束なくて、よく誤爆しちゃうんです。パイロキネシスってわかりますか?それで。」

シュンと肩を落としながら指先を突き合わせる中、微調整の様子に気が付いた。
少し考え、以降は意識し発声を明確にすることに。

「そうなんですか。ごめんなさい、わたしったら失礼なことを。」

眉を下げて謝罪した後、周囲を窺う。楚々とした振る舞いや言葉遣い、振る舞いからお嬢様っぽいと判じ、もしかしたらお付きなんかがいたりするんじゃないかと思ったからだ。

栖鳳院 飛鳥 > 「パイロキネシス……発火能力、ですわね。
それは、大変不便でしょうね……」

この場で明らかには出来ないが、自分にも『制御できない異能』がある。
その不便さはとても実感的だ。

「あら、お声が……お気遣い、有難う存じますわ。
それに、どうかお気になさらず。誰しも皆さん、最初は驚かれますの。当たり前のことですわ」

発声を明瞭にしてくれたことに気付き、優雅に一礼してから、たおやかに微笑む。
そして、小首を傾げて。

「しかし……頭部付近に熱を感じますわ。それも、異能の影響ですの?」

なんせ毛先が燃えている、と言う人は今まで会ったことがない。
不思議な感覚に興味を惹かれて、ついつい率直に聞いてしまう。

灰塚トーコ >  
実感の籠る声色に極々軽く目を瞠る。

「わ、わかりますか? わたし、此処に来るまで周りに異能発現した人がいなくって。」

どころか同世代の子も殆どいないドを三つ重ねて尚足りないような田舎から出てきたから、周囲に馴染めず夏季休暇に入った未だほぼぼっち。
軽い世間話めいたやり取りでも何処か嬉しげな声色になるし、ポニテの先の炎も興奮したように小さく爆ぜて火花を散らす。ぼぼぼ、という微かな音が聞こえるかもしれない。

だが、失言に対する優しい言葉に炎の勢いはすぐ治まる。

「ああ、はい。能力が発現してから毛先が燃えてる…燃えてる?炎になってる?燃えてる??と言いますか。落ち着いてれば鎮火することもあるんですけど。」

ポニーテールを抓んで毛先を揺らす。
触れれば熱さを感じるが、火傷することもないし、何かを燃やすこともない。酷く不思議な炎。強いて言えば夏は地獄、冬はまあまあ役に立つ。そんな感じの仕様らしい。

栖鳳院 飛鳥 > 「私も、周囲に異能が発現した、と言う方はおられなくて、最初のころは苦労致しましたわ。
そういう環境ですと、こう言ったところでは当然の『異能の系統分け』もわからないものですし」

最も、飛鳥の異能は『未だ制御できていない』ため、正確に言えば現在進行形で苦労しているのだが、そこはそれ。
それに、異能の解析、分析に苦労したのは事実だ。
田舎で、周囲に異能の理解者がいないとあれば、同じく解析には苦労しただろうと推察する。

「感情に呼応しているのでしょうか……きっと、貴女の心がそのまま、炎になっているのでしょうね」

等と言って微笑みつつ、ああ、と気付いたようにまた一礼して。

「ああ、そう言えばご挨拶もまだでしたわ。
私、栖鳳院飛鳥(せいほういんあすか)と申しますの。異能は『宝石魔術』、宝石の輝きから属性を抽出して使役するものですわ。
どうぞお見知り置きを。貴女のお名前を、お伺いしてもよろしいでしょうか?」