2024/08/16 のログ
ご案内:「常世公園」にリタ・ラルケさんが現れました。
リタ・ラルケ >  
 平和な公園。
 押し寄せる熱波。

「あっつい……」

 暑すぎて異能が暴発しそう。
 本当に洒落になってない。

 いつもの通り、外を放浪していた。
 学生通りを中心に適当にうろうろして、特に理由もなく公園に辿り着き。
 ――そこで体力の限界を迎え、暑さのあまり、ベンチで溶けている。

 夏の熱気は、体力を容赦なく奪ってくる。

「つめたー……」

 自販機で買った缶ジュースを、頬に当てる。
 この350mlの円筒が、ひとまずの生命維持装置であった。

ご案内:「常世公園」に焔誼輝夜さんが現れました。
焔誼輝夜 >  
 今日も今日とて、お子様はお留守番を放棄して冒険中。
 でしたが、公園はとっても心地が良い場所です。
 今日のお昼寝スポットは、公園の芝生に決定しました。

「あったかぽかぽか~♪
 ふさふさおふとんでおひるね~♪」

 らんらん、と暑さなんてなんのその。
 むしろご機嫌な様子で公園にエントリーです。
 あったかいとか、ぽかぽか、とか、そんな次元の日差しや暑さではないのですが。

「どこにしよっかなー?
 うーん――あれ?」

 公園をスキップするようにぴょんぴょん。
 そしてお昼寝する場所を探してきょろきょろと。
 そうしたら、数少ない知っている人を見つけました。

「わぁ~、りたちゃんだー!
 りたちゃ~ん!」

 そんなふうにはしゃぎながら、ベンチへと駆け寄っていきます。
 母親譲りの特性で、近づくといくらか気温が下がって涼しくなったように感じるでしょう。
 あっという間にベンチまでやってくると。

「りたちゃーん、あそぼー!」

 お昼寝はどこにいっちゃったのでしょう。
 ママのお友達を見つけて、遊んで貰う事にしたようです。
 くりくりの紅い目は、きらきらと期待の眼差しをママのお友達に向けているようです。
 

リタ・ラルケ >  
「ん」

 生命維持装置(缶ジュース)の冷気に集中していると、遠くから名前が呼ばれた。
 なんだか聞いたことがある気がするな、と。暑さに溶けかけていた意識を引き戻してそちらを向く。

「あー……ちびっ子」

 数年前に生まれた、親友――焔誼迦具楽の、娘。
 焔誼輝夜。
 母親(と一言で言うと、色々と十分な説明ではないのだが、ともかく)譲りの髪に瞳に、周囲の熱を吸う力。
 今はとにかくその力がありがたい。すっと引いた体の熱に、頭の回転が促された。

「相変わらず元気だね。また大きくなった?」

 子供と接するのは、少し苦手だけど。輝夜相手なら、少しは慣れてきた。
 それでもだいたい、こちらが振り回されることが多いけれど。元気の塊が過ぎるぞちびっ子。

「遊ぶ、のはいいけど。ちょっと待って。今すっごい疲れてるの」

 先ほどまでの放浪と、異能の暴発を抑え込んでいたこと。
 二つの要因から、今は少し体力を使い果たしている。
 輝夜のおかげで、後者はマシにはなってきたけれど。

焔誼輝夜 >  
「うんっ、おっきくなったー!
 おいしゃさんがねー、もっともっとおっきくなるってー!」

 ぶんぶん、と、手を振って大きさをアピールします。
 純粋な人間でないだけあって、成長速度も随分と特徴的です。
 とはいえ、外見に対して言葉はまた拙いですし、言動も幼いですが。

「ほにゃー?
 りたちゃんおつかれなの?
 えーっと、おっぱいもむ?」

 どこで覚えて来たのでしょうか。
 とんでもない事をいうお子様でした。
 まあ、九分九厘あの年中夏日より熱い夫婦のせいでしょうけれども。
 

リタ・ラルケ >  
 子供の成長ははやい、というけれど。輝夜は血の影響か、顕著に体の成長が見て取れた。

「そっか。それは…………」

 純粋によかったね、と言おうとしたのだけれど。そこでつい、自分の体を見てしまった。
 輝夜とは対照的に、どうしてか彼女が生まれたくらいの時期から成長の止まった、自分の体。
 もちろん、肉体や能力なんかにおいて、彼女とは何の関係もない。完全に偶然の時期の一致ではある。
 
 ……なぜ私は成長しないのだろう。

「……よかったねえ」

 結果、言葉に大いに羨望がこもった。

「そう。疲れて……なんて?」

 三割ほど動いていなかった脳に、割と聞き捨てならない言葉が通って、思わず聞き返した。

「……えっとね、輝夜。
 そういう言葉はね、あんまりね、人に言ってはいけないの」

 どこで覚えてきたのやら。
 親友の教育方針に、少し疑念を覚えた。

焔誼輝夜 >  
「ほにゃ?
 どしたのりたちゃん」

 お子様に、なぜか成長が止まってしまったお姉さんの事情なんて分からないのでした。
 ただ、なんだか不思議な反応だったので、素直に不思議そうにするのです。
 お姉さんも育つと良いですねえ。

「ほにゃ、そうなの?
 でも、さやママが、かぐらママがぐったりしてるときにいってたよ?
 かぐらママも、それでいやされるーっていってた!」

 なにを目撃されてるんでしょうねえ、あの夫婦は。
 いちゃつくのはお子様の前では気を付けないといけません。
 お子様は直ぐに覚えてしまうのです。

「んー、まーいーや!」

 ただ今日は幸いでしょうか、なんでなんで、攻撃ははじまらなかったようです。
 気になると、すぐになんでどうして、が続いてしまいますからね。
 お子様の好奇心は無限大です。

「りたちゃん、だっこー!」

 その代わり、そう言いながらお姉さんの目の前で両手を広げます。
 このお子様は、お膝の上に抱っこされるのが大好きなのでした。
 幸い、体質もありまして、くっついても暑いどころか、冷房代わりにはなりそうですが。
 

リタ・ラルケ >  
「ああうん、なんでもないよなんでも……」

 あくまで自分の問題である。
 この件は気長に解決策を探すとしよう。

「サヤ……迦具楽……」

 あのバカップルめ。
 いやまあ、いちゃつくのは悪いことじゃないんだろうけど。できることなら周りを見てほしかったな。
 ……それとも、恋人ってのはそういうものなのだろうか。

「はいはい、抱っこねー」

 ベンチに座ったまま、彼女を膝に乗せて後ろから抱く。
 包容力、というのか。そういうのに自信はない。上手くできている自信もない。だというのに――この子は私にもよくこうされたがる。
 実に人懐っこい奴。

「あー、涼しー……」

 まあ、こちらとしても。
 涼しさを堪能できるので、win-winではある。

 気づけば半ば無意識のうちに、輝夜の頭を撫でていた。

焔誼輝夜 >  
「にゃふふー♪
 りたちゃんあったかぁい」

 抱かれると嬉しそうにお姉さんに甘えちゃいます。
 頭を撫でられると、にっこにこになっちゃいますね。
 お姉さんの手に頭をすりすりするので、子猫みたいですねえ。

「あのねあのねー!
 きょーはね、ママたちおしごとなのー。
 だからね、ぼーけんしにきたのー!」

 要するに、お留守番に飽きて遊びに出ちゃったようです。
 迦具楽以上に、じっとしていられない性格のようで。
 産まれてすぐも、目を放せばあちこち動き回って大変だったようです。

「そしたらりたちゃんがいたの!
 えへへー、これが、うれしーごさん、ってやつだね!」

 お姉さんの膝の上で、子猫のように甘えてすりすり。

「ねーねー、りたちゃんはなにしてたのー?
 どーしてつかれてたのー?」

 そして始まりました、なんでどうして攻撃です。
 とはいえ、お昼寝するつもりだったので、しばらく撫でられていたら眠くなっちゃいそうですが。
 

リタ・ラルケ >  
「また"冒険"?
 毎回毎回怒られてるのに、懲りないねえ」

 この小さな冒険家は、両親が忙しいことにかこつけてよく留守番を放棄する。
 だいたい迷子になっては怒られて連れ戻されるのだけれど、今回は私が家まで送れる。
 普通の人間とは違うとはいえ。子供が一人で外を出歩くのは、少し危なっかしいから。そういう意味では幸いか。

嬉しい誤算(うれしーごさん)……また難しい言葉を使うね」

 変な言葉も、年に対して難しい言葉もどんどん学んでいくちびっ子。
 ……前者はちょっと、なんというか。両親がぜひ気を付けてほしい。

「まあ……私も、"冒険"してたからかな」

 あてどなくさすらうことを、そう表現していいのなら。
 疲れたのは、ずっと歩いていたからというよりは、この異常な暑さのせいなのだけど。

「輝夜が来てくれたから、ちょっと回復した。
 えらいぞちびっ子」

 なでなで。
 ある種救世主となった子猫を撫でて労う。

焔誼輝夜 >  
「ふふん、おこられたくらいであきらめたら、ぼーけんかはしっかくなんだよ!」

 なにも偉くはありませんが、お子様は胸を張って言います。
 ようするに、この子にとって、怒られるくらいなんでもないのでしょう。
 とはいえ、ゲンコツを落とされるたびにぴぃぴぃ泣いていたりもするのですが。

「ほにゃ?
 りたちゃんもぼーけんしてたの?
 なになにー、どこいったのー?」

 そんな事を訊きつつ、撫でて貰えればゴロゴロと喉を鳴らしそうなご機嫌っぷりのお子様です。

「えへへえ。
 りたちゃんにほめられたー」

 もぞもぞと膝の上で動いて、自分からも嬉しそうにお姉さんをぎゅっとハグしちゃいます。
 そのままお姉さんの胸元にほっぺをすりすり。
 とっても幸せそうですねえ。